狩人はバッチをつけていた BAD END 作:muzineki
海の匂いというより、無機質なさびた鉄の匂いがする、深夜のコンテナ港。
そこに停泊する大型の貨物船へ、時枝たちの乗るトレーラーが乗り込んでいく。
この貨物船こそが、彼らのアジトだ。
船艙でコンテナを切り離した時枝は、すぐに船を出航させた。
そして運び込んだ金庫の中を、もう一度、部下たちに調べさせた。
「ボス、何もありませんぜ」
「こっちもです」
時枝の部下たちは、うんざりした表情で金庫の中を調べていた。
外では時枝が腕を組み、厳しい視線で部下たちを見張っている。
異常なしと報告されても、時枝は信用せず、何度も調べなおしを命じた。
神経質なボスにため息をつきながら、部下たちは中にある絵をどかしたり、壁を調べたりして、金庫の中を探っている。
(まったく使えん奴らだ、これだから仕事を任せることができんのだ)
散漫な態度で仕事をする部下たちに、時枝は苛立ちを隠せな。
一寸先は闇のこの世界では、しくじりは即破滅だ。
まして今回は、あのキャッツアイが絡んでいる。
どれほど用心を重ねても、安心するわけにはいかなかった。
「もういい、そこまでだ」
時枝はため息をつくと、部下に金庫から出るよう命じた。
これ以上やらせても、時間の無駄だと思ったからだ。
代わりに金庫の中に、赤外線カメラを仕掛けておく。
万が一の保険のためであった。
(念には念を入れておく、か)
金庫の周りをぐるりと回った時枝は、換気用のスイッチを切った。
これで空気の循環が無くなり、金庫の中は15分もすれば酸素が無くなる。
闇の世界を生き抜いてきた、時枝の直感がさせる行動であった。
そして慎重すぎる男の勘は、すぐに実を結ぶことになる。
「ボ、ボス、大変です!」
仕掛けたカメラの映像を見ていた部下が、狼狽しつつ時枝に報告する。
時枝がモニターを見ると、金庫の中にある壁の一部が、ガタガタと音を立てて揺れていた。
部下が急いでマイクの感度を上げる。
すると金庫の中から、女の呻き声が聞こえてきた。
「うぅっ……がっ……がはっ! がはっ!」
「フッ……やはりネズミ……いや、泥棒猫がいたようだな」
己の勘が当たっていたことに、口元を吊り上げる時枝。
女の呻き声は次第に大きくなり、そしてバタンと隠し扉が開かれた。
中から出てきたのは、首を抑えて悶えるレオタード姿の女であった。
「こ、これは……まさかキャッツアイ!?」
「畜生、取り引きをするフリをして、俺たちをハメやがったのか!」
激昂し、金庫の中に入ろうとする時枝の部下たち。
だがそれは、時枝の落ち着いた声に止められた。
「まあ待て、どうせ中から開けることはできんのだ、間抜けなメスネコが悶える様を、もう少し楽しもうでないか」
ビクビクと痙攣するレオタード姿の女を見ながら、時枝は蔑むような笑みを浮かべる。
彼の目的は、キャッツアイを仮死状態にして生け捕りにすることだ。
世間を騒がし続けた女怪盗は、金持ちたちの間でも好奇の眼差しを向けられている。
奴隷として売り出せば、きっと次の闇オークションの目玉商品になるに違いない。
そのように時枝は計算していた。
「がっ……ぐぇ……ぁぁ……ぁ……」
呻き声さえ上げられなくなった瞳は、やがて金庫の床にうつ伏せで倒れた。
相当に苦しんだのだろう、長い髪は乱れ、半開きの口から涎が流れている。
時枝はさらに時を置き、レオタード姿の女が仮死状態になるまで待った。
そして痙攣が終わり、完全に動かなくなったところで、金庫の扉を開けるよう命じた。
「よし、キャッツアイを捕まえろ!」
鈍い音を立てて、分厚い金庫の扉が開く。
バタバタと金庫の中へ突入した男たちは、レオタード姿の女を囲んで拳銃を突き付けた。
その瞬間、女の身体から煙が吹きあがった。
シュゥゥゥゥゥゥゥ
「なっ、何だっ、これは!」
突然の出来事に、男たちは狼狽する。
それでもいち早く冷静さを取り戻した時枝は、すぐに銃をレオタード姿の女に向けて構えた。
だが発砲する前に、目にも止まらぬ早さで瞳の右拳が、時枝の鳩尾に叩き込まれた。
「ぐおぉっ!」
長くしなやかな腕から叩きだされる拳は、一撃で時枝の動きを止めた。
続いてグルリと回転し首筋に叩き込まれた蹴りが、時枝の意識を断つ。
煙幕に狼狽する部下たちは、ボスの失神にすら気が付かつかず、アッという間に瞳に叩きのめされていく。
煙幕が晴れる頃には、時枝と部下たちは、金庫の中で伸びていた。
「ふぅ……何とかなったわね」
金庫の中で一人立っている瞳は、額に流れる汗を右手でぬぐって息を付いた。
すると突然、膣内のローターが振動を始めた。
「はうっ!」
「見事なお手並みだな、さすがはキャッツアイだ」
イヤリングから、冷ややかな氷室の声が聞こえてくる。
刺激に耐えながら、瞳は反射的にビシッと背筋を伸ばす。
特命課の躾で叩き込まれた、犬としての習性であった。
「は、はい……ありがとうございます、氷室様」
「あの用心深い時枝を、よくぞ騙せたものだ、窒息したフリは、なかなか迫真だったぞ、やはり経験者は違うな」
氷室の嘲笑が瞳の耳を打つ。
同じ状況で逮捕された屈辱を思い出し、瞳は眼を暗くした。
「今の君なら、あの罠も切り抜けたかもしれんな。どうだね、もう一度キャッツアイとして、我々に逆らってみるかね?」
冗談の下に冷たさを込めて、氷室は言った。
そんな事はもうできない、そう確信した上で言葉であった。
特命課の恐ろしさ、そして自分の立場を思い知らされている瞳に、もはや反抗心など欠片すら残されていない。
「そ、そんなことは……しません……私はもうキャッツアイでは無く、罪を償うために氷室様に忠誠を誓った、特命課の犬ですので……」
「フン、それで良い」
「あうっ!」
氷室の言葉と同時に、瞳の膣内でローターがさらに動きを強める。
腰がビクビクと動き、脚が震えるが、それでも瞳は直立不動の姿勢を維持する。
「いいかね、君の周りには常に、特命課の眼が光っている。どこに逃げようが、何をしようが逃れる事は出来ない。我々がその気になれば、いつでも逮捕して穴蔵に戻せるのだ、そのことを決して忘れるな」
脅しの言葉を最後に、通信は終了した。
瞳はフウッとため息を付く。
体内に埋め込まれたGPSにより、特命課は常に瞳の居場所を把握している。
内海刑事という人質も取られているし、忌まわしい戒具も膣内に装着させられている。
抵抗することも、逃げることも考えるだけ無駄、瞳はそう思うようになっていた。
(今の私は特命課の犬……もう生きる道はこれしか無いのよ)
決意を改めた瞳は、貨物室から駆け出した。
瞳の身体に埋め込まれたGPSにより、この船の場所は既に特定されている。
地元の県警に囲まれるのは、時間の問題だ。
(警察に見つかる前に船から脱出しなくては……でも、間に合うかしら)
客室へ向かって走る瞳の額に、つうっと汗が流れる。
瞳にはもう一つ、氷室から与えられた任務があった。
それは時枝が主宰する闇オークションの顧客リストを盗み出すことだ。
任務に失敗すれば、姉妹そろって穴倉に連れ戻されることになる。
その後に待っているのは、死ぬまでサディストの玩具にされる運命だ。
失敗するわけにはいかなかった。
「ここ、か……」
時枝の私室に辿りついた瞳が呟く。
扉に耳を当て、人の気配が無いのを確認すると、30秒もかからず鍵を開錠する。
そして部屋の中に入り、本棚や机を片っ端から調べた。
「あった!」
引き出しから目当ての顧客リストを手にした瞳は、すぐにそれを手にした。
だがそこで動きが止まる。
(これを持って帰れば、氷室の野望がいよいよ叶ってしまうのね)
本当にそんな事をして良いのか。
瞳の中にある良心が、それを頭に訴える。
顧客リストを眺めながら、自問自答を繰り返す瞳。
だがそれは、外から聞こえる声により遮られた。
「包囲しろ、マフィアを捕まえるんだ! 一人も逃すな!」
(と、俊!?)
それは瞳の恋人、内海俊夫刑事の声であった。
マフィア逮捕の指揮をする彼は、貨物船の包囲を縮め一気に乗り込もうとしていた。
(い、いけない、早く逃げなくては!)
判断を迫られた瞳は、急いで顧客リストを防水ケースの中に入れると、甲板へと走った。
もし氷室に叛逆すれば、報復の手は内海刑事の身にまで及んでしまう。
瞳に選択肢など有りはしないのだ。
「はっ!」
柵を乗り越えた瞳は、闇の海へと飛び込んだ。
音に気付いた警備艇が、すぐに海面を光で照らす。
それを避けて瞳が泳いでいると、いきなりローターが動き始めた。
「あうっ!」
快楽により瞳の下半身をビクリと震える。
そのせいで水を飲み、瞳は一瞬だけ溺れかかってしまった。
「こちら氷室だ、青猫、応答しろ」
「は、はい……こちら、青猫です……あんっ! も、目的の物は盗んできました、次のご命令をお願いします……ひっ!」
ローターに腰をビクつかせながら、瞳は海面で息をつく。
呼吸の度に甘い声が漏れ、泳いだままイってしまいそうであった。
「青猫、そのまま真っすぐ泳げ。そしてその先に6番の警備艇に入るんだ、くれぐれも間違えるなよ」
「は、はい……ひっ!」
快楽に耐えながら、命令どおり真っすぐ泳ぐ瞳。
すると6番と書かれた警備艇が瞳に近づき、船からロープを投げる。
それを掴んだ瞳は、体格の良い男に引き上げられた。
甲板では、特命課の刑事と氷室が待っていた。
「はぁ……はぁ……ご命令通り盗ってきました、氷室様」
甲板に上った瞳は、すぐに氷室に顧客リストを手渡した。
そしてビシッと敬礼し、直立不動の姿勢になる。
ずぶ濡れのレオタードはピタリと肌に張り付き、そのボディラインを余すところなく浮かび上がらせている。
ローターの刺激のせいで乳首は布地を突き破らんばかりにしこり、股間には卑猥なスジが浮かび出ていた。
「さすがだなキャッツアイ、君は実に優秀な犬だ」
そういうと氷室は、右手で瞳の乳房を揉み始めた。
左手は股間へと潜り込み、スジをなぞるように弄ぶ。
背筋をまっすぐに伸ばして立つ瞳は、敬礼したまま屈辱に耐える。
ハグをされキスを迫られても、逆らうことなく行為に従った。
「はふっ……れろ……れろ……ちゅっ……ちゅっ……」
氷室との濃厚なディープキスを繰り返す瞳。
舌と舌を激しく絡ませ、こくこくと送り込まれる唾液を嚥下し、キスという行為に集中する。
全ては氷室を楽しませるためだ。
自分と家族、そして恋人の生殺与奪を握る絶対的存在に、瞳は必死に忠誠を尽くす。
「れろ……ちゅっ……ぷはぁ……はぁ……はぁ……」
ようやくキスから解放され、荒い呼吸を繰り返す瞳。
行為の途中に何度も愛撫されたり、中のローターを動かされたため、身体はすっかり火照っている。
それを見た氷室は、瞳にレオタードを脱ぐよう命じた。
周りの刑事たちの視線が集中する中、瞳はためらう事なくレオタードを脱ぎ、生まれたままの姿を晒した。
「おやおや、こんなに乳首が勃っているぞ。内海刑事に少しは申し訳ないと思わないのかね?」
言いながら氷室が指でピンピンと瞳の乳首を弾く。
それを見た特命課の刑事たちが嘲笑する。
直立不動の姿勢で耐える瞳の背後では、内海刑事に指揮された警官たちが貨物船へと乗り込み、マフィアを次々と逮捕していた。
恋人への後ろめたさ、そして屈辱に身体を震わせる瞳だが、それでも従順な態度は崩さない。
かつての女怪盗は、今や主人に絶対的忠誠を尽くす犬へと生まれ変わっていた。
「ふふふ……だいぶ使える犬になったようですね、来生瞳さん」
「あなた達も少しは見習いなさい、ねえ泪、愛」
瞳の鼓膜を嘲るような声が打つ。
佐藤刑事と平松刑事の二人であった。
女刑事たちの足元には、犬のように四つん這いになる泪と愛がいる。
二人とも全裸で、リードの付いた首輪だけを嵌められ、死んだような目をしていた。
(姉さん……愛……)
文字通り犬として扱われる姉と妹に暗い目を向ける瞳。
自分が貨物船に潜入していた間、二人がどんな目に合っていたのかは容易に想像がついた。
だがそれでも瞳に反抗心は沸いてこない。
氷室から首輪を渡されると、ためらうことなく自らの首に嵌めていく。
そして全裸のまま床に手を付き、姉や妹と同じように犬の姿勢になった。
「さあ奉仕の時間だ、今日も頼むぞキャッツアイ」
氷室にクイッと首輪を引かれた瞳は、船室に向かって四つん這いで歩いていく。
海の夜風は容赦なく素肌に突き刺さり、まるで身が切られるようだ。
歩く度に甲板の冷たさを感じ、自分が本当に犬になったようで、心が死んでいくのが解る。
「……あっ……はぁん!」
声と同時にビクッと腰を震わせる瞳。
中に埋められたままのローターが動いたからだ。
後ろを歩く泪と愛も、同じように四つん這いのまま腰をビクつかせて悶えている。
犬のような姿でローターに悶える三姉妹を、特命課の刑事たちは再び嘲笑した。
「ほら、何をしているのですか、キャッツアイ」
「犬である貴女達に休んでいる暇は無いのよ、しっかり歩きなさい」
ビシッ、バシッと乾いた音が鳴り、鞭が来生三姉妹の尻を打つ。
尻に赤い鞭痕を付けた彼女たちは、ローターの快楽に耐えながら四つん這いで歩き続ける。
その先で待っているのは、特命課の刑事たちによる奉仕という名の凌辱だ。
何もかも氷室に奪われ、自尊心すらも砕かれた彼女たちは、死んだ目のまま黙って歩き続ける。
惨めな犬の姿で船室へと消えていく彼女たちに、かつての凛々しい女怪盗の面影はもはやない。
日本中を騒がし、警察を翻弄しつづけた華麗な怪盗団キャッツアイ。
その存在は、この日を境に完全に姿を消した。