薄暗い路地裏に黒髪の少女が立っていた。黒のセーラー服にストッキングを穿いており全身黒ずくめの格好をしている。小さな顔は人形の様に整っていたが、何処か妖しい雰囲気を発していた。それもあってか、彼女は一部の学生から『死神』と呼ばれ、恐れられている。
少女の名前は黒城フウカ。
風を操る異能者である。Sランクの中で最もマトモなのが線賀セイラなら、最も異常なのは彼女だと言われている人物だ。超の付く戦闘狂であると同時に生粋のサディストでもあり、目に付いた異能者に笑顔で戦いを挑み、
一応は最低限の常識は持ち合わせている為、罪のない一般学生を襲うことは稀だが、そうでない者には容赦はしない。今、フウカの目の前でへたり込む男性のように徹底的に壊される事になる。
「ひ、ひぃっ、許してくれぇ……!! も、もうしない、からっ!!」
18歳くらいの男は震えながら必死に許しをこう。身体中に浅くない傷を負い、着ている服を血で染めた姿はとても痛々しく、同情を誘うものであったが、それを見下ろすフウカの目は冷たかった。
「う〜ん。その言葉を素直に信じるのは難しいかなぁ。だって、アナタみたいな人達って3日くらいしたら全部忘れちゃうんだもん♪ 恐怖とか反省の気持ち? とか」
フウカは笑顔でそう言うと異能を発動させる。質量を持った風が男性の腕を切り裂き、彼の絶叫が路地裏に響く。今の攻撃で大事な腱を傷付けたのか、ダラリと下がった腕はピクリとも動かなくなった。だがその程度のことをフウカが気にする事はない。ここは異能者が集まる学園島。大抵の怪我は異能で治す事が出来る。
「うぅ……痛えぇ、痛えぇよぉ……っ」
「泣いたってダメだよ。きっと、あの猫ちゃんの方が痛かった筈だもん。ふふ、カラスとかスズメとかならセーフだったんだけどさ、猫ちゃんって可愛いでしょ? だから許してあげられないかな〜って♪」
「お、お願いします……っ、本当に、二度と……猫を蹴ったりしないので、み、見逃してください……!」
必死に頭を下げる男性。だが、愉しげに笑みを浮かべるフウカの顔を見る限り、それが受け入れられる余地はなさそうだった。男性は勘違いしているが、別に彼女は猫を傷付けた事に怒っている訳ではない。この狂人はそんな優しさを持ち合わせてはいなかった。
ただ、男性を
「私は優しいから、アナタに反省とか改心とか、そんなの求めないよ。ただ、罰を受けてくれたらそれでいいからね。そうだなぁ〜、あの猫ちゃんみたいに足が変な方を向いちゃうくらいでいいかな。うん、それで終わりにしてあげよう♪」
「ひ、ひぃぃぃいっっっ!!! 誰か、たすけっ────ッ!!」
男はそれまでで一番の悲鳴をあげた。恐らく表の道まで声が聞こえているだろう。連絡を受けて治安維持委員会か保健委員会がやってくるに違いない。フウカは「誰かを呼ぶ手間が省けたかなぁ」などと考えながらその場を歩き去った。
「ふふっ♪」
返り血の付いた顔はとても満足気で、強者として弱者を痛めつける快感に酔っている事が分かる。これが彼女の日常だった。弱者を虐めて遊び、それを他のSランクや肩書持ちの上位ランカーが止めに来れば、対等な闘いを楽しむのだ。学園島という小さな箱庭はそれが許される場所だった。
──だから、自分を圧倒する者が現れ、そして一方的に嬲られる側に回る日が来るなど、彼女は想像した事もなかった。
「ふぅん。あれが2人目のターゲットね。フフッ、思ったより可愛くて、思った以上に弱そう。戦闘にもならないわね」
建物の陰から一部始終を見ていた
★
「中国のSランク」と「日本のSランク」と書けば、まるで対等のようで、激戦が繰り広げられそうな気がするのだが、「歴戦のプロ」と「学生」と書けば印象は全く変わってくる。そして
数滴程度だが返り血を浴びてしまったフウカは屋外トイレを見つけ、そこで身嗜みを整える事にした。と言っても顔を洗い、軽く化粧を施すだけでその作業は終わってしまう。そしてトイレを出ようとした時、彼女は急に尿意を催し、個室の方へと向かった。それが敵からの攻撃だと気付くには彼女には経験が足りなかった。
あらゆる感情を増幅する
フウカが個室に入り、鍵を掛ける。それを確認してトイレに入った
コインを使って外から鍵を開け、ドアをスライドさせる。すると当然、便座に腰掛けるフウカの姿が現れた。
「あ、え?」
パンストとピンクの下着を膝の辺りまで下ろした間抜けな格好で
フウカの「困惑」と「羞恥」の感情を増加させながら、その無防備な腹に蹴りを入れる。
「グフっ……!」
鍛えられた肉体による一撃は素人の女子高生を無力化させるには十分だったが、
「アッ、ゔっ、あガッ、や、やめっ、ンアッ、ヒィッ……!」
顔面、腹、膝に20秒程度、絶え間なく蹴りとパンチを打ち込む。その間、フウカは異能を使う余裕もなく、短い悲鳴を漏らし続けるしかなかった。
フウカから抵抗の意思がなくなるのは早かった。それを確認した
──ジョロロロッと尿が便器の中に落ちていく音がする。尿意が限界だったのか、それとも恐怖で失禁してしまったのかは分からないが、あの『死神』黒城フウカが人に見られながら排尿するなど、中々に屈辱的であるに違いない。
しっかりと生え揃った黒い陰毛。その下辺りから黄色の放物線が伸びている。フウカの放尿が終わるまで観察すると、
「ア、アナタは誰……? 私に何の用なの……?」
フウカが恐る恐る訊ねる。その声色が上位者に向けるものだと気付き、自尊心はしっかりと折れている事を
(さぁて、どうしようかしらね〜)
海堂学園長からの依頼はSランクを叩き潰してプライドをへし折る事だ。一方的に殴られて屈辱的な姿を見られ、無様に震えている姿を晒しているのだ、彼女のプライドは粉々だろう。ここで終わっても依頼的には問題ない。だが、
仮想敵国の将来の主力級異能者にトラウマを植え付けるまたとない機会であるし、何より調子に乗った人間を虐めるのは個人的に大好きだからだ。
「フフッ、もう少し情けない格好になってもらうわよ、コクジョウフウカ」
「わ、私の名前、知って……」
「ええ、勿論よ。知ってて襲ったの。──あと、勝手に喋ってはダメよ。二度も言わせないで」
「ご、ごめっ──ガッ」
フウカの顔を殴った
先程まで隠れて見えなかった陰唇が
「素敵な姿だわ。貴女みたいな子にはお似合いね。いい? また他国のSランクに会ったらこの格好で無様に震えておくのよ。そうしたらきっと見逃して貰えるわ。嫌でしょ? 同格だと勘違いされて殺されるのは」
「あ、いい事を思いついたわ。ねえ、フウカ。手は動くでしょう? ちょっと、自分で女性器を広げてみてくれるかしら」
「…………んっ」
マングリ返しの格好で、自らの割れ目を開くフウカ。くぱぁと広がったそこには桜色のヒダがあり、その奥に尿道と膣口が見える。
──カシャッ
「それじゃ、その体勢でオシッコしてくれる? さっきはよく見えなかったから、どんな風に出るのか気になったのよ。ああ、安心しなさい。さっき出したばかりだけど、私の異能でもう一回出るように手伝ってあげるから」
カメラを向けて「さあ、早く」と微笑む
フウカの女性器が何度か震え、剥き出しにされた尿道口が小さく開閉する。そしてその次の瞬間、黄色い液体が溢れ出した。
「あ、うああ、あああ、ううぅッ」
高く上に向いて突き出された女性器からチョロチョロと流れて出た尿はトイレの床を汚し、水溜りを作る。その一部始終を撮影する
一方のフウカは堪えられなくなったのか、涙を流し始める。それがまるで子供のようで、学園の頂点に君臨するSランクとしてのプライドなど完全に折れてしまった事が伺えた。
「うん。いい絵が撮れたわね」
──ガンッ
フウカが見つかり保健委員会が呼ばれたのは30分後であり、それから『死神』の敗北の噂が一部で囁かれる事になるのだった。