※この作品はR-18です。

狩りの終焉 二部   作:伊駒辰葉

145 / 191
エロシーンです! BL警報です!
ついでにグロいかも知れません! 暴力的なので!


魂の価値と差異 2

「ろくに怪我の手当てもさせないような奴は客とは言わん」

 

 低い声で言う和也を睨みつけて順は喚いた。

 

「だから、オレは遊んでるヒマはないんだよ!」

「いいかげんに言うことを聞け!」

 

 迫力のある怒声に順が目を見張った瞬間、和也が腕を一閃させる。頬に強烈な平手を食らって順は思わず息を止めた。無意識に身体から力が抜け、抵抗が弱くなる。その隙に和也は順の両手を包帯できつく縛った。我に返って焦って暴れ始めた順を踏みつけたまま、和也が新しい包帯を救急箱から取り出す。

 

「普通、怪我人を殴る? 全く、信じられないったら」

 

 うんざりした感情をこめて言いながら順は素早く足を蹴り上げた。急に腹に蹴りを食らった和也が呻いて手の力を緩める。その間に順は身を捩って和也の下から逃れようとした。

 

 不意に和也が順のシャツをつかむ。何事かと驚いた順の身体は強く引かれて僅かに浮いた。両手にしっかりとつかんだシャツを和也が物も言わずに左右に引く。シャツを引き裂かれたところで順の頭は一瞬、真っ白になった。

 

「大人しくしろっつってるだろうが!」

 

 怒声を浴びせた和也が無造作に順の肩をつかむ。剥き出しになった肩をつかまれた順は息を飲んで仰け反った。シャツに隠れていた傷を和也が遠慮のない力でつかんだのだ。異常な治癒力で塞がりかけていた傷が一気に開く。

 

「や、だってば! こ、の、変態!」

 

 自分のことはすっかり棚に上げて順はそう罵った。すると和也が意味ありげな笑いを浮かべて片手を伸ばす。焦って身を捩ろうとした順の両手をベッドに押さえ、馬乗りになった和也は救急箱から消毒液の瓶を取り上げた。素早く蓋を外して瓶を傾ける。肩の傷に消毒液を直にかけられて順は痛みに顔を歪めた。食いしばった歯の間から思わず呻きが漏れる。

 

「……全く。手間をかけさせやがって」

 

 そうぼやきながら和也が順の肩にガーゼをあてがい、包帯を巻いていく。順は抵抗する気力をなくしてぼんやりと和也を見上げた。身体の痛みが徐々に快感に変わって行く。頭にも包帯を巻かれたところで順は深々とため息を吐いた。

 

「ホント、遊んでるヒマは、ないんだけどなあ」

 

 独り言のように呟いて順は苦笑した。手際よく包帯を巻いていた和也が怪訝そうな顔をする。だがすぐに和也は不機嫌そうな顔に戻って舌打ちをした。順の腰に巻きついていたベルトを抜いてジーンズを引き下ろしたところでやっぱり、と嫌そうに言う。順は微かに笑って身を捩った。

 

「だーから、そこで嫌な顔するくらいならね。最初っから手当てなんてしなきゃいいんだよ」

 

 順の足には大きな切り傷があった。腿からふくらはぎにかけて左足に縦に傷が走っている。右足には細かい傷がある。それは克人が本能的に順の力を切り裂いたため、反動で食らったものだ。だがこの程度の傷ならしばらくすれば普通は塞がる。体力が極端に落ちているためにまだ残っているだけだ。

 

「動くなっつったろ、バカが」

 

 憎々しそうに言って和也が順の足にいきなり消毒液をぶちかける。身を起こそうとしていた順は呻いてベッドに逆戻りした。順の足を手当てしていた和也がふと目を上げて驚いたように息を飲む。順はまったくもう、と呟いて苦笑した。懐かしい痺れにも似たものを覚えた順の股間でペニスが下着を押し上げているのだ。

 

「オレね、ちょっとヘンなのよ。痛いのとか気持ちいいんだよね。んだから別にほっといてくれても良かったのに」

 

 あの頃、何をされても心地良いと思えた。死に物狂いで抵抗しようとした順をあの男は強引に抱き、快楽を何度も叩き込んだ。懐かしいものを思い出しながら順は吐息をついた。無意識に目が潤み、息が熱くなる。

 

 何でこうなるのかなあ。順は心の内でそう呟いた。和也が震える手で順の下着を引き下ろす。不器用な口づけを受けて順は諦めの息を吐いて目を閉じた。痛いくらいの力でペニスをつかまれ、根元から先端に向かって扱かれる。和也の指の動きに反応した順の身体は無意識にひくついた。貪るように順の唇に吸い付いた後、和也が首や肩に軽く噛み付く。

 

「おら、足開け」

 

 低い声で命じられて順はのろのろと足を開いた。包帯の巻かれた足を伝った和也の指が順の股間に辿り着く。窄まりに触れられた瞬間、順はびくんと身を竦めて仰け反った。逞しい太い指が無遠慮に肛門にねじ込まれる。

 

「くぁっ! んっ、んあああぁああっ!」

 

 ひくつく順のペニスを握り、もう片方の手の指を肛門にねじ込んだ和也の顔にはいつの間にか凶悪な笑みが浮かんでいた。緩み始めた肛門に指を根元まで突っ込んで笑いを漏らす。

 

「すげえ感度いいな。もっと声出せよ」

 

 嘲笑いながら言って和也が指を無造作に動かす。腸内を強い力でかき回された順は目を見張って反射的に足を上げた。伸びきったつま先が頼りなく宙をかく。

 

「んぅっ! くっ、ううんっ! あはっんっ! ああんっ!」

 

 強烈な快楽のままに喘ぐ順の首筋に和也が歯を立てる。痕が残るほど強く噛まれた瞬間、順は仰け反って腰をひくつかせた。衝動が弾けかける。だがペニスを強く握られているために射精することが出来ない。

 

「へえ。本当に痛いのがいいのか」

 

 泣きそうな声で喘ぎ、しきりに腰を揺する順を見つめて和也が嗤う。順は何度も頷いて腰をくねらせた。さっきまで気になっていたことが全部頭から抜け落ち、意識が朦朧として何も考えられなくなる。

 

「初めて見た時から気になってたんだ。これまでそんな気になったことなんて一度もなかったのにな」

 

 囁くように言って和也が唐突に肛門から指を抜く。じれったさに身を捩って順は涙の浮かんだ目で和也を見つめた。

 

「も、我慢出来ない! 出させて!」

 

 叫ぶように訴えた順に嘲笑を向けて和也がのんびりと身を起こす。切羽詰まったものを感じて順は懸命に腰を揺すった。だが和也は強い力でペニスを握っていて愛撫をくれようとしない。

 

「ねだるならねだり方ってもんがあんだろ?」

 

 言いながら和也がペニスを握っていた親指を亀頭部分に強く乗せる。親指の腹でペニスの先端を擦られて順は悲鳴に似た声を上げた。衝動だけがどんどん強くなるのにどうやっても射精できないのだ。だがそのじれったさが異様に心地良い。荒い息を吐きながら順は恍惚の表情で目を落とした。和也に甚振られている様を直に見ると余計に昂奮する。

 

「んあっ、んくっ! ……なる、ほど、ねえ……んああっ!」

 

 朦朧とする意識の中に懐かしいものが蘇る。あの時、男の魂は散ってしまった。たった一つ残された男の宝珠は魂が散った後も何故か順の手元に残されている。あの黒い鎌は形見のつもりだったのだろう。

 

 冥界に墜ちた魂はだが、順が新たな名を継いだ瞬間に弾けて消えた。懐かしいものを思い出した順は無意識に涙を流していた。

 

「ん? 泣くほどいいのか?」

 

 緩みきった顔で泣く順を見止めて和也が嘲るように言う。順は思わず苦笑してゆらりと手を動かした。包帯にくくり付けられた両手首を静かに胸元に引き寄せる。

 

「こ、のままで、いられりゃ……俺もいいんだろうけどさ」

 

 喘ぎの合間に呟くように告げて順は仰け反った。不思議そうな顔をして和也がぴたりと手を止める。疼きと快楽に顔を歪めて順は両手を静かに和也の胸に当てた。

 

「悪いな。俺は年を取りすぎたみたいだ」

 

 一瞬、和也が目を見張る。順は目を細めて息を潜めた。ゆらりと揺れた和也の手から力が抜ける。順は感情の消えた目で和也を見つめてから両手を振った。鎌の柄に貫かれた和也の身体が床に転がり落ちる。順は黙って身を起こし、両手を結わえた包帯に火を灯した。力で生み出された炎が煙を上げて包帯を焼き尽くす。

 

 天井を見上げて順は微かに嗤った。空気が揺れてその場に水輝が現れる。よくよく苦労性だね、と呟くように言うと水輝は無言で和也に歩み寄った。

 

「一応は加減したのか」

 

 脱力した和也を水輝が両腕に抱え上げる。順はさあね、と嗤って立ち上がった。つかんでいた鎌を黒宝珠に戻して器にしまいこむ。

 

「思い出に浸りきるほど若くないんでねえ。悪いんだけど、そのコは水輝ちゃんが治したげてよ」

 

 淡々と言って順は部屋を横切った。設えられたクロゼットに歩み寄って適当な服を引っ張り出す。アロハシャツがない、とごねた順を呆れたように見つめてから水輝が歩き出す。順はのんびりと着替えながら水輝を振り返った。

 

「ねえ。ヒトの魂ってホントは龍神のとそんな変わんないんじゃないの?」

 

 何となく問い掛けた順を水輝が振り返る。だが水輝は苦笑しただけで順には答えなかった。




順は変態なのでこれでOKなのですが……。
BL苦手な方はごめんなさい(汗)

ちなみに水輝はこの後、ちゃんと和也を治療しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。