【敗者】の言葉にレヴィは首を傾げていると、彼はふいと受付の方に顔を向けた。
「あ、……変わってる」
先程の睨み付けていた女はもうおらず、代わりに別の看護官が居る。
彼女は二人を見て不思議そうに首を傾げ、それから時折受付にある端末を見て、二人の後ろの扉の向こうを見ようとしていた。
「我儘で煩い貴様のためにお膳立てされたようだな」
「どうせ避妊パッチが取れたのなんかあんたが原因の癖に…」
レヴィは相変わらずの口の悪い言葉だが先程よりは表情が柔らかくなっており、【敗者】が一歩動いても彼女がつまらなさそうに【敗者】を見続けていることから【敗者】はもう一歩、もう一歩と歩みを進めていく。
「いいや。貴様の管理システムで解除されたものではないというのは自分で確認済みだろう」
「なんかよくわかんないけどすごいパワーで遠隔で勝手にロック解除したんじゃないの」
「根拠も理屈もないオカルトな力にこの僕が頼ると思うか?」
「あんたはダー……、アレなんだから……何しでかすか分からないじゃん」
「仮に出来たとしてもそれをして僕になんのメリットがある?僕は子などという邪魔な障害物は求めていない。無尽蔵に呼び出せて好きに消すことの出来る下僕で十分だ」
「はいはい分かってるってば。恋愛にも結婚にも興味ありませんでしょ」
ぶっきらぼうに吐いた言葉。
【敗者】は言葉を返さない。
「……、……」
恋愛にも結婚にも興味がないという事は自分が言ったはずなのに、今の【敗者】はその言葉に対して素直に否定出来る気持ちがなかった。
「今更わかってることを蒸し返すなって?それも何度目かって話ね」
レヴィは受付が近付くと、【敗者】に目線を送る。
言葉を交わすことは無いが、彼はレヴィの望みを察し膝を着いて屈むと体を包み込んでいた腕を離した。
レヴィがなんてことないように立ち上がり、受付に向かっていく姿を見ながら【敗者】は膝の汚れを払い、その手をじっと見つめる。
「はぁ、……ね、……予約してたんだけど」
レヴィがカウンターに向き合うと、ため息ひとつ着くことも無く受付の感じの良さそうな女はメディカルセンターのある意味一般的な普通のビジネススマイルを向けてから、キーボードを打ち始める。
「はい、14時からご予約の……Lさん、ですよね」
「L?あ、……そういやまだ、前のままだった。まあいいや。そうだよ」
「アークスの方ですね。アークスカードの方をスキャンして頂いてから、待合室で少々お待ちください」
「ん」
レヴィは実機型端末を開き、受付にあるスキャナーにアークスカードの画面を開いて近付け、認証するとその場から直ぐに離れる。
そのまま【敗者】の隣に座り、柔らかいソファの感触を確かめた。
(独りでいた時は極上の座り心地だなんて思ってたのに……今座ると、家の奴の方がいいって思うなんて)
「……待つのか」
「あ、……普通待つものでしょ?こういうのって」
「無人スタッフで運営されるメディカルセンターの方が早いのに何故わざわざ有人の方を選ぶ必要がある?それに足して貴様自身有人は嫌いだと言っただろう」
「無人メディカルセンターに行くのも条件がある訳」
「無人メディカルセンターに行けないものなど、軽度以外のダーカー因子汚染症状を持つ者や重傷者、障害者に精神病患者くらいだろう?」
レヴィは不機嫌そうに【敗者】を見てため息を着くと、周りを眺めてから、レヴィにぶつかる視線の厳しさにクスリと笑う。
そして淡々と言葉を呟いた。
嫌という程聞いている彼女の体質の事だ。
「フォトンアレルギー」
「おや、体質の問題とは……僕はてっきり、変態痴呆症だからだと考えていたがな」
「うるさい」
足を組み、レヴィの事をニヤニヤと卑しく見つめる【敗者】にぴっとりと体をくっつけて、レヴィは頬を膨らませる。
「根っからの馬鹿はその括りにまとめるには甘すぎるんじゃないのか?」
「あんたそれ分かってて言ってる?それとも本気でわかってない?」
「分かっているに決まってるだろう」
「あー……、そう。じゃあわたしは特大の痴呆症ってあんたは言いたいのね」
膨らませた頬をため息で萎ませて、レヴィは【敗者】の太い手首を握ってうにうにと動かしていると彼はレヴィの手を離し、そして絡めて繋いだ。
「人の好意に微塵も気が付かないアホの事を痴呆症と言って何が悪い?」
「は?好意……?誰から、誰に?」
フードの中の顔が見えるようにレヴィは彼に顔を近づけ、じっとその表情を覗く。
レヴィの丸い瞳が【敗者】の蕩けた瞳を映し、空いた手を重ねてぼんやりと無言の時間を過ごしてから、彼は一言口を開いた。
「……そういうところだ」
――アナウンスが掛かり名前が呼ばれると、二人は指定された番号の診察室へ向かった。
「Lさん、こんにちは。メディカルセンター看護官のフィリアです。本日はよろしくお願いしますね」
そこに居たのは受付にもいた女で、二人は頷くこともせずじっと女を品定めするように凝視する。
「……」
「そちらの方は……」
レヴィはフィリアの言葉に反応するように【敗者】をしばらく見て、彼の顔を見ながらゆっくりと言葉を紡いだ。
「あー……同居人」
「彼氏と言え。面倒臭い」
「彼氏って言う方がめんどくさくない?」
「同居人という方が具体的な関係を聞かれて面倒だろう?無駄な話を増やす必要が何処にある?」
「うっざ」
看護官の事を蚊帳の外において、レヴィはくるりと背もたれのない椅子を回し【敗者】の方に向き合ってぐちぐちとまた喧嘩を始める。
「ここまで抱き上げて運んできた奴が誰だか忘れたのか?」
「それはやって当然でしょ」
「腰が痛くて動けないなどアークスとして恥ずかしいと思わないのか?這いずってでも行くのが当然だろう」
「エネミーならともかくなんであんたにされたことでアークスとしての云々なんて言われなきゃいけないわけ?このバカバカバカバカ絶倫男」
「はてさて、先程まで童貞男と罵っていた貴様はどこに消えたのやら」
「あんたがいくら体力に自信があるからって女を一日中抱くやつがどこにいんの!!」
「貧弱な貴様とこの僕では作りが違うのでね」
「あのー…」
フィリアの小さな呼び掛けにレヴィは不機嫌そうに振り向き、静かに返事をする。
「……何」
「その、症状の方を……」
その言葉でレヴィは椅子を回してフィリアの方を向き、【敗者】を見ないまま声のみを伝えた。
「あー、……るー………、……ルオン。あんた黙ってて暫く」
「言われなくても貴様から声をかけない限り僕は喋ることなどない」
「黙れって言ったのはわたしが発言してからスタートのつもりだったんですけど?……じゃなくて、……その、……」
レヴィは顔を顰め、吃りながらゆっくりと言葉を紡ぐ。
恥じらいが嫌悪に近い感情になり、同性の医者が相手と言えど……いや、むしろ同性の医者だからこそか、レヴィは自分の性的な事情を話すことに忌避感を覚えていた。
フィリアはレヴィの話した言葉の端々を繋ぎ、彼女が先程の男との楽しそうな会話から一転して緊張とストレスを剥き出しにしたその表情から、彼女がどんな症状であるかを考えた。
「……避妊パッチが勝手に外れて……。あぁ……」
「あぁ、って……なんか心当たりでもある訳?」
フィリアの言葉にレヴィは目を細める。
その次の言葉がお前の体が呪われているせいだと言われてもおかしくないからだった。
レヴィにとっては不可解な症状であり、そもそもアークスからみればレヴィの体こそが一番不可解なものだから。
――しかし、フィリアの確信は全く別のところにあった。
「その、……ここ数日の間に44番艦のゴーストタウンに行ったりしました?」
呆気に取られたレヴィの表情を見て、【敗者】はくすりと笑った。
それほどにレヴィにとってフィリアの言葉は予想外で、レヴィは思わず警戒の表情を緩めてしまう。
そういえば、レヴィの書類上の家はまだ74番艦だ。名前もLのままだし、フィリアがその事実を知るわけもない。
「数日……あぁ、まあ……そう、だけども……」
「実は、原因がまだよく分かっていないのですが……ゴーストタウンを訪れた女性アークスの避妊パッチが勝手に外れる事件のようなものが発生しているんですよ。人が少ない所なので被害というのは小さいのですが……」
「数人でしょ?」
「一応……50人程度の規模は」
「そんな人居るのあそこ?全然人見なかったけど」
「市街地の保安管理の為、老朽化した施設や手の加えられていない市街地の改装なども検討されていて、その過程で見学に行ったようなんです」
「事件ということは病気とかそういうのじゃないってこと?」
「原因は分からない以上、事件とも断定出来ません。しかし……妙な噂がありましてね」
「……噂?自殺スポットとかそういう?」
病気ではなく事件。原因が分からないが噂がある。
きな臭い領域の話になってきて、雰囲気は診察ではなく作戦会議のようになってきた。
「"神様"の噂なんです」
今までレヴィのことをじっと見つめてフィリアとの会話などまともに聞いてなかった【敗者】ですら、その異様な雰囲気と、神様という言葉に気取られて場の空気に飲み込まれていく。
「単語だけじゃ関連性ゼロって感じ」
淡白なレヴィの返事は、フィリアの心の中の良心に僅かに傷を作る。
理解させてやらなければならない、適切な説明をして、相手に納得させなければならない、……そんな気持ちになった。
レヴィの憂いを帯びた表情が、自然にフィリアに対して無意味で追う必要も無い罪悪感を背負わせたのだ。
「新光歴の長い歴史では、神という物に対する信仰は無いに等しいんです」
「神、……ね」
「惑星単位、原住民が信仰している土着信仰の概念はありますが……アークスの神、だとか、創造神と言った概念はかつてのフォトナーより前の時代……"旧人類"達がそのようなことを行っており、フォトナー達はマザーシップである惑星シオンを信仰していた……といった内容が記録に記されているんです」
「……ふーん」
惑星シオン、という言葉を聞いてレヴィは首を動かす。
「……なんだ、こちらを見て」
「あー、……長生き、というか……歴史に詳しいあんたなら、なんか心当たりがあるんじゃないか?みたいな気持ちで見ただけ」
「神と言える存在は全知のみ。それ以上に言う事は存在しない」
「あんたそういや、そういう奴だったね」
【敗者】は自慢げにではなく、淡々と言葉を帰し、それに対するレヴィの返事もまた淡々としていた。
しかし、【敗者】からしてみればレヴィの言葉はまるで挑発のように聞こえる。
「なんだその言い草は?寧ろ僕の自我は、生き甲斐はそこにあるというのに」
「いや……」
言葉を言いかけた時、レヴィはブツブツとしたフィリアの独り言の声が聞こえて意識を引き戻される。
「その……?……いや、私何を言ってるんでしょうか……相手は唯の患者だというのに。妙に話しやすいというか、話す必要があるように感じるというか……」
「この話は後でしよう。ルオン」
「……あぁ」
あまりにも全知存在だのフォトナーだのの話をしていると、【敗者】がダークファルス【敗者】であるということがフィリアに悟られると考え、レヴィは話がこれ以上進まないように無理やり止めた。
そうでもしなければ、【敗者】とその話題で話がどんどん進んでいって区切りがつかなくなるということはレヴィは既に理解出来ていたからだ。
「で、続きは?」
「あっ、はい。ええと、しかし最近この世界には神というものが存在するんじゃないかと噂する人が出てきたんですよ。神がこの世界を運営していて、神の願いによって未知が引き起こされるという……そんな噂なんです。根拠もないのに何故か信じてる人も多くて、今回の話も神の仕業だ、なんて言ってる人までいたんですよ」
「でもさぁ……神の仕業とか言ったって人の避妊パッチ勝手にポンポン外して何がしたい訳?ってならないのかな?そういう奴は」
レヴィは怪訝な目をしてどこでもない部屋の壁に目を向けた。
仮に運命や世界の構造を操作することの出来る神が居たとして、それで行うことがそんなにどうでもいいような事なのか。
ダーカーを消すとか、アークスを消すとか、この宇宙における生存を左右することを変えるべきであり、そんな些細なことを変えて一体誰が喜ぶのかレヴィには検討がつかなかった。
「それもそうなんですが……彼らの一説によると、避妊パッチの概念が本来の人間の機能に反することであるから、造られた存在であるアークスを元の人間に戻すことによって許しを得ているのではないかと言われているんです」
「許し?」
「ダーカーからの許し、です」
「ふむ……」
「ダーカーが私たちを襲い、世界を滅ぼそうとしているのは人類が不健全な発展を行ったからだと……
高度な演算とフォトンの操作により今宇宙を拠点に活動しているオラクル船団とアークスですが、それを不健全な発展であり、人間の力で自然に文化力を高めていればダーカーが現れることはなかった、と主張しているんです」
レヴィはつい最近まで、ダーカーには意思がないと思っていた。
それはダークファルスも同じことであり、ダーカーもダークファルスも世界を滅ぼすために活動する"システム"であり、隊列を成すのは単にその方が効率がいいと彼らの生存戦略の中で練られた計算のひとつだと思っていた。
しかし、【敗者】と出会ってからその考えは変わった。
確かにダークファルスには意思が存在する。
たとえそれが依代に影響を受けたものだったとしても、魂なき器に入っている【敗者】にあるこの意思は、少なくとも他人のものではなく【敗者】そのものの意思であるとしかいえないから。
「ダーカーとの戦争に辟易した奴らが責任を求めようとしてるってわけね。んで、責任は文化を発展させた奴ら…フォトナーと、それによって生み出されたアークスにあると。言ってる奴は一般市民か」
「……!え、……えぇ、よくお分かりですね」
「そんくらい分かるでしょうが」
「いえ、その……先程までとは様子が乖離しているので…」
フィリアの言葉も当然で、【敗者】と会話していた時はまるで幼い子供のように幼稚な言い回しで、激しく感情を表に出していたが今フィリアと話しているレヴィは淡々と話しており、そしてフィリアから見ればレヴィが異様に鋭く聡明で頼りがいがあるように見えた。
「様子?あぁ、……ビジネスモードって奴」
レヴィはその理論に対して半信半疑どころか無信全疑ぐらいのスタンスであり、彼らの言葉が単なる陰謀論のひとつでありつまらない妄想だと考えていた。
しかし、【敗者】はそうではなかった。
意外にも彼は、レヴィが話題をそらしてその話を終了させる前に口を挟んだ。
「……言い得て妙、……外れてはいない」
「るー……おん?」
彼が突然会話に参加したことにレヴィは驚いていると、彼女の小さな背丈ならギリギリ見えなくもない彼のフードの下にある切れ長の目が真剣にレヴィを見ていることにも気付いた。
「その集団の提唱する説は概ね間違いではない、という事さ。アークス誕生の記録にはダーカーは亜空間から突如出現したかのように書かれているが……ダークファルスの存在や、組織的なダーカーの活動……。
"ダーカーを造った奴がいる"と考えるのは当然であり、それは事実として正しい解であるという訳だ」
「でも、ダーカーってダークファルスが造ってるんじゃないの?」
「ではダークファルスはどこからやってきた?」
「えー?……フォトンの悪性変化とか?ダーカー因子の成り立ちってのは判明してなくて……」
「ダークファルスにも親玉がいると考えるのが自然では無いのか」
「じゃあその親玉は誰が作ったの?無から生まれたって?あんたのいう神である全知存在のように」
【敗者】はその言葉に答えなかった。
知らないから答えないと言うより、答えを知ってるけど言いたくない、と言った感じだ。
「ルオン?」
「いや、……。少なくとも今、ここで話すようなことでは無い」
「はぁー?何それ、なんかあってなんか知ってるってコト?」
「貴様は僕が何かを忘れたのか?」
「忘れてなんかいないけど?悪趣味でウザくて傲慢で性格悪い奴でしょ」
「はぁ……低脳さもそこまで来ると呆れる」
嘲笑うような声が互いから出ると再び議論は口論へと変化した。
フィリアはまた二人がイチャつき始めたので、片手に端末を眺めて次の患者についての情報を確かめる。
「うるっさいなー!てかさっき黙ってろって言ったでしょ?!喋るな!」
「貴様の指図など受けん。僕は自分の意思で口を開く」
「今はわたしの場所なの!あんたがリードを握る場所じゃない!」
「貴様の場所などどこにもない。全て僕の掌の上だ」
「むうぅうう……いだっ!」
言い合いの中で前のめりになった瞬間、レヴィの腰に痛みが走る。
「は、天罰が下ったな」
「もういいから黙ってて!……っんで、これはどうしたらいい訳?他にも症状持ってる奴がいるってことは応急処置くらいは思いついてるんでしょ?」
レヴィが振り向きフィリアに声をかけると、フィリアは肩がビクリと震え、レヴィの方におどおどと声を掛けた。
完全にレヴィから意識が喪失していた。
「これ、……えっと」
「避妊パッチが外れてるーってことー!医者の方が忘れちゃ本末転倒でしょうが!」
「あ、そうでした!すみません!えーっと……その、Lさんは避妊パッチが外れた後に性行為をした……ということでいいですか?」
「いつ外れたかわかんないからその辺知らないけど……体内に精子がある状態ってのには変わらないから、ようはそういうこと」
彼女はそれが現在進行形で、ということはフィリアにはいえなかった。
汗だくの体を軽く拭いて、精液を残したまま今ここに座っているというのはレヴィにとっての大きな恥だからだ。
そして【敗者】は静かにフェロモンと自分の匂いで満たされたレヴィの其れに興奮していた。
「では、まず緊急用の避妊薬ですね。早ければ早いほどいいので処方されたらもうここで飲んでしまいましょう。
それから、原因がわかるまでは性行為は必ず避妊具をつけて行ってくださいね。
此方で避妊パッチを再度適用しておきますが、外れてしまうかもしれませんので」
フィリアはいわゆるアフターピル……緊急避妊薬と、真っ白なパッケージのコンドームを取り出す。
レヴィはそれらを受け取った後、フィリアが使い捨てのコップにピルを飲むための水を取ってきている間、コンドームを見て怪訝な目を向けた
「避妊具……、……。こんなんが?」
「それは男性器に付けるコンドームですね。サイズが幾つかあるのですが……」
フィリアから手渡された水で直ぐにピルを飲んだあと、レヴィはため息をついて、そしてコンドームなどというレヴィの知らない概念に関して己の中でいくつか想定を作っていく。
フィリアの出した数少ない情報と、実際目の前にある包装に包まれたコンドームからレヴィはある程度の目処をつけた。
サイズがあるということは男性器にピッタリハマるサイズであることと、薄っぺらく小さい包装から中身が柔らかく薄いもので、恐らく男性器を覆うカバー状のものだと言うことだ。
そこでレヴィが考えたのは……当然、【敗者】の"アレ"のサイズだ。
レヴィからしたら【敗者】のアレは本当に大きい。
他の男のアレなど見たこともないから【敗者】が本当に大きい部類なのか、それともあれが当然なのか判別がつかないが、少なくとも一般的な女性の膣の大きさと比べたら全く釣り合ってなどいない。
「えー……、…っとぉ、アークスの平均って……」
「平均サイズ、つまりMサイズは15cmくらいになります」
「えぇー?!じゃ、じゃあ……に、二倍くらいって……どれ?」
「二倍……?」
フィリアはレヴィがからかっているのでは無いかと一瞬疑った。
しかし、レヴィの顔が少し青ざめているのを見て、彼女が本気で"平均の2倍"について聞いているのだと考えた。
15cmの2倍と言ったら…
「そう……30cm……くらい……」
「何を吃る必要がある。さっさとしろ」
「あんたのものなんだからあんたが選んでよ!こんなのわたしに選ばせてどうするわけ?!」
「どうするとは……それを僕に使えと言うんだろう?」
「がぁあーー!!そう!使うのはあんた!あんたが使うならあんたが選んで!!」
フィリアは動揺しながら、レヴィの言う"30cmのアレを持つ男"がどう考えてもレヴィの後ろにいる全身真っ黒のフードを被ったあからさまに怪しい男であるという事実を受け止める。
確かに2メートル近い背丈には見えるが、それほど身長があればアレのサイズも相当にはなるのか、この男の顔が全く検討つかないが、鼻の高さなどがアレのサイズに影響すると聞いた、となれば鼻が高く、相当に顔の整った大きないやらしい男なのだろう……なんて、レヴィへの心配を他所に目の前の男へ色々な想定を募らせていた。
「ええーっと……30cmはないですね……その、サイズに合わないのは良くないんですけど……25cmのメガサイズならあります。太さとか…」
「レヴィ。目視で測ってるなら分かるだろう」
「いや長さは分かるけど太さはわかんないよ?!えーっと、えーーっと、そ、その…測定しなくても済む方法ってないの?!」
「その……此方が出せる一番大きなサイズがこれなので、もしこれが入らなかったら性行為は暫く禁止ということになります。それ以上は医療品ではなく、アダルトグッズの範囲になりますね」
フィリアの取り出したメガサイズのコンドームを手に取って、レヴィは【敗者】の方へ振り向く。
「こっちで探せって話ね……。とりあえずこれがはまるか試してみる?」
「は?ここで脱げというのか?この僕に?貴様如きが?」
「そこにベッドあるでしょうが!カーテン付きで!人目が嫌ならそこ使いなさいよ!」
彼女が指さした先にあるのはカーテンで隠すことの出来る診察用の簡易的なベッドであり、四角い枕と近くに薄い毛布の置かれた淡白な物が既に二人の目に晒されていた。
「何故貴様が脱がないのに僕だけ脱がせる?」
「なんで逆にわたしが脱ぐわけ?!」
「ほう……犬畜生の癖に飼い主の服を食い破って逃げ去るつもりか」
「何言ってんの本当に……頭おかしいの?」
「僕を脱がせるなら貴様は僕の三倍脱げ」
「はああ……?!そのズボンにあるポケットからぽーんっ!って出すだけでしょ?!実質脱いでないようなもんじゃん!0は何かけても0ですぅー!」
レヴィは【敗者】の股ぐらに触れ、ぽんぽんと叩くと、彼はレヴィの手首を掴んでそれを離す。
「いいや、脱がすというのは服を肌から引き剥がすということが本質ではない。不必要な部分を露出させるということだ。よってそれは脱がすに該当する。三倍脱げ」
「じゃあ……イヤリングと髪飾りと髪ゴムでいい?」
「ほざけ。スカートと下着とシャツに決まっているだろうが」
【敗者】の視界は狭いながらにも、レヴィの柔らかく太くいやらしい太ももを凝視して、彼女が恥じらいで膝を擦る所を見ると自分の股間に熱が集うことを自覚した。
二章で大体どれくらいの話数になるかを計算していた所、それなりに長くなりそうなので三章もしくは四章以降を続編という形で作品を分けるか検討しています。話数が長すぎると管理が少々面倒なのと、読者からしても見にくいのでは?と思ったため。
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続編として作品を分ける
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分けないで一つの作品でまとめる