※この作品はR-18です。

エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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第6話 キミもヒロインだね?

 今更ではあるが、俺はこの城に喧嘩を売りに来たのではない。保護されに来たのだ。

 が、兵士たちの対応でそれは無理かなと半ば諦めている。見敵必殺の兵士たちを統べる城主とか、絶対ヤバい人間だろう。

 保護が叶わないのならストームヴィル城に寄る必要はないのだが、運命って奴はどうしても俺を城に向かわせたいらしい──。

 

「皆、接がれてしまいました……。私と共に狭間に来て、私のために戦ってくれた人たちが……」

 

 ストームヴィル城の前にあるボロ小屋で発見した、薄幸の美女。

 赤い頭巾を被った彼女は、絶望に染まった顔で言う。

 

「手を斬られ、足を斬られ、首を斬られ……蜘蛛の一部にされてしまったのです。知っていますか? クモに接がれる時、人は蛹になるのですよ」

 

 フフフ、と暗い顔で嗤う彼女は、白面の仮面──恐らくヴァレーの言葉に従ってストームヴィル城に訪れたのだが、引き連れていた従者たちが全滅。

 彼らの手足が蜘蛛とやらに奪われ、彼女自身はなんとか、このボロ小屋まで逃げ帰ったらしい。

 絶望に染まった赤頭巾の女性は、従者とともに蜘蛛の一部になりたいがその勇気がないと言う。

 要するに自殺志願者だ。こんな美人なのに、勿体ない……。

 

「あぁ、そうだ……貴方、この子をお連れ出来ますか? 貴方は、霊に好かれているようですから、この子もきっと喜ぶでしょう……」

 

 そういって渡してきたのは【霊クラゲの遺灰】だった。これから死ぬ自分に憑いてきてもらうのは申し訳ないと言う女性。

 

「もしストームヴィル城に向かうのなら、蛹の皆にお伝えください。愛してます、と。私はまだ臆病なままですが、きっと同じになりますと。どうかお伝え下さい……」

 

 疲れきったような顔に淡い微笑みを浮かべる赤頭巾の女性に、思わず俺は──。

 

「バカヤロォオオオオオッ!」

 

「きゃあ……っ!」

 

 その色白い頬に軽いビンタをかましていた。

 ぶわッと俺の目から大量な涙が溢れ出る。黒い布を濡らし両頬まで滂沱の如く涙を流す俺を、頬を押さえたまま呆然と見上げる女性。

 この胸に宿った熱い想いを、何も知ろうとしない愚か者に叩きつけた。

 

「なんでここで諦めるんだよ! どうしてそこで生きようと思わないんだ! あんたが死んだら、あんたを逃がすために死んでいった彼らはどうなるんだっ!」

 

 俺には分かる、彼らの想いが。

 きっと無惨に殺される仲間たちを前に恐怖しただろう。

 我先にと逃げたかったかもしれない。

 でも、そうしなかったのは何故か。

 自分たちの命を賭けてまで彼女を守り、逃がしたのは何故か。

 そんなの、決まっている……ッ! 

 

「あんたに生きていて欲しいから、大事な人を生かすために死んでいったんだろ! そのあんたが死んだら、死んでいった彼らがあんまりじゃないかっ!」

 

 褪せ人である彼女にどの程度の戦闘力があるのか分からない。

 パッと見、華奢な女性で到底戦えそうに見えないが、もしかしたら凄腕の魔術師なのかもしれない。

 けれど、従者の人たちは彼女の力に頼らず自らが前線に出た。

 その根底にあるのは、彼女に対する愛なのだと俺は思う。

 

「生きろよ! 辛いのも分かる、苦しいのも分かる、怖いのも分かる! けどさ、あんたが生きなきゃ、彼らは本当の意味で無駄死にになるんだ! 彼らのためにも、あんたは生きなきゃ駄目なんだ!」

 

「何故、そこまで……」

 

 勝手に従者の想いを代弁した俺を呆然と見上げる赤頭巾の女性。

 その疑問に俺は胸を張って答えよう。

 

「俺も、主に仕える身だから」

 

 ラニ様のためなら、復活しないと分かっていても喜んでぶっ殺されに行くし、ゲテモノの踊り食いだって躊躇いはするけどなんやなんや実行するだろう。

 俺の熱い従者魂に彼らの面影を見出だしたのか、死んだ目をしていた彼女の顔が少しだけマシになった。

 

「そう、ですね……。褪せ人様の言う通り、私が死んだら彼らの想いが無駄になってしまう……。でも、怖い……あの悍ましい蜘蛛の化け物が、恐ろしくて堪らないのです……っ」

 

 自らの肩を抱いて震える女性。

 うーん、トラウマ持ちで生きる希望を失った人を、どうすれば立ち直らせることが出来るのだろうか……。

 カウンセラーって凄いんだなぁ、と改めて現代医学の偉大さを痛感しながらどうするべきか悩んでいると、ふと妙案が思い浮かんだ。

 が、果たして彼女が耐えられるかどうか。思いっきりトラウマを刺激する可能性が大なんだよなぁ……。

 

「一つ提案がある。俺とともにストームヴィル城に行かないか?」

 

 女性の顔が蒼白になる。やはりトラウマを刺激するか……。

 

「戦闘は俺が引き受けよう。その蜘蛛の化け物も俺が倒そう。貴女はただ俺の後を付いてくるだけでいい」

 

 目の前で蜘蛛の化け物が討伐されれば幾分か心が楽になるだろうし、犠牲になった従者を供養することも出来る。

 トラウマと直視する覚悟があるのなら。

 

「どうする? 無理なようなら此処に居てくれ。必ず戦果を報告しに来よう。貴女の意思を尊重する」

 

 トラウマと立ち向かうには途方もない勇気が必要だろう。例え逃げることを選択したとしても貶したりしない。

 生きる意思さえ持ってくれれば、それで十分なのだから。

 酷な選択を強いていることは分かるが、それでも女性は強い意思を瞳に宿して、俺の顔を正面から見据えた。

 

「……分かりました。貴方様に付いていきます」

 

「決まりだな。じゃあ、これは返すぜ。今のアンタには必要だろう?」

 

 先ほど渡された【霊クラゲの遺灰】を女性に持たせた。

 霊クラゲも俺より彼女に使われた方が嬉しいだろうし、俺にはラニ様から賜った【はぐれ狼の遺灰】があるからな。

 

「──ありがとうございます、褪せ人様」

 

「よせやい。それと俺は雷斗っていうんだ」

 

「私はローデリカです。よろしくお願いします、雷斗様」

 

 たおやかに微笑む女性──ローデリカ。

 どこか嬉しそうにその長い触手を主の腕に絡める霊クラゲの姿が、俺の眼に映っていた。

 

 

 

 1

 

 

 

 ローデリカは生まれつき幽霊が視える体質のようで、狭間の地に来る前は色々とお友達から力を借りていたらしい。

 そのため剣術や魔術・祈祷術といったものは使えず、本人に戦う力はからっきしとのこと。

 

「ですので、戦いのお役に立てることは……」

 

「大丈夫大丈夫。それは俺の仕事だし、クララもやる気満々のようだしな」

 

 俺の言葉にふわふわと宙に浮いている霊クラゲことクララは、触手をふりふりしてヤル気をアピールしていた。なにこの子、可愛い……。

 前を先導している三匹の狼の霊も振り返ると、俺たちも忘れるなと言いたげに軽く吠える。

 霊が身近な存在であるという話だから【はぐれ狼の遺灰】を一時的に彼女に預けていた。霊に好かれる体質なのか、顕現した狼たちはローデリカによく懐いている。

 というか、俺よりも懐いてないかお前たち? 

 まあ分かるよ。むさいオッサンなんかより美女の方がそりゃ良いよね! 

 コイツら絶対に雄だ──と確信を得た俺を余所に当の狼たちとクララが、付近にいる敵兵に襲い掛かる。

 

「ふっ、はっ!」

 

 遠くから飛来する弓矢やバリスタの矢を【夜の刃】で弾き、左手に装備した【カーリア王家の錫杖】で魔術を発動。

 “ほうき星”という名の魔術は驚異的なエイム力を発揮し、視界に映る敵を一人一人正確に射貫いていく。

 近寄ってくる敵は我流剣術で叩き斬る。そうやって着実にマージンを確保しながら進んでいくと、一本道の脇に祝福を発見。セーブセーブっと。

 そういや、俺は死んでも祝福から蘇生できるけど、ローデリカはどうなんだ? 彼女も褪せ人らしいけど……。

 

「ローデリカ。つかぬ事を聞くけど、褪せ人って死んでも復活したりする?」

 

「環樹のことでしょうか? 褪せ人に限らず、この地で生きる人は死ぬと黄金樹に還り、新たに生まれ直します。ですが、エルデンリングが壊れてからは可笑しくなり、今では環樹を行えるのも非常に稀と聞きます」

 

 確かめるために死ぬのも怖いですし、そう言って自嘲気味に笑うローデリカ。

 そうか、ソウルライクゲーム的なノリで普通に何度も死んでたけど、俺って結構なレアキャラだったのか……。

 ていうことは、俺が死ぬとローデリカだけ残される形になるわけで。

 そしてローデリカの残機は一しかない可能性が大な訳でわけで……。

 やべぇ、死ねねぇ! ローデリカだけはなんとしても守り抜かねば……! 

 

「良い景色なんだが、メッチャ荒れてるなぁ」

 

 一本道を抜けると開けた空間に出た。

 広場なのだが崖の上にあるため、下を見るとチ○コが縮みそうになる。

 さっさと通り抜けようと奥に見える門の元へ向かうと、空から何かが降ってきた!? 

 

「──っ!」

 

 つい先程、ローデリカを守り抜くと堅く決意したばかりなため、我ながら上々な反応を見せる。

 咄嗟にローデリカを横抱きに抱え、大きくその場を飛び退く。

 土煙の中から現れたのは、大柄な異形の老人。

 ブライヴを超える背丈の大男なのだが、こめかみからは捻れた角が生え、その顔には大きなイボイボ。

 ボロボロのマントを羽織っているため子細は分からないが、マントの裾から赤黒い尻尾がはみ出ている。

 

「褪せ人よ、愚かな野心の火に焼かれし者よ。お前もまた、エルデンリングを求めるのか?」

 

 手にした杖で床を突くと、ドンッという重低音とともに石作造りの床が砕けた。

 な、なんていうオーラだ……! エルデンリングって何ですか、なんて言える空気じゃねぇ……ッ! 

 敵対するべきではない、と感じた俺は揉み手揉み手の精神で声を掛ける。

 

「あの、つかぬことを聞きますが、貴方がここの城主様であらせられます……?」

 

「城主、というと接ぎ木の小僧か……。否、我はマルギット。忌み鬼のマルギット」

 

「い、忌み鬼ですか! いやぁ、カッコいい二つ名ですね!」

 

「格好いい、だと……? 貴様、この俺を侮辱するか」

 

 何故かマルギットさんは侮辱されたと感じたらしい。本当にイカした名前だと思ってるのに! 

 違うんですマルギットさんマジでイカしてる渾名でメッチャクールっす! と静かに荒ぶるご老人に本気の思いを伝えたのだが、二度目の杖ドンッで黙らされた。

 

「……ここまで俺をこけにした奴は久しぶりだ。いいだろう。野心に燃えるその炎ごと、この忌み鬼のマルギットが消してくれよう」

 

 だから何で戦う気満々なんですかお爺さんってかその杖デカい上に耐久力高過ぎ襲ってきたあああああああ──っ!

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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