※この作品はR-18です。

エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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第21話 ヒロインは師匠

 旅のお供にボックが追加されたため、彼にも俺たちの事情を伝えて情報を共有する。

 霊体がデフォルトのメリナには少し驚いていたが、すぐに仲良くなった。メリナも彼の勇姿を見届けていたから、初めからウェルカム状態。

 祝福ではいつぞやのメリナ達のように茹でエビを貪るボックの世話を焼く姿は、手の掛かる弟の様だった。

 

「戦闘に積極的に参加しろとは言わない。基本的には俺が請け負うつもりだが、時にはお前を襲う時もあるだろう。だから最低限の自衛手段は身につけてもらうぞ」

 

 セレンさんが居るとされている宿場跡の近辺で一休みしている俺は、この時間を利用してボックを鍛えようと思っている。

 ボックは俺とは違い、一度死んだらそれで終わりだ。戦闘が付き物の旅だから、生き残る術を身につけて貰わないと。

 ルーンでのレベル上げが出来れば楽だったんだが、メリナの話によるとそれは祝福が見える褪せ人の特権らしいからなぁ。

 

「はい! オイラが弱いのは、オイラが一番分かってますから……ご主人さま、オイラを鍛えてください!」

 

「その意気だボック! ではこれより、雷斗ブートキャンプを始める!」

 

 円卓に戻りローデリカに預けていた遺灰を取り出す。

 預けて二日程度だったからそこまで強化出来なかったけど、少しはレベルアップしただろう。

 

「ボックは俺たち褪せ人と違いルーンによる強化は出来ない。だから実戦経験を積んで地道に鍛えていくぞ」

 

「分かりました! 頑張りますっ」

 

 気合い十分なボック。その腰と胸には俺の持っているタリスマンがぶら下がっている。

 ちなみに渡したのは、生命力を大幅に上げる【琥珀色のタリスマン】と物理ダメージを大幅に軽減する【竜印の大盾のタリスマン】、そして物理以外の属性ダメージを大幅に軽減する【真珠竜印のタリスマン】だ。

 装備は本人の希望で俺と同じ【脇差し】に【ラウンジシールド】。そして、遠距離武器である【小弓】という構成である。

 

「戦の心得、その一。常に一対一の状況を作れ!」

 

 はぐれ狼たちを召喚し、彼らに『待て』の指示を出す。

 

「基本的にボック一人に戦わせることはないが、敵の数が多い場合お前一人で対処しなければならない。これまでの経験上、敵が一人だけってのはあまりないケースだからな」

 

「そうですね。大体何人かと一緒にいます」

 

「うむ。二、三人程度なら俺一人でどうにかなるが、四人を超えると流石に手が余る。そこで重要になるのは、戦いの場においての立ち回りだ」

 

「立ち回りですか?」

 

「例えば三人を相手にしたとして、一気に三方向から同時に仕掛けられたら流石の俺でも防戦になるだろう。だから上手く回り込んだり相手を誘導したりして、常に敵を視界に収めた状況にするんだ」

 

 理想的なのは一本道などに誘い込み、常に一対一の状況を作ること。そうすれば三対一が、一対一を三回行うことになる。

 地形を利用しなくとも上手くその状況を作り出せるようになれれば完璧だ。

 

「まずは人より素早い狼を相手に訓練だ。彼らの囲みを上手く攻略することが出来れば、対人でも楽に熟せるだろう。攻撃はしなくていいから、立ち回りを意識するんだぞ!」

 

 そして狼たちには牙や爪を使った攻撃はなしで体当たりのみで戦って貰う。これはボックに合わせた難易度だからな。

 

「体当たりしてくる狼たちを上手く盾で防ぎながら、一対一になるように立ち回るんだ。それでは、始め!」

 

 

 

 1

 

 

 

「うぅ、不甲斐ないです……」

 

「あまり気にするな。立ち回りなんて今まで意識したことないんだから、こうなって当然だよ」

 

 きりの良いところで訓練を止めると、力なく地面に座り込むボック。

 終始、狼たちに翻弄されていて、体当たりも盾で防ぐことも出来ずに終わったが、まあ初めての多人数戦の練習だからこんなものだろう。

 これから嫌でも強くなるんだから気を落とすな、と告げて今回の反省点を振り返り、一先ず今日の鍛練は終わりだ。

 

「此処にご主人さまの探し人がいらっしゃるんですか?」

 

「だと思うんだけど……どっかに地下があるなこりゃ」

 

 セレンという魔術師が居を構えているとされている場所は、宿場跡地で例の如く廃墟となっている。

 ぐるっと回ってみたが、石造りの跡地にはモンスターが住み込み人の気配はない。

 到底人が暮らせる環境ではないから、おそらくどこかに地下に続く入り口があるのだと思うが……。

 

「ビンゴ!」

 

 巨大な毒性植物を魔術で殲滅してから探索していた時、地下への階段を見つけた。

 降りていくと広い部屋に辿り着き、そこにはカボチャのような兜を被った巨漢の姿が。奥には扉が見える。

 部屋の中に入ると結界で退路を塞がれた。どうやら門番のようだ。

 

「ご、ご主人さま、何だか強そうな人が……」

 

「門番だろうね。離れてなボック」

 

 大槌を手に臨戦態勢を取るカボチャ頭に歩み寄り、懐から取り出した紹介状を見せる。

 

「俺は雷斗。魔術師セレンに話があって来た。セルブスという魔術師から紹介状を受け取っているんだが、通して貰えないかな?」

 

 俺の言葉にカボチャ頭はしばし黙考すると、手を突き出して待てのジェスチャーを送ってきた。よかった、話が通じるタイプだ。

 そして奥の扉をノックして反応を待つと、やがて大槌を下ろして扉を開ける。ここの扉も上下スライド式なのね。

 重たい音を立てて扉を持ち上げたカボチャ頭は奥の部屋を指差して行けとのジェスチャー。振り返ると出入口を塞いでた結界も解かれ、部屋の中央には祝福が出現していた。

 カボチャ頭に礼を言ってから扉を潜ると、そこはまさに魔術師の研究所といった様相を呈した部屋に躍り出る。

 ラニ様たちのような塔ではないけど、巻物や書籍が散らばっており、例のごとく大きな水晶が所々生えていた。

 ラニ様やセルブスもそうだったけど、魔術師は掃除が苦手なのかな? 

 

「珍しく私に客人が訪れたと思えば、褪せ人か」

 

 件の探し人はそこにいた。

 顎に手を当てた考える人のポーズを取りながら、こっちに顔を向けている。透き通るような声や服の上からでも分かるオッパイからして女性のようだが、何故そんなマスクを着けているんだ……? 

 そう、セレンさんと思わしき人物は、ギリシャの石像のような彫刻チックな被り物をしているのである。

 ……変人かな? 

 

「私はセレン。見ての通りの魔術師だが……さて、何用かな?」

 

 見ても分かんねえよ! 服はそれっぽいけど! 

 という心の声は内に仕舞い、貴方に話があって来たとセルブスの紹介状を渡す。

 

「セルブスとは、嫌な名前を思い出させてくれるものだ……」

 

 本当に嫌そうな声で呟いたセレンさんは紹介状の封を切る。

 黙読するセレンさんを他所に、俺はこっそりと目隠しをズラした。

 魔術が掛かっているのか、目隠しの状態だと素顔が視辛いんだよね。

 美しい声だし、やっぱ気になるじゃん? 

 

「……ノクローンの秘宝か。あれを求めるということは、ラニは……ふむ」

 

 何やら考え込むセレンさんを裸眼で直視した、その瞬間──。

 

 

 ──お前は、よく学ぶものだな。我が弟子ながら感心するよ。もっとも、師がよいのだろうがな。

 

 ──ほう、ついに彗星アズールを自力で改良出来るまで成長したか。我が弟子よ、誇っていい。魔術の中でも伝説と謳われた秘術を弄れるのは、早々いない。

 

 ──師弟とは、必ずしも同じ道を行かぬものだ……。だがそれでも、私はお前に願う。我が弟子よ、輝石魔術の、その源流の復興を手伝ってくれないか? 私と共に、歩んではくれないだろうか? 

 

 ──忘れないでくれ。お前が王になろうとも、私はお前の師だ。お前は、私の可愛い弟子だ。そんなお前だからこそ、私は師として──いや、一人の女として……。

 

 ──う、うう……わ、我が、弟子よ……あ、ああ……。

 

 

 突如、俺の脳内に溢れ出した、存在しない記憶。

 セレンさんの被り物──輝石頭というらしいが──無数の輝石頭で出来た塊に、敬愛している人が変貌してしまう未来。

 そのショッキングな光景に思わずドバっと涙が溢れた。

 

 裸眼でもかなり制御できるようになった解析眼だが、何故か時々バグることがある。

 ラニ様の未來視や、ラーヤの蛇人の件然り。

 そして、この時セレンさんの──いや、セレン師匠の未来を視て確信した。

 解析眼がバグる時、それは未来において、俺にとって重大な出来事が起こるのだと。

 

「よかろう。奴には貸しがあるからな、知りたいことを教えてやろう……なぜ泣いているのだ?」

 

「ご主人さま、どこかお加減が……?」

 

「な、なんでも、ないでしゅ……ずずっ……! ふぅ、ボックも心配かけたな」

 

「不思議な男だな……さて、カーリア王家の運命は星によって動く。お前の仕えるラニの運命も同じことだ」

 

 再び目隠しをしながらずびっと鼻をすする俺にセレン師匠が説明してくれる。

 

「だが、かつて将軍ラダーンが流れる星に立ち向かい打ち砕いた時、星の動きは封じられた。あの男は、星の封印なのさ」

 

 だから、将軍ラダーンが死する時、星もまた動き出す。きっとラニの運命もな。

 そう言葉を続けるセレン師匠になるほど、と神妙な顔で頷く俺だが、頭の中はハテナで埋め尽くされていた。

 星が運命を動かす? 星って、空に浮かぶ星だよな? 

 えっ、何かの比喩? 

 

「言葉通りの意味さ。黄金律により律せられる前は、星と月は運命を導くと言われていた。狭間の地の外では星々で占う呪いがあるそうだが、案外似ているのかもな」

 

 そう言われるとしっくり来た。なるほど、星座占いも未来を予見するのだから、星が運命に関わるのは強ち間違いではないのか。

 月はどう関わるのか知らんけど。

 

「それはそうと、ごく私的なお願いなのですが……俺に魔術を教えてくれませんか?」

 

 俺の言葉に顔を上げるセレン師匠。目隠し越しだとマスクの中まで透視することが出来ないが、少し驚いているような雰囲気がする。

 

「ほう、輝石の魔術を学びたいと。正直、あまり向いてないように見えるが……」

 

 滅茶苦茶視線を感じる。主に後ろから。

 また女を増やしたとでも思われてるんだろうなぁ。

 

「素質がすべて、ということもないだろうが、師は慎重に選ぶべきだぞ。私はレアルカリアの学院を追放されている。忌避すべき異端の魔女としてな、それでもよいのかな?」

 

「貴女じゃなきゃ駄目なんです。お願いします、セレン師匠!」

 

「ほ、ほう。私じゃなければ駄目と来たか。ふむ、君は存外見る目があるようだな」

 

 師匠呼びに感じるものがあったのか、口の中で転がすように何度も「師匠、セレン師匠か……」と呟く。

 大抵の魔術は扱えるこの体だが、魔術とは何なのか、どういう術理で発動するのか、その辺の知識は皆無だ。

 何となく感覚で扱える魔術を、確かな知識の元扱えるようにしたい。

 そうすることで、発動までのプロセスを最適化することで無駄なリソースを省き、より速く術を発動させる。そんなことを以前から画策していたのだ。

 ただ問題なのは、誰に師事するか。ラニ様から学ぶことも考えたが、仕える主君に教えを乞うのは何だか恐れ多い。

 だから漠然と円卓の魔術師ロジュールから学ぶかなー、と考えていたのだが、俺の師匠はここに居たのだ──。

 

「……よかろう。お前の師となり、輝石の魔術を教えよう。だが、私は厳しいぞ。優しい言葉など掛けてはやらん。後悔しないことだな」

 

「はい師匠!」

 

「フフ、師匠か……フフっ」

 

 セレン師匠は、ご機嫌のようだ。

 ちなみに師匠は青い瞳に黒髪の涼やかな美女でした。

 ごちそうさまです!

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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