※この作品はR-18です。

MIDNIGHT   作:Libby博士

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幕間⑫(1)

1/3 朝2時

 

 ――山が真っ二つに抉られ、地面が割れ、正直拠点以外は散々な始末だ。

しかし、24時間の時間制限は終わりを告げ、フォトンスフィアも健在だった。

レヴィに関しても、その頃には目覚めて起き上がっている。

 

「はぁー……やっと終わったぁ……」

 

レヴィはブラックローズを下ろすとへたりこみ、安堵のため息を着いた。

まだ夜中だが、レヴィにとっては朝同然。

【敗者】はレヴィを持ち上げるとすぐに頭を撫で回し、ぎゅうと抱きしめる。

 

「よくやった。これにて訓練は終了だ。さすが、僕のレヴィだな」

 

「えへへ……"僕の"って、ホント?嬉しい♡」

 

グラン類似エネルギーを使い切ったらどうなるのかという答えは出ていないが、結局埒外な器を持っているという結論だけは出た。

正直山を真っ二つにしたことに関しては一日でも足りないくらいの叱責ものなのだが、それで力を出すことに躊躇いを持ってしまうのも良くないと思い、【敗者】は怒るのを辞めて褒めるだけにした。

 

「くぅうう……!やっと明日から休め……いや、今日からもう仕事かぁ……朝になったら工房行かなきゃ……」

 

「……」

 

それにしても、何故あの時フォトンを吐いたのか、フォトンへの拒絶反応はどこから来ているのか、レヴィの許容量は一体どれほどの物なのか……色々と謎は多い。

 

間違いなく、彼女の姉であるルビィのフォトン適正は異常だ。

ダークファルスである【巨躯】の力を削った上、【敗者】の力の大部分も奪っている。

ダークファルスの質量はダーカーとは比べ物にならない。ダーカーの何万、何十万、それ以上にも及ぶようなダーカー因子を吸っておきながら、ルビィは平然としていた。

いや、それどころか今もまだアークスとして活動し、ダーカーを倒し、ダーカー因子を吸収、浄化しているのだ。

ルビィのそれは規格外すぎる。

そして、マトイ……シオンが作り出したダーカーを滅するために生まれた存在、二代目クラリスクレイスも同じくだ。

 

それに対し、レヴィはダークファルスを倒せるような強さは無い。

ルビィが【巨躯】や【敗者】を倒し、マトイが【若人】を抜け殻同然と言える程にまで力を削り封印させたのと違い、レヴィは損傷した状態の【敗者】にまだ手も足も出ない。

 

確かに山を破壊したあの攻撃はかなり強力だったが、それをダークファルス・エルダー本人にぶつけた所でアークスシップから放たれる砲撃とそう変わりなく、致命傷には全く至らないだろう。

良くも悪くもまだそのレベルだ。

 

それなのに、底なしのポテンシャルを見せられては【敗者】も高鳴らざるを得ない。

 

「そうだ、拠点を早く建てられたら褒美をやると言っていただろう?」

 

「え?あぁ……確かそんなこと言ってたね」

 

「今からそれを与えてあげようじゃないか」

 

「ほんと?!罰だと思ったのに!」

 

【敗者】はレヴィの肩に手を置くと、転移を行った。

 

 

 ――淡く光るオーロラ、氷柱が垂れる美しい雪山。

そしてその中心には、湯気がもくもくと昇る暖かい水溜まりがあった。

 

「ここは……?」

 

「特殊な条件下のみで転送が可能になる、パラレルエリアと呼ばれる場所だ。座学で習ったことはあるだろう?」

 

「あ、うん……」

 

ここは見た限りだとナベリウスなのだろうが、具体的な場所は突き止められない。

他にもいくつかのパラレルエリアに値するものはあるが、全て通常の転移や降下でたどり着けることはなく、ごく稀にアークスがたどり着くことが出来、そして戦闘不能などで一度キャンプシップに戻ると二度と訪れることが出来ないと言われる幻の場所だ。

 

「ここには温泉があるんだ。疲れを癒すには、最適だろう?」

 

「温泉……わぁああ!温泉、ほんとに入っていいの?!」

 

「わざわざ人目につかない場所を僕が選んだんだぞ?好きにすればいい」

 

レヴィはその言葉に目を輝かせ、バッと走り出す。

 

「おんせん、おんせんっ……!」

 

レヴィは暖かな水の前であっという間に服を脱ぎ、周りも気にせず飛び込む。

 

「わぁあー!あったかーい!」

 

人間に都合がいいように作られたのかと思うほど熱すぎずちょうどいい温度で、ツインテールを地面に引きずりながら肩まで浸かったあと思い出したかのように髪をピンでまとめ始める。

頭上に金色のお団子をふたつ作り、頭をぐらぐらと揺らしながらほっこりと浸かる。

 

「子供みたいだな、お前は」

 

【敗者】はくすくすと笑っているが温泉に入る様子はなく、ただ彼女を見下ろすだけだった。

 

「あんたは入らないの?」

 

「僕は情報の整理が必要だ。終わったら付き合ってやる」

 

【敗者】は相変わらずの人外仕草で、疲労も感じさせず目の前の悦楽にも興味なし。

しかし、そんな彼の生態や事情には関係なくレヴィはレヴィでやりたいことがあり、そのためにぷっくりと頬を膨らませ【敗者】を不満げに見つめた。

 

「むぅ……じゃあ、終わるまで待つ!」

 

「ふふ、のぼせても知らないぞ」

 

「周り見てるからヘーキ!」

 

「そうか……」

 

【敗者】はレヴィを見下ろすように座り込み、収集した数々のデータを眺める。

 

今の所、グラン類似エネルギーの数値はパーセントで表すことが出来ない。0が見えていない以上、どれほどの容量が入るのか分からないからだ。

今のレヴィの体では数値が一応マイナス三万程になっているが、最大値の時は25万程になっていた。基準が普通の、非活性化かつ満たされている状態であるというのなら、出力やフォトンを流した時の様子からして容量は30万程度と考えて良いだろう。

許容量の30万という数値は完全計測不可能であるルビィやマトイよりは低いが、他のアークスよりも圧倒的にフォトン適性が高い初代クラリスクレイス、アルマと同レベルだ。

 

【敗者】は考える。レヴィをテオドールのように扱ってはいけない。

素養を伸ばす必要はあるが、手を加えて決まった型に嵌めてはいけない。

必要なら手助けし、見守り、成長を促すための課題を与えるだけでレヴィはいくらでも伸ばすことが出来る。

 

そして、レヴィが抱える謎や問題の多く……そのいくつかの仮説の解を一気に導く方法が、今【敗者】にはある。

フォトンアレルギーや異様な脳の機能、グラン類似エネルギーなど……その特異点の多くが、一体どこから来ているのか。

それが器なのか、魂なのか、神の恵みなのか。

その答えは器を変えた時に分かる事だ。

 

 ――問題といえば、器を変えた後に行う次の遠征……ダーカーの巣窟への休暇と、その次の惑星マキアへの探索の間に、アークスがどれくらいの発展を遂げるかというのは【敗者】にとって大きな課題だ。

【敗者】の存在はオラクルにとっては大きなものだったが、同時に情報統制や研究の管理を行い、偉大な研究を実用化せず虚空機関で管理し、発展を妨げていたのもまた【敗者】だった。

そのブレーキが無くなった今、アークスはアークスのために技術を扱う事が出来る。

だからこそ【敗者】と比べて知識も技術力もない彼らであっても、ルーサー統治時代と比べてオラクルが発展する可能性は十二分にある訳だ。

 

「帰ったら、ロビーやショップエリアはもう改装されている訳か。なら、現状のアークスの方針を……」

 

【敗者】はレヴィと同じハッキングソフトを使い、管制にハッキングを仕掛けて情報を眺める。マザーシップシャオの状況や船団の運行状態、市民の自治管理などありとあらゆるデータが流れて来る中、【敗者】はあることに気づいた。

 

「……ッ!!」

 

【敗者】は思わず勢いよく立ち上がる。

それにレヴィは驚いて、目を丸くした。

 

「るー……」

 

「僕の名はルオンだ!……一度戻る!そこで待っていろ!」

 

「へっ?何?え?」

 

【敗者】はレヴィの言葉に何も返さず、焦るようにあっという間に転移して消えていく。

レヴィは彼のいた場所を眺め、首を傾げて居ると、温泉の真隣にテレパイプが現れる。

ヒュン、と聞き慣れた転送の音と共に、目元の隠れるグラスを付け、特徴的な長い耳を持った、長身の法撃職の男が現れた。

 

「へっ?え?」

 

レヴィは自分の体をサッと見る。

全裸だ。温泉の煙はそこまで多くなく、完全に体が露出されている。

 

「おや、先客とは。お嬢さんが一人……ですか」

 

「きっ、……きゃあああーー?!!」

 

レヴィは顔を真っ青にし、思わずアイゼンハートをナイフにして投げる。

その男は表情を変えることもなくそれを払い、そしてゆっくりとお辞儀をした。

 

「すみません。まさか、ご入浴されているとは思わず。ですが安心してください。不埒な事はしないと約束しましょう」

 

「そっ、そそ、そんなこと言ったってアークス共ってやつは……じゃなくて!あわわわっ!!」

 

レヴィは慌てて立ち上がり、温泉から出て脱ぎ捨てた服で前を隠す。

小さな背丈の割に肉感のいい体型。

高い位置で留められたお団子の髪は解け、特徴的な長いツインテールが現れる。

幼げな顔は焦りに焦り、顔を赤く染め涙目で睨みつけていた。

 

「目を逸らそうとかそーいうことも考えない訳?!このヘンタイ!」

 

「生憎ですが、私は女体を見るだけで興奮するほど性に乱れている訳ではないのですよ。安心、という言葉で理解出来ないのなら、貴方の体に興味が無い、と言った方が良いですか?」

 

「はぁ……そういうことね。こんな体で興奮するやつは、どう考えても悪趣味だし」

 

レヴィはそう言いながら急いで簡単に服を着込み、スタスタと男の方に歩み寄ってくる。

 

男はレヴィから視線を逸らし床に落ちたアイゼンハートに目を向けた。

行方知らずだった創世器の使い手。

レギアスの話にあった、異常なアークス。

そして、ナベリウスにて感知された、異常な反応の数々……

 

「改めまして、私はカスラと申します。六芒均衡の一人、と言った方がわかりやすいでしょうか」

 

カスラは貼り付けた笑みを浮かべ、レヴィに向けて手を差し出した。

レヴィはそれを見て無視し、カスラを見上げて睨みつける。

 

「六芒均衡ね……」

 

要注意人物の一人。【敗者】がこの男の反応に気付いて逃げ出したのも頷ける。

確か、三英雄という【敗者】の傀儡で、【敗者】の次の器の予定人物だったものであり……虚空機関の解体と共に行方不明になり指名手配された【敗者】の捜索にクーナと共に躍起になっているらしい。

【敗者】にとっては特に注意すべき相手だ。

 

「温泉ですか。ここ、良い場所ですよね」

 

「わたし、小さいのは見たくないんだけど」

 

「女性がいらっしゃると分かっていながら、入るつもりはありませんよ。ここに来られたのは幸運でしたね。先程までは、任務をされていたのですか?」

 

「アークスの義務でしょ?ダーカーと戦い、それを滅すること。あんたもわたしも同じ」

 

「そうですね。アークスはダーカーの脅威から宇宙を守る必要があります」

 

「はぁ」

 

レヴィはつまらなさそうに返事をして、足を上げカスラをつついた。

コミュニケーションの拒否、足蹴にする事を躊躇わない傲慢な態度、冷たい瞳。

レギアスから聞いていた通り、アークスに不信感を持つアークス。

フォトンを持たないながらに力に執着し、貪欲で、感情的。

そして何より、その体で創世器を扱える素質を持つということが、紛れもない異常である。

 

「この武器、……創世器ですね」

 

「見りゃ分かるでしょ?あのクソロボットから情報共有されてないの?」

 

「……レギアスの事ですか。当然、私にも話は届いていますよ。キャストの事をロボットという人間がまだ居たということには、驚きですがね」

 

キャストに対する差別意識があったのは、昔も昔だ。

昔は肉体を捨てて機械の体を持ち、表情も読み取れなくなったキャストのことを、人でなしのロボットと言って差別する人が一定数存在した。デューマンの角やオッドアイも、怪物の象徴やダーカーの仲間だと言って差別されていた。

それらは情報統制や種族間の差別を規制する規則によって今では無くなったものだが、レヴィはそれをなんとも思っていなかった。

 

「無個性に貧弱長耳、クソロボットに化け物。それでわたしは人未満。アークスは所詮人造人間。揃いも揃ってみんなクズでしょ?言って何が悪いワケ?」

 

「特定種族への差別発言は規則違反です。アークスの目がなくて、良かったですね」

 

「特定個人への差別発言はアークスで推奨してるくせに」

 

レヴィは髪をサッと払い、胸を張って悪辣な顔で見上げる。

 

「いい?三英雄だか六芒均衡だか知らないけど、お前らが言うアークスが作り上げる世界ってのは、障害者や貧困層を排除する、"自分たちの認めたヤツらしか幸せになれない世界"の事なの。戦うことの出来ない、力のない、いわばオラクルによって無価値な奴らは出来損ないだとか人でなしだとか言って排除する。

それがアークスだけならともかく、お前らはオラクル全体にまで手を出した。それはつまり、わたしのような奴の居場所はオラクルの何処にも無いってワケ。わたし達の様なやつを追い出しておいて、お前たちが善人だとか公平だとか言うのはとんだ思い上がりなんだから!」

 

カスラはそれを聞いても、表情ひとつ変えなかった。

 

「そうですか。管制や一般アークスによる特定個人への虐めに関することは、此方でも多少は把握しております」

 

「把握?推奨してるの間違いでしょ?だって見てもそのまま放置してるんだから」

 

「逆に聞きますが、貴方の命令違反は誰によって許されているのですか?」

 

「は?」

 

レヴィが呆れた顔でカスラを眺めていると、今度はカスラが一歩前に歩き出した。

 

「貴方の戦闘能力はノーマル難易度に収めていいものでは無い。それは知っています。しかし、貴方がそれ程の力があるのは、幾度となく死亡報告を出し、居なくなったフリをして高難易度領域に侵入し、エネミーと戦闘を行っていたからでしょう。それは一度ではなく何度も。本来、それはアークスの権利を奪われて当然の行為です。それを許容しているのは、誰だと思います?

貴方が憎む管制ですよ。侵入に警告がされないのも有人オペレーターが居ないから。

貴方が幾度となく命令違反を繰り返しても排斥されないのは、貴方がアークスにとって何の影響も及ぼさないから。そうとは考えられませんか?」

 

「あんたは……!!」

 

レヴィはカスラの胸ぐらを掴み、グッと引き寄せた。

 

「わたしがそうしなきゃいけないのは誰のせいだと思ってるワケ?!あんた達が不正して試験を意地でも合格させないで、オペレーターもマグも与えないで、真っ当に任務も受けさせてくれないからでしょ?!わたしがやってくにはこれしかないの!こうするしかないの!それをあんた達が配慮したからって……何様のつもり?!」

 

「だから、お互い様じゃないですか。我々は確かに貴方に不当な扱いをしている。しかし同時に、貴方は我々を一方的に責められるほど品行方正にアークスをしている訳では無い。そこの白黒をハッキリつけると言うことは、貴方に対する処罰を下すと言うことでもあり、同時に貴方がそれらを全てやめ、真っ当なアークスになると約束するという事でもある。

貴方にそれが出来ますか?」

 

「真っ当なアークス……」

 

「命令無視もやめ、アークス非公認の任務も辞め、アークスが招集されれば絶対に向かい、命令されればどんな危険な任務にも必ず参加する。それがアークスという組織の絶対です。我々が非を認めるという事は、あなたに対しての不当な行いを全て改めるということ。貴方もまた、非を認め、不当な行いを全て改める必要がありますよね」

 

「〜〜ッ……」

 

レヴィは頷けなかった。

それは無理だ。"真っ当なアークス"にはなれない。

オペレーターなどというストーカーまがいの監視が行われながら命令されたことしか出来ないアークスの窮屈な任務も、裏任務のない少ない収入で生きていくことも、スケジュールを全てオラクルに管理されることも、とても耐えられない。

 

「自由というのは、無法でもあります。貴方が訴える不当な扱い、無法地帯のような差別は、同時に貴方の自由を保証しているのです。

貴方は自分の非を改めることも無いのに、我々には不当な扱いをやめろと訴える。それは、真っ当なアークスになりたいという訳ではなく、貴方がただ自分の都合のいい世界になることを望んでいるだけです」

 

「違う!わたしは……わたしは人間でいたいの!人でなしでも出来損ないでもない、わたしは間違いなくここに生きる人で、生きることを許されていて、幸せになる価値があるって認められたい!それだけなの!なんでそんな簡単なことも分からないの?!」

 

「当然です。誰しもが同じことを願っています。誰も、人の人形になりたいなどと思ったことはありません」

 

カスラはレヴィの腰に手を回し、さっと彼女を抱え込んだ。

 

「貴方の肉体には価値がある。そんな甘い事を言って、貴方を傀儡にしようとしている人はおりませんか?」

 

「は……?」

 

カスラはグラスを外し、レヴィにその瞳を見せた。

【敗者】と似てない。

レヴィが思ったのはそれだけだった。

しかしカスラの瞳はレヴィを見つめたまま、優しく呟く。

 

「貴方は人です。誰かの駒ではありません。自分で考えて、自分で行動することが許された、人間です。そうであるためには、誰かに命を捧げる必要などない。貴方が自由を願うなら、私はそれを保証しましょう。

六芒均衡と同等の、アークスを統制するための部門のトップ。そこに貴方を据えれば、どんな事も思うがまま。……どうですか?」

 

「自由……」

 

「その代わり、一つ条件があります。貴方が持ちうる全ての情報を、我々に提示する事です」

 

「情報って、何の」

 

「全てですよ。創世器の事も、体のことも、貴方がなんの目的を持って行動しているのかも、全て……」

 

カスラの声や瞳は甘く、まるで色恋を誘うようにレヴィをつつく。

しかし、レヴィにはそれがどうも気持ち悪く思えた。

薄っぺらい目に内心の透ける声。

 

話しなさい。ヤツの事を。

 

カスラのそんな声が聞こえた瞬間、レヴィは目を細めた。

 

「あんた、つまんない」

 

「ッ……」

 

「聞こえなかった?つまんないって言ったの。あんたの言う自由って、つまりあんたの下に入ったら好きにできるよって話でしょ?そんなのつまんない。主人に逆らえないなんて、ただの支配じゃん」

 

「ただの……支配?」

 

「そう。あんたはわたしを人形にしたいだけ。自分の求めるものだけ入手して、あとは何も与えない。自由なんじゃなくて、放置してるだけ。わたしを成長させようとか、わたしの為になろうとか、そんな気が一切ない。その癖歯向かうことは許さないなんて、そんなのつまんない」

 

レヴィはカスラの体を離し、アイゼンハートを手に取った。

 

「いい?わたしはね、コレで刺されても許せる奴にしか従いたくないの。これをぶっ刺して、腹を抉って、腸を出して、わたしのケツを舐めろって言っても従う奴にしか従わない。あんたのような高慢ちきな嘘つき野郎にこのレヴィ様が従うなんて思ったら大間違いなんだから!」

 

レヴィの傲慢な態度に、カスラは目を見開いた。

そんなわけは無い。そんなわけがあるはずない。

"あの男"がこんな、……こんな女にそこまでプライドを捨てられるわけが無い。

 

「貴方の主人がそんなことを許すわけがない!」

 

「あはははッ!……あんた、バカすぎ!わたしのことを見下しておきながら、"その程度"も出来なかった訳ェ?虚空機関のヤツに犬のリード付けられて這いつくばってたからってわたしに喧嘩売るなんてそんなに悔しいの?一番はわたしだけ、……わたしだけが唯一なの!お前たちアークスと違って!」

 

レヴィの挑発的な笑いは、カスラには一切理解出来ない。自分が圧倒し、支配出来る相手にわざわざ従う事を快楽とするこの女の考えはまさに狂気で、しかもその相手が誰かと考えるとカスラは思わず口にした。

 

「……この、……狂犬が……」

 

「ふん、ほんと惨めな嫉妬野郎って往生際が悪いんだから。あんたみたいな粗チン野郎にこのレヴィ様の座が手に入ると思う?」

 

レヴィは足を上げると突然カスラの腹を押し、そのまま踏み付けた。

カスラも戦闘バカでは無いとはいえ、六芒均衡の一人。この程度は抵抗できて当然のはずだが、何故かあっさりと押されてしまう。

油断していたからなのか、それとも、フォトンアレルギーとやらに、フォトンを吸うような力があるのか……

 

二章で大体どれくらいの話数になるかを計算していた所、それなりに長くなりそうなので三章もしくは四章以降を続編という形で作品を分けるか検討しています。話数が長すぎると管理が少々面倒なのと、読者からしても見にくいのでは?と思ったため。

  • 続編として作品を分ける
  • 分けないで一つの作品でまとめる
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