豚に囲まれても、泥まみれになっても、まだ少女には移動する権利が剥奪されているようで、もがくことはできてもその場から逃げることができないままでいた。
「くそっ! お前ら! あっち行けよっ!」
そう叫んだところで、豚たちが散ることもなく、ただただブヒブヒ、フゴフゴと鳴きながらも少女に身体をこすりつけてくる。
そしてついには倒れ込んだ少女の上に、また豚がのし掛かってくる。その重量ときたら身体が潰れて消えてしまうんじゃないかというくらい。立ち上がることはおろか、除けることすら適わない。
「ぶへっ、泥が口ん中に……お、重いんだよバカ。おえっ」
ただでさえ意味不明な状況だというのに、何匹もの豚に身体をこすりつけられるという理解しがたい状態に、少女の感情は何処へ向けばいいのか分からなかった。
しかし、豚たちが何をしようとしているのかは、すぐに分かることになる。
「いぎっ!?」
唐突な激痛。何かをねじ込もうとしている感触。それは一瞬、脳が弾けたかと錯覚するほど。それが豚によるものなのだと理解するのは早かった。
下腹部の方、そこにこすりつけられ、ねじ込み、抵抗さえも無視して、さらに奥へ、奥へと突っ込まれる強烈な感覚が少女に襲いかかる。
身体ごと揺さぶられているのだから、分からない方がおかしい。
「痛っ! 痛っ! こ、こ、こいつ、交尾する気が!? あがっ!」
ズン、ズン、ズン。少女の身体は豚に揺すられ、何かを突き刺されるその感覚。
紛れもなく、少女の予感は当たっていた。少女にのし掛かる豚は、その生殖器、ペニスを少女の秘所にぶち込んで、交尾を試みていた。
「ば、か、バカヤロー! 発情してんのか? ぐへっ! おげっ! やめ、やめろ……痛いっての!」
少女の言葉など聞く耳を持たず、ブヒブヒ、フゴフゴと鼻息を荒くしている豚は自身のペニスを必死に挿入する。
無論、少女にとっては苦痛以外の何者でもない。なにせ、サイズが釣り合っていない。どうして挿入っているのかも分からないくらい。
ただ、次第に豚のペニスは少女の奥へ、奥へと着実に進行しているのはその感覚で否が応でも理解させられていた。
積み上げられたレンガに鉄球を次から次へと放り投げられてくるかの如く、少女の何かが豚の一突きごとに音を立てて破壊されていく。何かを考える余裕すらとっくにない。
豚の極悪なペニスは、少女の子宮口をこじ開けようとさえしていた。
「あぎっ! ふぎぃ! おごぉぉぉ!」
言葉通りにケダモノのような激しさ。正気を保っているのもやっと。
逃げられず、抵抗もできず、ただただペニスを受け入れて、少女のメンタルは粉微塵にされようとしていた。もう時間感覚すら曖昧で、いつからここにいるのか、どのくらいこんなことをしているのか、全てが分からなくなっていた。
「あっ……、あふ……、んん……、んおぉぉ……」
変化が訪れたのはいつぐらいからだっただろうか。体感時間が狂ってしまった今では、もはや数時間前だったのか、数日前だったのかも怪しい。
何にせよ、子宮ごと豚のペニスにズンズンと責め続けられていた少女は、途方もない苦痛とは真逆の感覚に襲われていた。
「あっ、あっ……、奥ぅ……ブタに突かれてるのにぃ……」
間違いなく少女の感じているソレは、快感でしかなかった。
どう考えても苦しいだけのはずのソレに、気持ちいいと感じていた。心地よいと感じ始めていた。その感覚は上り詰めて、豚のペニスによってさらにさらに上へと持ち上げられていく。
「あ、やだやだ! い、イク……、イキたくない……! ぃや――」
絶頂。それを知覚したと同時に豚のペニスから途方もない量の射精が行われ、そしてその瞬間、どういうわけか、少女の時間はそこで停止した。
※
※ ※
※ ※ ※
朝を迎えた城は、何やらざわめいていた。
優雅な接待を受けて、朝食を摂っていたコリンは、ようやくして何かが起きていたことを召使いに知らされることになる。
「なるほど、分かりました。すぐに向かいます」
口元を拭いつつ、コリンは騒ぎの現場へと急行した。
そこは丁度昨晩、コリンが新しい絵画を飾った廊下だった。数人の兵士や召使いが、困惑、あるいはニヤけた様子で、その絵画を眺めていた。
コリンもその絵画を見てみると、合点がいった。
記憶では、その絵画は何処かの牧場を背景に、数匹の豚が戯れている、それだけの絵画だったはず。しかし、そのときとは随分と様相が変わっていた。
一人の少女の姿が描き足されており、あろうことか這いつくばって豚と交尾している絵になっていた。表情も鮮明で、よく見える。
何処からどう見たって悦んでいるようにしか見えない。秘所の辺りからは溢れんばかりの白い液体を垂れ流しており、まさしく豚が少女の子宮に射精した、その瞬間を見事に描かれている。
「……入ってますね、これは」
少々頬を赤らめて、コリンが呟く。
「そうですな、見事に豚めのペニスがこの者の膣内に」
兵士の一人がそう答えようとして、
「あ、いえ、そういう意味じゃなくて、この絵画の中に人が入ってます」
慌てて訂正するようにコリンが被せる。
なんだそっちか、と言わんばかりにフッと息を払う。おそらくこの場に集まっている者はそれくらいのことは理解できていただろう。
そしてこの少女が、この城に忍び込んだドロボウに違いないということも。
「かわいそうに……この状態で固まってしまったんですね」
「コリン様、それは何か不都合なことでもあるんですか?」
召使いの一人が怪訝そうな声で訊ねる。
「今、この方は、この状態のままなんです。いつから絵画になったのかは分かりませんが、今のこの状態を、そのときからずっと継続してるんです」
その説明では今ひとつピンとこないようで、召使いは首を傾げる。
「ええと、例えばナイフか何かで怪我したところをさらにナイフで刺したら痛いですよね? この方の体感ではソレと一緒で、同じ状態を延々と繰り返されているんです。この、あの、表情を見れば分かると思うんですけど……」
一所懸命説明しようとして、次第に口調がしどろもどろになっていくコリンを見て、召使いまで伝播したかのように顔を赤らめて俯く。
コリンの説明した通りなのであれば、この少女は顔が悦びに歪むほどの絶頂と、溢れんばかりに射精されるその感覚をずっと続けていることになる。
普通なら時と共に落ち着いてきたり、慣れてきたりするものだが、この絵画はその状態のままを固定している。はたしてソレがどういう状態なのかはその場にいる誰にも容易に想像できることではなかった。
「ちょっと、声を聞いてみます」
そう言ってコリンは懐から取り出した絵筆を構え、その毛先を絵画に宛がう。
すると、まるでその箇所だけが水面かのように波紋ができ、コリンの絵筆が絵画に入り込む。
『おおぉぉぉぉ! んほおおぉぉぉ! ドピュドピュおわんにゃいよぉぉぉ、なんでええぇぇ!? ブタのザーメンでイキっぱなしにゃのにぃぃ! なんでなんでぇぇ!? お腹パンクしちゃうのにずっとずっとずっと射精されちゃってるのぉぉぉぉこわれちゃうぅぅぅ! おちんぽしゅごいいぃぃぃ! ブタちんぽだいしゅきぃぃぃ』
ハッとしてコリンは絵筆を絵画から離す。
「いかがでしたか、コリン様。この盗人めは何とおっしゃってましたか?」
そう言われてコリンはどうとも答えられず、耳まで顔を真っ赤にしてやや沈黙。
「……この絵画は持ち帰らせていただきます」
とりあえずその言葉を発するので精一杯だった。