※この作品はR-18です。

エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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第32話 しろがね村

 ネフェリ・ルーとは現地で落ち合うことにした俺は、祝福でメリナたちが待つリムグレイブへ戻り、事情を説明してから【しろがね村】へ向かうことに。

 地図を見るとどうやらリエーニエに位置するようだ。ファストトラベルか出来なかったら再度ストームヴィル城を突っ切るところだったな。

 

 ということで、リエーニエの入り口付近にある祝福まで跳んだ俺たちは再度、湖に足を踏み入れた。

 村があるだけに湖の至る所にカエルと宇宙人を足して二で割った、しろがね人の姿が確認できるのだが、残念なことに彼らと意思疎通を図るのは難しい。

 というのも、人間に対する殺意がかなり高く、視界に入るだけで殺気を漲らせて襲ってくるのだ。

 

 腐敗の眷属の時のように対話を試みても、暴力という名の返事が返ってくるだけで。

 当然ながら俺としてもコイツらは敵認定。こちらからちょっかいを掛けることはないが、売られた喧嘩は軒並み買い取り、千倍にして返して来た。

 そんなバチバチに殺り合っている俺たちなのだから、村人総出での洗礼が待ち受けていると覚悟しながら、村へやって来たのだが……。

 

「これは、ひでぇ……」

 

 村へと続く坂道には、夥しい数の干からびた死体が転がっており、首を吊った遺体が至る所にぶら下げられていた。

 まるで見せしめのような光景に絶句した俺は、死体で彩られた道を恐る恐る進む。

 

「……狭間の地において、様々な亜人がいるけれど、しろがね人は亜人に分類されていないの。何故だか分かる?」

 

「えっ、見た目?」

 

「ある意味近いわね。それは、彼らの血が銀色だからよ。噂によると、しろがね人は太古の人々が人工的に作り出した存在らしいわ。その出自もあって、彼らは人として扱われることすらなく、忌むべき存在として差別され、尊厳も破壊されてきた」

 

「……」

 

「本来なら許される行為ではないことも、彼らが相手なら許される。だって人じゃないから。奴隷として生きる亜人でさえ人扱いされてるのに。ただ変わった出自で、血の色が違うだけだと言うのに、ね」

 

 現代でも黒人差別とかよくニュースで取り上げられていたし、行きすぎた多様化が新たな差別を生み出していたりするけど。

 血の色が違うから、生まれが普通じゃないからって理由で人外認定を──それも、世界規模での共通認識で差別しているとは……。

 前々から思ってたけど、この世界、かなりダーク過ぎない? 

 

「でも、普通どっかで暴動が起きるだろ。何の抵抗もしないとは考えられないけど……」

 

「……オイラ、聞いたことあります。しろがね人は三種類いるって。一種類は生まれながらの老人で、体が弱くて……もう一種類は綺麗な女性の人ですけど足が全然動かないんだそうです。そして、最後の一種類は健康な体だけど人ではない顔をしている……。湖に居たしろがね人ですね……」

 

「……生まれながらの半身不随か。大きなハンデを背負ってるな」

 

「一部では暴動が起きたらしいけど、みんな殺されたという話よ。女子供問わず、一族郎党皆殺し」

 

 初めから大きなハンデを背負っている上に、手痛いしっぺ返しを受けたのか。そりゃ心が折れるわな……。

 

「だとしても、この仕打ちは酷いな……」

 

 人権を無視され──そもそも人権という概念があるのか疑問だが──ているとはいえ、死体の数が多すぎる。戦争に巻き込まれた市民レベルの数だぞ。

 この世界の闇の一端に触れ、超ドン引きしながらも先に進むと、生き残りと思われるしろがね人を発見した。

 骨が浮き出るほど瘦せ細ったご老人。背中を丸めて正座のような状態で地べたに座りながら、力なく俯いている。

 

「あの、大丈夫ですか……?」

 

 流石に放っておけず声を掛けたのだが、俺の存在に気付いたご老人は奇声を上げながら手を振り回してきた。

 明らかに錯乱している。余程のトラウマを植え付けられたんだな……。

【回帰性原理】や【黄金樹の回復】を掛けてみたが、ご老人の発狂は止まらず、手を闇雲に振り回し続けている。

 もはや、防衛本能そのものだ。俺という存在が彼にとって非常にストレスになっているのだろう。

 

「……」

 

 下手に刺激しない方が良いと感じた俺は、錯乱し続けるご老人を尻目にその場を後にした。

 他にも生き残ったご老人たちを見掛けたが、先のように錯乱しそうな雰囲気を漂わせていたため、なるべく刺激しないように慎重に進んでいくと。

 

「……お?」

 

 古びた井戸の前で膝を着く光輝くご老人を見つけた。

 時たま見掛ける残留思念だ。初見の時では幽霊と勘違いしたっけ。

 

『──ワシらが、一体何をしたというんだ……。ただ、静かに暮らしていただけじゃないか……』

 

「……」

 

 お、重い。残留思念が重すぎる……。

 いや、こんな状況じゃ重くなるのも致し方ないけどさ。

 しろがね人、不憫過ぎて泣けてきたわ……。

 

 

 

 1

 

 

 

「──来たか、雷斗」

 

 祝福のあるボロ小屋の中にネフェリ・ルーは居た。

 壁際に立つ彼女の表情は険しく、少し殺気立っている。

 

「お前は、どう見る? この村の惨状を」

 

 その問い掛けは返事を求めるものではないように思えた。

 いつもの勢いで突っ走る脳筋な姿はそこになく、シリアスな雰囲気を漂わせているネフェリ・ルーは、歯軋りの音が聞こえるほどだ。

 

「幼き日、同じ光景を見たことがある。弱き者たちの蹂躙、略奪、殺戮を……人の世の悪夢を」

 

 強い情動をその内に秘めている。

 言葉で言い表すなら、憤怒。

 この惨状に、ただただ怒っている。

 

「──だが私はもう、あの頃の幼子ではない。時遅しとはいえ、せめて報いをくれてやろう。蹂躙の主たちにな……」

 

 剣呑な光を瞳に宿したネフェリ・ルーに一旦落ち着くように声を掛ける。

 その憤りは正しいし、俺もこの惨劇に感じるものはあるが、任務を忘れてはいけない。

 俺は困らないけど彼女は困るだろう、任務に失敗したら。

 

「……そうだったな。すまない、つい熱くなった」

 

 幾分か落ち着いた様子のネフェリ・ルー。

 そんな彼女の肩を叩いた俺は、愛刀を抜き放つと背後に向けて刃を振るった。

 

「心当たりがありそうな人がすぐそこに居るし。まずは彼から話を聞こうか、物理的に」

 

 俺たちの話し声に気付き、ノコノコとやって来たのはローブを纏った見るからに怪しい男。

 その手には分厚いナイフと、調香瓶という主に神経系の毒などを入れる試験管のようなものが握られている。

 その恰好には見覚えがあるぞ。堕落調香師と呼ばれる奴だ。

 大量虐殺現場に武器を持った怪しい男。職質どころの騒ぎではない。

 暗殺者の如く気配を消しながら近付いてきた堕落調香師だが、意外と俊敏に飛び退くとナイフを構えて見せた。

 

「この男が……」

 

「暫定犯人ってところか。生け捕りにするから殺すなよ」

 

「善処する!」

 

 そこは確約して欲しいな。

 片手斧の二刀流スタイルで襲い掛かるネフェリ・ルーの背中を見送りながら、俺も居合スタイルで後に続くのだった。

 

 

 

 ちゃちゃっと倒し尋問タイムに突入するも、堕落調香師は頑なに口を開かなかったので。

 男が持っていた調香瓶の中身(毒)を傷口に散布したり、【中身肉】というなんの中身なのかあまり考えたくない生々しい肉を無理矢理食わせたりして、漸く口を割った。

 男が言うには村はすでに壊滅状態で、自分が殺したのも精々数人程度。秘割符の在りかを聞き出すために村長の居所を聞いていたと言う。

 そう、コイツも秘割符が目当てだったのだ。

 何故、それを狙うのかという問いには、モーグ様が求めているから、という簡潔な内容でそれ以上のことは知らないみたいだった。

 モーグはデミゴッドの一人だと記憶しているが、何故モーグが秘割符を探しているんだろうな。

 まあ、主人のためとはいえ、罪のないしろがね人を殺した事実は変わらないため、死んだ彼らに代わり成敗しておいた。

 

「何だアイツ」

 

 途中、石橋を渡った先に般若のような面を被った大柄な男を発見したのだが、足元に転がっている夥しい数のしろがね人の死体を燃やしている。

 男は、刃の部分に小さな角がびっしりと並んだ異様な大鉈を手にしており、銀色の液体で刀身を濡らしていた。

 あの男が大量虐殺犯だろう。

 

「あれは、忌み潰し……!」

 

「忌み潰し?」

 

「狭間の地において、曲がり角を生やして生まれてくる子供は忌み子と呼ばれ、その角を切り落とす。大抵の忌み子はそれで亡くなってしまうが、たまに生き残る子供がいるんだ。そういった子供を殺すのが、忌み潰しだ」

 

 うわぁ、なりたくない職業ナンバーワンじゃん。

 でも、しろがね人は忌み子とは別枠の人たちだよな。なんで忌み潰しがいるんだ? 

 

「……分からん。が、分からないなら本人に聞けばいい」

 

「せやね」

 

 どっちみち大量虐殺犯だからとっちめないと。

 これで違ったら単なる間抜けだな俺たち、と思いながらも、手にした大鉈でしろがね人の遺体を細かく寸断する忌み潰しの姿を目撃。

 ハイ、死体損壊罪! 

 ということで、ギルティーフラァァァッシュ!! 

 

「ぐぁぁぁぁぁぁあああ! め、目が、目がああああああっ!」

 

 こっそりと背後に回っていた俺は、先の尋問の際に没収していて調香瓶の中身(毒)を直接目に振り掛けた。

 目は人体で唯一剥き出しになっている内蔵だ。良い目潰しになったぜ! 

 武器から手を放し悶え苦しむその隙を狙い、両足の腱を斬って立てなくすると、顔を覆うその手も手首から先を切り落とす。

 

「ぎゃぁああああああ!」

 

 コイツの飼い犬なのか、瘦せ細った犬たちがけたたましく吠えながら襲い掛かってくるが、ネフェリ・ルーの斧で頭をかち割られる。

 絶叫が煩いから仮面を取り上げて【中身肉】を口に突っ込み、持っていた紐で縛り上げていると、ネフェリ・ルーに詰め寄られた。

 どこか怒った様子の彼女の後ろでは、何故かドン引きした顔のメリナと涙目なボック。

 えっ、どうした? 

 

「その戦い方は戦士として相応しくないぞ!」

 

「コイツに戦士の在り方を示す価値があるんか?」

 

「……雷斗のために言っている。そのような卑怯な手段を用いていたら、風が泣くからな!」

 

 ふーむ。アマゾネスで戦士とての誇りを大切にしているネフェリ・ルーからしてみれば、奇襲や騙し討ちなどは卑怯な手口に見えるのだろう。

 だけど、俺的には勝てばよかろうなのだ! のスタンスだからなぁ。俺は負けても失うものは何もないけど、普通はそうではないし。

 だが、風が泣くなら仕方ない。ネフェリ・ルーと行動を共にするときは、なるべく彼女のスタンスに寄せるか。

 これも、男の甲斐性が試されてると言えるのか……? 

 

「──さて。いつまでももごもご言ってんじゃねぇ!」

 

「ぶぺっ!?」

 

 口紐を緩めてからビンタをかますと、中身肉がすっ飛んで行った。

 相変わらずキモイぶよぶよさだぜ。ピクピク蠢いている上に何故か怨霊がびっしりとこびり付いてるし……。

 あ、男の口にも怨霊の残り滓が。……このくらいなら人体への影響はそこまで無いようだし、このままでいっか。

 精々、下痢をする程度で。

 

「お前さんには聞きたいことがある」

 

 さあ、愉快な尋問の始まりだ! 

 

 

 

 2

 

 

 

 先の堕落調香師に比べて中々口を割らなかった忌み潰しだが「喰わせるぞコレ」と中身肉を取り出すと素直に口を開いた。

 彼曰く、しろがね人は忌み子ではないが、その命は穢れており本質的には忌み子と変わらない。故に、忌み潰しは穢れた者である忌み子やしろがね人、混種などを殺すのだという。

 彼が此処にいる理由としては、とある褪せ人に依頼されたためらしい。

 

「その依頼主の名前は?」

 

「……知らん。だが、百智卿とか言われていたな」

 

「なに!?」

 

 忌み潰しの言葉に目を剥いて驚くネフェリ・ルー。

 知り合いだろうか……? 

 

「…………百智卿は、我が義父の二つ名だ」

 

「……ほぅ」

 

 苦虫を嚙み潰したよう顔でそう呟く彼女の言葉を聞いて、自然と俺の声も低くなる。

 ていうことは、この惨劇の大元はギデオンにあるわけか。何かと気に食わない男であったが、まさかここまで堕ちた存在だったとはな。

 そして、その現場に自分を尊敬してくれている愛娘を派遣する外道っぷり。どんな反応を示すのか、分かっているだろうに。

 取りあえず、聞くべきことは聞いたので、褒美として中身肉をプレゼントだっ! 

 

「んむぅうううううッ」

 

「そんでもって打首じゃい!」

 

 多分激マズな中身肉に目を剝く忌み潰しの首を、一刀のもと刎ねる。

 遺体はコイツが燃やしていたしろがね人と一緒に火葬しておこう。

 環樹を賜ることが出来たなら、来世では小市民としてひっそりと生きるんだな。

 環樹じゃなかった場合? 首無しアンデッドとして彷徨ってろ! 

 

「まさか、義父が、そんな……」

 

「……今は何も考えない方がいい」

 

 酷くショックを受けた様子のネフェリ・ルーをそっと抱き寄せた俺は、そう呟いて頭を撫でた。

 今は何も考えないで任務に集中するんだ。そう声を掛けると彼女は無言で小さく頷いた。

 

「まだ生き残りがいるかもしれない」

 

 道中で吊り橋も見掛けたし、ここに辿り着くまでの間に数名のしろがね人の老人も確認できた。

 まずは生存者の救出からだ。

 

「……なぜ服を脱ぐんだ?」

 

「そりゃ勿論、敵意がないことを示すためさ」

 

 鎧姿で武装した奴が近付いてきたら警戒の一つはするだろうし、こんな惨劇の後じゃ動揺もするだろう。

 そりゃ錯乱するのも無理はない。発狂させてしまったご老人には申し訳ないことをした。

 

「なるほど。雷斗の話も一理あるな。では、私も……」

 

「こらこら、ネフェリ・ルーは脱がんでいい! 武器だけ預かっておくから」

 

 軽装だからそのままでいいだろう。

 それに、いくら老人といえど野郎にネフェリ・ルーの肌は見せん! 

 と、いうことで褌一丁になり兜も外した俺は、完全に丸腰の状態で要救助者の捜索を開始するのだった。

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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