視界が切り替わる。あっという間に三人は順の眠る寝室に転移した。ベッドの傍らに立った克人が顔を強張らせる。克人は泣きそうな顔で順の顔を覗き込んだ。
「順様……何故、あんなことを」
うなだれた克人が肩を震わせて泣き始める。
「どのような事があったのでしょうか? 教えていただけると有り難いのですが」
淡々とした文の声に克人が鼻を啜って顔を上げる。ごめんなさい、何でもありません。そう克人が言うのを聞いて学はため息を吐いた。
「判ったわ。命令にしましょ。この赤いヒトはあなたに何をしたの。話しなさい」
静かに告げた学を克人が泣きそうな顔で見る。だが諦めたのだろう。克人が小声で話し始める。順は克人に夢魔の力を渡すために水輝との仲介をした。水輝から直接に力を取り込ませるには、克人の器は小さかったのだ。だから順が一度、夢魔の力を吸い、それを適当なサイズに畳んで克人の中に送り込んだのだ。
その後、克人は目を覚まして慌てて順の元に跳んだ。凍りついた病院の中に順はとある女性と一緒に倒れていたのだという。だがその時にはまだ順の意識はあったらしい。大丈夫だから、と笑った順に克人がほっとした息を吐いたところでそれは現れた。凄まじい勢いで水輝が力を放ちながら三人のいる部屋に現れたのだという。それを聞いて学は目を細めた。
「沙耶さんにはボクの声は届いていなかったようです。順様はボクにあの女の人の傍にいるようにって」
それからのことは克人もあまりよく覚えていないらしい。が、順が水輝を連れて強引にその場から転移したことだけはわかった。克人は取り残された女性を何とかベッドのある部屋に連れていこうとした。が、結局、病院の中はどこも凍っていて適当な場所がなく、克人は仕方なくその部屋のソファに女性を横たえた。
氷が溶けるまでの間、克人はずっと優一郎の夢の繭の傍にいた。気配の消えてしまった二人の手がかりが得られないかと考えていたのだ。が、結局は優一郎の見る夢を見たくもないのに見せられる結果に終わっただけだった。間に何度か透とやり取りして学校修復の算段はつけたが、それでも順の気配は判らなかった。
克人は優一郎の入っていた夢の繭を解いた。それから清陵高校を自主退学することにした。その手続きをして今に至る。それだけ話したところで克人はうなだれた。
「ボクは、ボクは……順様にご恩返しすら出来なくて」
ベッドの上に乗せた小さな手をこぶしに握って克人が肩を震わせる。確かに水輝がいきなり現れたのなら、場数を踏んでいない克人には到底首を突っ込むことは出来なかっただろう。
「それはそうでしょう。する気がない者に、できるわけがありません」
「……幾らする気があってもその場で首を突っ込めた筈はないわ。水輝くんって破壊神みたいなものだから」
まだ水輝が現役で組織にいた頃のことを思い出して学は文にそう言った。すると文が複雑な面持ちをする。
「まあいいわ。とにかくあなたの素性は判ったわ。あとはこれをどうするかね」
ため息を吐いて学はちらりと順を見た。克人に与えられた能力なら、繭を形成して順を中に取り込んで転移の衝撃に耐えることは可能だ。が、それは同時に順に性交渉の負担をかけることになる。夢魔は何もないところに夢は紡げない。
仕方ないわねえ、と呟いて学はひょい、と克人のシャツの襟首をつかんだ。慌てた声を上げた克人をベッドに乗せる。
「学さま、このような軟弱者にそこまで肩入れされることもないのでは?」
「カワイイしねえ。放っておくのは可哀想でしょ」
学はしれっとした顔で言って克人を順の足元にずらした。戸惑いの顔をする克人の穿いているものを一気に剥がす。
「あ、あの」
「きゃー! カワイイ!」
学は克人の股間を見てついついそう叫んだ。
「仕方有りませんね。学さま、私にお手伝いできることはありますでしょうか?」
「とりあえず、このコを支えてあげてくれる?」
にこにこと笑いながら学は克人を指差した。真っ赤になって股間を隠していた克人が焦ったように身を捩る。だが文は無表情のままでベッドに上がり、後ろから克人を羽交い絞めにした。
変なところで切ってしまった気がします(汗)