異世界『TS出産』レビュワーズ ~産んでたらなぜか『聖女扱い』されてくんだが~ 作:馬路まんじ……?
「トゥ、トゥルーデ、手ぇ握ってろよ!?」
「おぉ、頑張るがよいぞ妻よ」
「誰が妻だっ!?」
ダンジョンより帰還して一日。俺はベッドに寝転がり、股を開いていた。
あれから産んだ子スライムに甘えられて乳吸われたり、溶けたはずの学生服が再生したり、なんで再生したのかと輪っかに問うたら〝解:その服装はアナタ様を転生させた主神の趣味なので無限に再生します〟と気持ち悪い回答が返って来たり、トゥルーデがまた出産レビューチラシ撒きやがったり、また魔物研究協会に評価されて大金もらって『マジでこれ戦うより稼げるのでは……?』とちょっと迷ったりしたが――そんなことより!
「子ゴブリン、また産まなきゃなんだよなぁ……」
そう。俺とトゥルーデを助けるために大怪我を負った子ゴブリン。そいつを回復空間から戻さなきゃいけないわけだ。
天技【
「くそぉ、なんで子宮から出てくるんだよぉ!?」
「ぎゃははははははッ! 二日連続でガキ産むメスはじめて見た~! こやつ超ウケるっ!」
「ウケねーよバカ魔女ッッッ!」
そう怒鳴った時だ。『チュァ~!?』という無駄に可愛い鳴き声と共に、俺の右乳がぶるっと揺れた!
「ぬひぁっ!? ぉっ、おいこら子スライムっ、お前急に動くんじゃ……あひっ!?」
乳腺より指を抜かれるような感覚が奔り、ちっちゃなスライムがニュルッと飛び出してきた!
……こいつこそは子スライム。先日、俺が出産した新たな使い魔だ。
『チュァァア~!? チュァ、チュァアア!』
「うひぃすりついてきた……!? な、なんだよ、『急に大声出したからビックリしたよ~』ってか? 俺はお前のほうにビックリだよ……!」
なんとこの子スライム、俺が寝てる間に乳房の開発を進め、小柄な身体を活かして乳に住むようになりやがった!
なんということでしょう。三週間前まで男だった俺の身体が、女に転生させやがった変態性癖の主神ノーデンスと変態な魔物たちの手により、上も下もズボズボ美少女になってるじゃありませんか……!
まさかここまでリフォームされるとは思わなかったよ!
「トゥルーーデーーー! なんとかしてくれぇーーーッ!」
「ぶひははははははッッッ! おんしの人生めちゃくちゃで最高ぉ~!」
「死ねッッッ!」
あーーもう。早く男に戻るためにも、戦力の子ゴブを呼び戻してやる!
「子ゴブ、癒しの空間にいるらしいけど、ずっとそこじゃ可哀想だからな」
俺を助けるために傷付いてくれたんだ。いつまでも閉じ込めておくのは男じゃないだろ。
と、いうわけで、
「いくぞトゥルーデ、産むぞ!?」
「うむレーテよ! 覚悟の決まったママの顔じゃなっ!」
「ママちゃうわ!」
相棒として腹立つが、俺はトゥルーデの手を握った。そしてっ、
「天技【
瞬間、一気に腹が膨らむ! 子宮が膨張し、へそがドッと突き出て、そのまま音を立てて破水した……!
「いぎぎぎぎっ!? さ、最初に産んだ時より、めっちゃ痛いんだがぁ!?」
「その頃より成長しとるからのぉ。あと旦那様のゴブリンたちから出産サポートもされてたし」
「臨月ファックは出産サポートじゃねえよ!?」
と叫んだ時だ。割れ目の入口を、内側より伸びた細い手が掴み、押し広げた! 間違いない、子ゴブの手だ。あいつも自分が出てくるのに協力してくれてるんだ……!
「あ、ありがたいッ、けどっ、いだいいぃいい~~ッ!?」
『チュァアアァァ~~ッ!』
「ぎゃああああああッ!? 子スライムも左乳に入って跳ね回るなッ!? なんだお前乳首刺激で出産サポートしてるつもりか!?」
「ぎゃはははははははッ!」
「トゥルーデは笑うなぁ~~~~~~~~!」
そうして子供二人に応援された結果、俺の子宮口は限界まで開き、ついに!
「ふぎぃいいいいいーーーーーーッ!?」
『――ゴキャァァア~~!』
子ゴブリンを、もう一度産み落としたのだった……!
「はぁっ、はぁー、はぁぁあーー……! 戦いの怪我は……うん、すっかり消えてるみたいだな……!」
『ゴキャキャッ、ママァッ~!』
ずるりと臍の緒を引きずりながら、首元に抱き着いてきた子ゴブリン。そいつを適当にあやしながら、俺は誓う。
「もう二度と、出産なんてしないからなぁ~……!」
◆ ◇ ◆
「よしトゥルーデ! 俺は強くなるために、装備を整えるぞ!」
「お~!」
小一時間ほどで回復した俺は、『開拓都市ミスカトニック』の武器市場を歩いていた。
幸いながら金は百万以上あるからな。出産レビューが謎に評価されて渡されたものだが、この際こだわっていられない。
そう思いながら、子ゴブを抱いて歩いていたのだが……、
「あッ、『出産レビュワーズ』の二人だ!」
「うっわぁ、イカレピンクの乳は元々すごかったけど、あの銀髪ちゃんも追いつくくらい成長してるぞ……!?」
「スライムにめっちゃ乳腺開発されたそうだぜ!? ほれ、イラスト付きのチラシ見てないならやるよ……!」
ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ……! めっっちゃ見られとる……!
不本意なことに速攻で出産レビュー2号を出してしまったことで、すっかり話題になってしまったらしい。これ以上は控えねば。
「民衆どもよぉーーーッ! 『出産レビュー』号外ッ号外ッ! わらわのレーテが、色々あってさっきまたゴブリンを産みおったぞぉ~! ほれ~へその緒が繋がったゴブリンをひり出した瞬間のイラスト付きチラシッ!!!」
「「「二日連続で出産だとぉッッッ!?」」」
「っておいコラ魔女ぉおおおおーーーーーッ!?」
なにお前は新しいチラシばら撒いてんだよ!?
「てか産んだだけだし! レビューすらしてねぇし!」
「では今するがよい! ナカからマン肉開かれながら乳腺ジュボジュボされて産んだ時の感想を、点数付きで民衆の前で述べよッ!」
「最悪だよ0点だよ恥ずかしいっっっ!」
くっっそォォォ~~! まさか街歩くだけでこんな恥辱に合わされるとは……っ!
「うぅううううぅううっ、民衆ども見るなぁ~!」
「涙目になってる!?」「公開孕ませレビューでアヘる変態じゃないのか!?」「恥じらいの感情があるのか!? あそこまでおっぴろげにしといて!?」
「変態じゃねえし普通に恥ずかしいわボケェッ!」
俺を頭ピンクのトゥルーデと一緒にすんなっつの。えぇいもうお前ら散れ散れっ!
「もういいっ、さっさと武器買って帰るぞッ」
「わかったわかった。して、どのような装備が欲しいのじゃ?」
「んっ、そうだなぁ……」
俺はテイマー職だ。戦闘は子ゴブに任せることになるから、こいつ用のを優先した方がいいか。乳房の中で寝てる子スライムはまだ小さいし、そもそも装備できるものがなさそうだしな。
「ゴブリン用に短剣なんてどうかな? 小柄だから相手の懐に飛び込みやすいだろうし、天技で強化すれば人間以上の力を出せることもわかったしな」
「ほほ~いい選択ではないか。敗北孕ませされまくってるくせに、やるな」
「うるせえ」
そんな話をしていた時だ。不意に、「であれば、わたくしにお任せを」と、声を掛けてくる者がいた。
「って、アンタは……!?」
ぬっと現れた女性にビックリしてしまう。
その見た目たるや、シスター服の、金髪エルフさんだ! ファンタジー世界で一番会いたかった存在だぁ~!
「急に申し訳ありません。わたくしの名は、エルダー。森人族のしがない手弱女です」
優雅に裾を持ち上げて挨拶するエルダーさん。可憐だ……。糸目でお姉さんっぽいし、身体付きもすごいし……!
思わず隣のトゥルーデに「なぁなぁっ」と小声で話しかけてしまう。
「なぁトゥルーデっ、なんかすごい美人さんに話しかけられちゃったな……!」
「……チッ!」
「トゥルーデ!?」
なぜか俺を睨んで舌打ちしてきた。な、なんだよお前!? そんな態度見たことないぞっ!? どうした!?
「トゥ、トゥルーデのことはともかく……俺はレーテという者だ。よろしくな、エルダーさん」
「はい、レーテさん」
実際は偽名だがな。横の魔女に勝手に名付けられた名だが、もうチラシのせいで浸透しちまったからな。めんどいしそう名乗らせていただくよ。
「で、どうしたんだよエルダーさん? 武器の話してたら話しかけてきたけど」
「はい。実はわたくし、【鍛冶師】の天職を得ておりまして。教会の運営費とするためにも、武器を作っては販売しているのです」
「へ~」
そりゃ立派な話だ。宗教といえばやたらお金せびってきそうなイメージだが、自分であせくせ稼いでるなら偉いよ。
「それでですね、レーテさん。わたくし、アナタを支援したいのです!」
「ぬぇっ!?」
エルダーさんは急に手を握ってきた! それを見た周囲の民衆どもが「百合キタ!?」とざわめいた。お前ら散れっての!
「支援って、そりゃまたなんで?」
「決まっています。アナタはいずれ、この世界の全ての女性を救う存在であるからです――ッ!」
ふぁああっ!? 何言ってんだこのお姉さん!?
「レーテさん。わたくしは最初、アナタのことを横の有名なイカレピンク魔女さんと同じ変態だと思っていました」
「あっ、エルダーさんもキツく言うくらいトゥルーデどうしようもないんだ……」
納得しかなかった。頭パーな上に無駄に最強な女だ。どうせこれまでも悪行やらかしまくって、地域の変わり者として百戦錬磨だったのだろう。
「しかしレーテさん。チラシに書かれたアナタは、毎回正常に魔物出産を嫌がっていた。出産レビューなんて異常な真似をしているというのに……!」
異常な真似してるって言わないでくれる!?
「一体どういう女性なのか。なぜ魔女に付き合い、こんな真似をと考えた結果――わかりましたよ、レーテさん!」
「ひゃいっ!?」
さらに強く手を握られた!
「アナタは世間に、こう訴えているのですね!? 〝魔物を産むことになっても、塞ぎ込むことはない〟と! そうですね!?!??!」
「はい!?」
「あーやっぱりそうでしたか!」
って、ちがああああああああうッ!? 今の『はい!?』は、意味わからん過ぎて聞き返しただけだぞ!?
「さっきからアンタ何をっ」
「レーテさんもお気付きでしょうからね。……戦うことを強いられた結果、恥辱に苦しむ女性が増えていくことを……」
エルダーさんは声を暗くした。って、そりゃどういうことだ?
混乱する俺に、トゥルーデが鼻を鳴らしながら口を開く。
「神より【天職】を与えられる
弊害、だと?
「考えてもみよ。たとえばどこにでもいる気弱な少女に、【聖騎士】だの【暗黒闘士】だの、超強力な戦闘職が与えられたとしよう。すると周囲からこう言われるわけだ。〝よかったな。冒険者となり、魔物を倒して土地を拓くといい〟とな。……【天職】の戦闘力だけを見て、少女の性格を無視してのぉ……」
その言葉に、エルダーさんは神妙に頷いて先を続けた。
「仕方がないことではありますね……。未だに世界のほとんどは、魔物たちによって支配されています。戦う力を持つ人間が戦わなければ、人類は滅んでしまいますから」
あー……なるほどな。だから心の弱い子でも、才能さえあれば、無言の圧力で戦場に出されてしまうと。
それで無双できるならいい。だが中には、生来の性格が足を引っ張り、竦んでしまって魔物に倒され……、
「――結果、凌辱されてしまう女性が後を絶ちません。そして魔物を孕んでしまうことは最大の恥であり、助けられても一生外に出なくなってしまうか、あるいは……命を……」
なる、ほどな。そんな生々しい問題があるわけだ。
「わたくしの教会でも、そうした女性を多く保護しておりまして。彼女たちはみな人目を避けて生きています。――ですがッ!」
エルダーさんは俺の手を握る力を強めると、ずいっと顔を近づけてきた。
「レーテさんは、そんな現状を変えたいのですよねっ!? 哀れな女性たちに〝顔を伏せる必要はない!〟と訴えたいのですよね!? それで恥じらいつつも堂々と、イカレ魔女の出産レビューに参加しているのですね!?」
「えっ、えぇぇぇぇぇぇええ!?」
っていやいやいやいやいやいやいやっ。俺ってばそんな崇高な目的はなくて、ダサいけどそこの魔女に流されただけだぞ!?
……ってトゥルーデはなにニヤニヤしてんだよ!? 俺がどう答えるか楽しみにしてるのか!?
「そうなんですよねっ!? まさか、流されてこうなったとかじゃないですよねレーテさんッ!?」
「あっ、そっ、それは!?」
ずいずいと圧を掛けてくるエルダーさん。周囲の民衆どもも、「そうだったのか……!?」「慰み者になった女性たちのために、そのためにレーテちゃんはイカレ魔女に付き合って……!」「あのやたら詳細な出産レビューは、魔物の生態や捕まった時の対処法を世に広めるために……!?」と謎の考察をはじめやがった!
「レーテさん、ねぇレーテさん!?」
「あわっ、あわわぁ……!」
形成されていく謎の期待。空気感。それを前に、元ヒキニートの俺は真実を述べる勇気など湧かず……結果、
「は――はい、そうでしゅ……! 世の女性のために出産レビュー出してましゅ……!」
「やっぱりぃ~~~~~~~!」
わたくしの見込んだ通りの人ですッと喜ぶエルダーさんに、なんという自己犠牲だ……! と勝手に感動する民衆ども。
そして唯一真実を知る魔女は、クチを押さえて『ぶふぅうううッ!』と噴いている始末だ。お前笑ってんじゃねぇぞオラァアアッ!?
「あぁレーテさん、アナタは聖女のようなお人ですね……! 世界を創りし主神ノーデンス様の妻にして、わたくしの奉ずる『女神ゼヒレーテ』様も、きっとアナタのようなお人だったのでしょう……!」
いや絶対にちげーーから! だって俺、流されて出産レビューすることになっただけのヒキニートだからぁ~~!?
民衆「まさかそんな深い事情があったのか……」←ないです。
◇↓皆様からのご感想&評価と、活動報告にて『相手役になってほしい魔物』、待っておるぞ!(トゥルーデ)
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