単語とかは出るのですが、実際にエロってる訳ではないです(汗)
「おかずにしてたのは僕なんでしょう?」
「そうねぇ。でもやっぱり罪悪感があったし、何も考えずに適当にしちゃうこともあったかな」
少し意地の悪い気持ちをこめて訊いても呉羽はやはり淡々と答える。佑は本格的に拗ねてそっぽを向いた。するとごめんごめん、と笑って呉羽が佑の手を軽く叩く。
「この身体はヒューマノイドの中でも、最も安価な機体をベースにしています。内部の機械装置には高価なものもありますが、ダッチワイフよりダッチワイフ的なしかけとかも付けてあります」
呉羽の手をやんわりと退けて佑はあくまでも毅然とした態度で説明した。するとふうん、と感心したように呟いて呉羽が自分の股間を覗きこむ。そこで呉羽はおやまあ、と笑った。
「変態の多い職場で働いてたから、この手の玩具はよく見てきたけど……ここまで凝ったのは初めてね」
まじまじと自分の股間を覗きこみながら呉羽が心底感心したというように言う。
「こうやって、カバーを外した状態でもセックスやオナニーが可能です。粘膜質のカバーもわざわざ、チープなラバーゴム製のものにしてあります」
「へえ。本当に凝ってるわね」
感心したように言ってから呉羽が顔を上げる。そこで呉羽は困ったように笑った。
「これもあんたの趣味?」
そう言って呉羽が自分の股間を指差す。
「だから僕は変態だって、言ってるじゃないですかっ!」
真っ赤になって佑は声を荒らげた。すると呉羽が驚いたように目を見張り、次いで苦笑を浮かべる。違うのよ、と優しい声音で言ってから呉羽は安心させるように佑の手を軽く叩いてみせた。
「別にあんたの趣味がいけないって言ってるんじゃないのよ? ただね」
そう告げて呉羽が台に置いてあったラバーゴムを取り上げる。
「粘膜じゃなくてゴムにしようと思ったのはどうして?」
手にしたラバーゴムの部品を軽く持ち上げて呉羽が静かに問い掛ける。それを聞いた佑は訝りに眉を寄せて唇を尖らせた。
「材質はゴムですけど、人工粘膜としてしっかり機能します。感度の点では生身に似せたものを上回っているくらいです」
「そうじゃなくて」
困ったように言って呉羽が手の中で部品をもてあそぶ。どう言えばいいのかなあ、と考え込みながら呟き、呉羽は伏せていた目を上げた。
「要するに優一郎はヒューマノイドがチープであればあるほどいいと思うの? ……いや、この訊き方はちょっと違うわね」
独り言のように呟いてから呉羽がまた考えるような素振りをする。佑は呉羽の言わんとしていることがよく判らず、首を傾げた。呉羽は戸惑いの表情を浮かべる佑を余所にああでもないこうでもないと口の中で呟いている。それを見ているうちに次第に我慢が出来なくなり、佑は自分から言った。
「呉羽さんの身体はこうしたかったんです! 呉羽さんみたいなかっこいい女のひとだからこそ、貶めてみたいっていうか」
真っ赤になって言った佑を不思議そうに呉羽が見つめる。
「ああ、つまりヒューマノイドを全部こういう形にしたい訳じゃなくて、搭載された脳に合わせたカスタマイズをするところに快感があるということ?」
すらすらと言ってから呉羽がためらいのない目で佑を見つめる。佑は微かに頬を引きつらせながら目を伏せた。
「そうかもしれません。コレクションするみたいに、さまざまなヒューマノイドを作って来ました。例えば多輝の機体は、八大クラスの上級龍神の宿体としてクオリティ的に遜色無いものにしようと作り上げたものです」
「ふむ」
そう呟いて呉羽が考えるように口許に手を当てる。佑はそっと目を開けて呉羽を見つめた。憧れの対象であった叔母である呉羽を自分のものに出来る可能性があると思った時、佑の胸は躍った。由梨佳の機体を基礎にしつつも呉羽により似合う機体に作り変えた。それが快感でなかったと言えば嘘になる。
「斎姫の身体は、あえて生身の身体を意識せず、機械人形としての品質を高めていったらどうなるだろう? という意図で製作し、今も改良を続けています」
「なるほどね。個体の性格に応じてより羞恥を感じるように意図した訳ではない、と」
納得したように呟いて呉羽が苦笑する。佑は戸惑いを覚えて呉羽を見つめた。
「えっと、そういう意図によって製作した機体もあります。ですけど、それは受け入れられませんでした。このまま存在を続けるのは生き恥だと言って拒絶されました」
今でも思い出すと胸が痛む。だが結果的に渚はあれで良かったのだと、漸く最近になって思えるようになってきた。それでも佑は痛みに顔を歪めて胸を押さえた。
「あ、いや、ごめん。別に責めるつもりはなくて……いかんね。職業病だわ」
困ったように笑って呉羽が肩を竦める。
「呉羽さんの身体をこのように製作した理由は、呉羽さんなら受け入れてくれるだろうという甘えがあったんだと思います。そして……」
「でもねえ。年取ったせいかねえ。恥ずかしいとあんまり感じられないのよ」
悪いわねえ、と心底申し訳なさそうな顔で呉羽が詫びる。佑は慌てて手と首を横に振った。
「羞恥心を感じるかどうかはあまり重要じゃなかったっていうか、こういう風にあっけらかんと対応されるのも、なんだか不思議とそそられるものがあるというかえっと、その」
真っ赤になって言った佑を見つめていた呉羽が穏やかな笑みを浮かべる。確かに恥ずかしがる呉羽を思って昂奮しなかった訳ではない。だが呉羽は医師だ。しかも人の身体を嫌というほど分解している。こうして淡々とした対応をされるという予想もしてはいた。
呉羽は年上のおねーさんの立場を守りたいようだ。