※この作品はR-18です。

エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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第26話 戦祭り

 長いこと不明だった俺の素性が分かり「将来ドラゴンになれたらいいなー」と楽観的希望を抱いた翌日。

 いよいよ戦祭りに参加すべく赤獅子城へ突入だ。

 石畳の大橋には馬防柵が設置されており、飛び越えたり躱したりなどしていると、燃え盛る岩が飛んできた。

 投石機だろう。少なくとも三つはある。

 着弾すると手榴弾のように破片が飛び散るため、大きく避けて貰いながら橋を突破。

 武器を手に取る兵士たちの間を駆けて、一気に正門まで走るトレントだが、門は閉ざされていた。

 

「おっ?」

 

 背後から地響き。振り返ると、燃え盛る剣を手にした巨人が退路を塞いでいる。正門の上に待機していたのか。

 トレントから降りた俺は、祈祷術【黄金樹の誓い】を発動させてメリナを顕現させると、ボックに後衛を任せて前に出た。

 

「時間は余り掛けられない。速攻でいくぞ」

 

「ええ」

 

 剣を振りかぶる巨人に合わせて俺たちも動き出す。

 猟犬ステップで背後に回る俺と、横にステップを踏むメリナ。

 攻撃を回避すると同時に巨人の両足を潰しに掛かる。

 

「オイラだって……!」

 

 足元を薙ぎ払おうとする度にボックの弓矢が顔を襲うため、動きを阻害される巨人。

 あっという間に両足をズタズタにされた彼は、立つことが出来ず地に伏した。

 その隙を逃さずメリナが眼を、俺が首を狙いそれぞれの得物を振りかざす。

 

「――ッ!」

 

 絶叫を轟かせる巨人の首が体から分断され、光の粒子となって消えた。

 それにしても、どういう基準で死体が残るんだろうか。普通のゾンビ兵たちは倒しても消えたりしないし。

 そんな疑問を抱くのも束の間、脇の方を指さしたボックから「こっちから行けそうです!」との助言が。

 

「ナイスボック!」

 

 兵士たちの足は遅いためまだ此処まで辿りつけていない。今のうちに移動してしまおう。

 再びトレントを呼び出し騎乗すると、もはやお馴染みのポジションとでも言うようにメリナとボックが、それぞれ前後に乗り込む。

 櫓がある方面へ走り、崖沿いに沿って進んで城内に侵入。

 なるべく敵に見付からないように透視などを駆使しながら城の奥へ進んで行き、道中の祝福を経て広場に躍り出た。

 

「よかった、なんとか間に合った……!」

 

 広場には様々な武器や楯などが所狭しに置かれており、中には宙に吊り下げられているものまである。

 これから戦いに赴くのだと感じさせる様相を呈している中、参加するメンバーはたったの九人。

 その中の二人は既知の間柄だった。

 

「アレキサンダー」

 

「おお! 貴公、やはり来たのだな! 嬉しいぞ。俺の見込んだ通りだ」

 

 生きている壺ことアレキサンダーが、ゴツゴツした腕を組んで佇んでいた。

 俺の声に振り返ると相変わらず渋い声で手を振りながら近づいてくる。

 

「貴公は聞いているか? この戦祭りが、誰を送るものなのか。彼の将軍ラダーンというではないか! 最強のデミゴッド、そして破砕戦争最大の英雄と見えることができるとは」

 

 ラダーンと戦うことを知らなかったのか興奮した様子で話すアレキサンダーだが、その岩の腕は微かに震えていた。

 俺の視線に気付いたのだろう。震える手を見て言う。

 

「……ああ、俺は震えているんだ。恐ろしいのさ。だがこの戦慄こそ、挑むべき試練の証! 貴公も、見ていてくれよ。鉄拳アレキサンダー、決して臆さず、勇ましく戦い抜くと誓おう!」

 

 自分の未熟な心を隠さず誤魔化さず、受け止めた上で乗り越えるべき試練だと己を奮い立たせるアレキサンダーに、俺の好感度が爆上がりする。

 初対面の時もそうだったけど、本当にこのヒトは性格が良い。俺よりも人間性が優れていると思う。

 やっぱ好きだわこの壺。

 

「互いに生きて帰ろうな」

 

「うむ!」

 

 グータッチで互いの健闘を讃え合う。グータッチの文化はこの世界にもあるのね。

 次は、柱に寄り掛かりながら戦祭りが始まるのを静かに待つ、同僚の元へ向かう。

 ていうか、なんで此処にいるんだろうか。

 

「ブライヴ」

 

「ああ、お前か。来たんだな。役者も既に揃っているようだ」

 

「霧の森に居たんじゃなかったの?」

 

 ノクローンへの手掛かりを霧の森で探していたのでは?

 

「井戸のことか。もちろん行ったさ。だが、残念なことに収穫無しだ。転送門も、すべて試してみたのだがな……」

 

 力なく首を振るところを見るに、徒労に終わったか。

 

「新たな情報を集めていた時にラダーン祭りのことを聞いてな。これは一人の男として、参加せざるを得ないだろう」

 

「ラニ様関係ないんかいッ」

 

 てっきりセレン師匠のような賢者からアドバイスを貰ったかと思いきや、思いっきり私情だった。

 やっぱコイツ、バカ犬だわ……。

 仕方ないのでセレン師匠から聞いた話を教える。

 

「……ふむ。星砕きのラダーンが、ラニの運命を留めていると。ならば尚更退くことなど出来んな。ラダーンの戦祭り、存分に挑ませてもらうとしよう」

 

 それは、ラニ様のためだよね? 己の闘争本能を満たすためじゃないよね?

 バカ犬だから後者であっても可笑しくない。

 内心、そんな失礼なことを考えていると、表情を改めたブライヴがいつになく真剣に言う。

 

「だが、死ぬなよ。ラニのためにも」

 

 ……。

 あーもー、こいつはもう!

 

「また、共に戦うことになるとはな。フフッ、存外悪くない」

 

 俺も悪くないって思っちゃうところが、コイツのズルいところだよな、ホント……。

 そんな同僚の憎めない一面に身悶えしていると、見知らぬ声が。

 

「お主も俺と同じ葦の地出身――では、ないようだな」

 

 振り返るとそこには、俺と同じ白備えシリーズを身につけた男が一人。

 背丈は一八〇センチほどか。爺面をつけており、腰には一振の刀と脇差し。背中には十文字槍。

 俺が愛用している白備えシリーズの本来の持ち主かもしれない。

 

「俺は葦名。ただの戦狂いよ。俺と同じ白備えだから、ついな」

 

 アレキサンダーとはまた違った渋い声だ。

 透視してみると、三十代半ばのアジア系といった感じ。葦名という名前といい、この顔立ちといい、絶対にこの世界の日本人枠だろう。

 殺気ではないが、どこか緊張感を漲らせている。だけどそれは、これから戦祭りを控えているから、というよりも常在戦場といった感じで。

 日本の武士や侍ってこんな感じなのかもしれない。

 

「お主を含め、此処に集う者は皆、強者たち。戦が楽しみになってきたわ。カカカカカッ!」

 

 豪快に笑う葦名さん。この人もアレキサンダーのように見ていて気持ちの良い御仁のようだ。元日本人として個人的に親睦を深めたいな。

 無事に生き延びたら酒でも振る舞おうかと、ポーチの中を漁っていると。

 

「勇者たちよ、よくぞ参った! 星辰は満ちた、これよりは祭りの時間よ!」

 

 高台の方から声が上がった。

 声高に演説をするのは蓄えた髭が特徴のお爺さん。

 手にした剣を地面に突き立て、この場に集った猛者たちに檄を飛ばす。

 

「破砕戦争最大のデミゴッド、将軍ラダーンは今、おぬしらを待っている。勇者たちよ、戦いたまえ! 誉れと共に大敵を葬り、大ルーンをその手にするがよい! さあ、戦祭りじゃ! ラダーン祭りじゃ!」

 

 その言葉に気炎を上げる参加者たちは我先にと駆け出し、奥の方にある昇降機へ向かった。

 アレキサンダーや葦名さんも軽い足取りで後に続く。

 

「彼の英傑、将軍ラダーンと拳を交わす日が来ようとは。まさに戦士の誉れよ。ワッハッハッ!」

 

「神の子を斬るのはこれが初めてだが、さて。俺の剣がどこまで通用するか、試させてもらおう」

 

 ブライヴも「先に行くぞ」と殺る気満々で追い越して行った。

 俺は、皆を見送るお爺さんに用がある。

 

「此処にいる二人は見学でもいいですか? 俺は参加希望ですけど」

 

 元々、メリナとボックは不参加という方向で話は決まっていた。ボックは明らかに力不足だし、メリナもラダーンには勝てないと本人が自覚している。

 なので、二人は此処で戦いの行く末を見守ってもらう予定だ。

 此処なら見晴らしが良いし、俺たちの戦いも見えるだろう。

 メリナとボックに視線を向けるお爺さん。鋭い眼光は幾多の死線を潜り抜けてきた戦士のそれで、明らかに強者の風格を纏っている。

 このお爺さんは参加しないんだろうか?

 

「勇者のみがこの場に集うことを許されるのだが……まあ、祭りを見届ける者が居ても良いだろう。将軍の最期を見届けるのがジジイ一人では、ラダーンからも文句を言われるやもしれんしな」

 

 存外、優しい声音で許可してくれた。

 お爺さんは参加しないのか聞くと、彼はどこか淋しそうに眉をハの字にする。

 

「……儂はしがない、古い戦士。見取り人じゃ。勇者ではない」

 

 もしかしたら、お爺さんはラダーン将軍と旧知の仲なのかも。

 戦祭りも彼が主催のようだし。

 

「祭りの前に伝えておこう。将軍ラダーンは、ずっと彷徨っている。マレニアの朱い腐敗に、体の内から蝕まれ正気を失い、かつての敵、そして味方の死体を集め、犬のように喰らい……空に慟哭しているのじゃ」

 

 どこか哀れむような目で眼下を見下ろすお爺さん。

 城の目と鼻の先には広大な砂丘が広がっている。

 破砕戦争からどれ程の月日が経ったか分からないが、数十年もの間ずっとこの荒野を彷徨っているのか……。

 ラダーン将軍の戦争は、まだ終わっていないのかもしれない。

 

「この先の昇降機から戦場に――砦の下の海岸に向かうがよい。将軍ラダーンは、今もそこにいる」

 

 将軍に誉れある死を与えてやってくれ。

 小さな声でそう呟くお爺さんに黙礼した俺は、昇降機に向かった。

 目隠しの布を取る。

 

「やっぱ良いヒトっぽいな。助けられるなら助けたいが……」

 

 ただ腐敗に侵されているだけなら、エグズキスの時のように【黄金樹の癒し】で治せるかもしれないけど。

 完全に理性を失っているとなると難しいかもしれない。

 

 厳しい戦いになるなと、気を引き締めた俺は、転移門に触れるのだった。

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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