※この作品はR-18です。

エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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第5話 裏切者

 カーレから貰った地図を頼りに商人たちの元を訪れた。

 最初は「ダリヴィル? 知らないな」と口にしていた商人たちだが、カーレからの紹介だと分かると「あの猟犬騎士なら○○で見かけたぜ」やら「あの犬っころだろ? アイツなら○○に向かってたぞ」と隠し持っていた情報を明かしてくれた。やはり商人は強かだ……。

 情報料としてルーンを渡し、ついでに気になる商品があれば購入したりして足取りを辿ること数時間。

 ようやく、ダリヴィルの居場所を突き止めた。

 

「此処にいるのか?」

 

 俺の言葉に強く頷くメリナ。

 辿り着いた場所は開けた空間。石造りの床には幾何学模様が描かれており、その中央の円盤は淡い光を放っている。

 その周囲を囲む形でミミズのような石が直立し、一つ目を文字通り光らせている。瞬きしないで直視し続けているのは、中央の円盤だ。

 メリナの話だと、封牢と呼ばれる隔離されたエリアに繋がっているらしく、結界みたいなもので封じられた者は決して外に出ることが出来ないのだと言う。

 なるほど。近くにいても特に反応を示さない石ミミズは、結界の役割を担っているのか。

 でも、誰が封じたんだろうな。

 

「取りあえず喚ぶか」

 

 ブライヴから渡された【白い秘文字の指輪】に魔力を通すと、瞬時に彼が召喚された。

 良かった、お取り込み中じゃなくて。

 

「俺を喚んだということは、見つけたのか……!」

 

 鋭い牙が生え揃った口から嬉しそうな声が飛び出す。コートに隠れて見えないが、もし尻尾があるのなら上機嫌そうに振っていそうだな、と感じながらこの封牢に居ることを教えてあげた。

 

「まさか封牢に居たとは……それにしても、この短時間で奴を見つけるとは、さては天才かお前」

 

「いや、アンタの探し方が下手なだけだと思うよ」

 

「むぅ……。以前、ラニにも似たようなことを言われた覚えがあるが、そんなに下手なのか俺は……」

 

 自分で探して見つけられるなら良いけど、そうじゃないなら人から聞いたりしようね。

 そうでなくても、ブライヴって方向音痴っぽいし。

 俺の言葉に神妙な顔で小さく頷いた狼男は咳払いを一つすると、改めて俺を見据えてきた。

 三メートルを超える高さから見下ろされるのって、中中な威圧感だな……。

 

「先に言っておく。これから封牢に乗り込むが手出しは無用だ」

 

「何で? 二人の方が勝率が上がるじゃん」

 

「これは俺と奴の問題だ。同じラニに仕える者だが、俺の手でかたをつける」

 

 毅然とした姿から梃子でも動かないと感じた俺はそれに了承する。

 見た感じブライヴは歴戦の戦士だ。猛者の戦いを目の前で見ることが出来るのだから良い勉強になるだろう。

 もちろんダリヴィルが俺を襲うなら正当防衛ということで反撃させてもらうが。

 その点を踏まえた上で、ブライヴとダリヴィルの戦いであると認識を擦り合わせた俺たちは、探し人が潜む封牢の世界へと跳んだ。

 

 

 

1

 

 

 

「ここが封牢の世界……」

 

 跳んだ先は先ほどと変わらない場所であったが、周囲を紫色の結界で包み込んでいる。

 封牢の世界なら顕現出来るようで背後には実体化したメリナがいた。

 突如姿を現したメリナの存在を気に掛けつつも、視線を前方に向けるブライヴ。

 俺もそちらに目を向けると、闇から這い出るように甲冑を着た人物が姿を現した。

 

「ようやく見つけたぞ、ダリヴィル!」

 

「クックックッ……。方向音痴のお前がよく此処に辿り着いたな」

 

 見つけたのは俺だけどね。

 

「お前ほどの男が何故ラニを裏切った!」

 

「裏切ったのではない、気付いたのだ。初めから知っていれば仕えなどしなかった! 最初に裏切ったのはラニ本人に他ならない!」

 

 言葉を交わしているうちにヒートアップしてきたのか、苛烈な剣戟を繰り広げるブライヴたち。

 メリナを背にした俺は、ヘイトを集めないように後方へ下がる。

 グレートソードを片手持ちしているブライヴは、小枝を振るうような気軽さで剣を振るっている。本来は両手で持つ武器なんだが……。

 豪快なスイングから生じる風切り音が、離れた位置にいるこちらまで聞こえてくるんだけど。

 

「主を亡くし、当てもなく彷徨っていたお前を迎え入れたラニが! 何を裏切ったというのだッ!」

 

 対してダリヴィルは、四肢を躍動させ獣のような素早さでブライヴを翻弄していた。

 武器は波打った刀身が特徴の大曲剣と鉤爪。剣を隠すように背負い、爪で牽制しつつ低い姿勢から繰り出される剣でブライヴを攻撃している。

 互いの実力は拮抗しており、激しい火花を散らしながらも有効打を入れられていない。

 そして戦闘スタイルが特殊過ぎて参考になりません!

 

「ならば教えてやろう! そして貴様も、俺と同じように失意の底へ落ちるがいいッ」

 

 そうして語られるラニ様の真実。

 手汗握る戦いよりそっちの方が気になる俺も、思わず唾を飲み込んだ。

 

「ラニは――ラニのオッパイは義乳だったのだッ!!」

 

 ……は?

 

「偶然、ラニの着替えを見てしまった時のことだ。奴は、オッパイを盛っていたのだ! しかもパットでッ!」

 

 熱く語り始めるダリヴィル。

 剣戟の苛烈さが増し、ダリヴィルがやや攻勢となる。

 

「華奢な姿からは分かりにくいが、ラニのバストはBカップ。普通であれば可もなく不可もなしといった半端なオッパイと断言しただろうが、ラニだからこそ絶妙のバランスが取れていてまさに黄金比と言っても過言ではなかった……。だが、あのオッパイは見せかけだった! 本物のラニパイは、Aカップだったのだッ!」

 

 上段から振り下ろされるグレートソードを俊敏なステップで躱し、一瞬にして背後に回ったダリヴィル。

 無防備な背中に蹴りを見舞い、ブライヴの体勢を崩す。

 

「それしきのことで裏切ったのか! 乳などどれも同じだろう!」

 

 バランスが崩れたブライヴだが、無理に耐えようとせず、力の方向に身を任せるようにローリングで距離を開ける。

 そして振り向くと同時に凄まじい踏み込みで、一瞬にして間合いを潰すと大剣で眼前の空間を凪払った。

 

「――無知! あまりにも無知!」

 

「ぐぅ……っ」

 

 それを鉤爪で下から押し退けるように太刀筋を反らし、地を這うように深く潜り込むと同時に掬い上げる一撃がブライヴに命中した。

 初の有効打が、まさかのダリヴィルとは。

 

「始めからAカップと知っていれば、こんなことにはならなかったさ。だがな、ブライヴよ……見せかけだけの義乳は忌み人より罪深いのだ」

 

「……っ」

 

 シリアスな空気を醸し出すダリヴィルに、どこか緊張した面持ちで剣を構えるブライヴ。

 俺は一体何を見せられているんだ……?

 

「……魔女ラニの従者って、変人しかいないの?」

 

 そんな二人をすっっっごく冷めた目で眺めるメリナさん!

 そうですよね! 男の俺は少しだけ彼の気持ちが解かるけど、女性のメリナさんからすれば蔑視ものですよね!

 けどブライヴの兄貴は変人じゃないと思うので、彼だけは赦してあげてくださいっ!

 

「――貴様の趣味嗜好などどうでもいい! ラニを裏切った報い、ここで受けてもらう!」

 

「ふっ……そう言うがブライヴ、俺は知っているぞ。硬派を気取っているお前が、実は巨乳派のむっつりスケベだということを!」

 

「な、なにを……!」

 

 ダリヴィルの指摘に過去一番の動揺を見せるブライヴ。

 メリナの目がゴミを見るそれになり、俺は内心頭を抱えた。

 俺までゴミを見るような目で見られたらと思うと……それはそれで有りな気がしてきたぞぅ!

 

「お前も本心ではこう思っていたんだろ? ラニが巨乳なら、と」

 

「そんなことはない! 俺は……ッ」

 

「分かるぞブライヴ、お前も俺と同類なんだ。素直になっちまえよ――なにっ!?」

 

 何だかグダグダな空気になりそうだったのと、いい加減我慢の限界に達しつつあったため俺も参戦。

 背後からそろそろと近づき奇襲を仕掛けたのだが、直前で気付かれてしまい惜しくも避けられてしまった。

 

「ころっと惑わされてんじゃねえよ、このバカチンが! テメェ、それでもラニ様の従者か!」

 

 鋭いステップで距離を取るダリヴィルを見据えながら、ぼうっと突っ立っているアホ犬に檄を飛ばす。

 ハッとした顔で気を持ち直したブライヴを横目で見やり、警戒した様子でジリジリと間合いを測るダリヴィルに告げた。

 

「巨乳派、貧乳派、絶壁派、大いに結構。だがな、俺から言わせればアンタは三流だぜ」

 

「何だと?」

 

「乳に貴賎なし。ただあるがままを受け止めて愛でてこそのオッパイ星人だろうが! 自分の欲望を理由にラニ様を裏切る口実にしてんじゃねぇ! ぶっ殺すぞこの野郎!」

 

 コイツの裏切られた発言は、ラニ様の従者として我慢ならなかった。

 要は勝手に期待しておいて、期待と違ったから裏切ったってことだろ? 全部コイツの都合じゃねぇか。

 そんな身勝手かつ変態的理由でラニ様を裏切るなど、万死に値する!

 

「お前……」

 

「因縁があろうが知ったことか。ラニ様に仕える身として、コイツを叩き潰す!」

 

「……邪魔だけはするなよ」

 

「ぐらぐら揺れまくってたアンタに言われたくないね!」

 

 両手で長牙を握り締めた俺は、勢いよく地を蹴って奴との距離を潰しに掛かった。

 こうしてブライヴとの共闘により、悪は滅んだのである――。

 

 

 

2

 

 

 

「――手間を掛けさせたな」

 

「本当だよ」

 

 ブライヴとともに裏切者をボッコボコにして処し、封牢から出ると。

 神妙な面持ちでそう言うため、思わず本音が出てしまった。

 咳払いで場を濁すという逃げに徹するブライヴ。さっきから霊体化したメリナさんのジト目が止まらない。

 その視線って間違いなく俺も捕捉してるよね?

 

「約束の礼だ。貰ってくれ」

 

 くれたのは【喪色の鍛石】。武器の強化素材で、本来なら嬉しいのだが――。

 

(言えない……既に掃いて捨てるほど持ってることなんて……)

 

「それと、もしお前がこの地の北――リエーニエで、少しばかり大きい鍛冶屋の爺様を見かけたら、よろしく言っておいてくれ。俺はまだしばらく野暮用があるからな」

 

 ではな。ラニの元でまた会おう。そう言い残して去って行くブライヴ。

 渡された鍛石をしばし眺めていた俺は、助けを求めるようにメリナへと視線を向けるのだが、返ってきたのは相変わらずのジト目だった。

 ……どうせなら、メリナさんの機嫌が直るものが良かったなぁ。





 誤字報告ありがとうございました。

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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