※この作品はR-18です。

エルデンリングとはエロゲーである   作:鷲羽ユスラ

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リムグレイブ
漂着墓地→ストームヴィル正門


 王を待つ礼拝堂

 

 ふと、暗闇から意識が立ち戻る。

 気づけば男は、暗がりの屋内に立っていた。

 

 >【探索する】

 

 周囲を見渡す。暗くて見えにくい。

 後ろを見る。巫女の像だろうか、手を伸ばしている。

 頭を掻いた男は、大人しく正面の扉を開けることにした。

 その側に、誰かの遺体が横たわっている。

 

『エルデの王に、おなりください。たとえ導きが壊れていても』

 

 誰宛てかも知らぬメッセージを読んだ男は、何となく「褪せ人の老指」を拾い、扉を開いた。

 風が強い。嵐を感じる。海の向こうの断崖は、どこへ続いているのだろう。

 道なりに進む男は、崩れた門を通り広場に辿り着いた。

 

 磔のように両手を広げた、女性の像。

 その前に、巨大な何かが来着する。

 歪な巨躯、人に余る複数の腕、二本の儀礼剣と獅子の盾。

 眼前に現れたる強敵「接ぎ木の貴公子」を眺め、目を瞬いてた男は即座に判断した。

 

 よし、殺すか。

 全裸の男は何故か持っていたクラブを片手に、雄叫びを上げて突進した。

 

 男は死んだ。

 

 

 

 

 リムグレイブ

 

 漂着墓地から這い上がった男は、重い鉄扉の先の光景に茫洋としていた。

 何処かは分からぬ。己が何者かも知らぬ。

 だがこの地は、きっと、間違いなく。

 ――己の全てを、満たしてくれるだろう。

 

「……おお、貴方は、褪せ人で――」

 

 すぐ前にある祝福に触れた男は、早速探索に出かける。

 見るもの全てが新鮮だ、体を左右に高速で揺さぶるくらい興奮が収まらない。

 拾える物を手当たり次第に拾う。とりあえず動物を殴る。意味もなくローリングする。

 のんびり歩いている黄金馬に乗った黄金騎士にも、快活な声を上げて手を振ってみたりする。

 気づくやいなや、駆け寄ってくる黄金騎士。馬を引き、高らかにハルバードを掲げ――振り下ろし。

 間一髪で避けた男は目を白黒させながら、すぐにクラブを握りしめた。

 

 よし、殺すか。

 全裸の男は雄叫びを上げ、「ツリーガード」に襲いかかる。

 

 男は死んだ。

 

「エルデンリングを求め、この狭間の地に――」

 

 死んだ。死んだ。数え切れないほど死んだ。

 男は怒った。地団駄を踏み、時にクラブを叩き捨ててふて寝した。

 しかし幾許の時が過ぎると、不思議と男は立ち上がり、再び挑みかかるのだ。

 強敵に翻弄され、何度も殺され、蹂躙されながら。

 ――一瞬に燃え尽きる流星のような、獰猛な笑みを男は浮かべる。

 

「ですが悲しいかな、貴方は「巫女無し」――ぐはぁっ!?」

 

 祝福から蘇るたび話しかけてくる鬱陶しい白面を殴りつけて、男は駆け出す。

 戦う、戦う。ただ戦を求め、ひたすらに、生き、生き抜き、そして死ぬ。

 やがて、男の遺した血溜まりが、教会へと続く草地を赤く染め上げた後。

 「ツリーガード」はついに倒れ、男は一人、消えていく強敵を見下ろしていた。

 

 しばらく、消えた強敵の名残を見つめていた男は、頭を掻いてクラブをしまう。

 

「……劣等の、巫女無し風情が……この私を、誰だと……ぐふうううっ」

 

 祝福に戻った男は、手慰みに辺りを掃除して、腰を下ろす。

 獰猛さは最早ない。戦士の諸相は、今や過ぎ去り。

 男の顔には、深く、果てのない、掻き毟るような飢えと渇きが、刻まれていた。

 

 

 

 

 フードを被った人物は、その男をずっと観察していた。

 エレの教会から移動を続け、関門前の祝福で休む男。

 今でこそ祝福によって清められているが、直前まで男は血塗れだった。

 言葉通じぬ出会う者、その全てを叩き殺したからである。

 惨憺。道中はその一言に尽きるだろう。

 ただ放浪商人だけが例外であり、それ以外は等しく肉塊にされた。

 男も幾度かは、肉塊にされていたが。男が積み上げた死の数に比べれば、霞む程に足りていない。

 遠目から観察するフードの人物――メリナにも、それは感じられた。

 

 戦意。男はただ、自らの血肉を引き裂くようなそれに、突き動かされている。

 

「……ええ。大丈夫よ、トレント。それでも、行かなければ。

 きっと彼が、最後なのだから」

 

 そっと頭を擦りつける霊馬を撫でて、メリナは動く。

 祝福で休む男の前で、メリナはフードを取り払った。

 

「はじめまして、霧の彼方から来た人よ。

 私はメリナ。……貴方と、取引がしたいの」

 

 

 

 

 取引の内容を語り、選択を男に委ねたメリナは、じっと返答を待っていた。

 祝福を眺め、座る男。開かれたその目は、瞬きを忘れ、渇き切っている。

 じっとりと、厚手のコートで隠した体が、蒸れていくのを感じる。

 頬に流れる汗は熱く、まるで燃え上がる大火を前にしているようだと、メリナは思った。

 

 男から滲む、滾り切った戦意。

 何の脈絡もなく、それはメリナに向けられた。

 

「……!?」

 

 肩を掴まれ、押し倒される。

 メリナが抵抗する間もなく、男は大口を裂き開き、躊躇なく噛みついた。

 

「つぅっ……!」

 

 苦悶の声を上げるメリナ。構わず、厚い服ごと、噛み千切らんばかりに興奮する男。

 首筋まで、焼けるような吐息が届く。熱く、湿っていて、けれど渇いた衝動。

 

 自分では、どうにもならない。

 だから、誰かにぶつけるしかない。

 

 その衝動に、擦れ切った獣を見たメリナは、帯びる苦痛を押し隠して、そっと男を掻き抱いた。

 

「いい、ですよ……貴方が、それを望むなら……」

 

 黄金樹の枝葉が輝く、暗い夜空を見上げながら、身を委ねる。

 

「私にはもう、貴方しか、いないから……」

 

 諦めたように力を抜く、焼け爛れた小娘。

 同時に、ピタリと。男は動きを止め、細い肩口に食い込んだ歯を外し、メリナを見つめた。

 飢えと渇き。冷たい雪原に脚を引き摺る獣。

 祝福に照らされ、導きがありながら、自らさえも知らぬ、色褪せた瞳の迷子。

 滴るように絡み合う視線を、男は静かに、引き剥がすように断ち切る。

 立ち上がり、包み隠さぬ全裸の何処からかクラブを握り、歩き出す。

 男は幽鬼のように、関門の先へと進んでいく。

 

「……それでも、貴方は戦うのね……」

 

 噛まれた肩に触れるメリナは、座り込んだまま、男の後ろ姿を見送った。

 

 

 

 

「褪せ人よ。愚かな野心の火に焼かれ、お前もまた、エルデンリングを求めるのか?」

 

 濁々と溢れる血溜まりを引き摺る男は、色褪せた目で城を見上げた。

 隧道の先、城門へ続く一本橋。そこに、誰かが力強く降り立つ。

 

「ならば、その火ごと消してくれよう。

 忌み鬼のマルギットが」

 

 現れた強敵を前に、だが男は敵を見ていない。

 「忌み鬼、マルギット」の放った言葉、ただそれだけを見つめている。

 野心、野心か。何を野心と呼べばいいのだ?

 エルデンリングを求めることか?

 エルデの王にならんとすることか?

 それとも――眼前の強敵と、ただ戦いたいという欲求か。

 皮肉げに笑う男は、全裸の何処からかクラブを取り出す。

 

 よし、殺そう。

 両手に握ったクラブを高々と掲げ、愚直に突っ走る。

 

 男は死んだ。

 

 

 

 

 また、男が死んだ。

 何度目であろう。数十、数百、あるいは数千か。

 数え切れないと言えばそれまでだ。それ程までに男は、己の屍を積み上げていた。

 だが尚も、男は戦い続けている。

 

 祝福は、褪せ人を導く。

 狭間の外で死に、死に切れぬ英雄たちを、呼び覚ます。

 蛮地の王、ホーラ・ルー。

 輝ける金仮面。

 死衾の乙女、フィア。

 忌まわしき糞喰い。

 百智卿、ギデオン=オーフニール。

 ……呼び名すら無き、ただの褪せ人。

 

 男は、ただの褪せ人である。

 英雄ではない。使命もない。狭間に散った祝福無き者たちと同じ、有象無象。

 まして「巫女無し」など、嘲笑にすら値しない。

 ルーンを力に変えられぬ、ただ弱き人。墓に添える一抹の憐憫こそ似合いだろう。

 男もそうなる筈だった。生まれついての脆弱が、名立たる強敵に勝るものか。

 

「……覚えたぞ、褪せ人よ。野心の火に焼かれる者よ」

 

 だが。

 幾千の果てに、倒れ伏していたのはマルギットであり。

 半ば砕けたクラブをなおも握り潰す男は、渇いた目で、忌み鬼を見下ろしていた。

 

「怯えるが良い。夜の闇に。

 忌み鬼の手が、お前を逃しはしない……」

 

 男を真なる敵と見做したマルギットは、捻くれた忌み角の奥から泥のような殺意を放ち、静かに消える。

 理屈は分からない。だがそれは、実体ではなかった。

 本能的に悟っていた男は憮然と鼻を鳴らし、祝福まで歩き……崩れ落ちる。

 全ての臓腑が(こご)ったような血溜まりの吐瀉。

 とうに迎えていた限界を今更伝える、寒々しい震えと滝のような発汗。

 (やつ)れ果てた意地だけで戦っていた男は、祝福の光に触れ、癒やしを求めた。

 長く、長く……けれどたかが褪せ人、一人に与えられる祝福では、(うずたか)い傷を癒せる筈もない。

 徐々に色褪せていく祝福は、枯れ朽ちる男の命のようだった。

 

「――駄目」

 

 項垂れ、倒れそうになる男を、誰かが支える。

 

「ずっと、見ていた。貴方の戦いを。

 ちっぽけで、誰も知らない、けれど貫いた貴方の意地を。

 誰に謳われなくとも、誰に誇られなくとも。

 貴方はきっと、エルデの王になる」

 

 朦朧とする男の手を取り、メリナは光を呼ぶ。

 

「だから、貴方を、円卓へ連れて行く。

 ……貴方が、円卓に縛られるとしても。

 

 ――どうか、生きてほしい」

 

 メリナに抱かれ、柔らかな胸に顔を埋める男は、光のままに身を委ねた。

 

 

 

 

 円卓

 

「……ごめんなさい。本当は、貴方に確認を取るべきだったのだけど……」

 

 目を覚まし、ベッドから起き上がった男に、申し訳なさそうにメリナは謝った。

 

「……かつて数多の英雄を迎え入れた円卓も、今や牢獄に成り果てている。

 律の砕け、修復されない世界に、二本指が激しく怒っているから。

 もう、手段は選ばれていない。円卓は歪み、変わってしまった。

 導きに従うだけを強いられる、牢獄になってしまった。

 だから、それでも、円卓に招かれるか、貴方に聞くつもりだったけれど……

 

 ……私の勝手で、貴方を円卓に縛ってしまった……

 ……本当に、ごめんなさい。私にできる償いなら、何でもするから……」

 

 深々と、頭を下げるメリナ。謝意を示す、それは間違いない。

 同時に、男の顔を見れないくらいの罪悪感から、目を逸らしている。

 恥ずべき行いだ。契約も成立していないのに、手前勝手ばかり立派なんて。

 合わせる顔なんて、何処にもない。目を瞑るメリナは、謝罪を続けようとして。

 乱暴に手を引かれ。男のベッドに引き込まれ。

 

 ――そのまま唇を、奪われた。

 

「…………え?」

 

 硬い粘膜を押し当てられ、離され、それは繰り返される。

 何度も、何度も。片目を見開くメリナは、男の顔が離れた後も呆けたままだ。

 箱入りのような反応をするメリナを胡乱な瞳で眺める男は、雑に小娘の服を剥ぐ。

 コートを投げ捨てられ、厚布を剥かれ、下着に手をかけられた所で、メリナの理解はようやく追いついた。

 

「あ、あの……! 何でもするとは言ったけれど、こんな、いきなり……!」

 

 うっすらと透けた、白く頼りない一枚。気づけばそれだけになったメリナは、慌てて抵抗の素振りを見せる。

 

「こ、こんな体でも、私は女性で……! その、色々と、準備があって……!」

 

 熟れた林檎のように顔を赤くしながら、メリナは男の手に触れ、止めようとした。

 最後の一枚を引き裂かんばかりに捲り上げようとする男。羞恥に焼かれ、弱々しい抵抗を示すメリナ。

 先に緒が切れたのは、男の方であった。誘うようなメリナの抵抗に息を吐き、布から手を離す。

 

「……良かった、分かってくれたのね……準備、してくるから、少し待ってて――」

 

 困惑しつつ、ホッとして、少しだけ残念そうにするメリナは、いそいそと立ち去ろうとする。

 その細い肩を、強く掴み。抱き寄せて、本能のまま。

 男は(かぶ)りつくように、縋るように、メリナの乳房に吸いついた。

 

「――あんっ!?」

 

 メリナの濡れた唇から、艶の混じった熱が漏れる。

 驚愕、衝撃、溢れる羞恥。自らの喉から打ち上がった声に辱められ、反射的に男を引き剥がそうとして、それが叶う筈もなかった。

 

「や、んっ……! 待って、お願い、待って……! 最近、油断してて……! (きたな)い、から、ひんっ……!」

 

 メリナの言い連ねなど無視して、男は赴くままに乳をしゃぶる。

 小娘の体は焼け爛れている。だから普段、厚手の服を来て、メリナはそれを隠している。

 だが男は気にしない。外見の美醜など気にも留めない。

 欲しいと、一度そう思ったのならば。欲の対象を審美するなど、何とも馬鹿らしいではないか。

 だから男は、厚手の服に隠されて分からなかった、慎ましくも自己主張する胸を、意の向くままに蹂躙する。

 

「んっ、ふっ……! くっ、うぅっ……! あっ……!」

 

 それに堪ったものでないのがメリナだ。

 ただでさえ、弱く在りながら強く猛る、男の雄姿に当てられていたというのに、冷めぬ間もなく求められるなんて。

 乱暴に吸いつかれるたび、ビクリと震える。可愛らしく自己主張する突起を舐られるたび、甘やかな情動が理性を溶かす。

 細指を噛み、唇を濡らし、強く目を閉じて、流し込まれる快楽を耐える。メリナの頬はとうに赤く、熟していた。

 

「んっ、んっ、ふぅっ……! あっっ、んんっ……!」

 

 どれくらいそうしていただろう。一際強く吸い上げた男は、ようやくメリナを解放する。

 乱雑にベッドへ寝かされたメリナ。うっすらと透ける一枚布は、胸周りだけが肌に貼りついている。

 男の唾液、メリナの汗。淫靡に濡れた双丘の頂点は、空気に触れて震えるくらい、敏感だ。

 胸元へ集中する視線をはっきり感じながら、メリナは両腕で顔を覆い隠していた。今は、そちらを見られる方が、恥ずかしい。

 襲われて、乱暴にされて、淫らに濡れる女の顔なんて、見られたくなかった。

 

「はあっ、はあっ、はあっ…………あっっ!?」

 

 疼く女の側面に自己嫌悪するメリナは、突如として押し当てられた熱に、震え上がる。

 仰向けに寝かされたメリナの、立てられた両膝の奥。白布に隠された秘奥へ、男は一物を押し当てていた。

 

「んっ、くっ……する、のね……いい、ですよ……

 それが、少しでも、貴方の慰めになるのなら……

 

 ……来て、貴方……」

 

 グリグリと、秘するべき場所をこじ開けようとする象徴に、メリナは怯え、けれど意を決した。

 両腕の守りを取り払い、男の頬へ。

 貴方を、受け入れます。そう覚悟する女が、男を見つめていた。

 

「……? どう、したの……?」

 

 けれど、不意にピタリと。男は動きを止める。

 メリナが訝しみ、思わず尋ねるだけの時間が流れ。

 唐突に、今気づいたと言わんばかりに、男は口を開く。

 

 >【処女かどうかを聞く】

 

「……!? あ、貴方、今になって、そんなこと……!!」

 

 自分の顔が燃え上がるのを、メリナは感じた。今までの辱めなど比にならぬ、恥の感情だ。

 

「なんて無神経……! ここまで好き勝手して、その気にさせて……そんなに、私を辱めたいの……!」

 

 心に満ち満ちる怒気が、罵倒となって叫ばれる。

 けれど男は何処吹く風、同じ質問を繰り返す。

 メリナは激しく抵抗しようとしたが、その時、男と視線が絡んだ。

 暴欲に突き動かされるままの、だが厳然と、荒涼とした、色褪せた瞳。

 男の渇いた奥底に、メリナは驚き。

 いやいや、仕方なしに、怒りを鎮める。

 

「……そうよ、悪い……?」

 

 顔を背けて呟くメリナ。返答は、面倒そうな男の溜め息。

 鎮めた怒りが噴火しそうになるメリナは、次の瞬間、股ぐらを広げられ。

 白布の奥へ顔を埋める男を、制する間もなく。

 生じ、与えられ、溢れる快楽に、我を忘れて啼くことしかできなかった。

 

 

 

 

「はあーっ、はあーっ、はあーっ……」

 

 どれくらい、時間が経っただろう。

 ぐったりとベッドに沈むメリナは、明滅する意識の中、朧気に思う。

 体に力が入らない。震えが止まず、蕩けるように、快楽の残滓が寄せては引く。

 知識としてはあった。霊体となって久しいが、興味がなかったわけではない。

 けれど、ここまでだなんて、知らなかった。熱く湿った呼気を繰り返すメリナは、不意に落とされる影に、視線を向ける。

 

 そこにあるのは、男の影。その股座で熱り立つ、女を貫く一物。

 見せつけるように、高々と、男は肉の鉾をメリナに向けていた。

 それを見つめ、思わず喉を鳴らし、メリナはそっと、男の望むままになる。

 

 自らの意志で、足を広げ。白布の最奥へ、男を誘った。

 

「っ……」

 

 辿々しく、小さく開いた足を、男は限界まで押し広げる。

 仰向けに転がり、股を開き、顔を背けながら、視線だけは熱っぽく。

 娼婦のそれに違いない誘惑を漂わせるメリナに、男は覆いかぶさった。

 

「っっっ……!!」

 

 合図はなかった。一切の気遣いも。

 慈悲の一つもなく、男はメリナの処女を貫く。

 破瓜の痛みに、耐える中。髪を撫ぜる男の手、その熱が、ひどく焼き付いて忘れられない。

 

(ずっと、思っていたけれどっ……貴方のそれは、ひどく大きいっ……!)

 

 噛み締めた歯の間から熱い吐息を漏らすメリナは、濁流のように男との記憶を思い出す。

 男は裸だった。素寒貧だった。何も持たず、恥部隠しもなく、ただ武器だけを握り締める。

 ぶらぶらと揺れる股座に、何度メリナは顔を固くしたことか。内心を気取られぬよう、包み隠す努力を、男は知らぬだろう。

 だって、そんなの、いやしいじゃないか。全裸の男を目にして、女を疼かせていたなんて。

 知られたくない、矜持の秘密。行為の最中、過ぎる思考は、男が動き出すことで儚く散る。

 

「あっ! ふぅっ! んんっ! んあっ!」

 

 乱暴に、乱雑に、どこまでも自分本位に。男はただ欲を満たすため、メリナを(にじ)り、貪っていく。

 誰も受け入れたことのない、凝り固まった秘所を、無理やりに。抜いては、力強く奥を叩く男に、メリナはただ耐え忍ぶ。

 

「はっ、はっ、はっ……!」

 

 その凌辱は、不意に止まった。奥底を貫いたまま男が伸し掛かる間、メリナは束の間の休みに息を整える。

 じくじくとした痛み。渦巻く不安と恐怖。野太い腕に抱かれる、錯覚染みた安心。

 うっすらと引いていく熱が、メリナに理性を立ち戻らせる。

 その、か細い理ごと。男は力強く腰を叩き込み、快楽の波で押し流した。

 

「かっ、ひゅっ……!? ひっ、ああんっ!?」

 

 男は何処までも自分本位だ。メリナの都合など考えていない。

 苦痛を与えようが気にも留めない。耐え忍ぶを強いても罪悪など感じない。

 散々に嬲り、従順となった柔肉を貪って、快楽の渦に叩き込もうと、同じことだ。

 自分が気持ちよくなるために、抱く女をより気持ちよくする。

 そんな男の横暴に、抗う術など、メリナは持ち合わせていなかった。

 

「な、なんで、急に……!? あっ、待って、あんっ!? これ、だめ、だめだから、んあっ!?」

 

 強引な手段で硬く閉じられた蕾を開かせた男は、思いつく限りのやり方で蜜花を愛でる。

 入口の浅いザラザラを亀頭で何度も擦る。たっぷり詰まった(ひだ)を長い剛直で伸ばし切る。

 穢れを知らぬ未使用の子宮を、何度も、何度も乱暴し、男の味を覚えさせる。

 

「あっ、やっ!? 本当に、待って、あ゛んっ!? 知らない、こんなの知らない、ひぃん゛っ!?」

 

 溜まったものではないのがメリナだ。初心な乙女が知るにはあまりに熱く、淫靡に滾る、どろりとした快楽。

 そんな欲熱を流し込まれ、火傷しないなんてありえない。メリナの意志に反し、体が、心が、どうしようもなく燃えていく。

 

「あ゛っ、あんっ! くぅっ、ひぁ゛っ!? いっ、あ゛っ! あ゛あん゛っ!」

 

 体の制御なんて、とっくに手放していた。せめて心を守ろうとして、耐えられなかった。

 乱暴に揺さぶられ、珠のような汗を流し、淫らに啼きながら男に縋る。

 頼りない蝋燭の火に照らされ、光と暗がりが入り交じるように、男と一つになっていく。

 

「あ゛~っ!? あ゛~っ!? あ゛あ゛~~~っっ!!」

 

 言葉はとうに嗄れ尽くした。艶かしく焼かれ、男を誘う。

 肢体が跳ねて、乳房が揺れる。それごと抱き潰され、落雷に打たれたように足先が伸びる。

 はくはくと唇から息を漏らし、淫らに舌が滑り、見開かれた目に星が散る。

 自らの意志で差し伸べた両腕だけが、ずっと男を掻き抱いていた。

 

「あ゛あ゛~~~~~っっっ……!!」

 

 男が精を解き放つと同時に、メリナは昇り詰め、果てた。

 壊されてしまうと感じるくらい、男に抱き締められながら、どくどくと欲熱を注がれる。

 終わらぬ吐精。生涯忘れえぬ爪痕を刻む、男の肉欲。

 自分のそれとは全く違う温もりを感じながら、メリナは意識を手放した。

 

 

 

 

 ……

 …………

 ……まだ、するの……?

 

 貴方は、たった一度だから、そうでしょうけれど……

 私はもう、絶え絶えで、これ以上は、とても……

 ……それでも、するのね……

 ……本当に、ひどい人……

 

 ……ええ、きっと大丈夫……

 ……貴方の色に、染め上げられてしまうだけだもの……

 ……お好きにどうぞ……

 とっても身勝手で、しょうがない貴方……




抜きに特化してる時は基本ハートマークを乱打する作者ですが、今回はエルデンリングの雰囲気を守るため古き良き官能小説を目指します。
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