※この作品はR-18です。

エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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第8話 殺られたら殺り返す、これ常識

 行きついた先は倉庫らしき場所。そこにはゴストークと同じ格好をした人が、力なく地べたに座っていた。

 侵入者である俺たちを見ると億劫な感じで立ち上がり、唯一の武器である火炎瓶を投げつけてきたり、掴みかかって来たりと攻撃的な動きは見せるけど、例に漏れず誰も一言も喋らない。

 中には目の前に立っているのにも関わらず、ずっと座り込んだままの人もいた。

 ゴストークを見ても若干思ったが、なんだか生きるのに疲れたって感じがする。

 無暗に傷つけるのも何だか可哀想だ。ゴストークのような恰好をしている人たちは攻撃されてもスルーし、普通の兵士のみ問答無用でぶった斬ることにする。

 

 そんな感じで道なりに、道中発見した祝福で小休憩を挟みながら進む。

 つい先日戦がありましたと言われても信じてしまうほどの様相を呈している、荒れた城の中。

 流石に入り組んでいるが、祝福があるイコールチェックポイントだろうから、今のところ順調に進んでいるとは思う。

 

「うぇ、ひでぇな……」

 

 メリナの偵察と俺の殲滅。抜けがあったとしても護衛に付いている霊クラゲのクララとはぐれ狼たちで、ローデリカを守ってくれるため安心して進んでいると、その道中にグロい光景を見掛けることに。

 兵士の中にもいた巨人族が逆さに吊るされ、腹の臓物が根こそぎ引き抜かれているのだ。まるで、動物の血抜きと解体のように。

 その下には山積みにされた人の蛹。これがローデリカの言っていた接ぎ木の犠牲になった人たちだろう。

 

「みんな……」

 

 このどれかがローデリカの従者たちなのかもしれない。

 くすんだ色の蛹と同化する形で、数頭の狼が寝そべっていたため、まずはコイツらを排除する。

 背負っていた滑車の弓を取り出した俺は、素早く狙いを定めて射る。十メートル程度の距離ならほぼ速射に近い速さで眉間を射抜くことが出来た。

 他に敵影がないのを確認した俺は、ローデリカを伴って遺体の山に近づく。

 

「ぅ……」

 

 これが死臭というやつか。例えるなら生ゴミの腐敗臭。蛹の中は敢えて視ないが、察するに余りあるだろう。

 正直あまり長居したくないのだが、ローデリカのためだ。

 グッと吐き気を堪えて、遺体の山の前で膝をつき祈る彼女に付き合い、俺も黙とうを捧げる。

 主君のために命を捨てたのだ、誰が何と言おうと彼らは立派な従者である。

 仕える主は違うが、先輩たちのような主君を守り通せる従者に、俺もなってみせる……! 

 

「ん?」

 

 そんな中、ふと目についたとある物。

 蛹の形をした遺体の山の上に転がっていたそれを拾い、ローデリカに見せる。

 

「──あぁ、これは……そんな、ことって……」

 

 それは、ビロードの頭巾に包まれたブローチ。

 そして、彼女の従者をしていたのだろう。騎士の格好をした男の霊がブローチから現れ、ローデリカに何かを伝えている。

 

『──』

 

「……っ」

 

 伝えることを伝えたのだろう。胸に手を当てて一礼した男の霊に泣き崩れるローデリカ。

 そして、男は一歩下がった場所から二人を見守っていた俺に視線を向けて来た。

 目は雄弁にものを語る。声を出さずとも、言葉にしなくとも、男の思いが伝わって来る。

 我が主をお頼み申す、と。

 

「あぁ。彼女は俺が責任を持って守り抜く」

 

「……!」

 

『──』

 

 生きろって言ったからな。故郷に帰りたいと言うなら喜んで手伝うし、この地で何かを成すと言うなら協力しよう。

 今後どうするか分からないが、ローデリカには全面的に協力するつもりだ。

 俺の言葉に安心したのか分からないが、最期は優し気な顔で姿を消した。

 どうやら成仏してくれたみたいだが……なんでそんな顔真っ赤なんですかローデリカさん? 

 

「──痛ぇ痛ぇ! だから叩くなっての! 何で叩くんっすか!」

 

 大事そうにブローチを胸の前でギュッと握るローデリカは、その顔を茹でカニのように真っ赤にし、メリナは懲りずにペチペチ(強)をしてくる。

 兜がガンガン響くから地味に嫌なんだけど!? 

 

 

 

1

 

 

 

 いい加減、腐臭が酷かったからそそくさとその場を離れ、臭い消し変わりに【石鹸】を使ってみた。

 何度も頭を下げるローデリカにも香水代わりに付けてみると、多少はマシになった気がする。まあ、つけないよりかはマシだろう。

 さて、後はすべての元凶である城主をぶっ飛ばすだけだ。

 気合いを新たに通路を進んでいくと、何やら異様な空間に出た。

 ピンと張られたロープから吊るされた数々の腕。長テーブルの上は血塗れで、体の部位と思わし気ものや武器・防具の類いが乱雑に置かれている。

 そんな異様な部屋の中を妙に背の低い巨体が闊歩していた。

 

「あれは、接ぎ木の……!」

 

 解体され吊られていた巨人に比べ、こちらは横幅が大きい。一番近い印象はカニかな。

 ローブを着込んでいるため詳細は分からないが、何本もの腕が剣や盾を握っている。

 

「アイツが接ぎ木……確かに蜘蛛のようにも見えなくはないが……っ?」

 

 どこか既視感を覚えた俺はジッと奴の姿を眺め。

 

「テメェあの時のクソカニじゃねぇか!」

 

 右も左も分からぬ俺を問答無用で殺した憎き敵だと分かった瞬間、思わず突撃をかましていた。

 あの時は顔を見る暇もなかったから分からなかったが、結構な美少年じゃねぇか。体は滅茶苦茶キモいのによぉ! 

 

「死ねぃ!」

 

 背後から襲いかかるが、当然奴も奇襲に気付く。だが別に良い! 今の俺はあの時とは違うってところ、その体で分からせてやるからなぁ! 

 

「──視えるッ! 視えるぞッ! 貴様の動きが手に取るようにィィィ!」

 

 目隠しした状態でもある程度、力を発揮するのはこれまでの経験で分かっている。奴の動きに注視していると、段々と次の手が判るようになる。

 まるで見○色の覇気だな! やっぱ解析眼はチートだぜェェェ! 

 もはや未来を見通していると言っても過言ではない俺は、奴が剣を振るう度に紙一重で避けながら、そのカニのような体にカウンターを叩き込む。

 

「お願いクララ、狼さん!」

 

 クララとはぐれ狼たちが飛び掛かり、奴の注意を反らす。

 ローデリカからしたらトラウマそのものが目の前に居るっていうのに、大した勇気だ! 

 

「ナイスアシスト! これで終いだァ!」

 

 素早く刀を鞘に収め、ポーチから取り出した武器を構える。

 大刀。大太刀とも呼ばれるそれの戦技により、切っ先を天に向けた大上段の構えを取った俺は、地を砕くほどの踏み込みとともに刀を真っ直ぐ振り下ろした。

 脳天に直撃し、奴の体が沈む──が、まだ倒れてはいない。

 しかし、確実に大ダメージを与えることに成功したようで、奴は片膝を着いたまま動けずにいた。

 

 この戦技の凄いところは、全力の兜割りを二回も行えることだ。

 流れるように剣先が跳ね上がり、再び上段の構えになっていた俺は、もう一度全力で刀を振り下ろす! 

 

「チェストオオオオオオォォォッ!」

 

 戦技の名前は【大上段】というものだが、俺的には【真っ向唐竹割り・二連】といったところ。

 間髪入れずに振り下ろされた大太刀は奴の脳天を割り、そのカニのような体を左右に分断した。

 

 

 

 2

 

 

 

「すまん! ついカッとなって飛び出した!」

 

 幸いなことに敵には気付かれなかったのか、増援が来ることはなかった。が、非常に短慮な行動であったことは自覚してるし、仲間を危険に巻き込み掛けたのは事実。

 なので、近くにあったセーフティポイントである祝福で土下座をしているのだった。

 

「そんな、頭をお上げください! 勇ましくてとても素敵でしたが、私としては雷斗様が傷つく姿は見たくないのです。いくら環樹で生き返るとはいえ、です」

 

「──そうね。結果的に無事だったから良かったけど、今回みたいなことは此っきりにして」

 

「はい、ごめんなさい」

 

 心配気な表情を浮かべて俺の手を取るローデリカ。

 その手を一瞥したメリナは、俺が差し出した茹でカニを食べながら冷徹な声で告げる。

 ぐうの音も出ない俺は、神妙な面持ちで頷くのであった。

 

「そういえば、あの従者の人はなんて言ってたんだ?」

 

 祝福を囲むような形で茹でカニを食べながら、気になっていた話をする。俺は視ることは出来るが聞くことは出来ないんだ。

 初めて食べるという茹でカニに夢中になっていたローデリカは、恥ずかしそうに口元を拭った。

 たくさん食べる子は見ていて気持ちがいい。もっとお食べ。メリナなんか当初は遠慮してのに、今では遠慮のえの字も消えてしまったんだから。

 

「皆、私を信じていると言っていました……何もできない私ですが、いつか何かを成すことを」

 

 胸につけたブローチを握り締めるローデリカ。

 彼らの形見は、主人に良い影響を与えたようだ。

 

「なので、この後私は円卓に赴こうと思います。私にできる、何かを探すために」

 

「円卓?」

 

「選ばれし者のみが集うと言われている、褪せ人の集会所です。その場所は秘されているので、見つけるのは容易ではありませんが。きっと見つけて、円卓の一員になってみせます」

 

 そう毅然と言い切って見せるローデリカ。ここに来る前の、死人も同然な頃の彼女を知っている身としては、随分と成長したものだ。

 なら俺もその円卓とやらへの行き方を探すとしよう。彼女が何を成すのか、俺も見てみたいし。

 ストームヴィル城を攻略した後の道筋が見え、前向きな気分で新たな茹でカニに手を伸ばした時だ。

 

「──円卓なら私が連れて行ってあげる」

 

 それまで黙って話を聞いていたメリナが、囁くような声で呟いたのは。

 

「えっ?」

 

 長い道のりになることを覚悟したばかりなのに、その前提を覆す発言が飛び出して困惑する俺。

 ローデリカも驚いた顔でメリナに顔を向けた。

 俺たちの問いかける視線に、メリナは手に持っていた食べかけのカニを口の中に入れて飲み込むと。

 神妙な面持ちで座り直し、俺の顔を真っすぐ見てくる。

 

「その前に、雷斗には謝っておかないといけないわ。ごめんなさい、貴方を試していたの」

 

「試していた?」

 

「そう。貴方が祝福に導かれる存在かどうか、そしてそれに挑むかどうか。でも、それは杞憂だった。トレントは初めから貴方を信頼していたのに……ごめんなさい」

 

 祝福に導かれるっていうのは、行く先々で祝福を発見できるかってことか。けど、挑むって何に? 額面通りに受けとめるなら、導かれる祝福に挑む……つまりは、祝福を無視するってこと? ダメだ、分かんねぇ……。

 メリナは時々、詩的で難解な表現をすることがあるからなぁ。こう見えて結構情緒も豊かだし、意外と不思議ちゃんの要素も持っている。

 人は見掛けに依らないとは、まさにこのことだ。

 

「ローデリカは円卓を、選ばれし者のみが集う場所と言っていたけど、ある意味それは正しいわ。正しくは二本指とそれに仕える者が集う場所」

 

「二本指?」

 

「そういえば前に聞いたなソレ。何なんだ二本指って」

 

 ローデリカも初耳なのだろう。小首を傾げている。

 俺はその単語だけは聞き覚えがあった。メリナと初めて出会い、契約を交わした日。あの時に少しだけ出て来た単語だ。

 俺たちの疑問に小さく頷いたメリナは、その疑問に答えてくれる。

 

「大いなる意志の代弁者、それが二本指よ。褪せ人たちを導き、多くの祈祷と信仰を授けたとされているわ」

 

「大いなる意志ってのは?」

 

「それは、私にも分からない」

 

 ふむ。なんだか謎が謎を呼んだ感じがするが、大いなる意志の代弁者で褪せ人の味方ってことだけ覚えておけばいいか。

 褪せ人たちを導いて祈祷術などを授けたって言うなら、俺たちの親玉的な存在なのかも。

 

「円卓に行きたいのなら、今すぐにでも案内できるけれど」

 

 どうする、と視線で問いかけて来るメリナ。

 もちろん、やるべきことを終えてから向かうのが良いだろう。実績があれば円卓とやらの一員として認めてくれるかもしれないし。

 ローデリカも同じようなことを考えていたようで、後ほど皆で円卓に向かうことが決まったのだった。

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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