TS警報です。エロシーンです。あ、機械なのでエロと思えない方はすみません。
恍惚の表情で水輝が鈴の合成愛液を舐めている。それを見てから優一郎は手元に目を落とした。斎姫の新しい機体の股間には各種機能の操作パネルがついている。だが代わりに性器は花を模した愛らしい外観ものに交換されている。斎姫自身も新しい仕様の身体のほうが気に入っているようだ。
「そろそろだな。鈴、行為を停止。床に下りるんだ」
そう優一郎が声をかけると鈴がよろけながら台を下りる。水輝はぼんやりとした目を天井に向けたままだ。
「鈴、物足りなかったら自慰を行って構わないよ」
ふらつきながら床にへたり込んだ鈴に優一郎はそう声をかけた。すると慌てたように鈴が短いスカートを懸命に引いて股間を隠す。そんな鈴に苦笑してから優一郎は台を回って水輝の頭の近くに寄った。
水輝はぼんやりとした目を開いたまま、涙を流している。優一郎は静かに微笑んで水輝の耳元に囁いた。
「水輝さん。記憶を、いただきますよ」
優一郎は身を屈めて水輝に口づけした。口を開いて舌を絡めているうちに知らない光景が見えてくる。優一郎の意識は一瞬で水輝の記憶に重なった。
静かな湖面が見える。豊かな緑に囲まれた湖畔で誰かが交わっている。その様を優一郎は間近から見ていた。どうやらこれは水輝の視点ではなく、別の第三者の視点らしい。その証拠にか、その場にはきっちりと優一郎の姿が現れていた。
交わりあっている者の片方は水輝だろう。冴えた美しい青い髪をしている。もう一人は恐らく紫翠だ。優一郎と同じ、紫色から翠色に髪の色が光を受けて変色している。
交わる二人を見つめていた優一郎は訝りに眉を寄せた。周囲には誰もいない。その湖畔で二人は色んな手段で交わってはいる。そのこと自体は特に珍しいとも思えない。
問題は二人が互いに呼び合っている名前だ。優一郎は眉を寄せてこめかみを強く指で押さえた。どうも頭が混乱してくる。優一郎が水輝と思っている者は紫翠と呼ばれ、逆に紫翠と思っている者は水輝と呼ばれているのだ。
不意に周囲が真っ暗になる。優一郎は慌てて辺りを見回した。だが周囲どころかすぐ傍も見えない。自分の身体が辛うじて見えるだけだ。
一気に視界が晴れる。一瞬で優一郎は元の場所に戻っていた。が、今度は二人は交わっていない。美しい青の髪をした水輝が唇を噛んで紫翠を睨んでいる。紫翠はそんな水輝の正面に穏やかな表情で立っている。
永遠などあり得る筈がない。そう叫んで水輝が紫翠の頬を張る。紫翠は避けもせずに水輝に大人しく頬を張り飛ばされた。よろけた紫翠を睨んでいた水輝の目に一瞬、悲しそうな色が宿る。
それでも誓う。わたしはずっと君の傍にいよう。永遠にだ。
その紫翠の言葉を聞いたところで優一郎は理解した。これはかつて水輝と紫翠の間で取り交わされた誓約だ。そのことは優一郎にも覚えがあった。それは判る。優一郎は眉を寄せたまま、二人をじっと見つめた。出来れば声をかけたいのだが、残念ながら彼らには自分の姿は見えないらしい。
急速に意識が乱れる。優一郎は慌てて顔を上げたところで漸く自分がずっと水輝に口づけていたのだと気がついた。水輝はだが、まだぼんやりとした目を天井に向けたままだ。
優一郎は深呼吸してもう一度水輝に口づけた。だが今度は水輝の記憶に上手く潜れない。優一郎は小さく呻いて仕方なく顔を上げた。口許を覆って水輝をじっと見つめてみる。
「これ以上は今はまだか……」
そう呟いて優一郎は斎姫の足元に回った。動作を維持するように命じていた斎姫がちらりと優一郎に目配せする。優一郎は頷いて斎姫の股間に手を伸ばした。操作パネルに指を触れさせる。そこで優一郎は目を上げた。記憶の混乱も手伝って水輝の意識は朦朧としているようだ。
「斎姫。注入スイッチを入れるよ。逆流しないように注意して」
そう優一郎が言うと斎姫の股間に設えた小さなスピーカーから声が聞こえる。
「わかったわ」
真剣そのものの声に頷いて優一郎はパネルを操作した。ほんの少し間を置いて水輝が声にならない声を上げて仰け反る。斎姫の喉に設えたノズルと指のノズルから同時に液体が噴射されたのだ。
優一郎は再び水輝の傍に回りこんで耳元に口を寄せた。
「水輝さん。僕の求める身体へ」
水輝の右の耳に優一郎が囁いた瞬間、水輝から一切の反応が失われた。強張っていた水輝の身体が一気に脱力する。それと共に隣の台に設えたカプセルは淡い青の光を放ち始めた。
優一郎は斎姫が水輝から手を離したところで機体に手を伸ばした。へそのスイッチを押し込んで斎姫を停止させる。続いて優一郎は床にへたり込んだままの鈴に近づいた。
「鈴。性欲は処理できたかい?」
股間をこそこそと弄っていた鈴がはっとしたように顔を上げる。
「あっ、はい、ありがとうございます!」
よほど焦っていたのか鈴が的外れなことを言って慌てたように立ち上がる。
「斎姫の身体を専用ベッドに運んでくれないか? その後、きみも自分の専用ベッドに戻るんだ。事後処理はプログラム済だから」
「は、はいっ。了解しましたっ」
そう言って鈴が急いで斎姫を抱え上げる。いつも通りに天井裏に戻ろうとした鈴に優一郎は制止の声をかけた。するとはっと気付いたように鈴がすみません、と頭を下げてごく普通に部屋のドアから出て行く。どうやら斎姫を連れていたことを忘れていたようだ。
二人を見送ってから優一郎は静かにカプセルに近づいた。カプセルの脇についている操作盤に触れる。するとカプセルはモーターの唸る音と共に徐々に開いていった。横たわっているのは美しい女性が一人。特別にあつらえた機体だ。優一郎は眠っているように目を閉じた機体を大切に抱え上げた。水輝が横たわる台に機体を乗せ、今度は水輝を抱き上げる。優一郎は機体が入っていたカプセルに水輝をそっと下ろした。操作盤を使って元通りにカプセルの蓋を閉じる。優一郎が操作盤の赤いボタンを押すと、カプセルは台ごと床に沈んでいった。床に開いた口にカプセルが飲み込まれ、やがて何事もなかったかのように床が戻る。
「百パーセントの結界は存在しない。だけど、これなら」
そう呟いて優一郎はつま先で床を軽く叩いた。カプセルは地下三階と四階の間、特殊な空間に保持されているのだ。
中途半端なところで切りました、すみません!(汗)