「ご主人様、部屋の掃除が終わりました」
はぁはぁと息づかい荒く、エプロンドレスに身を包んだピッグが報告する。疲れているというよりも熱っぽい調子だが、病気ではない。ある意味では病気と言えるのかもしれないが。
「おー、結構できるじゃない」
感心したようにアルテが部屋の様子を見る。普段から画材などがとっちらかっていた部屋はかなり整理整頓されており、見違えるようだった。
いつもならコリンに任せていたところだったが、何分片付けるよりも散らかす方のが早いため、ちょっとコリンが別な作業に入っていたりすると追いつかないことが多く、ピッグの手を借りることによって家事がより円滑になったとも言える。
「これからはピッグにじゃんじゃん任せちゃおうかしら」
「はぁ……ふぅ……、ご、ご主人様ぁ……」
じっとりとした視線でピッグはアルテを見つめていた。もうこれ以上は我慢の限界だと言わんばかりだ。そして、とうとう自己主張するかのようにスカートの裾をガバっとたくし上げる。
「い、言うこと、聞きました! だからぁ! ごほうびぃ、おちんぽぉ!!」
「あーはいはい、ごほうびね」
アルテは、ひょいっと絵筆を一振り。
すると部屋の片隅にあったキャンバスの中から異形の、軟体生物のようなソレがズゾゾゾゾと這い出てきた。自立した意思を持っているのか、正確にピッグの位置を捉え、その触手をうにゅーんと伸ばして身体を絡め取る。
そしてエプロンドレスを紙切れのように意図も容易くはぎ取り、ピッグの一糸まとわぬ裸体が晒された。
「あっはぁ! もごぉっ」
手も足も、身動きができなくなるくらいに触手が絡みつき、口の中にまで突っ込まれる。全身を愛撫するかのようにぬっちゃぬっちゃと動き、ピッグの性感という性感を大いに刺激した。
じゅっぶ、じゅっぶ、じゅっぶ。傍から見れば、巨大な海洋生物に捕らわれている、非常に危険な状態ではあったが、ソレが何をするものなのかを知っているピッグからすれば、恐怖などするはずもなかった。
一際大きな触手が、ピッグの股間の周りをわざとらしいくらいに大回りに擦っていく。その中心を焦らすかのよう。
「もがぁ! ひれてぇ! ふぁあく、ひれてぇ!」
内股で触手を刺激しながらも、ピッグは誘うように腰をくねらせる。口元に銜え込んだ触手もじゅぷじゅぷとしゃぶって催促を加速させる。
触手からはねっとりとした粘液が分泌され、ピッグの全身をぬるぬるが覆い尽くしていく。
塗り込まれていくようにぬちゃ、ぬちゃと満遍なく、触手が這いずり回り、ピッグの限界はもう近かった。
「じゃあ、もう少しサービスね」
明らかにそういう状況ではないのだが、何を思ったのかアルテは絵筆をピッグの乳首周辺に走らせる。しっとりとした絵の具が両乳首に塗りたくられ、ただでさえ悶絶しているピッグには追加された刺激に脳の処理も追いつかない。
無論、絵の具はただ塗りたくられているもののはずがなかった。
「は、はひっ、ふひゃああぁ! おっぴゃいぃぃぃ!」
ビクン、ビクン、ビクンと身体を震わせたかと思えば、それは違った。震えていたのはピッグの胸だった。絵の具の塗りたくられたところから腫れ上がるようにぷくぷくに膨らみ、それが盛り上がっていく。
勃起した乳首と呼ぶには少々大きすぎる。ピッグのささやかな膨らみの先端から突き出す棒状の何かとしかいいようがなかった。
新しい対象を見つけた触手が蔓のようにピッグの棒乳首に巻き付いていく。
ぐにゃんぐにゃんのソレは恐ろしく感度も高いのか、ピッグもそれだけで声が裏返るほどに全身を震わせた。
そのまま触手がギュウギュウに締め付けていく。そうしてピッグの棒乳首からソレが噴き出すのは案外早かった。
「ミルキュゥゥゥ! どぴゅどぴゅ、おっぱい出てりゅぅぅぅ!」
ピッグの言葉通りに、その慎ましい胸の先端から下品にも突き出した乳首らしきものから白い液体が飛び散っていった。
だが、それで終わりということもなく、ピッグの全身に巻き付いている触手はもっともっとと要求するかの如く、刺激できる箇所をピンポイントで責め、特に乳首を重点的に千切れんばかりにギュウゥゥとしごく。
「――アガ! アガガ! オオオッ! ンオオオホォ!」
胸からは母乳のようなものを噴き出し、下腹部の秘所からはまた違う液体をビュービューと噴き出し、ピッグの肉体は噴水のように景気よく体液をまき散らす生物にと成り果てていた。
すっかり言葉も脳髄の奥から弾き出されてしまっているようで、ケダモノのおたけびくらいしかその口から出ていくものはない。
「あらら……ちょっとサービスしすぎちゃった? って、しまった。これじゃ部屋が水浸しじゃない」
何を今さらという話だが、アルテは折角ピッグに片付けてもらった部屋の惨状に気付く。酷い雨漏りにでもあったのかと思うほどに床が酷くびしょびしょに浸水しており、これはこれでまた後始末が大変なのは一目見て分かる。
「ピッグちゃん、もっかい掃除してくれる?」
「あぴゃぴゃぁ! びゅりゅりゅぅぅん!」
とっても幸せそうな笑みを浮かべて、そことは違う世界に浸っているようだった。
少なくとも、アルテの声は届いていないことだけは確かだ。
「あちゃ~、調子に乗りすぎちゃった」
自業自得ながら、アルテは後ろ頭を掻きつつ、とりあえず絵筆を構え、ちょいちょいとキャンバスを立てかけたイーゼルを指す。
すると、ピッグを絡め取っていた触手生物はそのままピッグを巻き込んだままズリズリと元のいたキャンバスの中へと帰っていく。その間も、ピッグは声にならない声と、全身から体液を出し続けていた。
キャンバスの中に全てが収まったとき、そこにあったのは触手に捕らわれ、噴水の如く乳首や秘所から体液を撒き散らす少女の絵画だけが残った。
液体の質感が素晴らしく、流動体の表現だけでも芸術的価値を見いだせる。
「題名、沸き水の少女、かな」
呑気に絵画に名前を付けつつも、アルテは溜め息をつく。どういう言い訳をしたらコリンは納得してくれるだろう、と部屋の惨状を見下ろすばかりだ。
幸い、床がびしょびしょになっている程度のもので、画材の類いはキレイに整理整頓されている。適当に雑巾掛けでもすればどうにかなる状態ではあった。
「じゃあ、ちゃちゃっと描き直して、っと」
そういって絵筆を手に、アルテはピッグの描かれた絵画に手を加える。
触手生物は取り除かれ、噴水のような母乳も潮吹きも上書きされ、残ったのはアヘった顔の少女だけ。
さらに絵筆を走らせ、服を着せて、顔も直す。
この魔女、意地でも自分で後片付けをする気はないらしい。
なんだったら絵を描き直す方が労力が掛かるようにも思わされるのだが、アルテの天秤ではそうでもないようだ。
つんつんとアルテが絵筆でキャンバスをつっつき、ようやくしてピッグが絵画の中から出てくる。
エプロンドレスの姿で、バケツと雑巾を手に持ち、ポケーっとした顔をしている。
さすがにピッグも思考がまとまっていない様子で、虚ろな表情だ。
ついさっきまで気を失うほどの快感をその全身に浸し、あまつさえ人間の言葉もなくすくらいに発狂していたところだ。寝起きよりも酷い呆けっぷり。
「ピッグちゃん、床のお掃除頼める?」
「ひゃい……ごしゅじんしゃま……おまかしぇくらはい……」
呂律も回っていない口調で返事をして、とりあえず動き出す。
ぼんやりとしたまま、濡れ雑巾を床にこすりつけ、一応掃除っぽい動作はする。