今日も絞りとられ (R-18)
ぴちゃ、ぴちゃ。ぬちゅり……にちゅ、ぬちゅ。
締め切られた暗がりの部屋の中、粘性を帯びた水音がそこかしこから聞こえていた。それとともに、喘ぎ声のような荒い吐息も混じる。
「はぁ……いいよぉ、そうそこ……あはぁ」
ずりずりずり。ぬちゅうぅぅ……。
得体の知れない何者かの這いずり回る音。あたかも、その室内には恐ろしい怪物でも棲んでいるかのように思わされるほど。
「師匠、ここにいらっしゃいますか?」
バタリと木製の扉が開かれ、暗い部屋の中に光が差し込む。そして闖入者の顔も呆れ顔になっていく。
「はぁ、またオナニーしてたんですか?」
扉を開けた闖入者の視線の先には、一人の少女らしき姿と、海洋生物のように見える物体が蠢いていた。
「レディの部屋を開けるときはノックしなさいよ。それと、これはオナニーじゃなくてれっきとした研究なんだから」
ぬるぬるとした触手を持つ海洋生物らしきものに手や足を絡み取られていた少女だったが、何のことはない態度を見せる。
「何処の誰がレディなんです? すっぽんぽんで全身ぬるぬるにしておいたら言い訳にもなりませんよ、師匠。ちゃんと部屋の掃除はしてくれるんでしょうね」
と、やれやれといった調子で床のびしょ濡れ具合を眺める。バケツやモップが必要なレベルだということくらいは容易に想像できた。
対する少女はといえば、はぁー、と興が冷めた表情を浮かべ、その手に持っていた絵筆を一振り。
すると、海洋生物のような何かは指揮をとられたかのようにズルズルと少女の体から離れていき、移動を始める。
部屋の隅にまでズリズリと這いずり回ったかと思えば、そこに立て掛けられていたイーゼルにしがみつき、さらにはその上にあった真っ白なキャンパスの中へと入り込んでいった。
不思議なことに謎の触手生物の姿は忽然と消え、残ったのはキャンパスに描かれた絵だけだった。
ほんの先程まで真っ白だったはずのキャンパスには、たった今まで、この部屋を這いずり回っていた生物の姿が描かれていた。
「で、何の用?」
そそくさと体についた粘液をタオルで拭き取り、ローブを羽織った少女が不満そうに問い訪ねる。
「師匠に依頼ですよ。また王都から手紙が」
そういって封筒を差し出すと、少女は無造作に掴み取り、ビリビリと封を切る。
「あー、またか。魔除けの絵を描け、だってさ。私の絵を何枚飾る気なのさ。既に城中に飾れるくらい描いてやったでしょうに!」
「そらぁ、師匠の絵は一級品ですし、効果も保証されてますからね」
「はぁー、金欲しさに気軽に描いてやるんじゃなかったわ。こちとら絵よりマスかきたいのに」
「レディはそんなことをおっしゃいません。生活がうるおっているんだからいいじゃないですか。また雑草とカエルのスープを飲みたいんですか?」
「うー……食卓からパンがなくなるのは嫌だわ。あれこそ魔性の誘惑よ」
ため息を添えて、がっくりと肩を落とす。
「でも流石に面倒くさくなってきたしなぁー」
「文句があるなら王都に出向いて直接言ったらどうですか?」
「ヤダ、おうちから出たくない」
食い気味に拒否して、ぷいっとそっぽ向く。
こうやって向こうに対して強気な態度を出さないからこそ調子に乗って依頼が飛んでくるというのに、理解してかしないでか、ただただふてくされていた。
「全く、偉大な魔導師と聞いて呆れますね」
「別にイダイなマドーシなんて名乗った覚えなんてないわ。私の名前はアルテ。しがないピクトマンサーよ。そうでしょ? 我が弟子のコリンくん」
妖艶な笑みを浮かべながらも少女――アルテはちょいと背伸びしてその弟子――コリンの頭をなでなでと撫でた。まるで兄妹のようにも見えなくはないが、二人は師弟である。
「さぁて、お仕事しなきゃ。ふわわぁ~」
あくびをしつつアルテは部屋の中をうろうろとし始める。壁に掛けてあったイーゼルを組み立てて、棚にしまっておいたキャンパスを取り出して……。
そこでアルテはハッと止まる。
「あっ……絵の具、切らしてる」
そこでドキリと反応をしめしたのはコリンだった。
「ねぇコリ~ン?」
にへらぁと妖しい笑みを見せながらもアルテは振り向く。猫なで声で弟子の名前を呼び、にじり寄っていく。
「だから無駄遣いはしないでくださいって言ったじゃないですか!」
コリンもたじろぐが、意にも介さない調子でアルテはギュッと抱き締める。獲物を逃がさないように。
「絵の具、よろしくね?」
あどけない上目使いでアルテがそういうと、コリンは観念したかのように脱力した。
※ ※ ※
ベッドの上、縛り付けられたコリン。衣類を剥がされ、素肌を隠すものが何もなく、それでいて身動きひとつとれない状態。
それを目の当たりにしているアルテは、手元に束ねられた絵筆の中から一本をチョイスする。
「コリンくんは柔らかい方が好きだもんね」
えへへ、と無邪気に笑ってみせて、絵筆を構える。空いた方の片手に瓶を構え、アルテは筆先をコリンの下腹部に向ける。
「ほぅら、コリンくんのお気に入りだよぉ」
さわさわさわ、と絵筆の毛先が下へ下へと降りていく。ゾクゾクとした感触に襲われるコリンは、歯を食いしばり、堪える。
しかし、悲しいかな。アルテの筆先は巧みに、艶かしく動き、刺激を与え続ける。そうしてソコにたどり着いた時にはコリンのソレは反り返るほどに勃ってしまっていた。
「よしよし、今日も元気だね。いっぱい射精すんだよ? コリンくん♪」
瓶をコリンの股間の下あたりに構えつつも、アルテは絵筆を手放さない。そのまま何か呪文のようなものを唱えると、筆先、毛先が発光しだす。
絵の具もつけていない絵筆は、コリンのソレにぴたぴたとなぞられ、青色の文字らしきものが書かれていく。
文字はぼんやりとした光を放ち、明滅していた。
「くっ……んんっ」
「ちょっと、コリンのちんぽピクピクしすぎ。まだ書き終わってないんだからもうちょっとは堪えてよ」
そんな無茶な、と反論する余裕もなく、絵筆に刺激されるがまま、コリンは悶える。そうこうしていううちにも、コリンのソレは根本から先端に至るまで文字が綴られていく。
全てが書き終えたのか、その瞬間に青い文字の発光が強くなり、赤い色に変わる。
「ふ……ぁっ」
その変化は早く、そして一目瞭然だった。赤く光る文字の綴られたソレは、みるみるうちに大きく太く膨張し、風船のようにパンパンに張りつめる。
何かの冗談でもなければ、コリンの股間にはもう一本腕が生えたのかと思うほどど。ソレはもう巨大だった。
「さてさてと、コリンくんのチンポもおっきくなったことだし、ほら、好きなだけ射精していいよ。ほらほらガマンしなくていいんだから」
煽るように、わざとらしくアルテの、いつの間にか二本に増えた絵筆が刺激する。今度は文字を書いているわけではなく、純粋にコリンの大きく反り立つソレを苛めているだけだ。
さわさわさわ、つんつんつん。毛先が柔らかくも、鋭く攻撃してくる。その生々しい動きときたら、先程の触手よりもずっと精密で、的確にツボを心得ている。
「くっ……、んん」
歯を食いしばるが精一杯か、ソレをビクンビクンに揺らしつつもコリンの口から出るのは言葉にもならない途切れた吐息ばかり。こんな調子だからこそ、その時はあまりにもあっさり訪れた。
「わっぷ! わぁ早い早ぁい。さすがコリンくんはソーローだね。助かる~」
白濁の液がコリンの先端からドクドクと溢れ出る。アルテは満足げな笑みを浮かべた。