※この作品はR-18です。

狩人はバッチをつけていた BAD END   作:muzineki

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6:陰謀

「ウフフ、氷室課長が『任せる』、ですって」

 

「許可は出ましたね。なら私たちのやり方で、留置をしましょう」

 

佐藤刑事と平松刑事の二人が、ニヤニヤ笑いながら顔を見合わせる。

両手を後ろ手に拘束された瞳は、背筋が冷たくなるのを感じた。

 

「さて、相手はあのキャッツアイです。両手の拘束だけでは、少し不安ですね」

 

藤刑事はいったん部屋から出ると、道具を持って戻って来た。

それは金具がついた首輪と、両端にベルトがついた金属の棒であった。

 

「な、何なの! まさかそれも使って拘束する気?」

 

「当然ですよ4番、私たち二人でも貴女を管理できるよう、厳重に拘束させてもらいます」

 

佐藤刑事は瞳の両足を開かせると、金属棒のベルトで両足首を戒めた。

足首を金属棒の両端に固定された瞳は、股を大きく広げた状態で拘束されてしまった。

 

「これで文字通り、手も足も出なくなりましたね」

 

「でも私たちは油断しないわよ、次はこれね」

 

続いて平松刑事が瞳の首に首輪を嵌める。

そして瞳を床に座らせ、首輪のリングに短い鎖を取り付けて、足枷の金属棒に繋いでしまう。

 

「あうっ!」

 

首輪を後ろに引かれた瞳が呻き声をあげる。

足を大きく開いたまま正座を崩すような姿勢で、瞳は身体を固定されてしまった。

両手と両足は枷と鎖で厳しく戒められ、少しも動かすことができない。

背中の後ろで首輪と足枷を繋がれているせいで、胸を反らす姿勢を常に強いられ、立ち上がることもできない。

 

「ここまでやれば、さすがのキャッツアイも逃げられないでしょうね」

 

「本当にいい格好よ、キャッツアイ」

 

平松刑事は薄く笑うと、瞳の身体を撫で始めた。

そしてレオタードに浮かぶ瞳の乳首を見つけ、指でキュッと摘まむ。

 

「い、痛い! 何をするの!」

 

抗議する瞳だが、平松刑事の手は止まらない。

レオタードの下に手を潜り込ませ、直接乳首をしごきはじめる。

逃れようとする瞳だが、厳しく戒められた身体では抵抗できない。

身をよじれば、足枷に繋がれた鎖が首輪を引っ張り苦痛を与える。

 

「や、やめてっ! いやぁっ! 」

 

ここまで被疑者として命令に従ってきた瞳であったが、これにはたまらず抗議の声を上げる。

 

「な、何をするのよ! こんな事をするなんて、特命課は変態刑事の集まりなわけ!?」

 

「あら、変態刑事は酷いわね。それと睨みつけるのはやめて。貴女みたいな大悪党に威嚇されると怖くなるわ」

 

「4番、威嚇行動はやめなさい。罰として貴女にはこれも付けてもらいます」

 

そう言うと佐藤刑事は、瞳にゴム製のアイマスクを被せた。

瞳は身体の動きだけでなく、視覚さえも奪われてしまった。

 

「い、いやっ! 私はまだ被疑者なのよ、こんな行為が許されるの!」

 

「ウフフ、許されるのよ。警察にさんざん恥をかかせてきた貴女は、特別扱いなの」

 

そう言うと平松刑事は、スタンガン付きの警棒を瞳の顎の下に入れた。

そしてクイッと頭を持ち上げる。

胸元にも佐藤刑事の警棒が突き付けられていた。

首筋と胸から感じるスタンガン付き警棒の冷たさに、瞳は足掻いていた動きを止めてしまう。

 

「4番、貴女に対してはね、脱走と自殺さえ防げば、後は何をしても良いと上から言われているの」

 

「4番、次に抗弁したり、怪しい動きをすれば、実力行使で制圧します。これは脅しではありません。痛い目に合いたくないなら、我々に従いなさい」

 

佐藤刑事は説明しながら、警棒で瞳の胸を突いた。

そして柔らかい乳房にグリグリと押し付ける。

屈辱の行為に唇を噛む瞳だが、この状態で逆らうことなどできるはずがない。

自分が無力な囚人であることを、改めて思い知らされた。

 

 

 

その後、二人の女刑事は、留置場での細かいルールを瞳に説明した。

そして瞳に背を向け、部屋から出る。

音を立てて扉が閉じられ、外からカギがかけられた。

部屋の中には、枷と鎖で厳しく戒められたレオタード姿の女だけが残された。

 

(これから一体、どうなるんだろう……)

 

視界さえも奪われた瞳は、ただ一つ自由を許された頭の中で考えた。

このまま行けば、逮捕から48時間以内に身柄を検察庁へと送られることになる。

そして拘留延長の請求が行われ、どこかの女性用留置場へと移送されるのだ。

マスコミの前で晒しものになるのは、おそらくその時であろう。

その後に待っているのは、日本中から盗人として非難を浴び、刑事に厳しい取り調べを受ける日々だ。

 

(取り調べでは、過去の全ての盗みについて徹底的に調べられるに違いない。私は姉さんと愛のことを、最後まで隠し通せるかしら)

 

瞳の頭に不安がよぎる。

キャッツアイが3人組の泥棒だということは、世間に知られている話だ。

姉妹である泪と愛が、キャッツアイとして疑われることは避けられない。

少しでも口を滑らせれば、二人にもすぐに手錠が嵌められるだろう。

仮に瞳が吐かなかったとしても、状況証拠で逮捕される可能性もある。

 

(一体どうして、こんな事に)

 

なぜ自分は金庫に閉じ込められるというミスをしたのか……

なぜ特命課の罠に気が付くことができなかったのか……

なぜ刑事の恋人でありながら泥棒など始めてしまったのか……

思い返せば後悔しか出てこない。

静まり返る部屋で、瞳の頬に一筋の涙が伝わる。

 

(外ではそろそろ、キャッツアイの逮捕を警察が発表した頃でしょうね)

 

瞳の脳裏に、朝のトップニュースで自分の顔と名前が報道されているシーンが浮かぶ。

続いて高校時代の友人や喫茶店の常連客がインタビューを受ける姿、ニュースキャスターや評論家が自分のことを批判する姿、自宅兼店舗の喫茶店にイタズラ書きをする不良学生の姿など、様々なものが現れては消えていった。

 

「うっ……うっ……うぅぅっ……あっ……あぁぁっ……あぁぁぁぁぁぁっ!」

 

慟哭、そして嗚咽。

室温管理がされている部屋は、決して寒くはないのに身体から震えが止まらない。

目隠しの裏から滝のように涙が溢れ、頬を伝って落ちる。

監視カメラに撮影されているのを自覚していても、瞳はそれを止めることができなかった。

 

 

 

その頃、氷室は警視庁の上層階にある部屋を訪れていた。

 

コン、コン

 

「氷室警視正です」

 

「入りたまえ」

 

重厚な木製のドアを開いて、氷室が中へと入る。

30畳ほどの部屋には大きな机があり、そこには腕組みをしている男がいた。

机の前に立った氷室は姿勢を正し、教科書通りの見事な敬礼をする。

 

「氷室くん、報告は聞いている。広域連続窃盗犯P112号、通称キャッツアイを逮捕したようだね」

 

「はっ! そして正体は容疑者リストにあった例の女、来生瞳でした」

 

男は椅子に深く腰掛けると、天を仰いだ。

そして大きくため息をつく。

 

「なるほど、君が危惧していたとおりの展開になったわけだ。まったく困ったことになったものだ」

 

「はい、このままでは警察に対する信頼はもちろん、我が国の経済にも影響が出る恐れがあります。それを防ぐためにも『ホットドック』を第三段階へ移行するご許可を願います」

 

口元を吊り上げて提案する氷室に、男はやや不愉快な視線を向ける。

 

「よろしいのかね、このまま計画を進めると、君のキャリアに傷がつくことになるぞ」

 

「かまいません、この国の安寧と市民の安全のためなら、私は命でも喜んで差し出す所存です」

 

「フン……」

 

男は小さく鼻で笑った。

目の前にいる男が、心にも無いことを言っているのは解っている。

そして警察に大きな影響力がある政治家と、個人的なコネクションがあることも知っていた。

 

(今回の作戦には『天の声』がある、ここで反対すれば、お偉方の不興を買う事になるな)

 

男は警視総監まで上り詰めた優秀な頭脳をフル回転させる。

自分の退官はもうすぐだ。

引退後の人生を考えれば、ここでお偉方に貸しを作っておくのは悪くない。

それに逆らえば、内定している公益法人の理事長のポストと、そこで得られる退職金を失うことになる。

長年コツコツ仕事をして得た老後のご褒美を、こんな事で台無しにするのは、真っ平ごめんであった。

 

「やむを得ん、許可しよう。ただし情報漏洩には気を付けるように」

 

「はっ! 特命課の精鋭が細心の注意を払っておりますので、ご安心ください。ところで犬鳴署の件について、ご相談があるのですが……」

 

「わかっている、そちらは私が手を回しておこう。しつこいと思うかもしれんが、くれぐれも注意するように」

 

「はっ!」

 

氷室が再び敬礼する。

その顔には、不敵な笑みが浮かんでいた。

 

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