※この作品はR-18です。

狩人はバッチをつけていた BAD END   作:muzineki

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9:キャッツアイ特捜班解散

朝、喫茶店『キャッツアイ』。

泪と愛は2階のリビングで、届けられたばかりの朝刊をかじりつくように読んでいた。

 

「やっぱり今日も載ってないよ。警察はまだ瞳姉のことを、発表していないみたい」

 

「朝のニュースも全局見たけど、どこも放送していなかったわ」

 

二人は濃いめのコーヒーを喉に流し込むと、息をついた。

眠れぬ夜を送ったせいか、気だるさと疲労感で身体が重い。

しかし緊張を解くわけにはいかない。

今の来生家には、いつ警察が踏み込んでくるのか解らないのだから。

 

「泪姉、ひょっとするとこれって、ボク達を油断させるための警察の作戦じゃない? やっぱり逃げた方がいいんじゃ……」

 

「その可能性はあるけど、ここで逃げれば、それこそ私たちがキャッツと認めているようなものよ。今は落ち着いて行動しましょう」

 

焦りを懸命に抑え込み、泪は愛を落ち着かせる。

泪と愛を逮捕するための決定的な証拠は、まだ警察は掴んでいないはずだ。

疑われていたとしても、すぐに逮捕状を突き付けられる心配は無い。

ここで不自然に動けば、それこそ警察に隙を見せることになる。

 

「今日あたり、何かの動きはあるはずよ。次の判断は、それから考えましょう。ただし警察が家宅捜索に来たら、その時はわかっているわね」

 

「うん、すぐに下水道から脱出。そして隠してある車に乗って、永石さんが用意した別荘まで逃走だね」

 

ピンポーン

 

突然、インターフォンの音が鳴った。

稲妻のような緊張が、泪と愛を貫く。

愛は急いで特製のタブレットを立ち上げると、外に仕掛けた監視カメラの映像を見た。

映っているのは、瞳の恋人である内海刑事の姿だった。

 

「る、泪姉……俊だよ、俊が来た!」

 

タブレットに映る内海刑事の険しい顔に、愛が動揺する。

泪の頬にも汗が流れるが、かろうじて緊張を飲み込み、頭を回転させた。

 

「愛、落ち着きなさい、まず周りを確認よ。私たちを逮捕に来たのなら、きっと応援がいるはずだわ」

 

愛は急いで画面を切り替えると、熱感知センサーで店の周囲を確認する。

しかし何度見ても、店の周囲に人は見当たらない。

念のため2階に上がり目視でも確認するが、警官が隠れている気配は無かった。

 

「俊の奴、本当に一人で来たみたいだね」

 

「となると家宅捜索や、逮捕の為ではなさそうね。仕方ないわ、中に入れましょう」

 

「えっ!? 大丈夫、泪姉。ここは居留守を使った方がいいんじゃ……」

 

「必要の無い嘘は、こちらの首を絞めるだけよ。まずは相手の出方を見ましょう。ただし逃げる準備だけは、忘れないで」

 

ガチャ

 

臨時休業の札をかけた扉を開き、泪が内海刑事を中へ招き入れる。

内海刑事は険しい表情を崩さないまま、店内へと入ってきた。

 

「いらっしゃい、俊夫さん」

 

「お、おはよう、俊」

 

「ええ……泪さん、愛ちゃん、おはようございます」

 

内海刑事の声には、苛立ちが見えた。

カウンターに座る彼に、泪は緊張気味にアメリカンを煎れる。

 

「ところで瞳の姿が見えないんですが……今日はいないんですか?」

 

その言葉に愛の表情が固まる。

かろうじて動揺が表に出るのを防いだ泪も、コーヒーを注ぐ手に汗をかいた。

 

「え、ええ……瞳はちょっと用事があって、出かけているんですよ」

 

「そうですか……」

 

そこで内海刑事は一呼吸置き、コーヒーを喉へ流し込んだ。

泪はその隙に、床にある緊急用スイッチの場所を確認する。

喫茶店『キャッツアイ』から犬鳴署までは、徒歩でたったの5分だ。

逃げる準備を忘れることは、決して許されない。

 

「だったら瞳に伝えてもらえますか? 急な話なんですが、異動の内示があったんです。来週から福岡の花見署へ出向します」

 

「えっ?」

 

突然の言葉に、泪と愛は顔を見合わせた。

 

「向こうから帰ってきたら、試験なしで警部補に昇進とのことです。一応は、栄転ってやつになりますかね……」

 

「す、すごいじゃん、俊」

 

「おめでとう、俊夫さん、瞳もきっと喜ぶわ」

 

堅い笑顔を作る泪と愛。

そんな二人の言葉に、内海刑事がピクリと反応する。

 

「とんでもない!」

 

彼は右手に拳を作ると、カウンターをドンと叩いた。

 

「この人事は、警視庁から来た特命課の氷室って野郎が仕組んだことなんですよ!」

 

そう叫んだ内海刑事は、肩を震わせていた。

興奮する刑事の姿に、泪と愛は虚を突かれてたじろぐ。

 

「あの野郎は、キャッツアイを捕まえるために特命課に強盗団を装わせ、犬鳴署を騙していたんです! その挙句、特命課がキャッツの逮捕しに失敗したことを隠すために、上に手を回して俺たちを外へ飛ばしたんですよ!」

 

「えっ……ええっ!?」

 

「と、特命課がキャッツの逮捕に失敗した……ですって!」

 

瞳の逮捕を知る泪と愛にとって、それは衝撃の言葉だった。

だが怒りに打ち震える内海刑事は、二人の動揺に気付かず、さらに言葉を続ける。

 

「異動は俺だけじゃありません、浅谷君はインターポールへ研修。課長は署長として田舎の署へ行くことになりました。俺たちはもう二度と、キャッツの捜査に関わることはできないでしょう……畜生!」

 

内海刑事は拳を作ると、もう一度カウンターへ叩きつけた。

混乱する泪と愛は、その姿を茫然と見ることしかできなかった。

 

 

 

その頃の、警視庁本部庁舎。

特命課の奥にある部屋では、瞳が痛みと疼きに耐えていた。

相変わらず正座を崩したような姿勢で、全身を鎖と枷で拘束されている。

目隠しもされたままで、ローターにより屈辱と快楽を与えられていた。

 

「うぅ……あぁ……くぅっ!」

 

乳首とクリトリス、そしてアナルへの責めに、瞳は背筋をピンと伸ばす。

ローターを一晩中、動かされていたせいか刺激は薄らいでいる。

だが眠ることは、とてもできなかった。

頭はボウッとし、苛酷な責めを受けた身体は疲れ切っている。

 

「うぁ……ぅぅ……あうっ!」

 

眠気で身体がグラリと揺れるた所で、ローターの刺激が強まった。

青いレオタードに、勃起した乳首が浮かび上がる。

ローターを操作したのは、監視カメラで瞳を見張る特命課の刑事たちだ。

強制的に快楽を与えられ、見世物にされる屈辱に瞳は唇を噛む。

 

ギィ……

 

扉が開く音に、瞳はすぐに反応した。

目隠しで見えないが、足音で誰なのかはすぐにわかる。

瞳の留置担当官である、佐藤刑事と平松刑事だ。

 

「4番、ご飯を持ってきましたよ」

 

佐藤刑事が瞳の目隠しを外す。

ようやく視界が戻った瞳の眼には、プラスチックの容器の弁当箱があった。

 

「パンばかりで飽きたでしょう。今日の官弁はご飯ものにしてあげたわ、遠慮せず食べなさい」

 

平松刑事が瞳の首輪と足枷を繋ぐ鎖を外した。

これにより瞳は、上半身だけ前へ倒せるようになる。

だが両手両足は厳しく戒められたままで、弁当を手にすることさえできない。

 

「ちょっと、この格好でどうしろっていうのよ」

 

「わからないの? 手が使えなくても、口があるじゃない」

 

「4番、弁当は猫のように、口だけで食べてください。キャッツアイを名乗る貴女なら、それくらいはできるでしょう」

 

二人の女刑事は、瞳の身体を押さえつけた。

そして頭を掴み、弁当に口を近づけさせる。

瞳は首を振って、イヤイヤとそれを拒否した。

 

「い、嫌っ! そんなこと、できるわけ無いでしょう」

 

「そういう訳にはいかないの。今日は移送があるから、貴女にはきちんと食べさせるよう、氷室課長から命令されているの」

 

「官弁は自殺防止のため、魚の骨などは全て除かれています。だから口だけで食べても安全です。さあ食べなさい、これは命令です」

 

女刑事たちは、手に力を入れて瞳の頭を弁当箱へ押し付けた。

白米や白身魚のフライ、きんぴらごぼうが、女怪盗の美貌を汚していく。

 

「ほら4番、これは国民の血税で作られたありがたいお弁当ですよ。残すことは許しません」

 

「官弁はカロリーも考えられていて、普通の弁当より手間もかかっているの。貴女のような犯罪者には勿体ないくらいだわ。ありがたく食べなさい」

 

弁当から逃れようとする瞳を、女刑事たちは二人がかりで抑え込む。

潰れたおかずや白米が鼻の中に入った瞳は、苦しさから咽るような咳をする。

そんな時、部屋の扉が開いた。

中へ入ってきたのは、氷室であった。

 

「様子を見に来たのだが、どうした?」

 

二人の女刑事は、すぐに上司の方を振り向いた。

レオタード姿の被疑者が、女刑事たちに頭を弁当箱に押し付けている姿を見ても、氷室は無表情であった。

 

「はっ、ご指示の通り、4番に食事させている所です」

 

「ですが官弁を拒否していまして、やむなく強制摂食の処置をしています」

 

「そうか」

 

氷室は小さく言うと、ゆっくりと瞳に近づいた。

そして右足を上げると、瞳の後頭部を踏みつけた。

 

「あぐっ!」

 

グチャッと音がして、からあげが瞳の鼻で潰される。

氷室は脚に体重をかけて、グリグリと堅い床に瞳の顔を押し付ける。

 

「君たちの躾は温い、だから野良猫に舐められるのだ。自尊心など持てぬよう徹底的にやれ。そう命令したはずだぞ」

 

言葉が終わると、瞳の頭からスッと氷室の足が離れる。

後頭部の圧力が無くなり気を緩める瞳だが、すぐに次の衝撃がきた。

 

「ぐうっ!」

 

再び踏みつけられた瞳は、頭を思い切り床に打ち付けた。

額からは、つうっと血が流れている。

 

「こ、こんな事をしていいのかしら……今日は、私を検察へ送致する日でしょう?」

 

瞳は頭を上げると、笑みを作って振り向いた。

そして皮肉そうな口調で刑事たちへ言う。

 

「今日は私の顔がテレビカメラで全国に晒される日よ。そんな時に傷なんてついていたら、困るのは貴方たちではなくて? キャッツの正体といっしょに、暴力警察の実態が放送されるわよ」

 

弁当で汚れた顔で、瞳は精一杯の反撃をする。

だがそれに対する氷室の返答は、鳩尾への強烈な蹴りであった。

 

「がふっ!」

 

「この期に及んで君は、まだそんな事を言っているのかね」

 

氷室はもう一度足を振り上げると、瞳をサッカーボールのように蹴り飛ばした。

一切の加減の無い蹴りに瞳の身体がくの字に曲がり、ゴロゴロと床を転がる。

 

「がはっ! げほっ! うげっ……うぇぇ……おぅぇ……」

 

「君のような重罪人に、法の下の平等が適用されると思っているのかい? これから行くのは検察庁や刑務所ではない、野良猫にふさわしい場所さ」

 

氷室は脚を上げると、無防備な瞳の腹を踏みつけた。

そして口元を吊り上げ、サディストの本性を露にした顔でグイっと体重をかける。

大柄な氷室に踏みつけられた瞳は、呼吸ができず悶えた。

 

「がはっ……げほっ……がっ……あがっ!」

 

「君への罰はそこで与えられる。怪盗を気取って警察をコケにした罪を、せいぜい後悔することだ」

 

レオタード姿の美女が悶える姿を愉しみながら、氷室は鳩尾を踏む脚に力を入れた。

そんな時、バタンと音がしてドアが開く。

現れた特命課の刑事は、慌てた表情で氷室に報告した。

 

「氷室課長、大変です、犬鳴署の浅谷刑事が来ました!」

 

氷室に踏みつけられ悶えていた瞳が、ハッと頭を上げる。

だがすぐに、女刑事たちに口を押さえつけられた。

彼女たちは防声具で素早く瞳の口を塞いでしまう。

 

「むぅっ! むぅん! うぅん!」

 

革製のマスクに顎と口を拘束された瞳が、呻き語を上げる。

網になったわずかな穴から息はできるが、口を開けないため言葉にならない。

 

「静かにしていなさい、4番。でないとまた痛い目に合わせるわよ」

 

「浅谷刑事がここに来たら、貴女も困るでしょう? それが嫌なら静かにすることです」

 

女刑事たちは防声具のベルトを、瞳の後頭部できつく締めた。

そして鍵をかけて、外せないようにしてしまう。

抵抗を諦めた瞳は、女刑事たちに身体を掴まれたまま、ガクリと頭を下げた。

そんな瞳に背を向けた氷室は、フンと鼻を鳴らして部屋から出て行った。

 

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