※この作品はR-18です。

狩りの終焉 二部   作:伊駒辰葉

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桜が鈍いというか色々と状況とかを把握していないという。
エロシーンはありません。


桜の鈍さは天然だと思われ 4

 桜はため息を吐いてそれで、と呟いた。

 

「条件とは何ですか」

 

 例え自分が触れなくとも実際に透は結界に触れているのだ。桜は諦めて自分からそう訊ねた。

 

「たいしたことじゃない。おまえ、二晩、俺に抱かれろ」

 

 それを聞いた桜は僅かに目を細めた。

 

「もちろん、今すぐじゃなくて落ち着いてからでいい。問題無いな?」

「何故ですか? 伽のお相手をするのは一向に構いませんが、理由が判りません」

 

 それにもしも奈月に何らかの悪影響があるようなら受け入れるつもりもない。桜は淡々とそう答えた。すると結界に触れていた手を下ろして透が桜を横目に見る。

 

「やっぱ、おまえって可愛い」

 

 くすくすと笑って透が言う。桜は訝りに眉を寄せて首を傾げた。

 

「仰る意味がよく判りません」

 

 それに答えになっていない。桜は憮然として言った。結界を越えたいのは山々だが、そのことで奈月に害を及ぼすようなら越える必要はない。

 

「おまえの姫さんを、どうこうする気はねーよ。俺も、あのガキもな」

「がき、とはあの鬼のことですか」

 

 話が飛んだことに戸惑いつつも桜は答えた。確かに透は好戦的な態度はとっていないし、奈月に直接に危害を加える気もないのかも知れない。だが、巡り巡って奈月の害にならないとも限らないのではないか。そう桜は訊ねた。

 

「それを言い出したら、誰だっておまえの姫さんに危害を加える可能性がある事になるぞ」

 

 苦笑して透が再び手をゆらりと上げる。今度は透の手は青い結界の中に触れた。

 

「あのガキのターゲットはあくまで優一郎だ。あの姫さんにとばっちりが来るなら、それから護る事こそおまえの役目じゃないのか?」

「……物は言いようですね」

 

 桜はため息混じりに呟いて目を落とした。透が差し出した手をじっと見る。

 

「わたくしはまだ質問に答えてもらってはいません」

 

 何ゆえ、透はあんな奇妙な条件を出してきたのだろう。桜は本気で疑問に感じていた。

 

「おまえが女として魅力的だからだよ」

 

 言わなきゃわからねーのか。苦笑しつつ透が言う。桜はその場にしばし硬直した。透の言葉は解読出来たのだが、何故そんなことを言い出したのかが理解出来ない。

 

「いい女見て、抱きたいと思うのはおかしいか?」

 

 急に生真面目な顔になって透が言う。桜は少々お待ちを、と早口で言ってから額に手をあてがって考えた。だがいくら考えても透の言ったことが理解出来ない。

 

「それはわたくしに対して欲情していると捉えるべきなのでしょうか?」

 

 桜はしかめ面でそう訊ねた。確かに龍神は覚醒時に異常な性欲を覚えることが多い。桜はつらつらと考えつつ額に滲んだ汗を拭った。

 

「欲情って言葉だけで割り切れるほど、単純なもんでもないけどな」

「単純ではない……?」

 

 あっさりと言った透の言葉に桜はまた考え込んだ。無意識に宙に正座して桜は懸命に考えを巡らせた。しばらく考えてから漸く答えらしきものを見つけて桜はぽん、と手を叩いた。

 

「つまるところ、透様は自らが作成なさったわたくしの身体の具合を確かめたいと? そういう理解で宜しいですか?」

 

 作った責任上、具合が悪くないかどうか確かめたいというのなら話も判り易い。自分の理解し易い答えを何とか導き出した桜は真面目な顔でそう問い掛けた。

 

「確かにそれもある。おまえってさ、使い魔に落ちてから、きちんと、自分に合った身体持ったの初めてだろ?」

 

 頷きながら透が桜を指差す。桜は自身を見下ろしてそうですね、と頷いた。それなら別にわざわざ条件に持ち出すまでもない。出来上がり具合を確かめたいというのは、製作者としては当然の権利だろう。

 

「中途半端に肉の混じった器では、性器は付けられなかったはずだしな。おまえに性器付けるの苦労したんだぞ」

 

 何がおかしいのか透がくすくすと笑い出す。桜は当然という顔で頷いた。本来、木龍神の使い魔には性器はない。それ故に紫に作られた当初、桜は女性器を持っていなかった。だがその点について不都合を感じたことはない。

 

「木龍神の使い魔には性器は存在しません。必要がないからです」

 

 淡々と答えて桜は宙に座したまま、透と向かい合った。

 

「違う。付けられなかったんだよ。実際、今、おまえの股間に付いてるのも肉の性器とは別ものだしな」

 

 花なんだよな。そう言って透がくすりと笑う。桜はそう言えば、とぼんやりと思い出した。確か以前、佑が服を脱げと言った時に同じようなことを言っていた。八重桜、と桜はぽつりと呟いた。

 

「なるほど、要するに透様は自らがお作りになった特殊な女性器の具合をみたい。こういう理解で宜しいですか?」

 

 淡々と言ってから桜は真っ直ぐに透を見つめた。それなら話は理解出来る。その意味をこめて頷いた桜に透は苦笑してみせた。

 

「特殊じゃねーよ。おまえ、気づいてないのか?」

「何がですか?」

 

 心底、不思議に思いながら桜は問い返した。

 

「おまえ、使い魔復活させる時に、無意識に今の自分の身体の構成を複写しただろ? 白梅ちゃんだっけ? あの娘もなかなか良かったぞ」

 

 そう言って透がくすくすと笑う。桜は戸惑いの目で透を見つめて細い息を吐いた。

 

「気付かれていたのですか」

 

 監視の意味をこめて放った使い魔の気配に透は気付いていたらしい。それだけではなくどうやら白梅は透に抱かれたようだ。なるほど、と桜は呟いた。




隙を見てちゃっかり食ってる透w
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