渚視点のシーンでやたらと長いので、途中でぶつ切りにします(汗)
今のところはエロシーンはありません。
渚サイドで話を再開
呆れたような顔で多輝と入れ替わりに入ってきた水輝を見つめて渚は小さく笑った。隣に座る祐は緊張した面持ちで身体を強張らせている。
「全く、悪戯もほどほどにしろ。本当にお前ら姉妹はろくなことをしないな」
嫌そうに言いながら水輝が身軽にソファを飛び越える。そのまま正面に腰掛けた水輝は鋭い目で並ぶ二人を睨んだ。相変わらずね、と苦笑する渚とは対照的に祐が慌てたように水輝から目を逸らす。
「あら。一緒に育ったという意味ではあなたも私の弟だったような気がするけど?」
からかうように言いながら渚はちらりと天井の方を見た。どうやら多輝は無事に佑と会えたようだ。渚は指を鳴らして多輝に纏わせていたメイドの槙花の気配を消した。すると目の前に座っていた水輝が鋭く舌打ちをする。
「そういう意味じゃない……お前、判って言ってるな?」
しかめ面で頭をかいてから水輝がおもむろにシャツのポケットを探る。煙草を取り出したところで水輝は思い出したように吸っていいかと言った。何を今さら、と笑って渚は隣に座る祐に目で訊ねた。水輝は黙りこくっている祐の返事を待っているのか、煙草を一本咥えたところでじっとしている。
「その、あの……、おひさしぶりです……」
「おう。んで? 吸っていいのか?」
右手に握ったライターを放っては受け止めながら水輝が訊ねる。するとやっと祐は視線を前に向けた。さっきからスカートを指先でいじっているのは、きっと内心では会えたことに喜んでいるからだろう。渚は横目に祐を見てから静かに紅茶の入ったカップを傾けた。
「あっ、はいっ……。もちろんです。というか、あたしに気を使われる必要はありませんから……」
そう言って祐がまた俯いてしまう。水輝はふうん、と言いながら煙草に火を点けた。美味そうに一口吸ってから天井に向かって細く煙を吐く。
「お前も渚も今日は客人として来てるんだろ? 客に気を遣うのは一応、礼儀だと思うんだがな」
テーブルの灰皿を引き寄せながら水輝が低い声で言う。どうやら今日は虫の居所が余りよくないらしい。水輝の態度からそう判断して渚は静かにカップを置いた。困惑したように祐が顔を上げる。
「あたしは、今でも、一応、水輝さんの所有物ですから」
小声で言ってから祐がまた俯きかける。渚はそんな祐と水輝とを見比べてため息を吐いた。だが渚より早く水輝が口を開く。
「じゃあ尚更だ。おれが気を遣いたくて遣ってる分に文句つける必要ないだろう」
「あなたねえ……」
どうしてこう、言い方にいちいち棘があるのだろう。渚は呆れてため息を吐きながら額を押さえた。
「すみません。あたし……。あっ……」
泣きそうな声で言って祐がスカートを押さえて俯く。どうやらストレスが限界に達してしまったらしい。渚は深々と息を吐いて水輝に向き直った。
「別に喧嘩を売りにきたつもりはないわ。今日はお店の相談をしなければならないと思って来たのよ」
「店? ああ、喫茶店か」
のんびりと煙草を吸いながら水輝が呟くように言う。股間をスカートの上から押さえて身を震わせる祐を一瞥してから水輝はおもむろに腰を上げた。ちょっと、と渚が慌ててかけた声を無視して水輝が祐の横に回りこむ。俯いて震えていた祐の腕を唐突に引いたかと思うと、水輝は素早く祐を両腕に抱き上げた。驚いたように目を見張った祐が身を捩って水輝の腕から逃れようとする。
「同情は、いりません……」
哀しそうな目をして、だが真剣な表情で祐が言う。水輝はだがそれには答えず咥え煙草で歩き出した。嫌がって身を捩る祐をしっかりと抱えてドアを足で蹴り開ける。相変わらず乱暴ね、と呆れたため息を吐きつつも渚は水輝に従って応接室を出た。
水輝が向かったのは二階だ。祐を抱いて歩く水輝を見止めたメイドが驚いたように目を見張る。そんなメイドに茶を用意しろと命じてから水輝はさっさと自分の部屋に向かった。これが客に対する態度かしら、と口の中で文句を言いつつ渚は水輝が蹴り開ける前に部屋の扉を開いた。当然の顔をして部屋に入った水輝が真っ先にベッドに向かう。意外と静かに祐をベッドに下ろしてから水輝は煙草を指で挟んで唇から離した。
「同情してるつもりはないぞ? 自慰するにしろ何にしろ、応接室の狭いソファでするよりはベッドの方がいいと思って運んだだけだ」
素気なく告げてから水輝がソファに歩み寄る。渚はため息を吐いてベッドに近づいた。背を向けて身を震わせている祐に大丈夫かと声をかける。祐が小さく頷くのを見て取ってから渚は肩越しに水輝を振り返った。仏頂面で水輝は煙草をふかしている。
「何があったの? あなた、変よ」
「別に」
低い声で答えて水輝が横目に渚を睨む。渚はやれやれと肩を竦めてベッドを離れた。水輝と向かい合わせに腰掛けてから渚は目でベッドの祐を示してみせた。すると水輝が眉間に皺を寄せて小さく息を吐く。
「お気になさらないでください。あたしにとって自慰は呼吸と同等の行為ですから。渚さんに抱いていただいても、一日の大半を股間をまさぐって過ごさなければ、まともに思考することさえできないんです」
「ふうん」
淡々と告げる祐にそう返してから水輝が渚に向き直る。だそうだ、と告げた水輝に呆れた顔をしてから渚はこめかみを指先で押さえた。どれだけ祐が渚に抱かれたとしても、基本的に祐の機体を安定させているのは水輝の力だ。例え渚がどれだけ精を注いだとしても、水輝の力は日々消費されていく。そのことを水輝も恐らく知っているのだ。
「あなたと彼が祐ちゃんにしたことは」
「謝らないぞ」
渚の言葉を遮って水輝が低い声で言う。渚は反射的に水輝を殴りかけて何とか思い止まった。歯軋りする渚をちらりと見てから水輝がそっぽを向く。
渚視点で見えてるものと、祐に見えてるものが微妙に違うのでややこしくなってます(汗)