ボクは魔女の抱き枕
ぐっぽ、ぬっぽ、にちゅぅ、ぐちゅぅ。
薄暗い部屋の中、あられもない淫らな音と荒い二つの息遣い。
片方の呼吸が荒くなったと思えば、ほんの少しの間を置いて、ぐじゅうぅビュルルル、と粘っこい水音。
ソレに突き動かされるように身体中の空気が抜く勢いで大きく長い吐息が自然と出る。これで何回目くらいだったか。
すっかりくたくたになってしまった穴は、白濁のソレでふやけてしまっているんじゃないかというくらい、かなり奥の方まで飲んでしまっている。
いい加減休ませてほしいのだけど、この年中発情したケダモノの無尽蔵な性欲は衰えてくれやしない。
「ふひぃぅぅ……、はぁぁ……、ねえフェル、たまにはさ、アンタから求めてもいいのよ」
「はぁ……ふぅ……、誰がそんなはしたないことを……ご主人様じゃないんですから」
ベッドの上で四つんばいにされたボクはそうやって悪態をつくことしかできない。
後ろに根元まで突き刺さる太く硬いルビーのソレを中心に熱がこもっている。
「そろそろもう、寝かせてくださいよ……」
夜も更けて、いい時間のはずだ。睡魔も酷く、さっきから小刻みに意識が飛んでいる気がする。
ルビーのピストンのせいで何度も無理やり覚醒させられているおかげで記憶もすっ飛んでしまいそうだ。
「もうおなかの中、ご主人様のでたぷたぷなんですけど、まだヤる気なんですか?」
ボクに子宮があったらとっくに妊娠してもおかしくない。
「相変わらずあへあへ言ってるくせにこの口は……、なまいきなんだから」
言っていません、と強く否定したいけれど、さすがに無理だ。
顔中いろんな汁でぐじゅぐじゅになっているし、お尻もずっとひくついて止まらない。おちんちんにいたってはまるで垂れ流し。
おもらしをしたみたいな大きな染み、というかもはや泉を作ってしまっている。
一体これを明日誰が洗濯すると思っているのだろう。
この家に来てからというもの、毎晩、毎晩ずっとこんな調子でルビーのされるがままの夜を過ごしている。
使い慣れてしまったお尻は、ひょっとすると用を足す数よりも多いのでは。ルビーのおちんちんを突っ込まれるためだけの穴と化している。
重ね重ね掛けられた呪印のおかげでお尻の穴もルビーのソレを拒むことなく容易に銜え込むことも、しゃぶれるようにもできている。
ルビーを気持ちよくさせるよう、まさにルビー専用のものとして改造され尽くしている。
しかし大体いつもボクが力尽きて終わる。ルビーについていけないのだ。
酷いときになると目が覚めたときにもまだルビーのモノが挿入ったままだったりすることもあるくらい。
そんな状態でも寝てしまえるくらい、ボクはこんな異常ともいえる生活に、くやしくも馴染んでしまっている。
一体いつまで続くことだろう。
ボクが口だけでも抵抗をしていられる日は。
※ ※ ※
朝食の準備をすませ、畑いじりも終わったところで、ボクはお尻のうずきにフウっとため息をついた。
もうルビーを拒めないということはボク自身がよく分かっている。心でも、身体でもだ。
どうしようかと考えてもどうしようもなく、与えられる途方もない快楽に流されてしまう自分の姿ばかり想像してしまう。
いっそのこと全てをルビーに委ねてしまおうという誘惑がボクを蝕み続けている。
忘れよう、忘れてしまおう。そうしてしまえば気が楽になる。昨日も何もなかった。ボクはただ奴隷として過ごすだけ。
毎晩毎晩ルビーに暴力的なまでに与えられている快感は、ボクの理性を着実に削っている。
ああ、忘れろ忘れろ。夜のことを思い返しちゃいけない。少しでも何か別なことをしていないと、また疼きが止まらなくなってしまう。
そろそろ朝食が仕上がるだろうから次は洗濯をしよう。汚れた服もそんなになかったと思うし、せいぜいベッドのシーツくらいのもの。
朝食を餌にルビーをベッドから追い出してとっととあのシーツを洗ってしまおう。
昨晩もまた夜遅くまで使っていたから酷いことになっていたはずだ。早いところ洗ってしまわないと。
「ご主人様、そろそろ朝ごはんができますよ」
「んん、ふぁぁ、分かった分かった、今起きるから……」
のそのそと、部屋の中から冬眠明けの熊のようにほとんど裸に近いルビーが目をこすりながら姿を現す。
どうせこの家には客人などこないし、住人もボクだけだからどうでもいいのだが、少なくとも人前に出られるような身だしなみではないことは確かだ。
一度外で色々と仕事してから改めてルビーの部屋に入るとやはりこの匂いは鼻につく。今朝ボクもここに寝ていたとは思えない。
手早にボクは窓を開き、換気を急いだ。森の中だし、窓の向こうはもう木々が生い茂っているから大してまばゆい日差しも入ってはこないが、締め切るよりマシだ。
さて、問題のシーツだ。この部屋を漂うムワッとした匂いの根源。
ところどころにあまり見たくない不潔な塊が付着していて、この家に来たばかりの頃の自分だったら回収するどころか近づくのも嫌がっただろう。
こんなものでも、もうボクは慣れてしまった。機械的にシーツをベッドから引っぺがし、部屋の外、家の外の井戸の近くまで運ぶ。
ボクとルビーの二人が寝ていても余裕のある大きさのベッドのシーツだから、シーツそのものも結構大きく、たたんでも抱え込まなければ運べない。
つまり、どうやったってシーツの匂いがボクの鼻につく。忘れたいと思っていたのに、昨晩の記憶が頭の中を何度も何度も再生されてしまう。
早く水につけて洗ってしまおう。そうしようとして、井戸から汲んだ水を桶に張ったところで、ボクは硬直してしまう。
違う。いや違う。別にそうじゃない。臭いを嗅いで興奮してなんかいない。
ボクはルビーみたいな変態じゃない。ただ、ちょっと疲れているだけ。だって、昨晩も、そうだ。あんなに、そう、あんなにいっぱいボクは……。
「フェルー、ご飯まだー?」
ハッとぼんやりしていた意識が戻ってきて、すぐにボクは水桶にシーツを放り込んだ。後でやろう。
そういえば朝食のスープもそろそろ煮込みあがる頃だ。こげてしまわないうちに早く召し上がろう。そうしよう。
ボクは誰に言うわけでもなく、ただただ自問自答を繰り返し、家の中へと戻った。