※この作品はR-18です。

エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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第42話 騎竜選手権

 目的地を尋ねたところ、ターゲットの二本指はリエーニエの南西に位置する【マヌス・セリア大教会】の地下にいるらしい。

 そこへ向かうには、俺たちが使ったルートとは違う道筋でノクローンに行かなければならないのだが、これが非常に遠回りかつ陰気臭い場所をいくつか通るとのことだった。

 

「ラニ様は今、どちらにいらっしゃるんですか?」

 

「私か? そうさな⋯⋯教えてもいいが、それではつまらん。追いついたら、褒美をやろうではないか」

 

「征きます」

 

 ラニ様のお言葉にやる気スイッチが連打された俺は、ミニラニ様から伸びる魔力糸を、透視+千里眼で辿る。

 必要以上に情報を入手してしまうため、普段はこの使い方はしないのだが、ラニ様のご褒美があるとなれば話は別だ。

 キリキリと痛む頭を気力で我慢しながら、現在地から先を視る。気分はさながらストリートビューか。

 道中で見掛ける地底人やよく分からん巨大モンスターなどは無視して、ただただラニ様の魔力糸を辿っていくと。

 

「──視えたっ」

 

 現在、ラニ様はノクローンにいらっしゃる。水銀スライムこと銀の雫たちを相手に魔術で無双しているのが視えた。

 地図を開いてルートを書き込んでいると、肩に乗ったミニラニ様のため息混じりの声が。

 

「⋯⋯お前のその眼は反則級だな。すべてを見透す緋色の瞳は健在か」

 

「視え過ぎるのも問題ですけどね。ところでラニ様、追いつくどころか追い越した場合はどうなります?」

 

「⋯⋯ここから私を追い越すのは考え難いが、雷斗のことだしな。そうさな⋯⋯もしも。可能性は億に一つよりも低いが、仮に私を追い越せたなら。その時はとっておきの秘宝をくれてやろう」

 

 その言葉にニヤリと笑む。

 例え可能性が那由多の彼方にあろうと、俺には十分過ぎる! 

 

「──跳ぶぞ!」

 

「む?」

 

 声高にそう叫ぶと、メリナとボックが俺の体に触れた。

 訝しむラニ様に一言告げて、その小さな体を掴み祝福に触れ、ファストトラベルを行う。俺の体に触れていれば褪せ人でなくても祝福へ跳べるのだ。

 向かう先はラニ様の魔術師塔。

 初めてのファストトラベルにラニ様は「これが噂に聞く、祝福渡りか⋯⋯。それにしても、まさかもう一度此処に戻る羽目になるとは」と苦笑気味。覚悟を台無しにするようで、ごめんなさい! 

 

「おーい、アデューラ!」

 

 メリナとボックにその場に残ってもらうと、外で番犬ならぬ番竜をしているアデューラを呼ぶ。

 呼ばれたアデューラは嬉しそうに喉を鳴らしながら近付いてくると、肩に乗ったミニラニ様に気付いたのだろう。

 どこか困惑した様子の目を向けてきた。

 

「アデューラか。思えばお前との縁も不思議なものだ⋯⋯。こうしてまた、お前の前に現れる羽目になったのも奇縁によるものだが」

 

「グルルル⋯⋯」

 

 そのやり取りで今生の別れは済ませたっぽいのを悟るが、聞かなかったことにする。

 改めて、この地にやって来た理由。それはアデューラに、ある頼み事をするためだ。

 

「アデューラ。知り合いの竜がいたら、招集を掛けてくれないか? そうだな⋯⋯ケイリッド以外で」

 

「グォオオオオン?」

 

「あー⋯⋯いや、竜王たちはいいや。ていうか、竜たちの楽園って狭間の地にあんの?」

 

「グォォォオオオオ」

 

「マジか。アデューラたちも行ける? あ、ダメそう?」

 

「⋯⋯さすがは竜の御子。アデューラの声が解るか」

 

 ドラゴンであるアデューラと普通に会話する俺たちに、感心した様子のラニ様。

 まあ、人間のように単語とか具体的なことは分からんけど、ある程度伝えたい内容は解る。

 俺の頼み事に大きく頷くアデューラだが、思い出したようにラニ様の顔色を伺った。

 ラニ様の騎士としてしっかり主にお伺いを立てる。その誠実な姿に俺の中でアデューラの株が上がる。

 

「ラニ様、アデューラをお借りしても良いでしょうか?」

 

「ふむ。何をしたいのか皆目見当がつかないが、面白い。アデューラ、以後は私に気を使わなくていい。御子殿の指示に従え」

 

 ラニ様のお言葉に小さく頷いたアデューラは、早速翼を羽ばたかせてテイクオフするのだった。

 

 

 

 1

 

 

 

 それから約三十分後。

 ラニ様の魔術師塔の前は荘厳な光景が広がっていた。

 

「すごいわね⋯⋯」

 

「ひぇぇぇ! お、恐ろしくて、オシッコ漏れちゃいそうです⋯⋯!」

 

 眼前の光景に開いた口が塞がらないメリナ。

 生存本能が警鐘を鳴らしているのか、血の気の引いた顔で今にも卒倒しそうなボック。

 影に控えたアレクトーも「これが竜の御子としての御威光か⋯⋯」と感嘆の声を漏らしており。

 平常心なのは俺の髪をモシャモシャしてフローズン・レーズンを強請っているトレントくらいだ。

 

「こう見ると壮観だな⋯⋯」

 

 肩に座したミニラニ様の言葉に一つ頷いた俺は、声を大にして叫ぶ。

 

「諸君、よく集まってくれた! 初めましての顔もチラホラ見えるが、改めて。諸君らの御子を務める雷斗である!」

 

 俺の言葉に、この場に集った()たち──総勢六匹の竜が咆哮を上げる。

 まるで狼の遠吠えのように長く尾を引く雄叫びは、重ねに重なり衝撃波となって周囲を襲った。

 慌てて俺とラニ様、メリナで障壁を張らなければ、今頃ラニ様の魔術師塔は跡形もなく吹き飛んでいたことだろう。

 現に、近くにあった遺跡跡はものの見事に消し飛んだし。

 

「シャアァップ! 喜んでくれて嬉しいが、後ろは我が主が座す魔術師塔だ。ハウリングボイスは控えめにお願いするぜ」

 

「「「「「「グォオオオ」」」」」」

 

 一斉に頷いたドラゴンたちに頷き返した俺は、初めて目にする()にこちらの事情を説明する。まあ、共通認識ってやつだ。

 

「諸事情あって今の俺は記憶喪失なんだ。だから、諸君らと過ごした日々は残念ながら覚えていない⋯⋯が、諸君らの御子を辞めたつもりはない! 今は成すべきことを優先しているが、すべてが片付いた時は再び、御子としての責務を全うするつもりだから、そこんとこ、よろしく頼むぜ!」

 

「「「「「「──────ッッ!! (再びのハウリングボイス)」」」」」」

 

「シャアァップ!」

 

「「「「「「⋯⋯」」」」」」

 

 ノリの良い()たちに俺の気分もアゲアゲ。気分はロックンロールするロックスターである。

 ていうことで、今回のイカしたメンバーを紹介するぜ! 

 

 ケイリッドからやって来たのは、元腐れゆくエグズギスことエグズギス! 竜の心臓を喰らい彼らの力を我が物顔にする、竜餐を狙う褪せ人たちを屠る、竜餐絶対赦さないドラゴン! あと、竜餐を広めた竜王も絶対に赦さないらしい! 

 そして、ニューフェイスの飛竜グレイル! 古の盟約により獣の神殿を護る番竜! なお、性別雌の可愛らしい女の子なので、後で竜の御子による加護を与えたいとおもいます! 

 

 次いで、リムグレイブから馳せ参じたのは飛竜アギール! こちらも初めましてになるのかな? 真っ先に出会うのは俺様の筈なのに、と何やら落ち込んでいるが、まあドンマイ! それはそうと、キミは雄だから加護なしね。余程の功績を挙げるか、男の娘になってから出直しな! 

 

 続いて、リエーニエからはラニ様の騎士こと輝石竜アデューラと、同じく輝石竜のスマラグの参加だ! スマラグとは初めましてだね! 

 アデューラと言えば、ラニ様との対決で敗北し、その後、彼女に誓いを立てて忠誠を誓った、忠義のドラゴン! 元々は魔術師喰らいとして名を馳せていたらしく、その一環でラニ様と対決したとのことだ。魔術師は皆、輝石を追い求めるもの。故に、彼らを一杯パックンチョしちゃったアデューラは、その輝石に体を蝕まれていったのだ! 

 そして、アデューラと同じく魔術師喰らいのスマラグも、同じ原理で輝石竜に! 普段は魔術学院レアルカリアの近くで日向ぼっこしているぞ! 同じ輝石竜だが、その実力はアデューラに及ばず。アデューラ先輩のように立派な竜になるんだと、健気で大変可愛らしい男の娘だ! ちなみにアデューラは姐御肌な雌である! 

 

 最後にエントリーしたのは、アデューラの声掛けに応じた、凍てつく霧ボレアリス! まだ未踏の地【アルター高原】のさらに奥、【飛龍たちの山嶺】からはるばるやって来た! 

 全身が凍りついた巨大な竜で、かつて竜の御子から加護を賜り、風と雪を操ることが出来るという、数少ない古竜の一頭! なお、普段は猛吹雪を伴って現れるらしいが、流石にこの場では控えてくれている! 俺に向けられる眼差しが、完全にお爺ちゃんのそれだが、その力は未だ衰え知らず! 

 かつて、火の巨人たちに喧嘩を売られた時は、絶滅一歩手前まで暴れ回ったとのこと! 穏やかなお爺さんほど、昔はヤンチャしてた法則か! ちなみに現在火の巨人は、山の隅っこでひっそりと暮らしているらしいぞ! 

 それともう一頭、大土竜テオドリックスにも声を掛けたようだが、空を飛べない溶岩土竜のため今回の招集は断念したらしい! でも呼びかけに応じようとしてくれてサンキュー! 

 

「今回、諸君らを招集したのは他でもない。今後、俺の旅に付き合ってくれる騎竜──つまりは、背中に乗せて目的地まで運んでもらいたいのだが……立候補する子、手上げてー」

 

 俺の言葉に全員──いや、一頭以外の竜が二足立ちとなり、小さな手を振り上げてアピールした。

 唯一立候補しなかったのは、アデューラ。同じ主人を仰ぐものとして、何度も顔を合わせた間柄だが。これは少々意外だ。

 他の竜たちも「手を上げないとか、お前マジ?」と言いたげな目を向けている。ていうか、ボレアリス以外みんな剣呑な目つきだし。

 手を叩いて殺気立つ皆を落ち着かせた俺は、出来るだけ優しい声を意識しながらアデューラに尋ねる。

 

「理由を聞かせてもらってもいいか? 別に立候補しなかったからって怒らないさ」

 

 そもそも頼む立場だし。竜の御子だからって理由で彼らを従えるのは違うと思う。

 なるべく対等な立場を意識したいのだが、彼らはデフォルトで自分たちを下に見てるからなぁ。

 

「ふむ……背に乗せるのは主と決めた人のみ。ラニ様に忠誠を誓った身故、御身であろうと。か」

 

 アデューラの真意を理解した俺は、思わず拍手を送っていた。

 

「素晴らしい……! 忠臣は二君に仕えず。ラニ様に忠を捧げたのであれば、ラニ様以外に仕えるのは明確な裏切り行為。二君など以ての外だ」

 

 嬉しそうに目を細めるアデューラだが、ボレアリス以外の竜たちは「えっ、そうなの!?」と言いたげな、ぎょっとした顔をしている。

 同僚の忠誠心の高さに感じ入った俺は、ラニ様にお伺いを立てた。

 

「ラニ様。是非、私からアデューラへ加護を与えたいのですが」

 

「……好きにしろ」

 

「ふふ、仰せのままに」

 

 アデューラにそこまで想われて嬉しいけど、素直になれない。

 そんな葛藤が手に取るように分かるような様相で、そっぽを向くラニ様に微笑んだ俺は、アデューラの前まで進み出る。

 顔を寄せてもらい、大きな鼻に手を当てた俺は、目隠しを取った状態で目を瞑った。

 

「──其方の忠道大儀である。故に、我から魔炎竜の名を与えん」

 

 自然と頭に浮かんだ言葉が口から滑るように紡がれると、俺の内側にある何かが、掌を通してアデューラに伝わる。

 すると、アデューラの体に変化が訪れた。

 体の至る所に生えた輝石が風化するように崩れていくと、一際大きな輝石がアデューラの頭部に生え、まるで尾ひれのように規則正しく尻尾に向かって生えていく。

 それまでは小さな輝石がデキモノのように頭部や胴体にびっしりと生えていたが、大分スマートになった。ていうか、普通にカッコいい⋯⋯。

 アデューラも自身の変化を感じたのだろう。幾分か身軽な動きで体のチェックをすると、嬉しそうに咆哮を上げる。

 

 そして、その光景を目の当たりにした他の竜たちの羨望の眼差しが。

 元々加護を与えられていたボレアリス以外、みんな目をキラキラさせてこっちを見てくるし。

 ええい、こっち見んな! 誰彼構わず加護を与えるつもりはない! 加護が欲しけりゃ相応の何かを示せぃ! 

 

「では、これより第一回騎竜選手権を開催します!」

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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