エロシーンに入りつつありますが、まだちょっと軽いです。
「んっ……」
うっとりした面持ちで祐が目を閉じる。水輝は祐に口づけたまま、器用に身体を動かしてベッドに上った。唇から今度は耳朶に、そして首筋へと口づけを散らしていく。そうしているうちに抵抗する気力もなくなったのだろう。祐は目を潤ませて喘ぎ始めた。
「それで? するのは構わないが、お前は見学でもしてるつもりか?」
祐の服を解きながら水輝が低い声で言う。どうもまだ機嫌は直っていないらしい。やれやれ、とため息を吐いて渚はそうねえ、と曖昧に笑った。訝りの顔をして振り返った水輝が物好きだな、と呆れたように言う。
「んあんっ……」
水輝に乳房を愛撫された祐が切なそうな声を上げる。渚はベッドの脇に屈んで祐に笑顔で訊ねた。
「それとも祐ちゃんは私に見られるのは嫌?」
そう言いながら渚は優しく祐の頭を撫ぜた。剥き出しにされた祐の乳房を水輝が両手で愛撫し続けている。
「渚さんになら、見られてもかまわない……。そもそも、水輝さんだけになら玩具扱いされても全く問題なかったわ。でも、あたしは……」
祐が顔を背けて唇を噛む。そうね、と呟いて渚はちらりと水輝を見た。祐の乳房を弄る水輝の表情は少し暗い。
「おれは優一郎のものだからな。おれのものと言うことは、同時に優一郎のものだということだ」
「あなた、奈月にも同じことが言える?」
呆れた顔をして渚はため息を吐いた。すると愛撫の手をぴたりと止めて水輝が嫌そうな顔で渚を睨む。渚は知らん顔をして祐の頭をよしよし、と撫でた。
「立城さんの蒔いた種が芽吹いた今、あいつとあたしは完全に相容れない存在になったわ。水輝さんは、どちらかを選ばざるを得ない」
水輝に乳房を触られているということも忘れたように、祐が生真面目な表情で告げる。痛いところを突かれたのだろう。水輝が顔を強張らせて微かに手を震わせる。静かに祐の胸から手を退けて水輝は疲れたようにため息を吐いた。
「だから……おれの失敗をあげつらうつもりなら、また今度にしてくれないか」
「誰も失敗などしていないし、勿論あげつらうつもりもないわよ」
きっぱりと言い切ってから渚はベッドに腰掛けた。正面から水輝を見つめてにっこりと笑う。
「あなた、本当は最初から気付いているんでしょう? 彼の周囲には巫女とその宮しか居られないことに」
深く息を吐いて水輝がベッドに座る。嫌そうに舌打ちをしてから水輝は余所を向いた。
「だからこそ、水輝さんがあいつを落すには今しかないと言えるの。あいつ自身が標と化している今しか、水輝さんと結ばれる機会はないわ」
懸命な面持ちで言いながら祐が身を起こそうとする。それを制したのは水輝だった。いいから寝ておけ、と不機嫌に祐に告げてから水輝が深々とため息を吐く。
「両極端なことを言う奴らだな」
言っていることがまるで逆だぞ、と呟くように言ってから水輝が伏せていた目を上げる。その顔には先ほどより濃い疲れが滲んでいた。
「だって変でしょう。もし、本当に彼を本気で落とそうと思ったら、今も止めに行っている筈ですものね」
笑顔で言って渚は首を傾げてみせた。勘弁してくれ、と呟いて水輝が頭をかく。水輝自身、誰かにそれを指摘されるのを酷く恐れていたのかも知れない。
「少なくとも言えるのは、あたしは立城さんにとっては計算外の存在のはずだから、水輝さんの傍に近づくのは水輝さんにとってマイナスにしかならないということね。本来なら処分して然るべきだと思うんだけど……」
ため息を吐いて祐がおずおずと渚を見る。あら失礼ね、と笑って渚は祐の額を指先で軽くつついた。
「あなたは要らないことを考えなくてもいいのよ。私が必要だと言っているんだから」
そう笑みかけてから渚は顔を上げた。どことなく消沈して見えるのはきっと気のせいではないのだろう。水輝は何かを隠しているのだ。だが今のこの屋敷には標が多くいる。彼らの目を完全に曇らせるには相当の力が要るだろう。そして胎に子を宿した佑に力を注ぐ必要もある。同時に自分の力も少しずつでも回復しなければならない。だが一度、大量に消費された力はそう簡単には戻らないものなのだ。それ故に水輝は必ずどこかに無理をする結果となっている。
「一つ、良いことを教えてあげるわ。紫さんとの誓約が解消された時、彼、何て言ったと思う?」
肘杖をついて微笑みながら渚は水輝を見つめた。水輝が知るか、と機嫌悪く答える。
「あなたは誰のものでもないんですって」
そう渚が告げた瞬間、水輝は愕然としたように目を見張った。言葉をなくして呆然とした面持ちになる。
「あの馬鹿……」
小声で呟いた祐に笑みかけてから渚は水輝に目を戻した。俯いた水輝の表情は見えない。だが握りしめたこぶしが微かに震えているのが見て取れた。
「言霊の判定者は他者より強く言霊に支配されるものよ。それ故に他の者より強い言霊を使える。代償なくして力は使えない。それはあなたもよく」
「大きなお世話だ!」
渚の言葉を遮って水輝が声を張る。その声量に驚いて渚は目を見張った。水輝は俯いたままだ。
「まあ、期間限定だから嘘ではないかもしれないわね。だけど、どこかに反動が来ているはずだわ」
「ちょっと見せてご覧なさい」
渚は素早く手を伸ばして水輝のシャツをつかんだ。はっとしたように顔を上げた水輝が渚の手を払う。だが渚は勢いよく立ち上がって水輝のシャツを強引に剥ぎ取った。一気に力を表した渚の髪と瞳が金色に染まる。止せ、と叫んだ水輝の身体を見て絶句する。のろのろと身を起こした祐も水輝を見て目を見張った。
渚は水輝の姉なので、似てるというかw
色々と無茶なところはよく似てます。