「ふふふ……」
アルテが笑う。ソレは獲物が罠に掛かったときの笑みだ。
「さっきコリンくんにも言ったと思うけど、私はね、ピクトマンサーなわけ。普通の魔法使いは呪文を唱えたり、魔法陣を描いて魔法を構成する。でもね、ピクトマンサーは違うの。ま、理屈は一緒なんだけど、絵が魔法を構成するわけね」
「つまり、この絵は未完成の魔法ということなんですか?」
「そ。だから絵の具といってもただの絵の具じゃあないのよ。コリンくん、魔法使いが魔法にどんな材料を使うか知ってる?」
「ええと……分からないです」
「カエルの肝や、トカゲの尻尾、イモリの目玉や、コウモリの羽……魔力を高めたり引き出したりする効果のあるものを使うのよ」
材料の列挙に、コリンも思わずヒエッと声を挙げそうになる。どれもこれもゲテモノとしか思えないようなものばかりだったからだ。
「ああ、でも大丈夫。私の絵の具の材料も、ちょっと変わったものだけど、今上げた材料のどれでもないわ」
突然カエルやトカゲを捕まえてこいなんて言われなくて済んだと思い、コリンも内心ホッとする。
「コリンくんに手伝ってもらえればどうにかなりそうな材料よ」
そこでコリンは、目の前の魔女のあまりにも友好的な態度への疑問を解消できたような気がした。
魔女は人の生き血を啜り、骨をも食らう。その言葉がまた反芻される。アルテのローブに染みついた赤い汚れは、絵の具だといった。しかしその絵の具の材料にまでは触れていない。コリンの表情が強ばる。
「だからぁ、取って食いはしない、って言ったでしょ」
よほどコリンの顔は読みやすかったらしい。コリンの妄想を払拭するかのように先駆けて否定する。
「ふふふ……」
しかし、アルテの言葉の真相はコリンには分からない。
「別にね、コリンくんの腕をもぎとったり、足をちぎったりなんかしないわ。頭をガブガブってのもね」
口をぱくぱくとして見せてアルテが言う。
「だけど、そう。ほんの一部だけをもらうことになるけどね」
アルテは妖しく笑う。果たしてソレは何を意図しているのか。
コリンは葛藤する。どうやら命は無事で済みそうだ、という確信はあった。ひょっとするとアルテが嘘をついている可能性も否めなかったが、それでも絵が完成することを考えてしまうと、手伝いたいという意思が強くなる。
生き血をちょっと分けるくらいで絵が完成するなら安いものだ、と思うくらい。
「どう? 手伝ってくれる?」
アルテの不穏な笑みに対してコリンは、
「は、はい……手伝います」
そう答えてしまうのだった。
※ ※ ※
ホコリとカビの臭いがするベッドの上、どういうわけかコリンは両手足を縛られ、身動きの取れないようにされていた。
暴れないようにと言われてしまったことが尚のこと恐怖を駆り立てる。
これから起こることはコリンには予測することもできない。絵の具の材料のために、一体コリン自身は何を手伝わされるというのか。
決意はしたものの、早くも後悔していた。
このまま魔女に食われてしまうのかもしれない。コリンは戦慄するほかない。
「さてと、これで準備は完了っと」
散らかっていた部屋をある程度片付け終えると、アルテは何やらテーブルの上に瓶やら筆やらを並べていく。
おそらくはあの瓶の中に絵の具の材料を入れるのだろう。コリンはそう予想してみたが、あの瓶がいっぱいになるほど血を流してしまったら自分は死んでしまう、その確信があった。
「では、コリンくんのをご開帳といきますか」
ふへへへと下品に笑い、アルテは抵抗のままならないコリンの下を脱がす。それはもうあっさりと。
一方のコリンは全て脱がされることを予想していたので、何故か下しか脱がされないことに違和感を覚えつつも、自分の股間、つまりはソレをアルテに向けて晒していることにカァっと頬を赤くしてしまう。
「ほうほう、コリンくんのチンポは可愛いね」
アルテが何をしようとしているのか、自分が何をされようとしているのか、コリンにはまだ分からない。ただ股間のソレを眺めて、からかっているのかくらい。
「コリンくん、男の子のチンポは何のためにあるのか、まだ知らない?」
「え……え? お、おしっこ……?」
何を言っているのか分からないようで、自然とコリンはその答えを口走る。それがあまりにもおかしかったのか、アルテは吹き出してしまう。
「あは、あはは! ソレは半分正解ね。そう、そうそう、おしっこするためのものよね。でもね、実はもう一つ意味があるの」
こらえきれそうにない笑いを押さえ込みつつアルテはにんまり顔で言う。
「男の子はね、子供の種、つまり赤ちゃんの素を身体の中で作れるの。そしてソレを出すためにあるのが、このおちんちんよ」
手のひらでギュッとコリンのソレを握りしめる。
「ちゃんとお勉強してね? 赤ちゃんの素を作るのはココよ?」
もう片方の手で、コリンのソレよりもやや下にあるソレをまたグッと握りこんで、揉んでみせる。コリンは今までにない感覚に戸惑うばかりだ。
自分でもあまり触ることがない場所なのに、こんなにも乱暴に扱われてしまうことに、不思議な気持ちを覚えてしまうくらい。
「赤ちゃんの素は、命の水といってもいい。コリンくんにはソレが作れるの。うふふ、うふふふ……」
「ふわぁ……」
そうこうしているうちに、上をコスコスとさすり、下をもみもみと繰り返す。それはそれはもういじわるな顔を浮かべて。抵抗もできないコリンは初めてのその感覚に、背をのけぞらせて悶える。
「まぁだコリンくんのチンポは子供みたいだし。命の水を出すには早いみたいだけどね~」
そう言いながらも、コスコスもみもみ。
「あ……やっ、それ……く、くすぐったぃ……」
「でぇも、絵の具の材料にはソレが必要なの。だからコリンくんの子供おちんちんにはちょっと大人になってもらわないとね」
コリンの様子を見て見ぬふりか、興奮気味の吐息をこらえた笑みを蓄えつつ、アルテは、よぉくほぐしたコリンのソレを舐めるように眺める。
どうやら勃起はしているらしいということは見てとれたが、それでも年齢相応、指が立っている程度のサイズでしかない。
「……ふぅ、……ふぅ」
耳まで顔を真っ赤にしたコリンは既に羞恥心で溶けてしまいそうだった。
「くふふ、怖い? 大丈夫、安心して? 私はレディだから優しくリードしてあげる」
そういってアルテが手に取ったのは、絵筆だった。今さらそんなもので何を、という疑問を浮かべる余裕もなく、コリンは困惑のまま、絵筆に視線が集中する。
ぎしっ、とオンボロベッドが大きく揺れる。アルテがコリンの上にのし掛かってきたのだ。
コリンの膝よりやや上、馬乗りになり、アルテとコリンは真正面に向かい合う。おおよそ密着に近い形になり、アルテはコリンの衣類をぐっとたくしあげておなかも丸出しの状態にさせられる。
胸から下、膝から上まで肌を露出させた不格好なコリンを品定めするように眺めつつも、コリンのそのまっさらな肌をキャンバスに見立ててか、アルテは絵筆を走らせていく。
絵の具はついてもいなかったはずだったが、アルテの持つ絵筆の先端は森の中でコリンを家に連れてくるまでにも見たあの光のようなものを帯びていた。
「あひっ!?」
ぴちゃ、にちゅ、ぬちゅ。コリンのおなかの上を、文字のようなものがなぞられていく。
その感触は決して絵筆の毛先だけではない、何か得体の知れないものが触れている感触がコリンの肌をくすぐるように刺激する。