※この作品はR-18です。

狩りの終焉 二部   作:伊駒辰葉

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エロシーンは……ないんですけど、呉羽は裸のままです。
まあ、機械なんですけどねw


呉羽の機械化と昔の話 9

「私はあんたがそうなった理由をずっと考えてたよ。最初は家庭環境に問題があるんだと思ってた。総一郎がヒューマノイドを研究してたことも知ってたしね。由梨佳さんがそうじゃないかってのも薄々は知ってたし」

 

 もしもごく当り前の、普通の男性としての感性を望むならと調べてみたりもした、と呉羽は苦笑した。

 

「宇田川さんについては、きっかけにすぎなかったと思っています。僕にはもともと生まれつき、他人を支配したい。その支配の手段として、相手を人形的な存在にして自分の道具としたいという性向があったのだと今では考えています」

 

 そう言いながら佑は考えを巡らせた。確かに由梨佳は佑がこの性癖を自覚するきっかけとなった。だが何故、そう生まれたのかについては考えたことはなかったのだ。

 

「そうかぁ。まあ、優一郎が嫌がってる訳じゃないし、人の性癖なんてそれぞれだしね。変える必要がないなら別にいいわよね」

 

 ごめん、やっぱり職業病かも。そう付け足して呉羽は苦い笑みを浮かべた。

 

「やっぱり、直したほうがいいのでしょうか?」

「ううん。そうじゃなくてね。自分の性癖について悩む患者がけっこう多くてね。相談に乗ってるうちに考えるようになったというか」

 

 そこまで言って呉羽が呻きを漏らして頭をかく。入院患者の中には性格の問題から怪我を負った者も少なくなかったのだという。勿論、呉羽のような外科系の医師は患者のメンタルケアを行う義務はない。だが、何度も顔を合わせているうちにそういう話を聞くこともあるのだと呉羽は説明した。

 

「僕が呉羽さんの機体を、こんな風に作ったのには明確な理由があります」

「あら。貶めるためってさっき言わなかった?」

 

 特に気にしている風でもなく呉羽がさらりと告げる。佑は真面目な顔で呉羽をじっと見つめた。佑の緊張した面持ちにつられたのか、呉羽が浮かべていた笑みを消す。

 

「基本的にはそうです。でも、こういった身体に改造すれば、僕以外の人間に肌を晒すようなことは決してしないだろう。つまるところ、独占欲が理由なんです」

「もしかしてあの馬鹿のこと、気にした?」

 

 少し不安そうな顔をして呉羽が訊ねる。佑は困ったように笑ってため息を吐いた。確かに自分の知らない情報を提供してもらう必要はあった。互いの情報を交換し、初めてそこから新しいことに取り組む。それが物事に対するためには最も建設的な方法だ。

 

 だが同時に佑には不安もあった。呉羽は順に連れて来られた時に何も身につけていなかった。入浴中だったとすれば筋は通るが、そんな理由ではない気がした。結局、順は呉羽が優一郎を好いているとは言っていたが、呉羽とは何もないとは言わなかった。

 

「はい。それと、もうひとつ意図がありました。極端な身体を見せることで、呉羽さんの気持ちをはかろうとしたんです。呉羽さんの性格から考えて僕のことを本当に好きなら受け入れるだろうと、思ったから」

 

 こうやって笑って受け入れてくれるという反応も予測はしていました。小声で続けて佑は目を伏せた。優しい笑みを浮かべて呉羽が佑の手を取る。佑は俯いて呉羽の手を見つめた。

 

「あの馬鹿については何も気にしなくていいわ。まあ、初めての時の後は妊娠してるんじゃないかと凄く焦ったけど」

 

 そこまで言った呉羽は唇を引き結んで黙り込んだ。無意識なのだろう。佑を握る呉羽の手に力がこもる。佑は目を上げて呉羽を見つめた。いつの間にか呉羽は怒りに目を吊り上げている。よほど当時のことは呉羽にも腹立たしいことだったのだろう。

 

「あの、もし、僕ではなく、茜さんにこの身体を見られたら、どう思います?」

「殴るわ」

 

 不安に駆られて言った佑にきっぱりはっきりと答えて呉羽はそっぽを向いた。それに、と低い声で言って呉羽がこぶしを握り固める。

 

「あの馬鹿にはまだ一発も入れてないのよ! 絶対に許さないわ!」

 

 声高に言ってから呉羽が突き上げていたこぶしを降ろす。ふう、と大きく息を吐いて呉羽は体の力を抜いた。怒りに溢れていた顔に困ったような笑みが浮かぶ。

 

「呉羽さん……?」

「ごめんね。ちょっと試しちゃった。優一郎が妬くところを見たかったのよ」

 

 恐る恐る呼びかけた佑にそう言って呉羽が両手を顔の前で合わせる。拝むようにされて佑は困惑に顔を歪めた。

 

「僕って独占欲、強すぎますよね? 自分は女性をコレクションするような真似をしているくせに、相手には貞操を守ることを求めるなんて」

「そう? まあ、私に同じように思えと言われたらちょっと困っちゃうわねえ」

 

 あっさりと言ってから呉羽は佑をじっと見つめた。それはつまり、呉羽と同じように佑にも貞操を守らせるということだろう。それに気付いた佑は困った顔をして眉を寄せた。

 

「このままの僕で、いいんですか?」

「あら? 独占欲を剥き出しにして欲しかった?」

 

 悪戯っぽい笑みを浮かべて呉羽が佑の目を覗き込む。間近に見つめられて佑は戸惑いつつ目を逸らした。確かに嫉妬深い相手だと困るのは自分だ。他の誰かと関係を持つたびに妬かれていてはヒューマノイドなど作れないし、勿論メンテナンスも十分に行えない。




呉羽がんばれーw
おねーさんの立ち位置を死守するんだ!!w
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