「ぁぅ……!?」
「あら、さっそく老廃物を食べてもらえたようね」
お尻の穴の奥のほうからじんわりとした柔らかい快楽の波がやってきた。撫でるような舐めるような優しい感触。
とろける様な快感に、ボクは思わず腰が抜けそうになった。倒れるまでに至らなかったのは、宿主にそういう危害や弊害を与えないための配慮なのだろうか。
身体の外側からくる快感は何度も味わったことがあったが、内側から直接くる快感は初めてだった。
自分の身体を乗っ取られて、好き勝手に弄くられているような気分だ。
自分で触ってみても、そこにスライムがいるとは分からないくらい気配を潜めているのに、圧倒的な存在感を示すような快楽を生み出す。
体内にいるということは、どうやったって逃げられない。
かといって触れることさえかなわないスライムを体外に出すことなんてできるわけがない。
つまりこの内側からくる途方もない快楽の波は無抵抗のまま、全てを受け入れさせられてしまう。
「ぁぁ……、ま、また来てるぅぅ……、ぁ、ぁ……ふぅっ……」
じゅわ、じゅわ。お腹の中が少しずつ軽くなっていくような感覚。
実際に軽くなるなんてことはない。だが、きっと体内の何処とも分からない場所から、ボクの中にあるものを片っ端から食べているのだろう。
そして軽くなるにつれて、またあの快楽の波が押し寄せる。さっきの波もまだおさまっていないまま、快感が上乗せされていく。
そうしてまた引きのない波がまた、続けざまに押し寄せる。こんなの堪えられるわけがない。
「どう、気持ちいい? って聞くまでもないか」
「はへぇ……?」
気がついたら、ボクの顔はだらしなく緩んでいた。まさかこれからこんな快感が頻繁に来るというのか。
「それじゃ、スライムのこと、よろしくね」
そんな笑顔で言われても、ボクには不安しか残っていなかった。
※ ※ ※
スライムがボクの身体に寄生してからというもの、ボクは度々甘い快感に身体を溶かされてきた。
思っていた以上にあのスライムは活発的で、普段の生活をしている分には何も違和感がないが、日に何度も何度も体内のものを貪っては、そのおかえしにと快感をくれる。そのたびにあの顔がゆるむほどの幸せな気分に、させられてしまう。
いつ来るかも分からないため、畑をいじっている最中でも、掃除をしている最中でも遠慮なしにスライムに気持ちよくさせられてしまうため、いつの間にかボクはスライムから与えられる快感を待ち遠しいとさえ思い始めてきた。
次は一体いつ来るだろう。いつまたあの快感をくれるだろう。
そんな様子を見てか、ここ数日のところルビーのニヤニヤが気持ち悪い。
ボクがスライムの快感に流されていく様を見て楽しんでいるようだった。
毎晩ベッドの上でも「今日はスライムで何回イッた?」などと聞いてくる。
流されたくない、流されたくない、と思いつつも、ボクはもうあの快感には逆らえなくなっていた。
「はぁ……、ふぅ……、ぅっ」
また甘い刺激が走る。今日で何度目だったかもう覚えていない。
ここのところ、だんだん感覚が短くなっている気がする。おかげで仕事にも身が入らなくなってきた。
生活そのものには確かに支障はないのかもしれないけれど、こう快感に流されてばかりでは、さすがにまずいような気はする。
そろそろまたくるかな。まだこないかな。
たった今きたばかりなのに次の快感が待ち遠しくて、待ち遠しくて、身体が火照っていく。それがずっとだ。もう一日中ボクは発情しているようなものだ。こんなの、まるでルビーじゃないか。こんなことダメだ。こんなことではダメだ。
そうは思っても、抵抗できるわけでもない。お腹いっぱいご飯を食べたり、沢山水を飲んでみたり、あのスライムの餌を作るために動いてしまっている。
早く、早く、うんち食べて……おしっこ飲んで……、そしてボクをまた気持ちよくしてほしい。ああ、ガマンできない。ずっと焦らされているみたいに。
「んんっ……、んんふぅ……、んん……」
だから今日もボクは、ひっそりとルビーに見つからない場所でオナニーをしていた。こうでもしないと頭の中のもやもやが消えてくれないから。仕方ないから、オナニーするしかなかった。
そうだ、これは仕方のないことなんだ。したいんじゃなくて、しなくちゃいけない。そうしないとスライムの快感にまどわされてしまうから。
ずっと身体中、内側から媚薬を延々と注入され続けて、ボクの身体がとろけてダメになってしまうから。何も考えられなくなってしまうから。
だから自分でこうやってすっきりさせるしかないんだ。
シュッ、シュッ、……ピュッ。射精すと、ようやく気分が落ち着き、それと同時に嫌悪感に苛まれる。仕方ないんだ。
こうでもしないと、ずっと発情しっぱなしでどうしようもなくなってしまうのだから。仕方ないと分かっているつもりなんだ。
でも、こうやってルビーに隠れてオナニーしているのが気恥ずかしくて、それだけで消えてしまいたくなる。
どうしてボクはこんなことをしないといけないのだろう。こんなオナニーばかりしてバカみたいじゃないか。ルビーのニヤニヤする顔が目に浮かんでしまう。
「あ、掃除、やらなきゃ……」
ハッとする。かなりの間、ボーッとしていたみたいだ。ほら、もう頭がおかしくなってる。気持ちいいことばっか考えてて、この通り、仕事が手に付いてない。
多分、ずっと顔もにやけっぱなし。バカみたいな顔をしてる。
こんなところ、ルビーに見られたくない。それだけは絶対にイヤだ。
精液に汚れたおちんちんをしまい、立ち上がると、ふらふらと熱に浮かされるように、ボクはさっさと仕事に戻る。
早く戻らないとまたいつスライムが身体にあの甘い刺激を流してくるか分からないからだ。あれが来たらろくに動けなくなる。
せめて掃除だけでも終わらせよう。そしたらまた気持ちよくなればいい。ガマンしようという気がもうボクの中にはなかった。
感覚が短くなって、回数も増えていくから、日に増してオナニーの回数も増えていくようだ。こんなのが続いてしまったら、ボクは一体どうなってしまうのだろうか。
これは不安なのか、期待なのか。今のボクにはどうとも言えなかった。
※ ※ ※