※この作品はR-18です。

MIDNIGHT   作:Libby博士

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36話(4)

 

「〜〜♪」

 

レヴィは何時間にも及び戦いながらカラオケを楽しみ、飲まず食わずでひたすら猛攻を処理していた。

管制から嘘だと判断されるに違いない量のエネミーを倒しながらも、レヴィはとくにそれを特別と思うことも無く、敵にも関心はなく、ただ自分の立つステージがどれほど輝かしいものかを主張するようにずっと舞っていた。

 

「やはり戦士よりパフォーマーの方がやりたいんだろう」なんて【敗者】は独り言を零しながら、しかし「そもそも技術ならハッキングが一番優れている」なんて事も言って失笑していた。

 

時間は既に11時間半が経過し、そろそろ【敗者】も準備しないといけない。

こんなにも長い時間がかかっているというのにレヴィのグラン類似エネルギーの数値は数時間前より落ち着いてはいるものの活性化を続けている。

このままではレヴィがいつエネルギー切れを起こしてもおかしくない。

24時間は無理であってもエネルギー切れが観測出来れば【敗者】にとってはそれで構わないわけだ。

 

そんな中、レヴィは時間を確認することもなく、猛攻を捌き切ると落ち着いた呼吸でスポーツドリンクを飲み干す。

 

「はぁ……ちょっとは休めるか……」

 

手の内を見てみると力を入れすぎたせいか手がボロボロで、女の手と認めたくないほどに固くなってあちこちに傷がついていた。

アークスとしては当たり前なのだが、レヴィからするとこんな風になるのは久しぶりだった。

【敗者】と出会う前は無茶なトレーニングをしても自分の体を痛めるだけだと制限し、任務が終わればやることも無く退屈だとぼんやり端金を稼いで、それを紅茶や白衣に湯水のように溶かしていた。

 

今は体を壊すとわかってるほど無茶をしていつも忙しいと感じるばかりだが、それがむしろ楽しい。

レヴィにとっては、とにかく今の生活が楽しくて楽しくて仕方ない。

 

【巨躯】戦争かというレベルの絶えずやってくるダーカーの波にも、レヴィは目を輝かせむしろ待ってましたと言わんばかりに向かっていく。

 

 ――血のにじむような努力をした。それでも強くなれなかった。

フォトンがなかったから。

ダークファルスを前にして手も足も出ず、逃げ帰って、跪いて、己の無力を嘆くばかり。

それどころか、ルビィ一人すらまともに殺せない。

とにかく苦しんでいた。

強くなりたくて生きてるのに、まったく強くなれない。

 

【敗者】の目指す物は、自分の目指すものは、まだずっと遠い。

不安定な奇跡を力にする訳にはいかない。

 

それでも、今はただ楽しかった。

苦しくない。痛くても疲れても、楽しい方が上回る。

だから体が自然に動いて、暖かくなって、楽しみたいと心が叫び続ける。

もう何体倒したかも、何時間戦ったかもよく分からないが、体の熱がずっと収まらないのだ。

 

「あー……」

 

享楽的な戦いに夢中になり、独りよがりに踊り続ける。

自分の血で赤く染まったイノセントローズの持ち手をぼんやりと眺めると、レヴィはそれを閉まった。

ここまで楽しいのなら、きっとこだわり抜いて作ったブラックローズを使えばもっと楽しいのだろう。

ブラックローズのその黒い傘を見た瞬間、レヴィの頭には影が過ぎった。

ブラックローズの純黒は誰かの黒を想起させる。

 

今、なぜ楽しいと感じるのだろうか。

独りだからか?それとも、自分の力で他者を圧倒出来るからか?

自分の望む悦楽とは、孤独なのだろうか。

もっともっと楽しめて、もっともっと気持ちよくなれるやり方は、きっと独りじゃない。

もっともっと、楽しくなれる方法が……

 

レヴィは大型のエネミーを前にして惚けたままブラックローズを眺め、ぼんやりと意識を集中させる。

攻撃が来ても振り返ることもせず、レヴィの背後に大きな爪が迫った。

 

タイマーが12時間を刻んだ瞬間、ふわりと風が吹くと共にレヴィを覆う影を何かが照らす。

 

「あ……」

 

風に揺れる青と紅の髪と、血よりも赤い切れ長の瞳から赤い涙が頬を垂れる。

眉目秀麗だが若くもない顔つきに、雄々しく大きな体。

レヴィの目を惹くそれは、目の前のダーカーを払うと一気に吹き飛ばした。

 

「全く……疲れていてもせめて立ったまま寝ることだけはやめてくれ」

 

「【敗者】……!!」

 

「やはりアークスに負わされた傷は大きいか……普通なら、あれくらい粉微塵に出来る物なのだが」

 

吹き飛ばしたダーカーが立ち上がってくる所を見て、【敗者】は顔を顰めた。

【敗者】は直ぐに再攻撃しようとするが、レヴィが一歩前に踏み出した。

 

「レヴィ?疲れていないのか?」

 

「え?うん!」

 

まったく疲れを感じさせないようなキラキラとした眼差しに【敗者】は溜息をつき、彼女の頭をくしゃくしゃと撫でると微笑んだ。

 

「なら、一緒にやろうか」

 

「一緒に……うん!二人で!」

 

レヴィはニコニコと笑うとすぐにローズ・ヴァルキュリアを呼び出し、その上に乗り込む。

彼女が急発進して行くところを見守りながら、【敗者】は遠距離から攻撃を仕掛けた。

行く手を阻むダーカーの背後に新たにダーカーが現れ、争い始める。

【敗者】の眷属が道を作るとレヴィはそこへ一直線に飛んでいき、大型ダーカー……ダークビブラスの正面に向けて急降下する。

 

すると背後から光のテクニックが飛び、着弾すると同時にダークビブラスはぐらりと揺れて頭を垂れる。

異常状態・パニックだ。

 

レヴィには作れない状況に驚き、少し動揺するもすぐに持ち直して頭部のコアに向かって攻撃する。

ブラックローズで一発撃ち抜いてから剣を抜き、細い刃が煌めくとコアを一発二発と軽やかに切り裂く。

 

「わたし……【敗者】と一緒に戦ってる……!」

 

背後に聞こえる眷属の鳴き声と頭上を大きく跨いで尾のコアに飛び込む光の挙動を見て、レヴィは胸が高鳴った。

今まではずっと敵の想定で戦闘していた。

最初に会った時も、訓練の時も、ずっと【敗者】はレヴィの前に相対する存在であり、それ以外の時間がずっと仲間だったとしても共に戦っているという実感は薄かった。

しかし、今同じ方向を向いて、同じ敵に立ち向かっている姿を感じて、レヴィは自分の心を満たすトキメキがここにあるのだと実感できた。

 

「……!」

 

レヴィの体がふんわりと光るとすぐにブラックローズの刃は太陽よりも眩しく輝き、ダークビブラスのコアを一刀両断してあっという間に倒す。

 

「はぁはぁ……、ふふ、……あはははっ!」

 

レヴィはすぐ【敗者】の元に駆け寄り、彼に向けて微笑む。

 

「わたしたち、仲間だね!」

 

「当然の事だ」

 

「でも、すごく幸せなの、すっごくすっごく幸せで、【敗者】と二人で戦えてるんだって思うと、わたしたちほんとにバディみたいで最高じゃない?!」

 

レヴィはそのままの勢いで【敗者】を抱きしめ、彼を楽しげに見上げる。

【敗者】はそんなレヴィを凝視してから、クスリと笑い面相が柔らかく解けた。

 

「……幼稚だな」

 

しかし、悪くない。

【敗者】はレヴィの背をポンポンと叩くとすぐに直り、ゆっくりと身体を離した。

 

「さて、そんなにやる気があるなら少し応用的な事をしてみようか?」

 

「ばっちこい!」

 

バリアを展開し、迫るダーカーを抑え込む中、【敗者】はレヴィの背をそっと押した。

 

「風に乗り、糸に吊られ、空を泳ぐイメージだ」

 

「?」

 

「前に進めばすぐ分かる」

 

【敗者】にそう言われるとレヴィは頷き、すぐに地面を蹴って走り出そうとする。

 

「わっ?!」

 

瞬間、レヴィの体は吹き飛ばされたようにあっという間に動き出し、目の前の岩に体がぶつかりそうになると慌ててジャンプして飛び上がる。

すると今度は空中でゆっくりと自分の体が回っていき、座標が合った瞬間目の前のダーカーの動きがピタリと止まった。

その瞬間、レヴィは察する。

 

「なるほど……!合わせてみる!」

 

レヴィはすぐにブラックローズを構えてエネミーに急接近すると時間停止が解除され、急加速と共にエネミーに深く刃を突き刺す。

そうして飛び上がるとまた低速化し、方向を調整すると高速化と共に重力に乗って射出され、エネミーを切り裂きながらまた空中に向かうと時が止まり……を繰り返す。

 

ようは、レヴィの動きによって【敗者】が彼女を対象に時間操作を行い、操り人形のように自由自在かつ予測不能な動きを行っていた。

エネミーがそれについていけないのは当然だが、人が相手であればもっと分からないだろう。

人は知能を持っていても感情で考えて、予測してしまう生き物だから。

 

「ほっ、……おりゃっ!」

 

レヴィは土壇場でありながらも慌てず【敗者】の動きに着いていき、自分のままならない体を段々息が合うように寄せていく。

焦って【敗者】の意見を求めてしまうのが今までのレヴィだったが、目の前に敵が居て、【敗者】が自分に対して一切常識的ではない応用的な無茶振りをしている以上、どうにかして対応するしか選択肢がない。

逆に言えば、"レヴィにしか出来ないやり方"で【敗者】もいこうとしているのだ。

だからレヴィは、"普遍的な正解"を考えなくていい。

それを考える必要が無いから、あっという間に適応出来る。

 

六芒均衡なら、他のアークスなら、ルビィなら、どうするか。【敗者】にとっての正解というのは、普遍的な正しさなのか。

それはレヴィにとってあまりにも邪魔だ。

レヴィにとっては【敗者】と自分だけの世界で十分だから。

 

「大型が来るようだ。僕も雑魚を一掃したら援護する。射線に入るんじゃないぞ」

 

「そんくらい分かってるんだから!」

 

大型のダーカー……ダークラグネが再び現れると、レヴィはアイゼンハートの照準を背面のコアに合わせ攻撃を集中させながら、【敗者】の時間操作に乗って急接近し、足の装甲を無理やり剥がしてダウンさせる。

コアに張り付いて攻撃し、剣を一太刀するとレヴィの背からエネルギーを感じ、レヴィは急いで飛び退いて離れると弾を打ち込む。

コアにブラックローズの弾が打ち込まれると続けざまに【敗者】の放ったテクニックが命中し、さらにアイゼンハートの攻撃も命中してダークラグネは倒れた。

 

上手く連携が取れている気がする、とレヴィはどんどん胸が高鳴っていく。

レヴィはすぐに【敗者】の元へ駆け寄ると、子犬のように【敗者】の周りを回って微笑んでいた。

 

「どう?どうっ?!」

 

「最初にしてはいいんじゃないか?」

 

「ほんとほんと?!えへへ!」

 

レヴィは誰から見てもすぐ分かるほどキラキラと輝いており、視界の全てが赤黒くなるほどダーカーが現れても、全く怖気付く事なくブラックローズを構えた。

 

「どんなヤツらが来ても、わたし達のすることは変わらない!」

 

「あぁ……」

 

「全員まとめて焼き尽くす!」

 

レヴィはブラックローズを掲げると高らかに叫ぶ。

 

「οκτώ(オクト)!!」

 

その言葉に合わせ、端末の操作もなしに勝手にブラックローズが光り輝き、傘鞘が消えると同時に八本の骨が時計回りに輝きを失っていく。

前方の地面には大きな魔法陣のようなものが現れ、エネミーがあっという間に吸い込まれていき、空が青く晴れていく。

 

「ブラックローズ・インパクト!」

 

そして、レヴィの詠唱と共に地面からグサグサと鋭利な針が無数に現れ、ダーカーを引き裂いていく。

さらには8本の傘骨を失い輝きを無くすはずのブラックローズは寧ろもっと強く輝いており、地面がグラグラと揺れ風が吹き荒れていた。

 

「【敗者】!力を貸して!」

 

【敗者】はその言葉を聞くと、具体的なやり方も聞いていないというのに自然にレヴィの求めるものが分かり、ブラックローズにそっと手を添えた。

ダーカー因子を送る訳でも、何かデバフやバフを掛ける訳でもない。

ただ隣にいて、共にあると示すだけ。

レヴィはそれだけを求めていて、【敗者】はそれに応えた。

しかしその瞬間、レヴィのブラックローズは最早黒薔薇とは言えないほど紅を超えたオーロラ色に輝き、レヴィはそれを迷わず天に掲げた。

 

「ッ不味い!」

 

グラン類似エネルギーの数値は過去最高の数値を示しており、それは人の身から発するにしてはあまりにも強すぎるものだったが、今この状況ではそれを手放しに喜べはしなかった。

 

"出力が高すぎる"。

 

「おりゃあああーー!!」

 

ブラックローズ・インパクトで吸い寄せられた全てのダーカーを滅する為に薙ぎ払った剣は、ダーカーどころか空を光で覆いながら遠くの山にまでその超質量のエネルギーがぶつかって草木を跡形もなく消滅させ、地面を割る。

 

物凄い衝撃と共に地面に一直線の傷を作り、最終的にはほとんど真下に深穴を堀ってやっと止まったが、あまりにもやりすぎている。

 

「……あ、あれ……」

 

レヴィも光が消えた後の惨状を目にするとようやく自分がやらかしたことに気づき、汗を垂らしていた。

 

「あ、あの……【敗者】……」

 

「やりすぎだ馬鹿!あの山はギリギリアークスの探索範囲内だぞ?!」

 

「えっ、ええぇーー!?やっ、やばい!大変!やっちゃった!」

 

レヴィは顔面蒼白になりあわあわと【敗者】に言い訳を吐いていたものの、今度はその顔面蒼白が感情ではなく体内の異常として引き起こされ、レヴィは口元を抑えて顔を歪ませる。

 

「うっ、るー、近付かないで……」

 

「高い出力を出すのはいいがやりすぎたと気づいたならせめて損傷を減らすために空に向ける働きや力を抑える努力を……」

 

レヴィは【敗者】にしがみつきながら、げほ、と嘔吐した。

 

「〜〜ッ?!!!」

 

吐いたのが胃液や食物ならまだ良かったが全部血でもないよく分からない真っ黒な何かだった。

 

「う゛ぅっ、ごめ、……ごめっ、るぅ……」

 

嘔吐と言うだけならただの汚物かもしれないが、それは饐えた匂いもせず、色も真っ黒で、血でもない。しかしその雰囲気は【敗者】にとってはよく分かるし、レヴィにも感じようと思えば感じられるもの。

 

なのだが、……それよりも先に、【敗者】はレヴィが自分に向かって嘔吐をしてきたという事で頭が真っ白になっていた。

 

「き、貴様は……」

 

「ごめ、……うぅ、るぅさごめんん……」

 

「僕相手なら何でもしていいと思っているのか?!」

 

「ちがうのぉお……離れてってゆったよぉ……!」

 

「地面に這いつくばるくらい出来ただろう?!何故わざわざ僕に向かって吐く!」

 

「だって、頭打ちそうで、うぅう……」

 

レヴィはまともに立つことも出来ず真っ黒な液を自分の頬に付けながら必死に【敗者】にしがみついていた。

 

「全く……本当に貴様は仕方の無い女だな!嘔吐の看護もしないといけないとは!」

 

「うぅう……ごめぇえん……」

 

レヴィがグズグズと泣き出し倒れ込みそうになったところで、【敗者】は彼女を支えてテントの中に連れていく。

 

「はぁ……吐くぐらい無茶をするならちゃんと休め」

 

「違ったの!全然そんな感じじゃなかった!終わったあとに変になったの!」

 

「だからフォトンを吐いたのか?」

 

「へ?フォトン?」

 

「貴様のこの吐瀉物……液体状のフォトン、特に、演算する水と類似している。グラン類似エネルギーを使い切って、それでフォトンを吐くのは何故だ?」

 

液体状に変化したフォトンといえばエネルギー源としても使われているが、何よりも一番ポピュラーなのはどのアークスシップにも存在し、そしてマザーシップの大部分を占める演算する海……いわばシオンの体と同然のものだ。

それに近いものをレヴィが吐く理由がよく分からなかった。

 

「わかんない……」

 

「レヴィ、少し痛くしてもいいか?」

 

とりあえずと、元から予定していたグラン切れの時に発生するであろう状況を確かめるため、【敗者】は声をかける。

 

「痛く?うん、いいけど」

 

その言葉に【敗者】は頷くと、レヴィの手首に触れて、そしてほんの僅かに、ゆっくりとフォトンを流した。

 

普段、それを行った場合レヴィは拒絶反応を起こし体が麻痺する。

【敗者】の予測ではこの状態では拒絶反応が起こらないと考えたのだ。

しかし……

 

「うっ?!」

 

レヴィはビクンと体が大きく跳ねるとふらりと体が倒れ、あっという間に気絶してしまう。

強い電気ショックを流されて、それこそ死んでしまったかのようにビクビクと痙攣しながら倒れ込んでしまった。

 

これではむしろ、拒絶反応がより強くなっている。

 

「レヴィ?……違ったのか?グラン類似エネルギーを失うと何故フォトンをより受け付けなくなる?

グラン類似エネルギーは何から作られているんだ?いや、待て……」

 

【敗者】はモニターを開き、数値を確認した。

それを見ると、目を見開き、体の動きがピタリと止まる。

"グラン類似エネルギーがまだ活性化状態にあり、数値が上昇している"のだ。

つまるところ……まだエネルギー切れを起こしていない。

 

「嘘だ……あれほどやっておきながらまだ残留しているだと……?」

 

となると、【敗者】の中にはまた仮説が湧いてくる。

数値が減ると、寧ろフォトンへの拒絶反応がより強くなるということがわかったのだ。つまり、エネルギー切れを起こした時のレヴィはフォトンを受け入れられる体になるのではなく……むしろ、フォトンで死ぬ体になる。

 

つまり、フォトンアレルギーの原因はグラン類似エネルギーではなく、そもそも別の場所にあるという話だ。

 

「まさか、いや、……いやいやいや……」

 

【敗者】は気付いた。

大前提が間違っていたのだ。

 

"フォトンを流されて麻痺を起こすこと"と、"テレパイプやテレプールを使えないこと"は、別の話だった。

 

前者はフォトンに対する拒絶反応であり、後者は"フォトンを滅する力である"。

それらが同じフォトン吸収障害、つまりフォトンアレルギーとして一括りにされていたせいで、その単純な話に気付けなかったのだ。

 

「フォトンアレルギーは……フォトンによる麻痺の話であり、フォトンエネルギーを享受出来ないのは別にある……」

 

それは【敗者】にとって大きなショックだったが、同時に大きな希望でもあった。

 

「なら、……"治した上で活かす"事が出来るということだ!」

 

拒絶反応を消し、滅する力のみを残せば、レヴィのフォトンアレルギーと言う名の大きな弱点が無くせる。

 

レヴィが気絶して苦しんでいる中、【敗者】は彼女の横をすんなりと通り過ぎ、拠点の外に出た。

これくらい予想出来ていたことだ。

あとの時間は一人で防衛でも構わない。欲しいものは得られた。

彼女に継戦能力があることも正直とっくに分かっている。

あとは、雑魚でも散らしながら思考しよう。

 

【敗者】はそう考え、襲いかかるエネミーに向け手を翳した。

 

 




 

二章で大体どれくらいの話数になるかを計算していた所、それなりに長くなりそうなので三章もしくは四章以降を続編という形で作品を分けるか検討しています。話数が長すぎると管理が少々面倒なのと、読者からしても見にくいのでは?と思ったため。

  • 続編として作品を分ける
  • 分けないで一つの作品でまとめる
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