※この作品はR-18です。

狩りの終焉 二部   作:伊駒辰葉

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このエピソードで十二章は終わりです。
エロシーンはまだありません。


それ、使ってたの私なんだけど? 1

 声に呼ばれるまで自分にあてがわれた客室で暴れていた渚は、吉良瀬の屋敷内の水輝の部屋に現れて真っ先に水輝を殴り飛ばした。渚の術を介して祐はここの光景を見ていたのだ。そして当然、術者である渚の目にもその光景は見えた。

 

 泣きじゃくっていた祐を連れて渚は真っ直ぐに波絵のいる部屋に向かった。のんびりとせんべいを齧りながらテレビを見て笑っていた波絵の真後ろに現れる。渚が声をかけると波絵は慌てたように振り返った。

 

「渚さま、いらっしゃいー」

 

 のんびりと言った波絵にずい、と顔を近づけて渚は低い声で言った。

 

「すぐにこの子を直して頂戴」

 

 波絵に割り当てられている部屋は、病院の診察室を思わせる作りになっている。机についていた波絵が掛け声をかけて床を蹴る。椅子ごと診察台に向かった波絵が手招きをする。渚は言われるままに台の上にそっと祐を降ろした。

 

「酷い事、しますねぇ。これやったのてば誰ですか?」

 

 意識をなくした祐の股間を覗きこんだ波絵が淡々と言う。いつもの口調だが、その目は笑っていない。渚は腕組みをして憤然と言った。

 

「うちのばかな弟よ!」

 

 ばか、の部分に力をこめて渚は強い口調で言った。すると波絵が怪訝そうに目を上げる。渚はずらずらと祐に対する水輝の所業を列挙した。その合間に優一郎の名が出たところで波絵がひくりと頬を引きつらせる。

 

「まあ、あたしたちが玩具なんだってことはほんとうですけど、玩具は玩具なりに、きちんと遊んでもらいたいなあとか思っちゃだめなんですかねえ」

 

 ため息を吐いて波絵がしみじみと言う。渚は怒りをこめてこぶしを天井に突き上げた。

 

「あいつら、最低よ! もう任せてなんていられないわ!」

 

 そこで深く息を吐いて渚は波絵に目をやった。いつものつなぎの格好で波絵はしげしげと祐の股間を見つめている。

 

「そういう訳で、この子のマスターに私を登録して頂戴」

 

 きっぱりと言いながら渚は祐を指差した。すると波絵が困ったように渚と祐を見比べる。

 

「えっとぉ。このひと、あの青いお方を主とするように、既に登録されちゃってるんですよね?」

「そうよ! 腹が立つけど!」

 

 腕組みをして渚は吐き捨てるように言った。が、すぐに思い直す。ここで波絵に八つ当たりしてはいけない。ごめんなさいね、と渚は波絵に詫びた。すると波絵がいいえ、と首を横に振る。

 

「今の意識は半覚醒ってことはぁ、このひとって純粋なヒューマノイドじゃないんですね。ボディはまたえぐいのつかってますね。あたしのもそうとうだけど、このひとのもかなりきてますよお」

 

 波絵が言ったことに渚はぴくり、と眉を上げた。

 

「……私も前にその機体を使っていたのだけど……?」

 

 低い低い声で言った渚を焦ったように波絵が見る。

 

「渚さまが? うそお! これって、真性マゾ御用達、のマゾトイタイプって奴ですよ! 例の試験機って渚さまだったんですか!」

 

 波絵のひと言ひと言が見えない刃となって渚の心に突き刺さる。渚はひくり、と頬を引きつらせて波絵をうろんな目で見た。渚としても思い出したくない過去なのだ。

 

「いえ、その渚さまが真性マゾだってことじゃなくて、っていうかサドっ気ありまくりじゃないですかあっ!」

 

 悲鳴のような声で叫んで波絵が訴えかけるような目をする。渚は眉を片方上げて波絵の座る椅子の背をつかんだ。ぐるん、と強引に椅子を回して自分の方を向いた波絵に顔を寄せる。渚は軽く開いた波絵の足の間、椅子のごく僅かなスペースに勢いよく足を乗せた。

 

「忘れなさい」

 

 足の甲を波絵の腿の間に進めながら渚は低い声で言った。波絵がうろたえたように視線を彷徨わせる。

 

「そのあたり、インターフェースありますからぁ。乱暴しないでください。忘れました。忘れましたってば」

 

 泣きそうな顔で言った波絵に頷いて渚は大人しく足を退けた。ちょっと意地悪が過ぎたかしら、と呟いて波絵の腿の間を今度は優しく撫でる。そうしているうちに渚の股間でむくりとペニスが首をもたげた。あら、と呟いて渚は波絵から手を離した。

 

「と、とにかく。マスター登録は出来るんでしょう?」

 

 咳払いをしてから渚は告げた。渚はかつて祐と同じように機体に入っていた時期があることはある。が、渚自身は祐とは違い、ヒューマノイドのことを殆ど知らないのだ。

 

「とりあえず、このひとのこと解析してみないことには。とりあえず、女性器ユニットのパーツを交換しないと。これってけっこう特殊なタイプですから、うちの整備室に在庫はないんですよぉ」

 

 っていうか、実物見たの今日初めてだし。そう続けた波絵になるほど、と頷いて渚は場所を変える事にした。確かあのベッドのある部屋に部品があるのだと優一郎が言っていた。そのことを思い出して渚は祐を腕に抱え、波絵を連れて専用台のある部屋に向かった。




祐がなんとか助かりました。
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