「くっ……!」
今日も今日とて、敵はやって来る。こちら側の事情など一切関係なく。無慈悲に戦いは起こるもの。
あの戦いからもうすぐ一年。アンダーク帝国は無くなったのに、どうやって発生しているのか分からないランボーグとキョーボーグ。ソラシド市の危険はまだ無くなりきってはいないようだ。
「スカイ!」
「プリズム、お願いします!」
「うんっ!」
スカイが踏み込み。プリズムが構える。
スカイの連撃の最中、飛んでくるプリズムの遠距離攻撃。しかし、今回のキョーボーグはやたらと防御が硬い。二人で崩すのは困難だ。
『キョーボーグ!!』
「うぁぁ!」
「スカイ! ……きゃぁっ!」
スカイとプリズムが吹き飛ばされる。キョーボーグは体勢を立て直す前にスカイに狙いを定めた。
「っしま───」
強い衝撃と共にスカイの視界が黒に染まる。
…………*
「っ? ……?」
目を開けると真っ暗な空間にいた。
当たりを見てもただひたすら暗い空間。
【アイカワラズなまるぬい】
「っ!?」
突然背後からの声。
振り向けばそこには黒い自分がいる。
顔をニヤつかせ、そこに漂っている。
「なぜ……貴方が……」
【これハ、ワタシのチカラが必要とイウコトデしょうか?】
ずるり。腕が体に巻き付いてくる。顔を捕まれ無理やりそちらへ向かされる。抵抗しようにも振り払えない。まるで逃げられない過去のように。
【さァ、答エてソラ。ワタシのチカラが必ヨウ?】
「わた……し、は……っ」
それでも抵抗すんとソラは睨み返す。そんな些細な抵抗に黒いソラはくすっ、と小さく笑う。
【アナタとワタシは違う。ワタシのちからならアイツを倒せル。ソレならワタシと変わリましョうカ。ソラ】
「うっ……ぐ……っ……ああぁああぁぁぁあああああああぁぁぁあああああああああああああ!!!!!」
ずぷり。黒いスカイの腕が自分の体の中に入ってきた。次いでやってくる体の中を駆け巡る何かの感覚。目の焦点が合わない。体がえぐり取られているよう。まるで触手が入ってくるような、体中を舐られているような、そんな感覚がソラを染め上げる。
…………*
煙が晴れると、そこに居たのは黒い戦士の姿。
【全ク……】
『……?』
【成ッテナいですヨ。貴方も『オマエ』モ】
『!?』
キョーボーグは殺気を感じて一歩間合いを空けようとした。だが既にスカイの攻撃がキョーボーグを捉えていた。
『キョ───』
【このテイドで】
『ボォォァグ!?』
先程までとは比べ物にならない程の威力。正拳突きではなく徒手空拳。吹き飛ばす為だけの拳。キョーボーグはその巨体を大きく後ろへ後退させた。
「ス……スカイ……?」
爆風の中から現れたスカイ。しかし、その姿は違う。ボロボロになった髪飾り、青黒いマントに装飾。靡く黒い髪。あの時の闇に飲まれたスカイ。姿形はそのままだが、その姿が何を意味しているのかは分かる。もしかしたらソラが普通じゃないのかもしれない。プリズムは慌てて黒いスカイの肩を掴む。
「スカイ!? どうしちゃったの! なんでその姿に……」
【……】
「っ……」
ゆっくりと覗かせた顔は酷く冷徹で視線で人を殺すようだった。咄嗟にプリズムも構えてしまう。その赤眼の眼光がプリズムを捉えるが、直ぐにスカイは鼻を鳴らして子供のようにむんつける。
【うるさいデスヨ。キュアプリズム】
「……へ?」
【貴方ガ弱イカラこんな結果ヲ招イタンですヨ。ワタシ二体ヲ乗ッ取られる程消耗シテ。全く、ドウカしてますよ。貴方はいつになったらまともに戦えるようになるんですか】
「ご……ごめんなさい……」
【いいですか、そこから動かないように】
「は……はいぃ……」
何故かいきなり説教を食らい、プリズムはしゅんと顔を俯かせる。それと同時に、なんだか雰囲気が柔らかくなったような気がした。
でも、でもなんでお説教?? 私そんなに役に立ってなかったかな?? いやその前になんでスカイは黒くなったのかな?? わけわかめだよ〜〜!!
と、プリズムはぐるぐる一人で考え込み目が回る。両手で両頬を抑えながらふぇぇぇ……と言い出した。そんなプリズムを他所にスカイは前へ歩を進める。
「待ってスカイ! やっぱり1人じゃ……っ!?」
『キョーボォォォォォォグ!!』
【まぁ、あれだけじゃ倒せませんよね。さぁ、ワタシの出番ですかね】
マントを翻し、手袋を締め直す。その顔は何か期待に満ちて面白いものを見つけた子供のよう。プリズムもつい息を飲んでしまう程に殺気立っている。
【向かってくるならなら好都合ですよ】
キョーボーグの踏み込みと同時にスカイも踏み込んだ。敵の大きな拳と共にスカイの拳がぶつかり合う。爆風のような衝撃の瞬間、スカイが口を嘲笑うように歪めるとさらに拳を押し込んでキョーボーグを吹き飛ばす。
【はっ、図体だけなら一丁前ですね】
着地し、また踏み込む。地面にクレーターが出来るほど脚に力を入れてさらにキョーボーグを蹴り飛ばす。水切り石のように地面を転がりながらキョーボーグは反撃の隙が与えられない。
【まだまだっ!】
更に追撃の蹴りにアッパーカット。上空に打ち上げられたキョーボーグはもがくことしか出来ない。すかさずスカイはしっかりと脚を踏ん張り右手にアンダークエナジーに似た浄化の力を収束。空中のキョーボーグを迎え撃つ。
【消えろ】
『キョ───』
落ちてきたキョーボーグへ短い言葉と共に繰り出される黒い一撃。スミキル時間すら与えない一撃必殺の殴打がキョーボーグを爆発四散させた。打ち砕いた右手の汚れを払うようにスナップさせてスカイは不満そうにため息を吐いてプリズムへ振り返る。
【終わりましたよ。プリズム】
「ぇ……ぁ……うん。ありがとうスカイ」
一瞬の出来事にプリズムはまだ唖然としている。そして、一番の疑問はソラが元に戻っていない事だった。
【ん? あぁ、元に戻らないのは謝ります。少しばかり強制的に入れ替わってしまったので。コイツの戦い方は見ていられませんでした】
「ぁ、そう……なんだ」
コイツ、と言いながら自分を示すソラ。まだ頭の中で整理がついてないましろはずっとふわふわな返事を繰り返している。
【明日になれば元に戻りますよ。それはまでは我慢してください。こんな違うワタシでも】
…………*
【というわけで、本人が目覚めるまでワタシがソラになります。よろしくお願いします】
ソラがぺこりと頭を下げると、あげははわっと湧き上がった。
「よろしく〜! ソラちゃん? でいいのかな?」
【はい。とりあえずそう呼んでくれれば】
「よろしくお願いします。ソラさん」
「あぅ〜あぅ!」
【はい。ツバサ、プリンセスも】
呼び捨て新鮮〜、なんてソラへ抱き着き頭を撫でるあげは。ソラの表情を見るに満更でもなさそうな顔。敵意は無いようでましろは少し微笑んだ。
【相変わらず騒がしいですね。皆さんは】
「こっちのソラちゃん久しぶりなんだもん。元気してた?」
【別に、青い方とワタシが入れ替わっただけですよ。何も変わりません】
「そっか〜」
「普段はソラさんの中にいるんですか?」
【えぇ、心の中に閉まってある感じですかね】
「本物? のソラさんは今どうなって……?」
【人格が気絶してるような感じです。明日になれば元に戻ります】
「そら! いっしょにあそぼぉ!」
【はい、プリンセス】
…………*
『いつもありがとうね、ましろちゃん』
「ううんそんな。オマケしてくれてありがとうございます」
『またよってらっしゃ〜い』
お店のおばあちゃんがゆったりを手を振っている。すっかり商店街のお得意様になっているましろ。時間は変わっていつもの買い物の時間。商店街の皆はましろに対して、今のソラに対しても、暖かく迎え入れてくれる。普段暗闇の中にいる今のソラにとって迎え入れられる事は不思議な感覚だった。
「ごめんね。エルちゃんの遊び相手から買い物まで」
【いえ、ワタシも楽しかったですから。あんなにドロドロなおままごとは】
「う〜ん、三角関係を構成に入れたおままごとは普通ないんだけどね〜。昼ドラだったよあれはもう」
言いながら歩いていると、通りすがりのましろの同級生が手を振っていた。ましろもそれに応えて手を振り返す。
するとそこに見えたのは、黒いソラの知らない『平和な景色』だった。
【……誰かに手を振られるって不思議な感じですね】
「そう? これも普通の挨拶みたいなものだよ」
【ワタシはましろ達とは違いますから】
「違うって……?」
ソラは買い物袋を持ち直す。
【そのままの意味ですよ。『この子』と違ってヒーローではありません。ただ破壊する為に生まれて、ただ破壊する為に生きています。貴方の夢も傷つけて、貴方を倒そうともした。この手は誰かを助ける為じゃない。自分の為に振るうものなのです】
ソラは掌を見てぐっと拳を作る。
【だから、ワタシは貴方達とは違う。ヒーローなんかじゃありません】
「…………」
少し困ったような笑顔を向けて再び歩を進めるソラ。確かにそんな事もあったとましろは歩きながらも考える。だが、今日は助けてくれたのも事実。そして、本物のソラのピンチにも心の中から駆け付けてくれたのもまた事実。それを振りかざすことなく、自分を卑下し、見下し、遠ざける。自分を飾らない戦士。それがヒーローでなくてなんと言うのか。
ましろはそんな不器用な黒いソラに微笑んで首を横に振った。
「そんなことないよ。ソラちゃん」
【え?】
「理由はなんであっても、黒いソラちゃんは私の事を助けてくれたよ。今日の戦い方、あれ私からキョーボーグを遠ざけてくれたんだよね。動かないでとも言ってくれたし」
【それは……まぁ……】
「そんな風に優しくしてくれる人が壊す為に生まれたなんて有り得ないよ。なんにも違わない。同じヒーローだよ」
確かにあの時力を求めた。誰しも全てを救える力を求めた。その結果が暴力という結果になって現れたそれが今の黒いソラ。しかし、こんな自分にすら微笑みかけてくれるこの光は黒いソラにとっては少し眩しすぎた。だが、無意味な自分に意味を持たせてくれた気がした。その時のソラの掌は少しだけ普通の掌に見えた。
【ありがとうございます。ましろ】
「あ、そうだ」
【?】
「えと、今日の夜、私の部屋に来てくれるかな?」
【はい。何かありましたか?】
「ちょ、ちょっとお話したいの」
言いながらましろは少し頬を赤らめる。自身の記憶を漁り大体の事を察したソラは頷いた。
【分かりました。夜ですね】
……………………*
その日の夜。入浴を済ませたましろは髪を乾かしていると、扉からノックが聞こえた。
「どうぞ」
【失礼します】
「いらっしゃいソラちゃん。それでねソラちゃん、話っていうのは───んぅっ」
ましろが振り向いた瞬間、何故かソラが自分の唇を押し当ててきた。片腕を捕まれ腰に腕を巻かれて、まるで分かっていたかのようにキスをされた。啄むように何度も刷り込まれる。ソラの唇はいつもとは違う感触。振り払おうにも片腕ではソラには勝てないのでそのまま受け入れるしかない。
「まっ、ソラちゃ……んっ……んんっ!」
隙を見て口を開けた瞬間今度は舌も入ってきた。さらには体を持ち上げられて、机に乗せられて、逃げ場が無くなってしまった。
なんとか肩を掴み口を離したソラの顔にな何故かハテナが浮かんでいる。
【このために呼んだのでは?】
「ち、違ぅ……くはないんだけど、今日は……その……」
やりたい事とやろうとした事がいっぺんにやって来て処理しきれないましろ。しかし、そんなましろを他所にソラはどんどん先へ進むように、今度はベッドへ押し倒す。
「待っ……待って……」
【待ちませんよ。だって欲しかったのでしょう?】
腕を上に押さえつけられ、ソラは唇を首筋へ当てる。傷一つない綺麗は素肌。味わうようにやたらしつこくキスを落としていく。
「っ……ぁ……やっ……ソラ……ちゃ……」
【そういえば、ひとついいですか? ましろ】
「な、なに?」
首筋にキスを落としていたはずのソラが顔を上げた。こっちは上から攻められてそれどころじゃないのにソラは不思議と首を傾げている。
【いつもは貴方が上のはずでよね? 今日はワタシが上でいいんですか?】
「い、いいい、今言う必要ないよねそれ今!」
ついに言われてしまった。いつもなら優位に立てているはずのましろ。今の黒いソラにはタジタジで新たな性癖の扉すら見えた。攻められる事を覚えそうになってしまうぐらいに今日は立場が逆転している。
「と、というかなんでそんな所まで知ってるの!?」
【え、いやだって、この体に移ってから記憶がより鮮明に見えるようになりまして。いつもはワタシの方がふにゃふにゃになってるな〜って思って……】
「それはっ……そう、だけどぉ……! 今この状況で言う事じゃないよ〜!」
【でも、なんか気になってしまって。随分気持ち良さそうに受け入れてくれているのが不思議でして……】
「そんな事……あっ……」
服の中に入ってくる手の感触が艶かしい。上から被されて体を視線で舐られる感覚はましろにとって初めての感覚だった。確かめるように、品定めされてるように、ソラの視線がつま先から頭の先まで見られているのがよく分かる。服の中にある体を撫でる手が見えなくて余計に思考が邪になる。
【これ、好きなんですか? 撫でられるの】
「わかん……っ……ない。なんか力……が抜けちゃう……からぁ……」
体が抵抗しようとしない。いつもと違う事をされているから恥ずかしい。普段蕩けているはずの人が自分を犯している。感覚が違いすぎて何も抵抗できない。されてること全て嬉しいから、ましろも自然と蕩けてしまう。
【ふふっ。もしかして貴方の方がオネダリが上手だったりするんですか?】
ソラは舌で自分の指を舐め、ましろの内股に触れた。
「っ……!」
ぬめりのある指がゆっくりとましろのアイラインへ上ってくる。いつもは触られることの無い場所へ近づかれて自然と腰も上がってしまう。手を胸の位置で組み動悸が少し強くなる。
【ほら、ちゃんと見て。ましろ。もう少しで着いちゃいますよ?】
ゆっくり上ってくる指をただただ見るしかできない。耳元でずっと囁かれ、煽られ、手元を見る目が離せない。なんど息をしたのだろう。気づけばもう指はアイラインのすぐそこにあった。
「んぁっ!? ♡」
アイラインの入口に指が当たる。それだけなのに大きな喘ぎ声が漏れてしまった。恥ずかしさのあまり咄嗟に口を手で塞いでしまった。そしてソラと目を合わせると余りにも艶めかしく、妖しい目をしている。
「っ……!」
【まだ触っただけですよ? 下着の上から】
「違っ……」
【違う? 何がですか?】
「それはっ……はぁ……ぁぁぁっ……」
下着の上から親指で入口を円を描くように撫でられる。指から伝わる粘着質な水の音。耳元で聞こえる少し荒いソラの息遣い。片手で胸をまさぐられ、あまり攻められるのに慣れていないましろは既に限界を迎えている。それのせいで腰が勝手に動いている。
【ましろ、腰動いてますよ】
「だってぇ……ソラちゃんがいじるからぁ……ゃんっ」
首筋を一吸いすると可愛らしく声を弾ませる。ソラの首に腕を回してすでに受け入れる体勢が出来ている。布越しではちゃんとしたモノが来なくてましろも焦れったくなってきた。気づけば腰も自分から押し付けている。
「ソラ……ちゃん……」
【ん? なんですか? ましろ】
ソラの顔を覗くと大体のことは分かっている顔。何をして欲しいのか、何が欲しいのか、どうなりたいのか、全てわかっていて焦らすように指の動きを浅くしていた。
「ねぇ……ソラちゃん〜……」
【ちゃんと言わないと分かりませんよ? 貴方はいつもワタシに言わせてるんですから】
「うぅぅ〜……」
こんな時に限って立場が逆転してしまう。しかもちゃんとソラのペースになっている。焦らす指は変わらず、紛らわすようにキスと胸を掴む手が動いている。しかし、今のましろはその程度では快感は逃がせない。下腹部がずっと締まっている。
【オネダリ、出来ますよね?】
蕩けた鋭い視線を浴びせられ、限界のましろは自身の下着をずらして懇願する。
「欲しぃ……ソラちゃんの……欲しいぃっ……!」
あの純白なましろの淫らな姿にソラの口角もつい上がってしまう。独占欲と他の何か。イジメたい心のような何か。
ましろの服を破くように脱がせて床へ投げ自身もはだけてましろの上へ被さる。
【上手なオネダリです。でも欲しいものは自分で濡らしましょうね】
「ふぁい……ぁむ……んむ……んん……んぷっ」
ソラの人差し指と中指がましろの口へ入ってきた。男根を舐る様に入れたり出したりを繰り返す。口の中が引きずり出されるように舌を摘まれる。一頻り口の中を指で弄ばれたましろ。ソラの指は唾液まみれで艷やかだった。
【よく出来ました。さぁ脚を開いて、ましろ】
「ん……」
言われるがままましろは開脚。てらてらと月明かりに照らされて濡れているのが自分でもよく見える。入口に指の先端が着くとつい体を弾ませる。最愛の人の長い指。どこまで届いてしまうのだろう。漫画の女性のようにM字に広げた脚を期待でヒクつかせてその時を待つ。
「あ゙っ──!」
ズプッ、指が二本入ってきた。勢いづける為に腰も指の方へ押されてしまった。少し乱暴に入ってきた最愛の人の指はましろの体に深く染みた。
【っすみません……痛かったですか?】
「ううん……っ、大丈夫。ビックリしただけ」
入ってきた指の感触を確かめるようにましろの膣が動く。指の形に合わせるように開閉し、締めてくる。普段の自分の指では届かない所まで届いてしまった指はなんとも言えない快感を与えてきた。
「っ……はぁ……ぁ……ソラちゃんの、ゆび……長いね」
【ココまでは自分では届きませんか?】
「んぁぅっ!」
指を少し曲げるだけでましろは深く反応する。膣の中を少し指で撫でるだけで吐息のような喘ぎ声がやってくる。する側とされる側ではこんなにも違うものなのか。ましろは膣で動く指を感じながらやり返される事を自覚する。
【痛くないなら動かしますよ?】
「う、んっ……」
そうして指を曲げたまま手を引き抜く。
「はぁ……ぁぁぁぁぁっ……!」
ぐちゅぐちゅ、とヌメりけのある粘着質な音。蜜を掻き出すように指で膣を引っ掻いてく。ソラも受けている時の記憶を頼りにましろへ施していく。
「んぁっ……ソラちゃっ……ゆび、動いてぇ……っ」
【痛くない? ましろ】
「痛くないぃ……っ、ちゃんとぉきもちいいぃっ……!」
耳元で聞こえてくるましろの喘ぎ声。自然とソラの息も上がってくる。何とも簡単に惑わされそうになる魔性の声。逆にソラが意識を保っていないとすぐにでも理性が持っていかれそう。そうでもしないとましろを独占するのが【自分】になってしまう。
「ソラちゃん……! ソラちゃ……!」
【っ……】
必死にしがみついてくるましろが首を締め付けてくる。それと同時に腰をつかんでいる腕の力も強くなる。
【っましろ……ましろっ……!】
「ソラちゃん……! ソラちゃ……んっ! っ、っっ、ッッッ〜〜〜〜〜!!」
ぎゅぅぅ、と体が縮こまった。そして強く痙攣したましろの膣がソラの指を食んでいる。恐らくソラに男根があったとするなら今は射精をしているタイミングだろう。
深くイキ果てたましろを見て、少しイタズラに微笑んだソラ。ましろはほんの少しだけ不満そうな顔をしながら熱を排出する。
「っはぁ……はぁ……はぁ……ん……」
【上手にイケましたねましろ。可愛かったですよ】
「むぅ……ソラちゃんのえっち」
…………*
【あの……怒ってますか? ましろ】
「別にぃ〜怒ってませんけどぉ〜」
【あぅ……】
事後の休憩時間。毛布を体に巻き付けてベッドの隅で体育座りをしているましろをなだめようと少し慌てているソラ。何をしていいのか分からず行き場の無い手をウロウロさせている。ましろはましろでまさか自分がしてやられるとは思っても居なくて、納得いかないという気持ち。
【話を逸らしてしまってすみません……でも、ワタシの記憶が正しければいつもはあぁやって部屋に誘って……】
「っそ、それはもういいからぁ!」
【あぅ……】
しょぼん、と顔を伏せてしまうソラ。まるで子犬のようで怒るに怒れない。これ以上今のソラの表情を歪めるもの忍びないと思ったましろは諦めたようにソラへ向き直った。
「今のソラちゃんって元に戻ったら記憶はそのままなの?」
【え? あ〜……どうでしょう。ワタシは記憶を見れますが、向こうと入れ替わったらどうなるのか分かりません】
「そっか。なら、今のソラちゃんにも教えてあげるね」
【? ……はい。なんでしょう?】
少し姿勢を整えるとましろは笑顔を向けた。
「お誕生日、おめでとうだよソラちゃん」
【ぇ……】
「本当はこれを伝えたかったのに。すぐに始めちゃうんだからびっくりだよ。プレゼントまで用意してたんだよ私」
突然の事にソラは固まってしまった。聞き慣れない言葉のせいで自分の耳を疑うほどに。
誕生日。生まれた日。それを祝う日。そう今日はソラの誕生日。そんな中キョーボーグが現れて、黒いソラが出てきてしまった。それを考えると余計に申し訳ない気持ちが溢れてきた。少し冷や汗をかきながらましろを見つめ返す。けれど怒ってはいない。むしろその顔は穏やかに笑っている。まるで自分の事を迎え入れてくれてるかのように。
【そうか……誕生日、だったんですねワタシの。それは本当に申し訳ありません。こんなタイミングで出てきてしまって】
「ううん。謝るのはこっちの方だよ。突然入れ替わっちゃったから、今のソラちゃんの分のプレゼント、何も用意出来てないから……」
【え? ワタシの……?】
少し困ったような笑顔を見せたましろ。まさか今の自分にもプレゼントをあげようとしてくれるとは思ってもいなかった。しかし、プレゼントはもう既に貰っている。【違う自分】を『同じ』と言ってくれた。その意味だけで十分だった。力を振るうだけの狂戦士へヒーローである理由をくれた。ヒーローである意味を与えてくれた。その力で救えると。それが嬉しかった。
【いえ、プレゼントはもう頂きました】
「ふぇ? なんかあげたっけ?」
【はい。とても……とても大きなものを貰いました。ありがとう。ましろ】
「っ……!」
自然な笑顔。そう呼ばれる表情をソラは作っていた。ましろは不覚にもその笑顔にときめいてしまった。また顔を真っ赤にしたましろを見てソラも笑顔をこぼす。しかし、もう夜は遅い。今のソラの時間はもうすぐ終わる。それはシンデレラの魔法のように。しかし、それに見合うものを今のソラは貰った。なんにも持っていなかったこの掌の中に溢れてしまうほど大きなものを。
【さぁ、もう寝ましょう。明日もう一度ソラに伝えるのでしょう?】
「うん。今日はありがとう。ソラちゃん」
【いえ、お礼を言うのはこちらです。明日この子によろしくと伝えておいてください。きっと覚えてないでしょうから】
「ふふっ、わかった。伝えておくね」
そうして、夜と共に二人はベッドへ沈んだ。
…………*
暗い、暗い場所。自分の居場所へ戻ってきた。そろそろ本来の自分の人格が目覚める頃。目の前に浮いている本人へ黒いソラは近づいた。その頬に触れて、今日一日ましろを独り占めし、先に祝いの言葉を貰ったことを謝罪した。
【しかし、大層恵まれてますね。オマエも】
ましろの優しさにあてられて、黒いソラも少しだけ自分を変えられたような気がした。
【アナタとワタシは同じだそうですよ。ソラ。なんというか流石ですね。彼女は】
誕生日。生まれたことを祝う日。望んで生まれた訳でもない自分に対しておめでとうと言われてもあまり実感が湧かない。しかし、それならば、意味を貰ってしまったのならば、その通りに生きていこう。『同じ』と言ってくれたのなら、『同じ』ように生きていく。貴方のように、そして、もう一人の自分のように。
【らしくないですね。そんな風に相手の事を考えるなんて】
肩を竦めて自分を自分で笑い、意識を失っている目の前の本来の自分へ慣れない言葉をらしくない様に送る。
【誕生日オメデトウ。ソラ】
…………*
「ん……」
目覚めると朝。子鳥のさえずりと共に体を起こす。少しだるさがあるがそれは多分昨日隣で寝ている最愛の人のせい。ゆっくりと顔を覗くと、髪の色が元に戻っていた。深い青から空の青へ、鮮やかな色へ戻っている。
「ソラちゃん、朝だよ。起きて」
「ん……んん……?」
ゆっくり体を起こすその様はましろが知っているソラだった。起きてから目を愛らしく擦るのも、ポヤポヤな顔でましろを見つめるのも、全て知っている。紛れもなく青い方のソラだ。
「戻ってる……」
「ふぁぃ?」
元に戻っている寝起きのソラの頬を両手で包む。感触を確かめるようにもちもちと弄ぶ。確かに現実でソラがそこにいる。すると、くすぐったいのか子猫チックな声を上げる。
「ん〜? ふふふっ、くすぐったいですよ。ましろさん」
「…………ソラちゃん。昨日の事……覚えてる?」
「ふぇ? 昨日ですか? そういえば曖昧ですねぇ。なんだか深く眠っていたような……ふぁ……」
お眠なソラの声と顔が寝起きのましろを上手に駆り立てた。朝からムラつく事などあまりないのだが、昨日の今日で色々と体験しすぎたましろはリセットが必要だった。ソラへ祝いの言葉を送る前に自分の立場を改めて確認しなくてはいけない。
「…………ソラちゃん」
「んぇ? どうしたんですかましろさん? え、なんか顔が怖い……あれ?そういえばなんで朝?ランボーグは?……えっ?♡まっ♡あああぁ〜〜〜〜〜〜♡♡♡♡」