思えば、違和感を覚えたのはいつからだっただろう。
「はぁ……、んんっ、んんっ、はふぅ……ぅっ」
シュッ、シュッ、シュッ、…………ピク。
ボクの手の中でおちんちんが微かに震える。ただそれだけ。
またボクは隠れてオナニーしていた。ずっとこんな調子だったから気付くのが遅れたのかもしれない。
相変わらずボクはスライムの快感に流されないように自分からオナニーして何とか自分を保つようにしていたつもりだったが、何かがおかしいと気付いた。
そしてようやくしてそれがはっきりした。
ボクは、射精ができなくなっていた。
ふと射精したとき、精液の量が妙に少ないと感じたときは何度もあった。それが何度も何度も続いて、とうとう、オナニーしても射精ないようになっていた。
頻繁に射精しすぎてしまっただけかとも考えたが、もう何回オナニーしても一滴も射精ていないのだ。ボクはもう完全に、射精のできない身体になっていた。
どんなにオナニーしても快感が上り詰めてくることはあっても、射精できないから、そこまでで止まってしまう。
一番気持ちいい瞬間だけが来ない。奇妙な感覚だった。おちんちんそのものはジンジンと痺れるような状態が続いているのに、ソレ以上先がない。
スライムから与えられる快感も、そのもやもやも消すことができない。こうなってくると、押し寄せてくる快感がいつまでもボクにまとわりついて離れない。
それでもスライムからの甘い刺激が止むことがないから、ボクはただただもどかしさに悶えるしかなかった。
「ぅぅ……、ぅぅ……」
シュッ、シュッ、シュッ。
どんなにおちんちんをこすったところで、そこから先がない。
おちんちんが痛くなるくらい、ヒリヒリするくらい、ずっとオナニーしているのに、ボクはずっと、ずっと射精できないまま、ただただ頭の中で絶頂を求めていた。
射精したい、射精したい、射精したい。
一体どうしてこんなことになってしまったのか。
「ふふ、どうしたのフェル? そんなところで」
ずっとオナニーに夢中だったボクは目の前にいるルビーに気付かなかった。突然のルビーに一瞬は驚いたが、ボクはもうそんなことはどうでもよくて、ただただ射精したいという気持ちに押し流されていた。
「ご主人様ぁ……、ボク、射精ないんです……、射精したいのに、射精ないんです……」
「おやおや、それは大変ね」
まるで分かっていたかのように、ルビーがニヤニヤと笑う。
もしかしたらルビーは知っているのかもしれない。そんな希望が出た途端、ボクはもうルビーにしがみつくように前のめりになっていた。
「射精したいです、ご主人様、ボク射精したいんです、射精させてください……」
自分でも何を言っているのか分からないくらい、ボクはひたすらにルビーにねだっていた。
「どうせずっとオナニーしてたんでしょ。スライムは身体の中のいらないものを食べるからね。何度も何度も無駄に射精すからきっとフェルの精液もいらないものと認識されて食べられちゃったのよ」
そういわれて、ボクの顔はカァーっと熱くなった。
ルビーの言うとおりだった。ここずっとオナニーばかりしていた。ただただ射精していただけだった。だからいらないものだと思われてしまったんだ。
ボクに寄生しているスライムはずっとボクの体内で老廃物を、つまりいらないものを食べて生き続けている。
だからボクはずっとトイレにいかないで済んでいる。もし、精液がいらないものと認識されてしまったら、つまりそれはボクはずっと射精することができなくなるということだ。そんなの、そんなのは、嫌だ。ボクは一生射精ができないままなんて。
「そんなの嫌だよぉ……、射精したいよぉ……」
ボクは子供みたいに泣きじゃくっていた。
だってそうだ。スライムからは延々と快感を与えられるのに、何度も何度も上り詰めさせられるのに、精液を食べられ続けていたらもう何をしたって射精できないのだから、それはつまり永遠に絶頂の手前で止められてしまうということ。
甘い快楽がそのまま拷問になりかわってしまうのだ。
「そんなに射精したい?」
「はぃぃ……、射精しないと、ボク、おかしくなっちゃいますぅ……」
「それじゃ、いらっしゃい」
※ ※ ※
ボクとルビーはベッドの上にいた。いつものように服も脱ぎ、準備万端の状態だ。
「さあ、フェル。何をすればいいか分かるわね」
「あのご主人様……? その、これってどういう」
ルビーは足を開いたまま、待機していた。まるでボクが来るのを待っているように。いや、そのとおりなのだろうけれど。
「どうしたの? 射精したくないの?」
「で、でもボク……、スライムに食べられて射精ないから……」
そうだ。そもそも精液が食べられてなくなってしまったのなら、いくらルビーと交わろうと射精ができるはずがない。
「精液がただの白いおしっこじゃないことくらい、知ってるでしょ?」
「それくらいは……」
「スライムが精液を食べちゃったのは、本当の使い方をしなかったからよ。つまり本来の使い方を知れば、スライムも食べなくなるってことよ。まさか、ここまで言って分からないとは言わせないわよ」
ルビーが、両手の指先でそこを開く。くぱぁ、と中から蜜がしたたる。いつからこの状態だったんだろう。
「射精できないのに、こんなことをしたって……、意味がないんじゃ……?」
「できるようになるわ。だって、そういうふうに作ったんだもの」
さらりと、言ってくれる。
じゃあまさか、ここまで全部ルビーの思惑通りに動いたということなのか。
スライムの快感に流されてボクがオナニーの没頭してしまうようになったのも、そのせいで精液が食べられるようになってしまったのも、そしてこうして今、ルビーが目の前にいるのも。
全部、全部、ルビーの思惑通りだったのか。でも、ボクはそんなことを考える余裕も、なかった。射精ができるって確信ができたから。
もうルビーは濡れていて準備は必要ない。
ボクは、ボクの欲求に突き動かされるように、ルビーのそこにおちんちんを突き立てた。驚くほどスムーズにルビーのそれはおちんちんを銜え込んだ。
そしてボクのおちんちんは吸い付かれるように、締め付けられるように、ルビーの膣内に囚われる。