※この作品はR-18です。

狩りの終焉 二部   作:伊駒辰葉

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多少、残ってますが……。
とりあえずエロシーンはありません。ということで。


夢魔として覚醒したぽい? 3

「これは……大丈夫なのですか?」

 

 不安顔で文がシーツの上で蠢く精液を見つめる。学は笑って大丈夫よ、と言って再び克人を揺すり始めた。

 

「ほぉら、あなたは誰のものかな?」

 

 そう囁きながら学は乱暴に克人を揺すった。

 

「ボクは……ボクはっ!」

 

 泣きながら克人が首を振る。そうねぇ、と笑って学は克人を抱えたまま歩き出した。横たわる順の顔の真横に立つ。そのまま学は容赦なく克人を揺さぶり始めた。

 

「ボクはっボクのものだっ! 誰のものでも無いっ!」

 

 克人が叫んだ瞬間、学はぴたりと手を止めた。肩で荒く息を吐いている克人を苦笑して見つめる。克人は学に抱えられたまま、泣きじゃくっていた。

 

「いや……もう、苛めないでやってくんないかな」

 

 殆ど聞き取れない声が聞こえる。まあ、と笑って学はベッドに横たわる順を見た。順は左だけ残った目を薄く開けていた。慌てたように克人が学の手を振り切って床に飛び降りる。

 

「順様!」

 

 克人がわんわんと泣きながら順にすがりつく。学はやれやれと笑ってめくれていたスカートを戻した。

 

「いやねぇ。イジメじゃないわよぉ。愛の交わりよぉ」

 

 身をくねらせて学は順に片目を閉じてみせた。すると順が少しだけ目を細めてから息を吐く。どうやら動けないらしい。それはそうだろう。順の状態を考えると喋ることも難しかったはずだ。

 

「その者の真意を探るために行った事です。その者は、根から腐りきっていると思われますが?」

 

 きっぱりと言い切った文に学はまあまあ、と苦笑してみせた。順が目を動かして文を見てから学を見る。そこで学は目を見張った。順が震える手を布団から出して克人の頭を撫でたのだ。

 

「も……い、じゃん」

 

 浅く早い呼吸をしつつ順がそう言う。だがその声は注意しなければ聞き取れないほど小さい。学はそんな順をしばし見つめてからシーツに目をやった。蠢いていた克人の精液が消えている。それを見てあぁ、と学は納得した。アメーバのように動いた克人の精液は恐らく順の器に溶け込んだのだ。だから順は辛うじて意識を取り戻し、ほんの僅かでも喋ることが出来るようになったのだろう。

 

「よくありません。あなたを助けるために、私はつきっきりで看病しました。今更、死んでしまわれたら、私の苦労が無駄になります」

 

 きっぱりと言った文に学は苦笑した。順がありがと、と掠れた声で言う。

 

「まぁ、とにかく。耐えられそうだから送るわね。もう、来ないでね」

 

 憎まれ口を叩いて学は順と克人に力を放った。ベッドの上に放り出されていた克人の鞄や服ごと、彼らを転移させる。空になったベッドを見下ろして学は肩を鳴らした。

 

「大丈夫なのですか?」

 

 不安そうに文が言う。学は苦笑して肩を竦めた。

 

「ダイジョブでしょ。木村の本邸に送ったから、人間用の手当てはしてもらえるし、透くんの気が向けば治療もしてくれるかしらね」

 

 そう言って学は小さな客間を出た。ダイニングキッチンに入って残っていた冷めた紅茶を飲み干す。文は出しっぱなしになっていた林檎をジャムにし始めた。

 

「いえ、私が言っているのはあの者です。あの者からは詭計と裏切りの匂いがします」

 

 キッチンに林檎の煮える甘い香りが広がる。学はしゃもじを片手に振り返った文に笑みかけた。

 

「……あのコね。アタシたちに全部は説明していないのよ」

 

 煮上がった林檎を容器に移して文が運んでくる。スコーンを沿えてもらった学は歓声を上げた。紅茶をいれなおした文が学のカップに注ぎいれる。

 

「わかりました。私の危惧は確かに私怨かもしれませんから。もうしわけありません」

 

 怒りの色を少し見せて文が言う。まあまあ、と苦笑して学は温かいスコーンを二つに割った。出来たての林檎のジャムを乗せて口に入れる。

 

「ああ、あのコは赤いヒトを見限ったんじゃないわよ。徒労に終わったことは一切省いて喋っていただけ」

 

 そう言って学は小さく笑った。そしていきなり現れた自分達のことを疑っていたのだろう。学はそう続けた。すると文が眉を寄せて複雑な顔をする。

 

「少なくとも無能なのは確かですね。今現在、彼の力は私たちの眷属の中では学さまに次ぐはずです。それに、目も節穴です!」

 

 つん、と文がそっぽを向く。それを見て学は思わず吹き出した。まあ、いいじゃない、と文に言葉を向ける。学の隣に腰掛けた文は唇を尖らせて頬を膨らませていた。

 

「ほら、このジャムも美味しいわよ、文ちゃん」

 

 にこにこと笑いながら言って学は残っていたスコーンにたっぷりとジャムを乗せた。美味しい、と素直に言いながらスコーンを口に運ぶ。

 

「ですけど、あれだけは許せません! 私が彼のペニスを含んだ時に思惟が流れ込んできました。彼がいったいどんなことを考えていたと思います?」

 

 ふて腐れた顔で文が言う。興味を覚えて学はなあに、と訊いた。

 

「彼は、よりにもよって、私が、桜さんに似てるなどという世迷言を考えていたのですっ! 私のどこがあんな自分勝手使い魔もどきに似てるというのですか!」

 

 紅茶を飲もうとしていた学は文の言葉に思わず吹き出しかけた。慌てて口許を押さえて笑いの衝動を堪える。むくれて文はそっぽを向いてしまっている。カワイイ、と微笑んで学は文の頭を撫でた。




順がなんとか復活? したぽいです。
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