「その通りよ」
ルビーが返事をする。どうしたものだろう。本当に本人がいるみたいだ。というか、ボクは今何か言葉を発したっけ?
「だから本人だってば。フェル、アンタあたしのベッドで寝てるでしょ? だからちょっとこっちの夢の中に引きずり込ませてもらったのよ。精神が繋がってるからアンタの心の声も丸聞こえよ」
そんなバカな。これは夢、夢なんだ。
だからこう目を閉じて、開ければ全く違う光景になっているはず。
夢の中までルビーに会いたいなんてボクが願うはずなんてないんだから。いないいない、ルビーなんていない。
「全く強情ね。でも無駄よ。コレ、あたしの夢だから。あたしの思い通りにしかならないわ」
目を開けると、やっぱりルビーが目の前に立っていた。
どうやら信じなきゃいけないらしい。
「ご主人様、一体どういうつもりなんですか」
「どういうもこういうも、フェルってば直ぐに疲れて眠っちゃうからね。じゃあいっそのこと寝ながらヤっちゃおうか、てね。夢の中なら体力は無限だし、これなら朝までヤり通しても疲れることもないしね」
やっぱり罠だったのか。そりゃそうだ、あれだけ白々しい態度もない。
だけど夢の中なら覚めてしまえばいい。夢の中でまでルビーと一緒にいたらどうなるか分かったものじゃない。
ボクはすぐさま頬を抓る。しかし、普通に痛いし、一向に目が覚める気配がない。
「無駄よ、無駄無駄。ベッドに睡魔の魔法を掛けてあるからフェルはあたしの許可なしに起きられないわ」
ニヤニヤとルビーがボクの顔を覗き込む。
まんまと巣に引っかかった獲物を品定めするクモのようだ。
後は煮て食うか焼いて食うか、ただ選ぶだけ。結局いつもと変わらないわけだ。
そうだ、いつもと変わらない。なんにしても逃げられないのだから覚悟を決めるしかない。
「本当にいつもと変わらないなんて思ってるなら甘いわよ」
そろりとルビーがボクの前に屈み、ボクのおちんちんに触れる。
あれ? いつの間にボクは服を脱がされたのだろう。
さっきまで確かに着ていたはずなのに、気が付いたらボクもルビーも裸になっていた。まるで夢を見ているみたいだ。
「だって、夢だもの。なんだってできるわよ。ほら、こんなことだって」
途端に、ボクの下半身が、両足が石になる。
カチコチに固まって全く身動きが取れない。
「せっかくだし、こんなのはどう?」
何が起こったのかよく分からない。
何が起こっているのかもよく分からない。
ボクのおちんちんに何か取っ手のようなものが付けられた。まるでそれは何かを塞ぐ弁のよう。しかし、これが一体何だというのか。
「ふふ、これをね、こうすると……」
「んひっいいぃぃぃっっ!?」
ルビーがくいっと、その取っ手を回す。
その瞬間、その取っ手に直結していたおちんちんが勢いよく射精する。
それも途切れない。止まらない絶頂感が押し寄せてくる。
こんなことあり得ない。こんな勢いでこんなずっと射精し続けていたらあっという間に空っぽになるはずだ。しかし射精も絶頂も一向に止まらない。
「ほらほら、もっと出るわよ」
「うあああぁぁぁぁああぁぁあっっ!!」
また取っ手を回す。すると勢いがまたグンと増す。
ジャバジャバ、ドバドバとまるで噴水のようにとんでもない勢いだ。
こんなの、こんなの、頭がおかしくなる。ずっとずっと射精が止まらない。
こんなのが続いたらもう、壊れてしまう。ボクのおちんちんが一生使い物にならなくなってしまう。止めて、止めて、早く、止めないと。
「うふふ、じゃあ止めてあげる」
「あっ……がっ!?」
ルビーが今度はその取っ手を逆方向に回す。
するとさっきまでのが嘘みたいに射精がピタリと止まった。しかし今度は逆に絶頂感ごとせき止められた。
射精感はすぐそこまで上り詰めているのに寸でのところで完全に止まってしまっている。
あともうちょっとでまた出るのに、あともうちょっとでイけるのに、それが全部無理やり止められている。
出るのに、出ない。イけるのに、イけない。
「ぁぁ……、ぁぁ……?」
これはなんだ。どうなっているんだろう。
射精を止められたおちんちんがまるで風船のように膨らんでいく。
大きくなっていくに連れて、寸止めされた異常なもどかしい快感の波も膨れ上がっていく。
こんなになっても射精できない、イクこともできない。ああ、おかしくなる。
おちんちんが壊れる、破裂してしまう……っ!
「おちんちんが……、おちんちんがぁ……、ぅぁぁぁっ!」
「おやおや、まあまあ。大きくなっていくわね」
おちんちんがまだまだ膨れ上がっていく。
腕のような大きさ、胴体のような大きさ、まだまだ大きくなる。
やがては自分の身体くらいまでの大きさまで膨らんでしまう。もうダメだ、はち切れる。我慢の限界だ。
「………………っっっ!! ……っ……っっ!!!」
ブチン。ドバァン。してはいけない音がした。
それと共にボクのおちんちんは文字通りに弾け飛んだ。溜め込まれた精液も辺り一面にぶち撒けられる。
まるで爆発。そしてせき止められていた絶頂がそのまま丸ごとボクに襲い掛かる。言葉も出せない。
全身が真っ白な灰になるくらい焼かれ尽くされるような、例えようもないくらいの快感に、ボクは一瞬、死んだかとさえ錯覚した。
「……ぁ……、ぅぁぁ……、ぇへ……、ぁへへ……」
もう、どうでもよくなってきて、笑いがこみ上げて仕方がない。
ああ、完全に壊れた。完全におちんちんが使い物にならなくなった。
朦朧とするぐにゃぐにゃの頭でそれだけは分かった。
でも、それでもボクは生きていた。身体ごと弾け飛んだと思ったのに、ボクはただ倒れているだけで済んでいた。
全く意味が分からない。ボクのおちんちんはどうなったのだろう。恐る恐る、ボクは身体を起こし、自分のおちんちんを確認しようとした。
……何もない。
おちんちんは本当に壊れて消えてしまっていた。
正確には、そこには何もなくなっていたが、代わりに一筋の切り込みのような線が入っていた。
それは大きな傷跡かと思ったが、不気味なことに血など一滴も零れていない。おちんちんだけがパッと消えたかのよう。
そして、この割れ目のようなものはボクは見覚えがあった。いやむしろ見覚えがない方がおかしかった。