【グリザイアの楽園】楽園Another~雄二はみんなのもの!~ 作:千月華音
立体駐車場の地下に停めた後、車のトランクから擬装用の作業服を取り出した。
それに着替えてから小さめのグロックを懐に忍ばせておく。何事もないとは思うが念のためだ。だがこんなものを使うようならこの駐車場に停めたことも危険かもしれない。車は捨てる覚悟をしたほうがいい。
カートに荷物を載せて地下エレベーターに乗り込んだ。
受付は2階。だがこの駐車場から業者専用のエレベーターに乗れば受付を介さず社内に入ることができる。
前に蒔奈の母親のいるアイリス・グローバル本社に乗り込んだときも、同じような手段で潜入した。そのときはもともと本名で面会予約を取っていたからすんなり入ることができたが。
一介の宅配業者にどこまで入ることできるかはわからない。とりあえず行くだけ行ってみて、どんな会社なのかだけでも外見だけではわからない雰囲気が掴めればそれでいい。
――チン
30階の表示を見て、確かこの階からだったと気を引き締めてカートを押した。
案の定、正面の扉はセキュリティのロックがかかっている。近くのインターフォンを押し、宅急便だということを告げると、1分も待たずに黒いスーツを着た男が現れた。
……どう見ても。
まともな会社ではないようだ。表書きには普通の人材派遣会社の社名があるが、こんな眼光の鋭い黒服がいるところを見ると、ヤのつく事務所か何かだろう。
「受取証にサインをお願いします」
「……荷物はこれだけか?」
「一応、本人確認書類の提示が必要なので、受取人にサインをお願いしたいのですが」
届け先はこの会社の社長だが、明らかに偽名っぽい名前だった。それにこの黒服も日本人の気配がしない。言葉は流暢だが、アジア系の帰化人だろうか。
「ちょっと待て。……はい、来ました。……わかりました。お持ちします」
携帯でやり取りをした後、カートの取っ手を代わりに掴まれた。
「あの」
「こちらへ。社長がお待ちしております」
「いえ、ここで結構ですから」
「中で社長がサインされるそうです。どうぞこちらへ」
……仕方ない。
ここまで来ることはないだろうと思って敢えて本人のサインが必要だと言ってみたが、まさか宅配業者を呼びつけるとはな。
しかもカートごと奪われた。それにさっきと明らかに物腰が違う。……様子がおかしい。
フロアを通りすぎながら、チラリと社内の雰囲気を見た。普通の人材派遣会社のようなコールシステム化をしている。各ステーションごとにブースを設け、社員がそれぞれ電話で対応している様子を見ると、怪しいところなどないように見えるが。
奥の突き当りにある部屋の前まで来ると、黒服が扉を開けて俺を室内に入るように促した。
……くそ。
帽子を目深に被り、顔をなるべく見られないようにするしかない。位置的にはこの部屋があの光の出所だが、とりあえずサインだけ貰ってさっさと引き上げる。それしかない。
部屋に入ると。
正面の書斎机に座っていた人物が立ち上がり、近づいてきた。
帽子のせいで顔は見えない。ただ歩いてくるスーツ姿と長い手足だけに注意を払った。
「……やあ。久しぶりだね、雄二」
……?
なんだ……?
この声、……聞き覚えが。
「無粋なそんな帽子は取り給えよ。ちゃんと顔を見せろ」
帽子を取られた。
驚いて男を見る。――そんな。嘘だ。あり得ない。こいつは死んだはずだ。海で……。
「……ヒース・オスロ……?」
にやついた顔も、長い手足も、それに声すら、まるで同じだ。
俺は夢でも見ているのか?
「ざぁんねんでした。私はキース・オスロだ。ヒースは私の兄だよ」
「……兄、だと?」
「屋敷にいたときも時々入れ替わっていたんだが、気づいてなかったのかい?」
……屋敷。
オスロのいたあの家のことか。俺を保護とは名ばかりの監禁凌辱していた、あの。
あいつに兄弟なんていたのか。
入れ替わって……いた?
それっていつだよ。……二人もいたなんて聞いてないぞ。
「はあ……。その顔。相変わらず君はそそる顔をしているね。6年前とちっとも変っていない」
「……おまえは誰だ」
「だから私はキースだ。兄が君を引き取って、廃人みたいになっててつまらないと言うものだから、私が君を調教したのだよ。まあ、その後、君が客の一人を殺ってしまったから、兄が学校に放り込んで違う調教を施したわけだが」
「……今頃なぜ現れた。昨夜からずっと覗いていたのはおまえなのか」
「ああ。君にしては色気のない女を抱いていると思ったが、なかなかイこうとしなかったところを見ると気づいていたか半信半疑だったのだろうな。……イイ女じゃないか。私にも抱かせてくれないか」
「ふざけるな……!」
すぐさま懐から銃を取り出し、男へと銃口を向けた。
こんなもので脅せるとは思っていない。だが向けずにはいられない。いや、殺せるならこの場で殺してやりたい。
こんな場所でなければ、すぐにでも殺してやるのに。
男は、そんな俺の心中がわかっているかのように目を細めてニヤリと笑った。
「雄二。……まずは兄を殺してくれてありがとうと言っておくよ。あいつのせいで私はずっと自由になれなかった」
「礼など言われる筋合いはない。すぐにおまえも殺してやる」
「それはどうかな。君が囲っているあの女は、私の合図ひとつでいつでも射殺できる。あのタワマンの最上層階……つまり、君がいるフロアだが、あそこは政治家や実業家がよく枕営業に利用する部屋だ。毎回そのお楽しみを閲覧させてもらっているわけだが、前回は金髪の美女だったのがまさか雄二、君が現れるとは、正直私も思っていなかったよ」
なん、……だと。
そういえばこの男は変態だった。プレイもそうだが、嗜好も狂気じみたものがあり、俺を男に襲わせてその最中をじっくりと眺めて悦に入り、興奮すると混ざって3Pをする……そんなこともたびたびあった。
それがこの男――キース・オスロだったというのか。
金髪の美女は間違いなくJBだろう。あいつ……枕営業なんてしてたのか。覗かれているのも知らないで。
……あの部屋。
監視カメラがどこかにあるはずだ。もちろん省庁関係のセキュリティ用もあるはずだが、それ以外でこいつが仕掛けたのも混ざっているだろう。いや、それ以前に。
蒔奈はすでにこいつのターゲットにされてしまった。やると言えば必ずやる男だ。……油断した。俺の前に現れたその時点で、もう取返しはつかなくなっていた。
「……何が望みだ」
「さすが雄二、話が早くて助かるよ。私は君の女になんて興味はない。興味があるのは、……君だよ。雄二」
ねっとりと。
舐めまわすような視線が全身に突き刺さる。……昔よりも変態度が増していた。
「オスロに殺人兵器として仕込まれたこんな俺に、あんたの性癖がささるとも思えないが」
「その目だ。……殺しをする者だけが持つその目が、たまらないのだよ。私の元に戻るんだ。兄は君を兵器として手に入れようとしていたから殺されたが、私は違う。君を快楽に染めあげられるのは私だけだ」
相変わらずだ。
こいつは昔とちっとも変わらない。
オスロの学校に放り込まれた後、時々来ては俺にナイフ指導をしていたのは兄のヒースだろう。だが。
夜に俺を宿舎から連れ出して人気のない場所に連れ込んで何回も性行為を強いたのは、この男だったに違いない。
……くそ。
同一人物だと思っていた俺がバカだった。
蒔奈を巻き込むわけにはいかない。
これは俺が清算しなければならない問題だ。
「……俺が戻ればあいつに手は出さないと約束するか」
「もちろんだ。わかってくれて嬉しいよ」
「以前のような関係になるつもりはない。俺が欲しければ好きなときに呼ぶがいい。俺の女に手出ししないのであれば、おまえの好きなようにさせてやる」
「……なるほど。君には大切な女が出来たわけだ。ならば約束しよう。あの部屋にいる限り、君の女は最大の警戒網で守ってやろう。そして君はいつでも私の呼び出しに応じるんだ。……これを渡しておこう、君への直通通話ができるスマホだ」
渡されたスマホを、すぐにでも叩き壊したい衝動に駆られたが。
こいつの言いなりになるしかない。
これで俺は、蒔奈の母親と、この男の、二人の鎖につながれているというわけか。
これであの部屋から出ることもできなくなった。
移動すればどこで狙われてもおかしくない。……今は耐えるしかない。
「雄二。次に来るときはそんな無粋なツナギ姿はやめてくれよ。……ああ、そのうちあの部屋に君の服を届けさせよう。それを着て私のところに来るといい」
「……好きにしろ」
踵を返したそのとき。
男が腕を引っ張って胸の中に抱き寄せてきた。
「な……っ」
「受取証にサインをさせてもらうよ。……ここに」
唇が重なった。
……前と同じ感触。こいつから教わった深いディープキス。それをまた味わされるとは。
間違いなく、こいつはあのオスロだ。子供のときに何度も味わった屈辱。それをキスで思い知らされた。
違う、キスなんてものじゃない、これは……。
ただ貪り喰われるだけの行為。舌で唾液ごと吸い上げられ、喉元まで蛇のように伸び、じゅるじゅると味わうようにがっつかれてる。
「く……ぁ……っ」
「ふぅ……、久しぶりの甘露だ。まだあの女にしたような表情ではないが、まあいい。すぐに思い出すさ」
「……くそっ! 離せ!」
「ヒースは君の姉のほうを気に入っていたようだが、私は君のほうがいい。……この反抗的な目がたまらない」
「あんたペドフィリアの変態だったはずだろう」
「そう見えたのなら、それは兄のほうだ。……私はね、私の手で染められていく君に惹かれたのだよ」
底無しの欲望を宿したような目。
再びその眼下に曝されている。
俺は――。
まだ、この過去から逃れることができないのか。
頭が……痛い。
頭痛が、再びやってきた。……あの、刺すような激痛が。
「……いてぇ」
頭を抱えながら駐車場に降りた。
ダメだ、こんな状態であの家に戻れない。だが戻らないと。蒔奈を放ってはおけない。
……殺さないと。
蒔奈の母親はまだ利用価値があるが、あの男は生かしておいても害になるだけだ。まさか二人もオスロがいたなんて。
しかし。
ダメだ、蒔奈がいる。あのマンションにいる限り、人質に取られているようなものだ。しかも逃げたくても蒔奈の身の安全の保証がない。どこにいようと無駄だ。あいつは狙った獲物は絶対に逃がさない。
調べる必要がある。
ヒース・オスロの縁戚関係。そしてあの男の企業内容。見た目は普通の人材派遣会社だが、まずまともな会社であるはずがない。違法行為の痕跡がどこかにあるはずだ。……JBのIDを使おう。あいつのアクセス権限でどれだけの情報が得られるかわからないが、やらないよりはマシだ。
まずは監視カメラを探さないと。
盗聴器もだ。どこかに仕掛けられている。あいつがそれをネタに強請りをしないはずがない。――だが。
帰り際に、あの男が言っていた。
『……雄二。私がカメラなど仕掛けるなら、こんなところから覗いたりするはずがないだろう。いくら探しても無駄だ』
確かにその通りだ。
蒔奈ですら気づいた。盗撮すればそんな危険を冒さなくても済む。しかしあいつはワザとらしくあの部屋からレンズ越しで覗いていた。……つまり。
俺をおびき寄せるためか。
のこのこと罠だと知らずに来てしまった自分のアホさ加減にうんざりする。
とにかく……。
一刻も早く、ここから立ち去りたい。
蒔奈。
おまえの胸の中で眠りたい。
必死の思いでハンドルを握るが、力が入らない。手の震えがとまらない。ずっと耳鳴りのような頭痛が響いている。そのせいか。
いや……。
わかっている。
蒔奈を連れて逃亡してたときにも同じ頭痛がした。
あのときと同じ痛みだ。――正確には。
機械のように殺人を繰り返していた、あの頃と同じ頭痛。
俺が、人の心をわずかでも持っていると、それを思い知らせるかのように訪れるあの頭痛だった。
「……ん、……」
「気がついたのよさ?」
目が覚めた途端。
目の前に蒔奈の顔があり、反射的に首筋を引き寄せて口づけた。
……蒔奈だ。
この感触、間違いない。小さな口、柔らかな舌、潜り込むと必死になって開こうとする喉元。
よかった……これは、夢じゃない。
「んっ、……はぅ、……ちょ、……んんっ」
「……離れるな。……はぁ、……ふ」
頭痛が。
嘘のように引いていく。
俺の殺人衝動が、この唇とともに溶けていく――蒔奈、俺から離れないでくれ。
「はふ、……あふ……ちゅっ、……じゅるっ」
「は、っ……もっと……舌を伸ばせ……」
「んんぅ……ぱ、ぱ……」
「……ん?」
「ふみゅ……ん……こ、ここ……玄関」
「……あ?」
言われて。
靴も脱がずに玄関先で蒔奈の膝を抱きしめていることに気づいた。
そういえば、いつのまに帰ってきたんだ。
ハンドルを握った後からの記憶がない。
ここまでどうやって来れたのか、自分でもわからなかった。
だけど、……どうでもいい。
この細い腰を抱きしめることができるなら。
蒔奈の身体を反転させ、腰を持ち上げた。靴を脱ぐ暇も惜しい。そのまま下着を剥ぎ取った。
「あっ、……ちょっ! パパ、待ってってば、ここ、玄関なのよさ!」
「構わない。……このままするぞ」
「い、いやいや、あの、なに硬いの押しつけ……あうぅぅっっ!」
……熱い。
みちるもそうだったが、妊娠中の膣内はいつも熱を孕んでいた。挿れただけで溶けそうなくらい熱い。たぶん新陳代謝が体質とともに変化したのだと思うが。
こうやって動かしただけですぐにでも感じて締めつけてくるのは、この熱が煽っているせいなのかもしれなかった。
「は……う……んん、あ……」
「蒔奈、おまえの膣内……めちゃくちゃ熱い」
「あ、う……パパのも……なんで、こんな熱いのよ……?」
「おまえのほうが熱いぞ。動かすから、力を抜け……」
「む、無理ぃ……」
仕方ないな。
場所が気になるのか、蒔奈がちっとも力を緩めてくれない。締めつけはたまらなく気持ちいいが。
背後から蒔奈の服を脱がしていく。全裸にすれば諦めもつくだろう。
少しずつ脱がして……驚いた。
今までこいつの全裸を、こんな明るい場所で見たことがなかった。
身体の線が――丸みを帯びている。胸も少し膨らみ、尻も気のせいじゃなく大きくなっていた。あの幼い身体だった蒔奈じゃない。女の身体になっていた。
それで今朝、こいつの背中を見て勃起したのか。
背中だけなのにめちゃくちゃ色っぽかった。あれは気のせいなんかじゃなくて、……こんなに変わってたのなら当たり前だ。
「ふ、服ぅ! なんで脱がす! ここ玄関!」
「……蒔奈よ。おまえ、変わったな」
「は?」
「今年でいくつだ」
「え? えーと……18、かな?」
「……18には見えんが、少なくとも少女からやっと女性と呼べるくらいにはなったな」
「どういう意味なのよさ!」
「こういう……意味だよ」
切っ先を抉るように突き挿す。
するとたちまちビクンと身体が慄いて反応した。男の分身を素直に感じる身体に、女としての性欲に目覚めはじめた蒔奈の変化にほくそ笑んだ。
JBを破瓜したときのことを思い出す。
あいつは処女のくせに男を知った途端、足りないとでもいうかのように全身で俺を求めてきた。酒に酔っていたせいもあるが、女の性欲ってのはキリがないんだな、とあの時思い知らされた。
蒔奈はそもそも性欲がそれほどあるわけじゃない。
俺の性技についてこれるのはこいつだけだが、それは性欲というよりただの知識欲みたいなものだ。俺の動きについて、もっと知りたい、もっとどうなるかその先を知りたい――という知的欲求にすぎない。
その蒔奈が。
昨夜から少しずつ変化しているような気がしていたが、もう確信した。
「……蒔奈。正直に言うんだ。俺がいない間、オナニーしていただろう」
耳元で囁くと。
蒔奈は、恥ずかしそうに俯いた。……今までのこいつの反応とは明らかに違う。こう言うと決まって、
『してたのよ、悪いか! クリとかめっちゃ引っ張ってビンビンにしてたのよさ!』
とか開き直っていた。
それがどうだ。こんなふうにもじもじと照れている。
なんというか。
あまりにも可愛いらしくて、もう優しくしてやりたくなってきた。
背後から抱きしめ、繋がったまま玄関の段差に腰かけた。首筋を吸い上げながらジュン――と濡れてくる内部のぬめりを感じていた。
「蒔奈。……俺のが欲しかったんだな?」
「……うん」
「さっきは一回しかイかせなかったからな……悪かったな」
「……どう、だった?」
「あとで話す。とりあえず今は気にしなくていい。……それで? どんなふうに自慰をしていたんだ」
「えと……その……」
「俺だけに話してくれ。おまえの恥ずかしい姿を」
「パパのが……欲しくてね? それで……サッちんがしてたみたいに、イマジナリーフレンドってゆうか、想像なんだけど実像みたいな感じの、パパの勃起した状態をね、私の中で貫いているのを、想像してみたのよさ」
「……幸がそんなプレイしてたのか」
「サッちんはだんだん形とか大きさとかがリアルになってくるって言ってたけど……目を瞑って感覚だけを追ってみたら、できたのよ。いま入ってるパパのが、もっとどんどんおっきくなって、私と一緒に昇ってくれるの」
「……ほう」
「でね、パパの脈動まで、伝わってくる感じがして……そうしてギュッと絞り続けてみたら、なんかキュン――って、子宮が疼くの」
「なんか、けっこうエッチだな……」
「まだあまり形になっていない赤ちゃんも同じ感覚が伝わってるような気がして……パパだよ、これパパなんだよ、って教えてあげながらたくさんたくさん気持ちいい感覚だけを追ってたの……そしたら」
「そうしたら?」
「バタンバタン、ってすごい音がして、慌てて玄関見たらパパが扉を閉めたまま気絶して倒れてた」
「…………。なんか邪魔したみたいですまん」
「でもこうやってパパが入ってきてくれてるのよ?」
「そうだな。……じゃあ、蒔奈。おまえをちゃんと気持ちよくさせてやるからな。足を開け」
「こ……ここで?」
「いまの話聞いてたら我慢なんてできなくなった。座位のまま始めるぞ、……ふんっ!」
「きゃううん……っ!」
子犬みたいな蒔奈の悲鳴を聞きながら。
腰を持ち上げ、濡れた音を響かせる蜜壺に溺れるように動かした。
……蒔奈。
おまえを守るためならもうなにも躊躇わない。
封印を解く。
麻子がかけてくれた俺の枷。それを解いてもいい。
時間はかかるかもしれない。催眠療法でもなんでもいい。あの頭痛が消えるなら。
――それはおまえの最後の良心だ。
麻子の言葉。だけど、俺さ……この女を守りたいんだ。
俺を求めて、女としての性をようやく開花させてくれたんだ。
それだけのことがこんなに嬉しいなんて。
だからもう、蒔奈のためだけに、俺は自分の命を使う。
使ってでも――守ってみせる。
「蒔奈……一緒に……イこうな」
「あ、あっ、う、……うん……っっ!」
嬉しそうに頷く蒔奈に口づけ、柔らかな身体をきつく抱きしめながら高みを目指していた。
エロがない……だと。
こんなに頑張ったのにエロがないなんて。
申し訳ありません。
次は幕間です。蒔奈との濃厚なセックスになりますので、よろしくお願いします。