※この作品はR-18です。

狩りの終焉 二部   作:伊駒辰葉

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サブタイがひどいのはいつものこと!
作者のためのサブタイ!w
エロシーンはありません。


水輝が勝手に落ち込んでいる件

 薄く開けた目に真っ白な光が飛び込んでくる。水輝は顔をしかめてもう一度目を閉じた。嫌に身体がだるい。かたく目を閉じてため息を吐いた水輝の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「おい。俺わかるか?」

 

 もう一度、今度は慎重に目を開けて水輝は深く息を吐いた。見覚えのない天井をぼんやりと見つめてから水輝は声のした方を見た。

 

「ああ……絵美佳ちゃんか」

 

 そう呟いて水輝は自分の声が妙に高いことに気付いた。理由を考えてから深くため息を吐く。透に邪魔をされたことまでをはっきりと思い出して水輝は顔をしかめた。だるい身体を起こそうとした水輝の肩を透が無造作に押さえる。

 

「まだ起きるな。作業終わってねーから」

 

 そう言って透が水輝の肩から手を放す。水輝はぼんやりと透を見つめて苦笑した。どうやら自分の残した結界は完全に消されてしまったらしい。遠くの吉良瀬の屋敷の様子を探った水輝は身体の力を抜いた。足元に回った透が何か作業しているらしい音が聞こえている。

 

「もういいだろう。事は終わったんだし、おれを止める理由もないだろ」

 

 疲れた顔で水輝はそう言った。作業をしていた透が目を上げて水輝を見てからふん、と鼻で笑う。

 

「当分、この身体から戻れねー以上、きちんと直さなきゃダメダメ」

 

 からかうように言って透がくるりと手の中でドライバーを回す。水輝は首を起こして自分の身体がどうなっているのかを見た。膝を立てて足を開いた水輝は裸で台に横たわっている。暴れないようにというつもりなのか、水輝の手首は台にくくり付けられている。足首も太いベルトで巻いているという念の入れようだ。水輝は深々とため息を吐いて頭を枕に戻した。

 

「戻れない訳じゃない。戦うならこのままの方が効率が良かっただけの話だ」

 

 淡々と言って水輝は身じろぎをした。解けよ、と仏頂面で透に言う。

 

「おー。解放してやってもいいが、男に戻れなかったらお仕置きだぞ」

 

 笑いながら応えて透が水輝の手首に巻きついていた枷を取る。水輝はうっとうしい長い髪をかきあげて身を起こした。随分ときつく巻かれていたのか、手足にはうっすらとベルトの痕が残っている。水輝は深々とため息を吐いて額に指をあてがった。何とか残っていた力をかき集めて透の仕掛けた術を粉砕し、器の形を変える。胸の膨らみが消え、身体の形が緩やかに変化する。だが水輝は力を使いながら訝りに眉を寄せた。いつもとは違い、何故か視線が下がる。怪訝に思いつつも水輝は一気に器を組み替えた。

 

「くそ」

 

 自分の身体を見下ろした水輝は悪態をついて鋭い舌打ちをした。途端に透が腹を抱えて笑い出す。爆笑された水輝はけっ、と喉の奥で言ってそっぽを向いた。男性体をとった水輝の身体はいつもとは違い、幼い子供の姿になっていた。そんな水輝を指差して透が笑い続ける。水輝は不機嫌に舌打ちをして台を飛び降りた。

 

「みじゅきちゃん、なんちゃいでしゅか?」

 

 口許を押さえて笑いながら透がふざけて言う。水輝は透を睨みつけて知るか、とぞんざいに応えた。どうせこの調子では服など貸してはくれないだろう。いや、それ以前にこの屋敷に子供服が置いてあるかどうかすら怪しい。何しろ今の水輝は克人よりさらに幼い、人の子供で言えば五、六歳の少年の格好になってしまっているのだ。

 

「くそ、めんどくせえな」

 

 ぼそりと呟いて水輝は指を鳴らした。力を引っ張り出して即座に編む。水輝の身体には丁度いいサイズの服がまとわりついた。白いカッターシャツに半ズボン、白い靴下にスニーカーという姿になった水輝を見て透がまた笑う。

 

「可愛いけど、とりあえずは男だな。上出来上出来」

 

 笑いながら言って透が水輝の頭を乱暴に撫でる。水輝は機嫌悪く透の手を払って撫でるな、と低い声で言った。だが意識して声を低くしてみたところで、水輝の声はいつもよりずっと高い。子供特有の声で罵ったところで透はちっとも堪えないだろう。

 

「じゃあな。もうおれの邪魔するなよ」

 

 透を指差して不機嫌に言ってから水輝は踵を返した。ここから屋敷まで転移するとなるとかなりの力を消費する。すでに今の状態で器がこうなってしまうほどに消耗しているのだ。これ以上の力の消費は考え物だ。

 

「送ってやるよ。お姫さんとこでいいな」

 

 笑って言って透が強く水輝の背を叩く。水輝はその衝撃に思わず咳き込んだ。そんな水輝を横目に見ながら透が手を振る。

 

「じゃあな」

 

 そう透が告げた瞬間、水輝の視界はふっと暗くなった。次いで視界が開けたところで水輝は目を細めた。地面に突き立てていた筈の大きな刀は倒れてしまっている。残り香を読んで水輝はしばしその場に佇んだ。

 

 屋敷の外は静まり返っている。裏庭には月明かりが薄く落ちており、周辺は夜の帳に包まれている。水輝は無言で刀に手を伸ばした。触れるとあっという間に刀が宝珠に戻る。静かに胸にあてがうと、宝珠はまるで溶けるようにして水輝の器の中に戻った。

 

 顔を見せてからでもいいかな。そう呟いて水輝はゆっくりと屋敷の裏口に向かった。




水輝がショタ化しましたw
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