128番艦、ジグの工房内。
レヴィはブラックローズのブラッシュアップの為ジグと話し込んでいた。
ライデンシャフトの転換機構……つまり菌に関しては、アイデアが生まれたところでありそれを試行するためには場所や物の準備が必要な為一旦後回し……早くても年明けになりそうだ。
「それで、音声認識か脳認識かで迷っててさぁ」
「お主なら脳認識でも余裕そうじゃな。しかし脳認識になるとパニック状態に陥った時に制御出来なかったり、暴発する可能性もある故わしは音声認識の方がいいと思うのう」
「音声認識か……それだとシンプルにしないとなぁ」
レヴィは現状のシステム音声を聴きながらぼんやりと考え込む。
「このプログラムの音、簡単に言うと傘骨の本数をどれくらい使うかの数字と発動するアクションの詠唱をしているワケ」
前にジグの前で使ったのは傘骨7本を消費して傘鞘か刃を複製する「ブラックローズ・シャドウ」だ。
「だから、音声認識するときはどこで判定させるかによるし……喉潰された時のことも考えて脳認識も念の為に搭載しておきたいな」
「喉を的確に潰されるシチュエーションなどあるのかのう?」
「そりゃ、対人戦ならあるよ〜、まあ、ダーカー兵器とかでも有り得るだろうけど」
「ふーむ……」
ブラックローズが対人戦寄りであるというコンセプトは最初から崩れることはなく、対人戦での想定は当然だ。
しかし、ジグは段々ブラックローズが実は置物ではなく使用するために作られているのではないかと疑い始めていた。
傘に扮した仕込み杖の形で、アークスシップ内の戦闘リミッターも回避し、能力は対人戦に寄っている上、アークスからあの所業ともなれば、もしかしたらレヴィはアークスシップ内で常に命の危機に晒されているのかもしれないと考えたのだ。
「そういえばじゃが……」
「ん?」
「戦略OSがないというのはかなり苦しいものでは無いのか?」
レヴィがアークスから受けている所業というのでいちばん簡単な物といえば、アークス用の兵器ライセンスや必需品を一切支給されていない事だ。その中で戦略OSは特に命に関わるものである。
「んー、一応端末で戦略OSの機能をコピーしてエネミーの名前とレベルの表示は出来るようにしてるよ。といっても、常にアークスのデータベースを参照してリアルタイムアップデートを行うシングルタスクのアプリだから端末を操作してる時とか、前みたいに投影装置と繋いでる時は使えないんだよね。まあ、普段は自分のいる領域がどんな難易度をしてるのか把握してるから見る必要ないし別にアップデートするつもりは無いんだけど」
マザーシップで【敗者】からの任務に当たっていた時は、端末からの情報に依存していた。あの時はクランシーで【敗者】と会話が可能だったし、【敗者】からのバックアップがほとんどで端末の使用機会が少なかった為だ。
とはいえ、普段の任務で端末のたくさんの機能を捨ててエネミーレベルを見る方を取るかと言われればそうではないし、改造するのも面倒である。
過去データを参照してマルチタスク対応した場合毎日データ送信が発生して痕跡が残る可能性が高まるし、激化するダーカーとアークスとの戦いでエネミーデータを一ヶ月以上放置するというのも如何なものかともなる。
かといって現在のリアルタイム更新は管制部やデータベースに違法アクセスして確認しているためリスクがある。
となれば本当に戦略OSを支給してもらうことでしか安全に確認する手段は無いのだが……"そこまでしても利益は別にない"。
「しかし……不便どころの話ではないじゃろう?どうにかして戦略OSを支給してもらった方が……」
「それなら作った方が楽だよ。といっても、アークスになってから二年か三年か……作れる時間がいくらでもあるのに作ってないってことは、そういうこと。人間にレベルが見えるわけじゃないし意味無いワケ」
レヴィはエネミーと戦闘するためにアークスになった訳じゃないのだ。エネミーに対してそこまで興味はなく、クエスト受注時に難易度を確認すれば出現エネミーのレベルを知ることなど容易だし、どちらにせよ倒せればそれでいい。
むしろレベルを見たいのはレヴィが殺したいアークスの方。となれば戦略OSのレベル確認など持っていたところで意味が無いと言える。
「あと、エネミーレベルが見えると油断するようになっちゃうんだよねぇ。それに慣れると文字頼りになって感覚が鈍って……ほら、アークスシップで襲われたりしたらめんどくさい事になる」
レヴィは完全に裏任務での話をしていたのだが、ジグはその言葉を聞いて全く違う方に確信した。
「……人間に襲われることなどあるのか?」
「まあ、アークスでも路地裏に引きずり込まれてーなんてのはあるよ。なんだっけ?大体の理由は……巷の英雄サマに近づいて呪いを移そうとしたからとか?」
「……」
ジグはこう考えた。レヴィがブラックローズを持つ理由は"護身用"だ。
彼女はフォトンが無いと言うだけでアークスから迫害を受けているだけには留まらず、命まで狙われている。
それも、惑星上ならともかくアークスシップ内部でだ。
確かにフォトンなきレヴィならフォトンを使わずとも物理攻撃で殺すことが出来るから、アークス内のリミッター関係なく彼女の命を狙うことが出来るのだろう。
「ま、どちらにせよ今生きてる時点で襲ってくるやつの練度なんかたかが知れてるんだけどさ」
レヴィは自分に暴力を振るうアークスも裏任務で殺し合う相手も【敗者】に比べれば強いように思えなかった。
どちらも最終的には殺す事が出来るからだ。
【敗者】は殺せないしダメージが入らない。だからレヴィの中で彼は強い存在である。
「お主は前科があったりだとか、指名手配をされている訳じゃないんじゃろう?」
「そりゃそーだよ。あんたも知ってる通り規律で見たら謹慎食らうような事はしてるけど、独房入った事なんて一度たりともない。指名手配なんか現状だとダークファルス【敗者】くらいでしょ?」
「それならば命を狙われることなどおかしいはずじゃ……」
レヴィは世紀の大犯罪者だが、それをジグに言う必要など微塵も無い。
彼女はケラケラと話しながら軽い作業に手をつけ、いつもと何ら変わりない様子だ。
「気にしないで、あんまり心配されると困っちゃうから。言わなかったのはさ、気遣われたくなかったからなの」
「そうか……」
ジグはレヴィの境遇の改善や社会的地位の回復ばかり考えていたが、レヴィからするとジグは自分と【敗者】の身の安全を保証するための実質的なスパイ役をさせたいだけである。
「ジグさんとは、良い友達でありたいって思う。わたしが最初に名前や体質の事を言って、あんたがそれを受け入れてくれた時、わたしはあんたなら大丈夫だって確信出来たの。だからわたしが普通の人として生きていくための友達であって欲しいな」
「そうじゃな……うむ!お主はわしの弟子みたいなものじゃ!わしもお主と仲良くありたいと思っておる!」
ふふ、とレヴィは微笑んでから時計をチラリと見た。17時という事は、そろそろ工房にノックが鳴ることだろう。
「あ、そろそろ帰る時間だ」
レヴィはジグの硬い体に軽くハグをしてから声を掛ける。
「色々教えてくれてありがとね」
「お、おお……わしも面白い話が聞けて良かったわい」
娘も居ないのに孫を応対しているようだとジグは思った。レヴィとはそれくらい年の差が離れているように感じる。
彼女がコートを着て荷物を纏めていると、工房にノックが聞こえた後すぐに扉が開く。
「レヴィ」
黒い髪にいつもより若々しく優しげな目付きをした眉目秀麗な顔と、短めのニューマンの耳。
そこには変装した【敗者】が居り、レヴィを迎えに来たのだった。
「ルオン!」
「今日はこっちに居たか」
「うん、さっきまで色々話しててさ」
レヴィはすぐに【敗者】に抱きつき、うりうりと頭を動かして彼の腹に顔を押し付ける。
【敗者】は彼女の頭を優しく撫でながら工房を見渡した。
特に何か特別な研究をしていた訳では無いようで、ブラックローズの試作品が置かれている以外にレヴィの道具はなく制作中の他の武器に関してはレヴィの工房の方に置いていた。
「レヴィ……、少し擽ったい」
「え?あ、ごめん」
レヴィは顔を離すと髪が乱れており、ふわふわと前髪が跳ねていたがその様子を見て【敗者】は感情のままにレヴィを抱きしめた。
「ちょっ……」
そしてお返しのようにとレヴィの胸に顔を埋めて頭を動かすと、ウィッグの毛がレヴィの頬に当たりそれはそれはくすぐったい。
「こらっ、もう……くすぐったいってば……」
「ふふ、……お返しだ」
「むぅううー……」
所構わずイチャつき始めるところはいつものことであり、【敗者】は己の左手に付けた指輪を見て目を細めるとさらにレヴィを抱きしめた。
「耳つめたっ……、防寒具くらいつけてきたら?」
「僕にいると思うか?」
「寒くなったらどーすんの?」
「僕は寒くならない」
「いや、あんたに触ってるわたしが寒いから」
【敗者】は不貞腐れたように顔を顰めため息を着くと、レヴィの手首を掴んで自分の耳に寄せた。
「だったら貴様が暖めておけ」
「はぁあー?人の体で暖取らないでよもう……」
と言いつつ、レヴィは【敗者】の偽耳を揉んで温め始める。
内側にある本物の耳も透明化されているが存在はしているため、彼女はそこも温めるため包むように覆った。
「……ルオン」
「なんだ?」
「わたし、ちゃんと役に立ってる?」
【敗者】はため息を着くとレヴィの手を包むように己の手を重ね、目を閉じた。
「暖かく感じるのはお前が傍に居てくれる時だけだ」
愛の告白紛いの事をしながら【敗者】はレヴィに微笑みかけ、レヴィもそれを聞いて表情を和らげる。
のを、ジグはその巨体がなるべく二人の視界に映らないように遠ざかりながら心の中で叫ぶ。
なぜこの場でやるんだ、と。
暫くイチャイチャとしてからようやく落ち着き、レヴィは【敗者】と手を繋いで楽しそうに足を揺らしていた。
「じゃあジグさん、また明日ね」
「おぉ、……じゃあの」
レヴィはジグの見送りに見守られながら工房を出て、【敗者】と共に128番艦を歩く。
倒れてからというもの【敗者】はジグに言った通り本当に毎日レヴィを迎えに来て、彼女とあれこれと話したり柔らかいスキンシップを取りながら帰宅していた。
そして帰ってからは戦闘訓練や他の頼み事をするのはもちろんだがしっかりと休暇を取らせ、特に睡眠時間は薬を使ってでも完璧に取らせていた。
そんなこともありレヴィの精神状態はかなりマシなものになっており、街中を歩く時も己に突き刺さる陰口や暴言を気にしなくなり、何より隣にいる【敗者】という男から漂う異様なオーラにレヴィを害そうとする者は怯え近付けなくなっていた。
「アークス共は気づいていないな」
「ん?何を?」
「呪いという奴は暴言を吐き殴り石を投げても許してくれるような物ではないという事だ。本当の呪いはそれこそ貴様が求める菌のような……認識するだけで不運が付き纏う著しい死の力を持った無慈悲の産物だろう。それに対して貴様は少々優しすぎる」
「え?わたしが優しいって……?馬鹿じゃないのさすがに?」
レヴィからすれば自分が優しいなどとは微塵も思っていないし、周りの人間もレヴィの難のある性格と自由奔放さは分かっているため彼女が慈悲深いお人好しの善人などとは一切思えなかった。
しかし、ダークファルスである【敗者】にとっては自分の正体や所業を知りながらも利益度外視に協力してくるレヴィは甘過ぎた。
【敗者】の放った優しいとは、善人のような心情や行為を示すものではなく卸しやすく馬鹿らしい、言うなれば「易しい」の方である。
「貴様が幼稚だという話をしているつもりなんだが?」
「えー!なにそれー!」
「安心しろ、そこも可愛さの一つだろう?誇ればいいだけだ」
「自分の馬鹿な所を誇れって意味分かんないんだけど?」
レヴィはクスクス笑いながら【敗者】をつつき、体を寄せて歩みを進める。
明らかに普段作業着姿で俯いて歩くレヴィとは違い幸せなオーラを放っている所は意外超えて異様である。
【敗者】はレヴィの肩に手を回して引き寄せ、しっかりと密着して周囲に対するアピールを常に行う。
なんだかんだ言って、虚空機関総長である時代だと「検査」をした経験は多いものの「スキンシップ」はほぼない。
潔癖だの手に対して高い価値があるだのとあれこれ周囲から噂を立てられ放題だった彼にとって、このような過度なスキンシップやチョコレートのような甘い声は似ても似つかないようなものなのだ。
「全く……さっさとキャンプシップに戻るぞ。こんな所で乳繰り合ってどうするつもりだ?」
「ちょっかい出してるのはあんたの方なんだけど?」
「僕はただ歩いているだけだ。その間に支障がない程度に会話を行っている。貴様は自分の歩行を疎かにしているようだな」
「はぁ?あんたが何回止まったか数えてあげよっか?それとも監視カメラを拾ってきて確かめてみる?」
「歩幅の都合上僕は貴様の予備動作を見て先に停止する必要がある。僕の停止は貴様の停止のタイミングと完全に同じという訳だ。自分から意図的に止まったことなど一度たりともない」
「歩幅の都合って……」
「それを考慮しなかった場合、僕が止まった貴様を容赦なく引きずるか貴様を無視して先に進むかの二択しかないが?」
「予測だのなんだの言って自分が未来予知でもしてるつもりなワケ?」
「僕の体感時間が一般的な人間とはかけ離れているだけだ。特に、五感の違いというのはその差を大きくさせるだろう」
「ふーん……」
【敗者】はため息をつき、発着場についた彼女を連れてすぐに小型シップの中へ入っていく。
「お利口に命令を聞けているじゃないか」
「命令って?なんだっけ」
【敗者】からレヴィに命じられたものはあまりに多く、レヴィはどの命令に対して言っているのか全く分からず困惑して首を傾げていた。
レヴィのこてんと頭を動かし上目遣いするその些細な挙動でも【敗者】は目が吸い込まれ、彼女をじっと凝視しながら平静を装って淡々と答える。
「貨物移動用小型遠征用商船をキャンプシップと呼べ、と命令しただろう」
「あぁ、そういやそんなこと言われたね」
最底辺アークスのレヴィともあろう者が正攻法で高級な商船を買えるわけがなく、隠居している【敗者】側もなにか特別な人間では無いのかと疑われることになるため公の場で通勤用の船が個人所有だと言う事は言わないように指導していたのだ。もちろん、管理している管制部から見られるのは仕方の無いことだが、低俗な市民層の噂はそれよりもずっと面倒なことだ。
「それに、最近は名前の言い間違いも減っているじゃないか」
「あっ、そうだね……【敗者】の偽名、ちゃんと言えるように意識してる」
意識も何も要注意人物の前で【敗者】の名前を出したら二人まとめて断頭台行きである。
レヴィはうんうんと頷き誇らしげに見上げるが、【敗者】はため息をついて彼女の頭を撫で回していた。
「そういえばだが……」
「んー?」
「何か欲しいものはあるか?」
「大いなる……」
「金で買えるもの限定だ」
「ちぇっ、制作環境がなくて困ってるって言うのに」
レヴィは一人用ソファに座り込み、ブリーフィングルームの窓から外を眺める。
【敗者】は端末を開きそんなレヴィの様子を写真に撮っている。
頬を膨らませ少し不機嫌そうにする姿を何枚か収めたあと、【敗者】は彼女の元に近付いた。
「ダーカー兵器の類を作りたいんだろう?ならば、それを制作する為の環境には心当たりがある」
「ほんと?」
「しかし数日で向かえるものでは無い。僕もそこに野暮用があるからな」
【敗者】はレヴィの頭に手を置いてふわふわと撫でる。
レヴィはそれを受け入れぼんやりと視線を【敗者】に向けた。
「だから、己の役目とは関係なく何か欲しいものが無いかと聞いているんだ」
「そんな事言われてもなぁ……金?」
「はぁ……」
【敗者】は予測範囲内のつまらない答えに呆れて撫でていた頭を掴みわしわしと動かし始める。
「もう、こら……っむぅうう……」
「真面目に答えろ」
「真面目にって言われても普段からあんたが色々くれるせいでそんな不足してるものないんだってば……」
レヴィは【敗者】からの攻撃を止めるために必死に自分の欲しいものについて考えるが、金や身の安全や力などどれも【敗者】を満足させる答えには至らない。
「……ほんとに金で買えるものじゃないとダメ?」
「返答次第だ。少なくとも大いなる陰は贈れない」
「むぅう……」
レヴィはしばらく考え込んだ後【敗者】の手を払って立ち上がる。
「じゃあさ、その……」
レヴィは【敗者】に体を向け、ぎゅうと抱き着いて見上げる。
「その、【敗者】が欲しい……かも」
「……」
【敗者】は目を見開き、しばらく硬直したままレヴィを見つめる。
「だっ、ダメなら、考え直す!その……機材とか、えっと」
「いいだろう」
「へ?」
【敗者】はにやりと微笑み、レヴィを持ち上げると彼女を抱えて頬擦りする。
「貴様のその傲慢さを寛大な心で受け入れてやると言っている」
「傲慢とか何とか言うなら要らないんだけど……」
「僕を好きなように出来る権利だ……自由に使いたまえ」
なんだかんだ言いつつ【敗者】は乗り気なようで、レヴィは彼の仕草に困惑しつつも受け入れ【敗者】の肩に手を置き彼をじっと見つめた。
「期限、何時まで?」
「今から僕の気が許すまで……でどうだ?」
「そ、……そんないいの?まあ確かに、それだったら悪いことしたら即終了って出来るか」
レヴィは納得し【敗者】の硬い頬を撫で耳を包みパラパラと動かす。
「じゃあ、その……ちゅーして、とか」
「それくらい僕に乞うまでもないだろう?」
【敗者】はすぐにレヴィの唇にキスをして、そのまま彼女の後頭部を覆うように引き寄せゆらゆらと体を動かす。
「強請り方も教えてあげないとダメなのか?」
「何もかもそんなにすぐ思いつかないし……」
レヴィは顔を赤くしたままむっすりと【敗者】の肩に顔を埋める。
そのまま揺らされると不思議と眠くなりレヴィはぼんやりと【敗者】の顔を見上げた。
「ちょっと、揺らされると眠い……」
「僕の膝枕が欲しいと?」
「それやめてって言ってんの」
「揺らしたくなる体をしている方が悪いな……」
「揺らしたくなる体なんてこの世に存在しないけど?」
「そんなに眠いなら骨が折れるまで抱きしめてやろうか?ほら、いつも貴様が強請るように……"ぎゅー"って、してあげよう」
そんなことを言いながら【敗者】は本気で力を入れてレヴィを覆い始める。
「死ぬからやめて!苦しい!死ねっ!ばかばかばか!」
レヴィが身をよじらせ抵抗をすると【敗者】はパッと手を離し、レヴィはそのまま地面に落とされる。
「いったぁ……このばかるーさー……」
「僕が馬鹿と言われる謂れは無いな」
「人の事散々眠くしておいて文句言ったら殺そうとするなんてありえないんだから!」
「単なるスキンシップだろう」
「むぅうう……」
レヴィは【敗者】から目を離すと、ちょうどこの船が44番艦に到着したことを告げていた。
「……」
「あぁ、もう着いたか。貴様と話していると案外、時間などあっという間だな」
【敗者】はさっさと出ていこうとするが、レヴィが彼の指を握って引き止める。
「どうした?」
「……」
レヴィは恥ずかしそうに顔を赤らめながら無言で【敗者】を見つめ続ける。
彼はしばらくレヴィと向き合った後、彼女の意図を察し膝を着いて手を広げた。
「おいで」
レヴィはその言葉に恐る恐る【敗者】へ近寄ると、すぐに姫抱きされ彼に包まれる。
「ふふ、やっぱり強請り方が分からないようだな」
「うるさい……」
「そういう所も悪くないがね」
【敗者】はそのままロビーを出てショップエリアを進み、市街地に向かっていつもの帰路をまっすぐ進む。
「おやおや……帰ったら添い寝が必要か?」
その数十分の道のりの中で、レヴィの声が聞こえなくなったかと思えば彼女はもう眠りに着いている。
【敗者】はレヴィの頬に口付けるとタクシーに乗り、二人の家へ帰っていった。
二章で大体どれくらいの話数になるかを計算していた所、それなりに長くなりそうなので三章もしくは四章以降を続編という形で作品を分けるか検討しています。話数が長すぎると管理が少々面倒なのと、読者からしても見にくいのでは?と思ったため。
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続編として作品を分ける
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分けないで一つの作品でまとめる