エグズキスに見送られながら先を行くと、件のデカ犬たちに遭遇。
こちらに気付いた様子はなく一心不乱にお食事中だったため、いつものように【エーゴンの大弓】でぶっ殺しながら目と鼻の距離にある物見櫓へ向かうと、凄まじい光景が広がっていた。
赤獅子城の野営があるのだが、そこの兵士たちが殺したと思われるデカ犬たちの死体が山積みとなった状態で火に掛けられているのだ。
それも一つや二つではなく、五つも山がある。
しかも積み上げたその上から槍で串刺しにしており、デカ犬に対する深い怨みが見て取れた。
今もデカ犬と殺し合っている兵士たちがいるのだが、ゴドリックの兵とは違い統率の取れた動きで、四人一組になって犬を撹乱、滅多刺しにしている。
瞬く間に駆逐されたデカ犬は、まだ火をつけていない犬の山に放り込むと、首に槍を突き刺して串刺しにしていく。
殺意高いなぁ、と思いながらその光景を眺めていると、風を切る音が聞こえてきた。
咄嗟に刀を抜き、飛んできた矢を打ち払うと、法螺貝のような音が鳴り響く。敵襲を知らせる合図だ。
音の出所は物見櫓。見上げると、弓兵がこちらに狙いを定めている姿が確認できる。
「見つかったか。行くぞメリナ、ボック!」
「えぇ」
「はい、ご主人さま!」
犬を殺していた兵士たちが続々とやって来る中、まず物見櫓にいる弓兵を始末する。
メリナに前衛を任せて、ボックとともに櫓の兵士たちを素早く射貫く。使っている弓の性能の差が激しく、後から射たのにこっちの矢が先に届いた。
弓兵を始末したら、メリナたちと一緒に櫓の上に登り、追いかけて来ようとする兵士たちを上から一方的に射貫いていくが。
敵も馬鹿ではないためすぐに退いて行った。
矢が届かない訳ではないが、この場合は弓で始末するより魔術の方が適している。立ち位置的にも有利だし。
物陰に隠れている兵士たちだが、広域魔術である【創星雨】で一網打尽だ。
上空に展開された暗黒の雲から凄まじい勢いで輝石が降り注ぐ。
天幕を突き破り、地面に小さなクレーターを作るほどの威力を秘めた輝石の雨は一兵たりとも逃さず。
完全に沈黙するまでの間、豪雨のように降り続けた。
倒した敵兵を一か所に集めた俺は、彼らに火を付ける。本当は土葬にしたかったんだけど、此処の土は汚れすぎているから。
ゾンビになってまで城を守ろうとするんだから、きっとこの兵士たちもラダーン将軍に忠誠を捧げていたに違いない。
彼らに安らぎが訪れるように黙とうを捧げた俺は、櫓の脇にある祝福に触れた。
目の前には石造りの橋があり、その向こう側に大きな城が見える。あれが赤獅子城だろう。
目的地をすぐ目の前に控えた俺たちだが、もう空は暮れている。今日は此処で休もう。
「さて、と。そろそろ教えてもらおうかメリナ。俺の素性を知っているんだろう?」
夕食を終えて一息をついた後、いよいよ本題に入る。
優雅に口許を拭ったメリナは「分かってるわ」と大きく頷くと姿勢を正した。
俺も背筋を伸ばして傾聴の姿勢を取ると、空気に当てられたのかボックも神妙な面持ちで居住いを正す。
「私も全部を知っている訳ではないわ。人から伝え聞いた範囲になるけど、それでもいい?」
「もちろん」
俺の返事に頷き返したメリナが口を開く。
そして、語られる真実は俺の予想を大きく上回るものだった──。
1
黄金樹がこの地に根付く前。
女王マリカが狭間の地にやって来る前は、竜の神が居たと言われているわ。
破壊と創造を司る竜の神。竜王プラキドサクスを従えていた神竜は、ここ狭間の地に君臨していたのだけれど、ある時を境に居なくなってしまったの。
一人の人間の子を残して。
子供の背中には竜の形をした痣があって、その緋色の瞳は全てを見抜いたと言われているわ。
過去・現在・未来、考えていることや本人の知らないことまで、ありとあらゆるものを見抜く、まさに神の眼ね。
神竜に番は居なかったから、その子供を神竜の生まれ変わりだと信じた竜王プラキドサクスは、その子を主として崇め、敬い、従い。
他の竜たちも子供を御子と呼び、信仰した。
御子も竜たちを家族のように慕い、多くの加護を彼らに与えたと言われているわ。
具体的にどんな加護を与えたかまでは分からないけど、古竜と呼ばれている竜たちは皆、彼の加護を受けた『祝福されし者たち』よ。
その力は他の竜種を寄せ付けないほどで、一説によるとデミゴッドすら上回ると言われているほどのもの。
狭間の地に君臨していた古竜たちだけど、御子が現れて以降下界に干渉するのは最小限にして、御子の元で静かに暮らしていた。
けれど、それは唐突に終わってしまう。
竜王プラキドサクスに匹敵する力を持つ暴竜ベールが、竜王に反旗を翻したことで内部分裂が起きたの。
竜王派と暴竜派で分かれた竜たちは、血で血を洗うような壮絶な戦いを三日三晩繰り広げたらしいわ。
何故、暴竜ベールが反旗を翻したか、それは分からないけど、一説によれば御子の寵愛を独占する竜王プラキドサクスへの嫉妬って言われてるわね。
そう。嫉妬のあまり謀反を起こした、というわけ。当事者である御子本人の心情は察するに余りあるわね。この説が正しかった場合の話だけども。
竜王派と暴竜派の戦いは、竜王側の勝利で終わった。
暴竜ベールと彼の眷属である飛龍たちは楽園を追われることになるのだけれど、それでも怒りが収まらない竜王は人間たちに『竜餐』という儀式を教え広めた。
竜餐は、竜の心臓を食べることでその力を得る儀式のこと。
竜王はベール一派に罰を与えるため竜餐を教えたのだけど、竜の心臓はなにもベールたちのものでなくてもいい。
そう、竜王派の竜たちも竜餐の餌食になってしまったの。
御子の加護を得ていた古竜以外の若い竜は、皆乱獲されてしまったようね。
一方、ベールの眷属である飛龍たちはその後も続々と数を増やし、今では数が逆転してしまった。
この事は竜王にとっても誤算だったでしょうね。
話がズレたわね。
暴竜との戦いに勝った竜王だけれど、更なる仕打ちが彼を襲った。
御子が姿を消したの。神竜が姿を消した時のように、御子も竜王の元を離れた。
二度も見放されたのが余程堪えたのでしょうね。以来、竜王は時の狭間で深い眠りについていると言われているわ。
2
「狭間の地には様々な種族がいるけれど、緋色の眼をした生き物は誰もいないの。御子を除いて」
そして、その御子の背中には竜の痣、竜印がある。
つまり──。
「俺が、その御子なのか……」
メリナが語ってくれた話は予想以上に壮大なスケールで、本当に俺のことか疑問が残る。
が、御子の特徴が見事に合致しているし、アデューラやエグズキスに対し抱いた親愛や慈しみの感情にも納得がいく。
カンストステータスや入手経路不明なポーチの中身から、壮絶な過去を背負っているとは思っていたが、そもそも人じゃない可能性が高いというね。
「オイラのご主人さまは、そんなすごいお人だったんですね……」
「ね。俺もビックリだよ。全然記憶にないから他人事な感じがするけど」
相変わらずこの体の記憶は戻らないから実感がない。俺の過去だというのに他人の過去を知ったようで「へー」って感じだ。
でも、もし俺が竜の化身だったなら胸が踊る。
いつかアデューラやエグズキスのように竜に変身したいなー。と軽い気持ちで話すと、メリナはしれっと「出来るわよ」と言った。
「完全な竜になれるかは分からないけれど、少なくとも体を竜の一部に変身させることは。実際に竜の腕や頭に変化させてゴドリックを倒したのだし」
「そういえばそうだった。……マジか」
当時、ゴドリックがやらかした何かにぶちギレた俺は、怒りに身を任せて暴走した。
メリナの話によると体を竜の一部に変身させて、ブレスを吐いたり強靭な爪で薙ぎ払ったりなど色々と無双をしたらしいけど。
えっ、本当に変身出来る可能性が……?
「記憶が戻ったら他にも出来ることが増えそうね。古竜に与えていた加護も気になるし、神竜が司っていた風と雷や、破壊と創造も扱えるかも」
「マジか」
今でもチートなのに、まだ余力を残してるのかこのボディは。
風と雷はともかく、破壊と創造ねぇ。この辺りは今一イメージがしにくいけど、ヒロ○カの死○木や、○りのような感じか?
覚醒フラグを建てるためには修行パートを挟まないと駄目かもしれんな。
最強のデミゴッドとの戦いを控えている中、今頃になって修行編に突入するのは無理がある。
修行パートを挟んでから戦祭りに参加するべきだったかもしれない、と若干の後悔を残しつつ、いつの間にか寝息を立てているボックに、掛け布団代わりの布を被せるのだった。
エルデンリングはどこまで知っている?
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ストーリー考察含めて大体熟知している
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本編クリア済だが難しくてよく分からん
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本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
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大雑把な概要だけ知ってる
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タイトルは聞いたことがある