スーパージジイことマルギットとの死闘は熾烈を極めた。
例の如く出入口は障壁によって封鎖されたため、ローデリカを逃がすことが出来ない俺は敢えて前に出て張りつくことでヘイトを集め、彼女に矛先が向かないよう慎重な立ち回りを要求された。
しかもマルギットは自前の杖の他に、黄金の光で形成されたハンマーや剣、投げナイフなど多彩な攻撃を披露。
一撃でも食らうと生命力の半分を持っていかれるという、アンタ終盤に出てくるキャラじゃないの? と疑いたくなるほどの力だった。
そんなスーパージジイを相手に辛勝という形だが、死なずに勝てたのは、やはり霊クラゲのクララと、はぐれ狼たちの存在だろう。
それと、早々に魔術や祈祷術の扱い方がダメだと分かり、思いきって刀一本で戦ったのも我ながら英断だった。魔術を使いながら刀で戦う二刀流は無理だ。今はまだ。
まあ無事倒したと思ったスーパージジイがラニ様のような幻であったと気付いた時のショックは半端じゃなかったけどネ!
マルギットの威圧感に完全に呑まれてて、見抜けなかったんだよ!
それでも、無事倒せてホッと一安心。
マルギットが去ると障壁も消え、さらには祝福が何処からともなく現れたのには驚いたけど。
本当、ソウルライクゲームチックな世界だよ。
「これでよし」
祝福で一息つけたついでに装備を見直し、右手に戦技【猟犬ステップ】の長牙。左手に回避系戦技の【霧の猛禽】が付いた脇差しを身につけた。防具は相変わらずの鎧シリーズです。
盾? 武士は盾など使わぬッ!
「門は閉じてるか……」
広場を抜けて漸く正門に辿り着いたが、巨大な鉄柵は完全に進路を塞いでおり、仕掛けらしきものは見当たらない。
俺が覚えている魔術とかで強引に突破出来ないかと、魔術・祈祷術リストを脳内でスクロールしていると。
「雷斗様、あちらに人が」
「お?」
ローデリカの言う通り、正門の脇に人影があった。
目を凝らして見てみると、痩せこけた痩身の男。俺が目覚めたときに着ていた簡素な服に、罪人のような首枷が嵌められている。
(騒がれる前にぶっ殺す)
目が悪いのかまだ俺たちのことに気付いていない様子。抜き身の刀を手に男の元へ走ると、奴は慌てた様子で両手を上げた。
「ま、待ってくれ! 俺は敵じゃない!」
「喋った……」
これまでの敵は一切口を利かずに攻撃してきた。
喋れるということは本当に敵じゃないかもしれない。
門の脇に詰所のような部屋を見つけた俺は、メリナに中の様子を見てきて貰う。こういう時霊体って役に立つよね。
人がいないことを示す○サインを受け取った俺は、男を部屋に連れ込むと奴の背後に回り、襟首を掴みながら膝裏を蹴って体勢を崩し、その首に刀を添えた。
騒いだら殺すと告げてから、続きを促す。
「お、俺は門衝のゴストーク。城の中に入るなら正門からは止めた方がいい。こっちの脇道から迂回すれば、中に入れる……!」
崩れた壁を指差して言うゴストーク。豪快に壁が崩れ外の景色が丸見えとなっている。
冷気が吹き込むそちらを一瞥した俺は、至極当然の質問を投げ掛けた。
「……門衝がなんで侵入の手助けを?」
「それは……俺がアンタみたいな褪せ人の味方だからさ」
「嘘つけ、真面目に答えろや」
「ヒィイイ! は、話す! ちゃんと話すから……っ!」
ていうか、よくこの状況でふざけたこと言えるな。
内心呆れながらも軽く首筋を斬って脅すと、典型的な反応を見せる。
そうして語られるのは、下っ端として如何にこき使われ、城主のご機嫌取りに失敗したら命がない地雷の日々。
途中から愚痴へと変わり、内に溜めたストレスをこれでもかと罵詈雑言して吐き出すその姿は、哀れみを感じ得ない。
いつの間にか刀を下げていた俺は、怒りで肩を震わせるゴストークの背中を擦って慰めていた。
「なるほどねぇ。云わば復讐のためってことか」
「あぁ。だから俺は待ち続けているんだ。アイツを倒してくれる褪せ人が現れるのを」
幾分かストレスを吐き出せたようで、どこかスッキリした顔で頷くゴストーク。
そう言う理由があるなら、罠の可能性は低そうだが……。
「ローデリカはどう思う? ていうか、ゴストークのこと知ってる?」
唯一の生存者であるローデリカに尋ねる。
もしかしたら顔見知りの可能性があるかもだし、まず間違いなく俺よりしっかりしてるから。
「いえ、私たちが訪れた時には見掛けませんでした。ですが、ゴストークさんのように無下な扱いを受けている人が多く居たと思います。生きるのに疲れた、そんな人を城内で沢山見掛けましたから……」
「あんた、以前この城に来たことがあるのか……?」
ローデリカの発言に目を見開くゴストーク。
これまでの話からして生きて城を出た者はいないのだろう。
「はい……。私に付いてきてくれた人たちのおかげで、何とか接ぎ木にならずに済みましたが、他の人たちは皆……」
「そうか……。それでも、またここに来たってことは、アイツを……?」
「はい。私では倒せませんが、雷斗様……こちらの褪せ人様なら必ず」
城主に保護されるつもりが、なんの因果かぶっ殺しに来ました褪せ人の雷斗です。DQNネームだなんて言わないで。
こんな盲目が本当に倒せるのか、と内心思ってそうなゴストークの視線を感じつつ、チラッと正門を覗く。
(正面突破するのは確かにヤバそうなんだよなぁ)
鉄柵で視にくいが、結構な数が潜んでいるみたいだ。
俺の視界にはスキャンしたAIのように敵の位置や詳細が視えるのだが、その内訳は以下の通りである。
・弓兵
・弓兵
・槍兵
・弓兵
・槍兵
・槍兵
・槍兵
・バリスタ
・バリスタ
・バリスタ
・弓兵
・火炎放射器
・槍兵
・火炎放射器
「火炎放射器!?」
「どうされました雷斗様?」
こんな如何にも中世ヨーロッパといった世界でまさかの火炎放射器!?
魔法や祈祷術があるからその辺の技術を応用してるのか……!
「いや、正門から行くのは結構骨が折れそうだなと。仕方ない、ここはこの人の言う通り脇道から行くか」
ゴストークの「コイツ本当に大丈夫なのか……?」的な発言には目を瞑り、裏道から侵入することにした。
命大事にをモットーに先遣隊としてメリナが先を行き、サーチ。危険があるようなら俺が突撃して排除。
そして安全が確認出来たら後方で待機しているローデリカを呼ぶ、といった流れだ。
何ちゃっかり私を戦力に入れてるのよ、的な視線とともに頭をペチペチ叩いてくるメリナさん。
次の祝福で茹でカニ食べさせてあげるから許して。
「おぉう……。これは一歩でも踏み外したらアウトだな……。ちょっと失礼!」
「あ、あの……このくらいなら一人でも……」
「ダメダメ。もし足滑らせちゃったらどうすんの」
城の外に出た俺たちは高低差のある岩場を飛び降り、城の側面に回り込んで侵入を図ることに。
両足を揃えた程度の幅しかない崖を、ローデリカに渡らせるのは心配なため抱っこして運ぶと、可愛らしい反応を示してくれた。
ローデリカも防具を着ているがチェーンメイルのような軽装で、足に至ってはズボンタイプのもの。膝裏は防具が付けられないため、女の子特有の柔らかさとか感じる。あと良い匂いがする!
無事に渡り終えて彼女を下ろすと、何が不満なのか再びペチペチしてくるメリナ。俺以外視られてないからって好き勝手してくんな。
意趣返しに、何処となく不満げな顔でジト目をしてくる彼女の唇を奪ってやった。もちろんローデリカが見ていないことを確認してだ。
一度男女の仲にはなるとこんな大胆な行動に出れるとは我ながら驚きだが、このナイスガイボディだからこそだろう。生前の体だったら恥ずかしくて無理だわ。
(メリナのポカンとした顔もレアだな。カメラが欲しい)
イケメンだけが赦されるイタズラに、しばし呆然としていたメリナだが、やがてそっぽを向いた。
回り込んで顔を見たい衝動に駆られるが、流石にそれは止めておこう。ペチペチでは済まされないかも。
「雷斗様?」
「──あぁ、ゴメンゴメン。じゃあ行こうか」
何時までも進まない俺に怪訝に思ったのか、小首を傾げるローデリカ。メリナとのやり取りを伝えるわけにもいかないから、適当に言葉を濁し先に進む。
「おっと、いよいよ敵が見えてきたな……」
道沿いに進むと、外壁に取り付けられた足場が見えてきた。足場は木の板で乱雑に作られており、落下防止柵などもないから注意しないと転落するだろう。
そんな外壁の通路に、見張りをしている兵士の姿が遠目から確認出来た。見つからない内に姿勢を低くして物陰に隠れる。
距離的には大体二十メートルくらいか? こういう時こそメリナの出番だ。
視線で合図を送ると頷き返したメリナが動き出す。
幽霊らしく宙を滑空して通路の先へ行くのを見届けた俺は、ポーチから遠距離用の武器を取り出した。
「遠距離武器なら魔術より弓の方が使い勝手がいいんだよなぁ」
ポーチから取り出したのは【滑車の弓】というシンプルな造りの弓。
コンパウンドボゥの原型と言われても可笑しくないほど単純な構造をしているが、俺が持っている弓の中で一番射程距離が長い。
「そうなのですか?」
「魔術や祈祷術にも遠距離用のはあるけど、大体煌びやかで分かりやすいでしょ。弓矢なら変なエフェクトとかもないし、狙撃には向いてるのよ」
「なるほど」
その辺も戦技の時にまとめて検証したからね。ちなみに当然のことながら、弓道の経験がない俺だが五十メートルくらいなら寸分違わず的を射ることが出来た。
色々と突っ込みどころがあるが、このボディで出来ないことは寧ろ何なのか知りたい。
矢は何にするかなー。サイレントキルを狙うなら無難に普通の矢でいいか。
「お、戻ってきた」
しばらくして偵察から帰還したメリナ。指を一本、次に二本立てる。
これは手前から敵が一人、後ろに二人という符号だ。
ということは、見張りの兵をキルした後、素早く残りの二人も倒さないといけないってことか。
「……それでは、メリナさんに合図を送って貰うのはどうでしょう。後ろの二人の視線が外れた瞬間を狙うのです」
「それ採用。聞いてたなメリナ」
霊体であるメリナを活かした作戦に即決。メリナも小さく頷き、すぐにポジションに着いた。
少しだけ身を乗り出した俺は弦を大きく引く。
滑車のアシストもあり、引く力はあまり必要ない。
松明を手に景色をただ呆然と眺めている見張りの頭に、狙いを定め固定する。
そして、メリナがこちらに向かって大きく腕を振ったのに合わせ、弦から指を離した。
「──よし! ローデリカはここで待ってて!」
見事、頭を射貫いた俺は返事を待たずに駆け出す。
見張りの兵士が力なく崖から落下するのを視界に収めながら、メリナが指差す方向に向かって走り続け。
丁度、詰所から出てきた兵士の首を一刀のもと刎ねた。
崩れ落ちる兵士の横をすり抜けて、まだこちらに気付いていない兵士の背中から心臓を突き刺す。ちゃんと悲鳴が漏れないように手で口を塞ぐことも忘れない。
ゴー○ト・オブ・ツ○マやメタル○アとかで散々見た技だから、思いの外スムーズに動けたな。
とりあえず、死体が見つからないように崖からポイしておく。武士道? 誉れは死にましたッ!
「鮮やかな手並みですね」
後からやって来たローデリカの言葉にドヤ顔をしておく。まあ、これでもカンストしてますし?
あっはい。スミマセン、調子こきました。分かってます、メリナさんの助力あってこそです。
はい、茹でカニご馳走するんで、そろそろペチペチ止めて下さい……。
エルデンリングはどこまで知っている?
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ストーリー考察含めて大体熟知している
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本編クリア済だが難しくてよく分からん
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本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
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大雑把な概要だけ知ってる
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タイトルは聞いたことがある