遅れて外に出ると、畑があった場所にカカシが立っていた。
正確に言うと全裸のまま囲いの柵に磔にされたマリンだ。もしかして畑を弁償するってこういうことなんだろうか。
しかし、マリンをカカシにしたところで、カカシの本来の役割はカラスなど畑を荒らすものを追い払うことのはずだ。そもそも畑の一番の加害者はルビーなんだからこんなものは無意味なんじゃ。
そしてそのルビーはというと、今、マリンのお腹に何やら呪印を刻み込んでいた。
「これで完成ね」
「……」
マリンのあまりに無様な光景にまだボクは言葉を失っていた。確かにこの畑をボコボコに破壊してしまったのはマリンなのだけれども、この仕打ちは酷いとしか言いようがない。
「ぅぅ……、ぁ……?」
「あら、気がついたかしら?」
「く、紅の魔女……、何よこれ。こんなとこに磔にして何のつもりよ」
「簡単なことよ。アンタには畑の肥やしになってもらうわ」
「はぁ……? あたしを畑に埋めるつもり?」
一瞬、身体を刻んで肥料にする光景が目に浮かんで吐き気を催してきた。さすがのルビーもそんなことをしないとは思いたい。実際にはしそうではあるのだけど。
「いいえ、アンタ自身に作ってもらうのよ。新鮮な肥料をね」
「磔にしておいて? 作れるわけないでしょ! ってか誰がアンタのために肥料なんて作るってのよ!」
「おお、おお怖い怖い。でもね、そんな格好でも作れちゃうのよ。イヤでもね。うふふ……」
そういっておもむろに、ルビーはマリンの下腹部を、割れ目を、指先でなぞり、何故か少し出っ張った豆のようなものに指を掛ける。
たぶん位置からしてソレはクリトリスだということは分かるが、その大きさは足の親指くらいある。異様に肥大化している。まるで、つまみやすくされたようだ。
ルビーはクイッと遠慮なしにクリトリスを抓む。
「ぁ? ぁあああああっっ!! で、で、出ちゃうぅぅぅぅ……っっ!!?」
何が起こったのか、ルビーがマリンのクリトリスを摘んだ途端、ブリブリとあまりにも下品で汚らしい音を立てて、マリンはその体勢のまま気張ることもなく脱糞してしまった。そしてソレは下に構えてあったバケツの中へと収まっていく。
まさか、肥料ってこのことなのか? 先ほどまで触手が体内を占拠していたから量はそれほどもないが、いや、そんなことは問題じゃなくて、もしかして、このためにマリンをここまで改造したというのか。
「はひぃ……ぁひぃ……、な、なに、よこれ……」
ぽっかりと閉じないお尻の穴をひくひくとさせ、息も絶え絶えに悪態だけつく。
「アンタの身体をちょ~っとばかし弄くって、食べたものを栄養満点の肥料にして貯蓄する身体にしてあげたわ。そんで、アンタ自身はどんなに気張ったってうんちできないの。この可愛いクリトリスちゃんをキュっとひねらないと……ね」
また、ルビーの指先がソレを抓む。
「ぁがぁぁっっ!!?」
またマリンの身体が小さく仰け反り、脱糞するが、さすがにもう中身は残っていないのだろう。一滴程度のものがプリュっとひねり出ただけだ。
「どう? 体感した? アンタは今日から畑のために働くうんちタンクなのよ」
「くぅぅ、この、このぉ……、なんてことをしてくれんのよ……、こんな、こんな身体……」
「素敵でしょ? 辛くないようにお尻のまわりとかも気持ちよ~くなるよう改造してあげたからね」
通りで何やら大げさに叫んでいると思った。ひり出すだけで悲鳴を挙げるなんてどう考えても異常だ。
歯を食いしばり、涙のあふれる顔で、マリンはルビーを睨みつける。
「ついでだから呪いもつけておいてあげたわ。排便の呪印。これを刻まれたものはうんちする度に気持ちよくなっちゃう。それこそ絶頂するくらいにね。そしてその刻印が定着して消えたとき、アンタはうんちがしたくてしたくてたまらない身体になるのよ」
ついでというにはえらくまた酷い呪いだ。
死刑を宣告されたようにマリンの顔から血の気が引き、真っ青になるのが見てとれた。きっと今のマリンの頭の中には絶望という言葉しかないだろう。
「こんなのでどうよ、フェル」
突然ボクの方に振られてビクリとする。
何のことかと困惑するも、その答えが間をおいてようやく出てくる。
そういえば、畑のために上質な肥料が欲しいとルビーに頼んでいたような気がする。それがまさかこんな形で叶えられてしまうとは。
あれ? ちょっと待てよ? ということはなんだろう。これって、ボクのためにしてくれたことなんだろうか。
ボクがあんなことをねだってしまったから、今こうしてマリンは、ボクのために肥料を作る身体にさせられてしまったのか。
確かに畑の弁償という意味ではその通りで、肥料があるととても助かるということも事実ではあるけれども、だからといってこれはどうなんだろう。
別にボクはマリンにこんなことにするなんて望んでいない。急に言われてもどうしたらいいのだろう。
酷い罪悪感がボクの心をすりつぶすような気分だった。