「……【敗者】?足動かして?……ッ?!」
【敗者】が腰を曲げると、背後からレヴィを抱きしめる。
そのまま彼女の肩口に顔を埋め、不満げに顔を顰めさせた。
「……はぁ」
「【敗者】?なに?……どうしたの?」
「香水でレヴィの匂いがあまりしないじゃないか」
「コレ?別人演出、……わたし好みじゃないやつを選んだ……。それで……、……ひっ?!」
【敗者】は突然彼女の耳元を舐め、首を傾げると彼女を無視して淡々と呟く。
「味はいつも通りなのが不愉快だ。汗でも掛けば話は変わるだろうが……」
「なんで突然こんなこと……意味わかんないんだけど!」
「不快感を我慢していたんだ。今はそれを少し解消している」
しかし【敗者】も猿のようにこんな無駄なことをしている訳じゃなかった。
レヴィが助けを求めるように【敗者】を見て泣きそうな顔をしていたから、わざわざこんな馬鹿らしく見えるような戯れをしている。
オマケに、【敗者】はレヴィとシルンが仲良さそうに言葉を交わしているところを見ると胸の奥がザワザワと蠢き、己の中にあった苦しみの感情が再び這いずり出てきそうになったのだ。
「だからってさ、わざわざこんな所でぎゅーしなくたって……、ちょっ……やめてっ!」
「レヴィ……」
【敗者】はレヴィの服の下に手を入れ、腹や足をするするとまさぐりながら彼女の匂いを嗅ぐ。
目を潤ませ、嫌そうな顔をしていても、レヴィの目は【敗者】を見つめていて体をピッタリと合わせている、という事実だけで精神が安定していく。
裏切りも反逆もウンザリだ。
レヴィはただ、自分を見ていればそれでいい。
「やだ、やっ!やだぁ……ッ!」
「は、……っ、……レヴィ……」
「っうぅ、んんんっ……」
胸に手を滑らせ、乳首を服の上からカリカリと擦るとレヴィは足をくねらせて身を捩らせながら抵抗するが、分かりやすく脱力している。
「貴様に拒否権を与えるつもりなどない。僕は十分我慢しただろう……?」
「ばか……!任務行く前なのに何言ってんの……」
「任務?僕にとってはそんなものどうでもいい。貴様に付き合ってやっているだけだ」
「なら最後まで付き合ってよ……」
「それは僕の気が向いたらの話だろう」
「〜〜ッ……」
レヴィはこのままだと完全に始めてしまう、と今まで【敗者】と関わった短い期間の中で得た彼の学習内容で確信し、どうにか逃げることだけを考えていた。
それにしても、外に出るようになってから少々【敗者】の性欲が強すぎるんじゃないか。
人前でも関係なく盛ろうとするのはもはや病的で、【敗者】は何かに駆られているような、追われているような、何か強迫観念に近い物に囚われているんじゃないかとレヴィは思った。そうでも無ければ【敗者】はこんなことをするような男じゃない。
レヴィがどんなことを言って彼を安心させようが、外に出したら帰ってこないかもしれない、裏切るかもしれないという恐れは膜のように【敗者】にまとわりついているのかもしれない……
「あっシルン!シルンが居るからココ!こんな人前でする事じゃないでしょ?!さっさと行くよ……」
レヴィは【敗者】の抱擁から無理やり抜け出し、部屋から出ることで反抗の意思を示そうとしたが、彼女の歩く道に突然【敗者】の足が出てきて引っ掛かり縺れる。
「わぅっ?!……やぁあっ?!!」
レヴィは避ける間もなく倒れ込み、咄嗟に手を出して頭をぶつけることは阻止したが、尻を突き出してタイツ越しの濡れた下着が丸見えの姿勢は丁度【敗者】に股ぐらを向けるような感じになっており、【敗者】はレヴィの尻を眺めながら嘲笑する。
「おやおや。勝手に倒れたが……その姿勢は僕を誘ってるのか?貴様も随分乗り気じゃないか」
「乗り気なんかじゃなぁーーい!ダメったらダメ!だめだめだーーめーー!任務終わってからするの!」
「断る」
「時間がないって言ってんでしょーが!」
「さて貴様のスイッチはどこだったか……」
【敗者】は彼女の腰を掴んで無理やり持ち上げると、タイツを破いて下着をずらし、生尻に触れる。
レヴィは負けずに端末を取り出すと、時計を開いて時間を見せた。
「くっ……ほら!今10時24分!11時に宇宙探索用のキャンプシップに乗る予定なの!モタモタしてる暇ないから早くして!」
「ここか」
【敗者】は端末に目を向けることはなく、下着に入れた指を前に持っていき、クリトリスをすりすりと撫でるとレヴィの体がビクビクと跳ね上がり始めた。
「ふぁあっ♡ちょっと!コラ!めッ……だめッ……♡」
「よし……」
【敗者】の指は愛液で滑り、レヴィは馨しいメスの匂いを匂わせながら顔を真っ赤にして体を震わせる。
「【敗者】……っ、時間が無いって、言ってるでしょ……」
「貴様の時間が無いだけだろう?」
「〜〜ッ、あんた時間操作能力あるんでしょ?!なら止めたら?!」
「止めたら受け入れると?」
「……ッ、……」
「抵抗するより受け入れた方が早く済むとは考えないのか?貴様に出来ることは早く終わるのを祈るだけだろう?」
「でも、っ……でもぉ……」
「貴様はどうなんだ、レヴィ。やるのか、やらないのか」
【敗者】はぬちぬちと音を立てながらレヴィのクリトリスを撫で、人差し指で軽く触れるだけだった所から指を増やして手のひら全体でぐちゅぐちゅと擦るようになっていく。
「うるさい、やらないって……言って……る……っ♡」
「やるのか、やるのか、それともやるのか」
「ふぁ、ぁっ、……ぁっ……♡」
レヴィは子宮の奥がきゅんきゅんと疼き、乳首をガチガチに硬くしてヘコヘコといやらしく腰を揺らしていた。
揺れる腰に合わせて執拗に追う【敗者】の手がレヴィの腫れたクリトリスを徹底的に責め上げ、空いた手で片胸を掴んで揉みしだく。
こんな風に触れられて、責められたら、胸の中の昂りが止められる訳もなく。
「るーさ、……が、……【
「理論上の話だがな」
「だったら、止めてよ、はやくぅ……♡」
【敗者】がピタリと手を止めるとレヴィはハァハァと荒く息を吐き、腰が抜けて倒れ込みそうになった所を【敗者】に支えられるが、彼は怪訝な目を向けるだけだ。
「……貴様は自分が何を言ってるのか分かっていないのか?今の僕は消耗している。簡単にそう長い時間止められない。それに、そもそも僕の力は局所的……」
ムラムラとイライラが溜まり、胸の中が噴き上がる情熱でいっぱいになって、感情の放出する先を全て【敗者】に求める。
「一時間止められたらいいの!一時間、……【
「……!」
レヴィは足をガクガクと震わせながら、【敗者】に乞うように叫んだ。
それは絶対に出来ない。不可能な事だ。
なぜなら【敗者】のそれは時間支配。限定された領域の時間を操作出来るだけの、初代クラリスクレイス、アルマのマジックの模倣に過ぎないからだ。
だから、単純な時間停止とは違うのだが……レヴィはそれを理解していない。
「早く、お願い……」
「なんだ?僕より貴様の方が乗り気じゃないか……まあいい。それはつまり、やるということでいいんだな」
「やるって言ってるでしょ……?!」
レヴィの目はもう燃えたぎっていて、寧ろ【敗者】よりもやる気満々だった。
ここまで構って己を求めてくれるのなら【敗者】の欲は満たされたも同然だが、器の肉欲は晴れない。生理現象として残る性的興奮が、【敗者】に性欲を齎している。
「集中するから少し黙っていろ……貴様の期待通りの結果になる可能性は低い」
(可能性が低い?いや、皆無だ。ただの演出にしかならないが……この女が精神的に満足すればそれでいい)
カチッ
【敗者】はそう思いながら、いつものように時間を停止させる。と言っても、範囲はこの建物よりも小さいくらいだ。
ルビィによって消耗させられている現状の【敗者】ではそう長い時間も、広範囲でも術は行使できない。だからこそ頭を使ってなるべく短い時間と狭い範囲で時間操作をすることで事を成しているのだが、例え全快であってもレヴィの指定するそれは絶対に達成出来ないものだ。
「るぅさ、……止めた……?」
「……あぁ」
【敗者】の返事を聞いた瞬間、レヴィは恍惚に目を細めてゆらゆらと淫靡に腰を動かし、【敗者】の股ぐらに己の股間を押し付けてぱんぱんと前後させる。
「あは、……っ、じゃあ、……もうダメって言わないから……その、いいよ……?」
本当におっぱじめるムードに入った瞬間、ようやく隙を見つけてシルンは声を挟んだ。
「あのー……マジでヤる気?俺ここにいるけど?」
「……」
「俺のアジトなのに俺が移動するのか……まあいいや、どうせここも使い捨てだし。しゃーないな」
【敗者】の無言の圧にシルンは呆れた溜息をつき、立ち上がるとそのまま扉の外に出ていく。
それにしても、力を使っているというのに嫌に体が軽い。
無理をすれば長続きもしないし吐き気を催すほどだが、今は時が止まってないんじゃないかと思うほど肉体的にも精神的にも楽だった。
そして、力を使うと頭が冴える冴える。
【敗者】はこのまま己の肉欲を無視して投げ捨てても良かったのだが、彼女の信頼を失うことは最も避けるべき事項の為、深呼吸をしてから己の性的興奮に従ってセックスしてみることにした。
そうだ、別にデメリットがある訳でもない。
これは正しい解だ。
「レヴィ」
【敗者】は声を掛けると、体重を掛けてレヴィをテーブルの天板に押し付ける。
尻に硬い感触が当たるとレヴィは腰をくねらせ、今か今かとその快楽を待ちわびている。
「ひゃっ!……っ、るぅ……」
「本当に救いようのないド変態だな……」
ガチガチに勃起した逸物を押し付けながら、【敗者】は彼女のショーツを脱がしていく。
紫と黒のフリルやレースの着いたパンツ。センターには宝飾が着いており、下着だというのにこの宝飾のせいで異様な値段がしていたものだ。
レヴィの中で下着が高い訳などないという偏見があるため、それより何十倍何百倍以上するアクセサリーを買うよりかは、買うのも着せるのも容易だった。
「【敗者】……服汚れるから中出さないでね?」
「だったらどうするつもりだ?」
「全部、口で飲むから……」
レヴィの甘言に【敗者】はゾクゾクと背筋が震え上がり、外で出すとは意地でも提案しない愛らしさに思わず頷いてわかった、と即答する。
「……一回やれば、互いに気が済むだろう」
「うん、【敗者】の体にも負担かけられないしね……」
レヴィは廃ビルの外の薄暗い景色を眺めたまま、【敗者】の逸物を受け入れる。
カリ高の逸物がレヴィの小さな膣口を拡げ、内部にあるサキュバスよりも惨い搾精のために作られたとしか思えないような蜜壷を進み、ぷっくりと膨らんだ子宮口にキスする。
「っあ゛♡ぁっ、あぁあっ……あっ……♡」
【敗者】の腰がぶつかると、レヴィはビクビクビク、と体を仰け反らせ、あっという間に絶頂する。
【敗者】も僅かに足を震わせながら彼女を掴む手に力が入り、堪えるような表情でキツく見下ろした。
「きもちぃ、……ね、るぅさ……♡」
「あぁ……」
全知存在の前には性欲など無意味。生殖行為の真似事など至極非効率。しかしこの甘美な感覚と強大な支配感、そして知識を生き甲斐とする己だからこその本能の否定、学者という尊厳の陵辱、魔性の女のハニートラップに堕とされるという敗北感は"敗者"としての本能を激しく刺激する。
「お゛っお゛ッお゛ッ♡♡お゛ッ♡」
【敗者】はレヴィのヒールの着いたブーツを脱がし、タイツの足先のトレンカを露出させながら、彼女の足を持ち上げて更に後ろから突き上げる。
露出したつま先と踵の柔らかく丸い肉感と鈍角な爪を見て、こんな所まで可愛らしいのか、と思うともっともっと滾り、硬い体をぶつけて歪めながら逸物で膣内を抉る。
「はぁッ、はぁッ、……ッ、は、ッ、ぐ、ぅ、うっ、あ、……レヴィ、……ッ」
「お゛ッ♡あっ、ぁっ、あッ♡♡はぁはぁっ、るーさ、【敗者】……っ♡」
化粧で大人びて、体を引締めたように見せて貼り付けたような上品な浮かべる彼女が、快楽に身を捩らせ、腰をうねり、雌獣未満に成り下がっていた。
逸物がグチョグチョの蜜壷にねっとりと暖かく包まれ、入れては抜く度に肉が絡み付いて射精を誘う。
「っは、……この感触……本当に堪らない……ッ」
「も゛ッ……イグッ、るぅ、ッい゛ッ……♡イッグ……♡♡」
レヴィはぎゅうぎゅうと膣の中を締めながら激しく痙攣し、腰が砕け倒れ込みそうになると、体重がかかって更に深くに押し込まれ、もうたまらないくらいの快楽が絶頂したばかりのレヴィの膣内を蹂躙する。
「〜〜〜ッ?!!♡♡ぁ゛あああッ♡♡♡」
「一回だけでは、満足しないだろう?好きなだけイクといい、そして気持ちよくさせろ、僕をもっと、……もっと……ッ!」
「あッあッあッ♡♡きもぢぃ、るぅすごいっ♡イってるのに♡イッでるのにィッ♡♡」
絶頂しまくって雑魚スイッチの入った膣内は簡単な刺激だけですぐオーガズムに達した。
レヴィは汚してはいけないと分かってるはずなのに勝手に体が跳ね上がり、潮を噴き、整ったシェーディングに涙を垂らして滲ませる。
「レヴィ……」
「っん、……あっ♡……、るぅさ……♡」
逸物を抜いて姿勢を返し、彼女を仰向けに転がすと足を開いて入れ直す。
蕩けたレヴィの目の先には快楽に悶える【敗者】の姿があり、硬く整えられた服の下に張った筋肉が興奮を訴え、どくどくと快楽物質が作られていく……
「……【敗者】……♡」
「レヴィッ……レヴィ……♡♡」
液が混じり肉がぶつかる音が静寂を割り、蒸れた雄と雌の匂いが混じる。
絡み合った性器がどろどろに解れ、最高潮の昂りを見せると、【敗者】は急いで引き抜いて荒く息を吐く。
「……レヴィッ、……もう、……イキそうだ」
「あっ♡じゃあ……ごっくんしてあげなくちゃね♡」
目の前に差し出されたガチガチの肉棒を咥え、鈴口を舌で舐りながら竿をゆっくりと扱く。
「んむ、んっ、……んーぅ…♡」
根元からぎゅうと扱き上げ、裏筋を引っ掻き、睾丸を揉みながらジュルジュルと音を立てて吸い付き……
「っぐ、……ぅアッ、あァ、それは……ッ」
「ぢゅるる……♡ぢゅっ♡ぢゅぶ♡るぅさ……♡びゅっびゅー……♡わたしのおくちのなかにだしてぇ……♡」
極めつけの甘ぁ〜い囁きの後に思い切り咥え込み、吸い上げる。
瞬間、【敗者】は思い切り射精しレヴィの口の中を全て犯すかのように濃厚な、大量の精液が注がれる。
びゅく、びゅく、と口の中で脈動し、尿道から登る粘っこい白濁が舌に溢れ、喉を通っていく。
「ッあ、……ぁッ、ぅあッ……♡」
レヴィは尿道に残った一滴すら逃さぬよう、ゆるゆると頭を動かし吸い取ると、ごくりと飲み干し……口を離したかと思えば睾丸を撫でながらそこにキスした。
【敗者】は搾り取られるような気持ちのいい射精を味わい、恍惚に目を細める。
「あぁ……、これ程の蠱惑、さながら淫魔だ……♡」
「はぁはぁ……おいしい……、ふふっ……♡」
もっとセックスしたい、という気持ちが沸き立ちながらも互いに要求するラインは超えたようで、肉欲を落ち着かせて任務に向き合う準備は出来た。
意味はないと分かりつつ、時間停止を解除すると割れた窓から空気が循環され空間もさわやかになった。
「さ、さっさと行くよ……【敗者】」
濡れた下半身を拭き、下着を履いて、コンパクトミラーに向き合いながら化粧を直す。
【敗者】は再びウィッグを付け直し、変声機も起動して、元の変装姿に戻りため息をついた。
「外に出たら呼び方には気を付けろ」
化粧を直し、元の大人っぽい変装姿が戻ってくると、レヴィは端末を取り出して時間を確認する。
端末の時間は……
「分かってるって!今は10時の……丁度半!?」
【敗者】に端末を見せて責めたあの時から、10分も経っていない。
「あんた可能性が云々とか言ってたくせにやれば出来るじゃん!」
「は……?!」
【敗者】は目を見開きその場に止まる。
零れた言葉は何も取り繕うことは出来ず。
「マジック……?」
――有り得ない。
……絶対に絶対にこんなこと、有り得ないはず。
自分が時間を停止させる時も、特に変な感触はなかった。セックスをしていたその時間の中でさえ、異様な空気も何も無く、ただ止まった空間の中で彼女と戯れていただけだ。
それなのに、予兆もなく、一瞬で、どんな術の体系も無視した……まるで、アルマが使うマジックのような、異様な奇跡が目の前にあった。
「え?どうしたの?」
レヴィにフォトンは無いはずだ。絶対に、フォトンは使っていない。ダーカー因子を使っているなら、【敗者】が分からないはずがない。
"何か"奇妙な物が、やはり必ずそこにある。
そして、その奇妙な何かを使った事象は、この世の理すら書き換えてしまうほど、強大なもので……
例えば能力増幅?事象の書き換え?いや、奇妙な程の運を絡めるなら埒外過ぎる豪運?
「う、……運が、良かったんじゃないか」
「運?そっか。まあいいや、これで間に合いそうだし行くよ【敗者】……あっ、ルオンだった。ルオン?」
「あぁ……」
セックスをして、器の欲は晴れ、これで健全にいられると思ったというのに……
今度は心の方が昂って仕方ない、【敗者】なのだった。
二章で大体どれくらいの話数になるかを計算していた所、それなりに長くなりそうなので三章もしくは四章以降を続編という形で作品を分けるか検討しています。話数が長すぎると管理が少々面倒なのと、読者からしても見にくいのでは?と思ったため。
-
続編として作品を分ける
-
分けないで一つの作品でまとめる