あくる日のこと、タバサはいつものように部屋に現れたゲマの様相が違うことに気付き、何処か異変を感じていた。
いつもだったら有無を言わさず、嫌がらせのように子作りを開始するところだったが、その日はどうにも違うようだった。
「おっほっほっほっ……出なさい、タバサ」
「え……?」
これまでずっと地下室で監禁し続けていたのに、どうしてこうもあっさり手のひらを返すようなことを。タバサにはゲマの意図がまるで分からなかった。
どういう風の吹き回しかは考えても分からないことだし、何より久しぶりに部屋の外に出られるということに、タバサは自然と高揚してしまっていた。
手に鎖をつけるわけでもなければ足かせをつけられるわけでもない。
ごく自然と、タバサは見張りに連れられて、大神殿の中を移動していく。
すると別な部屋に案内されたかと思えば、そこでまた意表を突かれる。
「そのみすぼらしい服を着替えなさい」
「へ……? 着替える……?」
タバサが案内されてきたその部屋には、何処から集めてきたのかは定かではないが、高級そうな召し物がずらりと用意されていた。
この教団に来てからというもの、ずっと裸同然の薄っぺらい奴隷の服しか着させられなかったタバサは感動すら覚えてしまったほどだ。
その間も身体を洗ってもらったり、良い食事を与えてもらったりと、今までにない待遇ばかりでタバサは逆に不審感を覚える。
そうこうしているうちにも、さっきまで地下室でみすぼらしい格好で監禁されていたとは思えないほどにタバサは見違えるようになる。
そして連れていかれるまま、タバサはその場所へと足を運ぶ。
タバサが立たされた場所は、光の教団の信者たちが祈りを捧げる祭壇の上だった。
目の前には視界に入りきらないほどの信者たちが一斉にタバサへと注目を寄せ、歓喜の大歓声を挙げ始める。
「「「おお、タバサ様!!」」」
「「「ああ、我らがタバサ様!!」」」
「「「タバサ様!!」」」
人々は口々にタバサのことを崇め奉る。これまでずっと地下室で聞かされてきた声を今まさに初めて信者たちを前にして直に聞かされたのだ。
今のタバサの姿は、信者たちにはどれだけ神々しく映っていたことか。
平民が着ることは生涯ないであろう高貴な法衣を羽織り、凜々しい姿で立つ勇者の子孫。それこそ信者たちの求めていた救世主の像なのではないだろうか。
タバサがどれだけ見渡しても、目に映るのは笑顔、笑顔、笑顔。
ちょっと視線が合えば信者はそれだけで喜び、ちょっとした仕草の一つでさえも、信者たちはタバサのことを褒め称える。
そこに立っているだけで、タバサはとてつもない高揚感に飲まれる。
きっとこれがゲマの狙いだったのだろう。
そうに違いない。そんな確信はあったが、それでもタバサには信者を目の当たりにして心地よさを覚えてしまう。
しばらくして、祈りの時間も終わり、タバサは再び地下室へと戻されていくのだが、その余韻は残ったままだった。自分が多くの人の心を救っている。それが紛れもない事実だということを、たった今、体感してきたのだから。
「おっほっほっほっ……いかがでしたか? 信者の皆さまの顔、生き生きとしていましたでしょう? これもタバサの求心力の賜ですよ。今日のお祈りによって信者はさらに増えていくでしょうね。おっほっほっ」
ゲマの白々しく煽てる言葉に、タバサの心は惑わされてしまう。
ゲマは憎むべき相手。そうであるはずなのに自分はそれに加担してしまっている。
さらには自分のせいで教団はさらに大きくなっていくばかり。
でも、ここで教団を壊滅させたらあの信者たちはどうなってしまうのだろう。
自分を慕う者がいなくなってしまう。それどころか石を投げられるかも。
それを想像してしまい、タバサは虚無にも似た喪失感を覚えた。
タバサの中で、光の教団という存在がなくてはならないものになっていく。
光の教団から自分が離れられなくなっている錯覚に陥っていく。
少し考えればおかしいと分かるのに、長い間地上から隔離された生活を送り続けていたタバサにはそんな冷静な判断力すら奪われてしまっていたのだ。
「おっほっほっほっ……私としてはミルドラース様の命令通り、勇者の存在を阻止し、教団を拡大することができればそれで良いのです。こうして信者が増え続けている限りは、世界は平和なのですよ。おっほっほっほっ」
「平和……?」
タバサがゲマの言葉に傾き始めていく。
「逆に、タバサがいなくなったらどうなるのでしょうね。信者たちは悲しみに打ちひしがれて、争いも起こってしまうかもしれませんね」
「わ、私……どうしたら……」
ゲマはタバサの中に生じたその心の隙間を見逃さなかった。
このときを待っていたとばかりに、邪な笑みを浮かべ、悪魔の誘いを囁く。
「あなたに特別してもらうことはありません。ただ、これまで通り、子作りに励んでもらうだけ……。あなたが望むのなら、またたまに祈りの時間に顔を出してもらっても良いですよ。おっほっほっほっ」
これまで通りでいい。たまに信者たちの前に顔を出してもよい。
たったそれだけのこと。自分は不自由もしないし、大勢に讃えられる。
今のタバサにとってその甘い誘惑は、あまりにも魅力的に思えたのだった。
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教団の拠点地下、誰にも邪魔されることのないその部屋からは、快楽に悦ぶメスの声が密かに響き渡っていた。
「あんっ♡ あああっ♡ すごいぃっ♡ しゅごいのぉっ♡ おくぅ♡ おくまでとどいてぇ……♡ あたまが、しびれちゃ……♡」
上質なベッドの上で乱れているのは、あの勇者の血筋の娘、タバサだった。
あれ以来、ゲマとの営みへの抵抗もすっかりなくなってしまい、随分と積極的に振る舞うようになっていた。
毎日のように身体を重ねていることもあり、頭の先から足の先まで触れられていない場所がないくらい、その全身は開発され尽くしたと言ってもいいだろう。
抵抗という枷一つが取り払われたことで、これまで耐えてきたものも耐える理由がなくなった。今となっては、どうして今まで自分は我慢をしてきたのか疑問に思ってしまうほど。
「さあ、タバサ。出しますよ」
「ぅん♡ きて、きてえぇ♡ おなかのおくぅ♡ だしてえぇ♡ ぁぁ♡ ああああぁぁぁああっ♡」
何度目かの絶頂。それとともに、タバサの膣内に精液が溢れんばかりにビュルビュルと注がれていく。子供が生まれたら教団はもっと大きくなる。そう聞かされ続けてきたタバサには、これ以上の至福などなかった。
「ああ……♡ ああぁぁ……♡ 子供……できちゃうよぉ……♡」
子宮の奥からじんわりと感じるその温かい心地は、タバサの脆い心を実によく癒やすかのようだった。心のよりどころを見つけた彼女には、もうこれを手放すことなど考えることもできないだろう。
秘部から白濁の液体を溢れさせ、くったりと余韻に浸る彼女は、ときおりヒクヒクと軽く痙攣するように絶頂し、ぴゅっぴゅと潮を吹く。
そのとろんとした恍惚の笑みには、はたしてどんな未来が見えていたのだろうか。
「さてと、少し休んだら祈りの時間ですよ。おっほっほっほっ」
「ふぁい♡ イキましゅぅぅ♡」
タバサにとって生きがいを実感できる一時。信者の人々に祈られ、崇め奉られるその時間もまた、今の彼女にはなくてはならないものだった。
これは自分にしかできないことだと信じて疑いもしない。
そうして今日もタバサは信者たちの前へと姿を現し、信仰心を高めるのだった。
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