「ごめんユキ!今日はユキにも手伝って欲しい!」
そう言って、まゆはお祈りしながら頭を下げた。どうやら今日はプリティホリックの出張店が展開される日。そこで、手芸の披露会や教室があるらしい。そこで、人手が欲しいと現在まゆはユキへ頼んでいる。
「いろはくんや兎山ちゃんも来るんだ。あと一人必要なんだ!お願い!」
「それは構わないけど…こむぎ達は?」
「いや…その…あの子達はさ…ね?」
苦しそうな顔をするまゆ。ユキもどういう意味なのは容易に想像出来た。そういう意味でもまゆと共に手芸をする事があるユキが適任だった。
ユキとしても、この教室とやらでまゆに悪い虫が付かないかすぐに見て取れるので、良しとした。
「しょうがない。出てあげる」
「ホントに!?ありがとうユキ!」
・・・・・・*
そして当日…。
「手芸の体験コーナーはこちらで〜す!」
「一緒に、栞や小物入れを作ってみませんか〜!」
無事に開催されたアニマルタウンのフリーマーケット。他の地域からやってきた人々が行き交う中、まゆ達は自身の店と共に体験教室を宣伝している。
その結果は大盛況。小さい子供を連れた親の列が出来上がり並ぶほどだった。そこからは全員大忙し。あれやこれやと休む暇もなく働いている。
「おにーちゃん、これどうやるの?」
「あ、うん。これはね───」
まゆも今日は人見知りを抑えて頑張っている。子供に見えないように足がガックガクに震えているのは内緒。よくよく見れば少し脂汗もかいてるように見える。そんなまゆを遠目で見るユキ。なにか思う所があるのだろうか。指導を忘れてじっと見つめている。
「ユキちゃん?」
「っえ、あぁ、ごめんなさい。いろは」
「ううん。もしかして疲れちゃった?」
「そういうわけじゃないわ。ただ……」
「ただ?」
まゆを見つめるユキの瞳は何かを思っている。
「いえ、なんでもないわ」
「?」
「それよりもいろは、貴方の彼女が捕まっているわ」
「え?」
「い、いろはく〜ん!ひぇぇぇ…」
ユキが指を指すその方向には男二人に絡まれるいろはの彼女、悟の姿があった。良い感じのゆるふわ系の女の子だ。ナンパの標的にはもってこいなのだろう。一方のいろはも慣れた様子で悟の方へ向かう。
「あ〜ごめんなさいね」
「ひゃっ」
「この子は俺の連れなんです。他当たって貰えますか?」
肩を抱き寄せて相手の目を見る。その目つきは鋭く圧がある。ナンパ組は一瞬たじろぐとその場を後にした。それを見た悟は安心したようにいろはへ縋り付く。
「こ…怖かった〜…断り方分かんなくて…」
「悟ちゃんは可愛いんだからしょうがないよ。色んな人にモテてるから僕も嬉しいよ」
「いろは君…さっき『俺』って…」
「ん?あぁ、あーいう時は俺って言った方が効果的なんだ。あんま慣れてないから言いたくはないんだけどね」
「そう…なんだ。でも…えへへ、カッコよかったよ」
悟のうわ目の瞳に当てられていろはも恥ずかしそうに顔を逸らした。
「そ、そう…かな。ありがとう…?悟ちゃん」
「うん。こちらこそ、いろはくん」
「…………」
見せつけてくるわね。とユキは少しむんつける。まゆにもあぁ言う甲斐性があれば普段から安心するのだけれど。ユキはまゆを見つめ直して考える。いざと言う時はしっかりしてくれるのに普段がふにゃふにゃだからユキも苦労している。人見知りが出てきた時はいきなりユキの後ろにかくれることがあるまゆ。この街にやってきた時、そしていろは達と出会い立ての頃もそうだった。
「まったく…」
「ユキ?」
「っ!」
突然後ろから声がした。慌てて振り向くとそこにはまゆがいた。
「まゆ…」
「今日はもう終わりだよ。いろはくん達は?」
「向こうでまだ看板持ってるかも。呼んでくるわ」
「うん。一緒に行こう」
・・・・・・*
「疲れた…」
「一日お疲れ様ユキ。今日はありがとう」
「えぇ」
片付けが終わりまゆ達はそれぞれ自宅へ戻った。すみれは懇親会があり遅れて帰ってくるとのこと。まゆ達は一足先に家へ帰っていた。
ベッドに座り込み深く息を吐く。今日は何人の子供と話しただろう。とんちんかんなことを言う子供、きれいなお姉さんと言う子供、まゆを囲む母親方。まゆを囲む女子高生。まゆを囲む自分以外の女性。ユキはそれだけが気に食わなかった。
「…………」
「ユキ、なんか怒ってる?」
「別に…」
まゆからやってきた視線を顔を逸らして返してみせる。まゆは頬に汗を垂らしながらも荷物を整理している。
「まゆ、喉が渇いたわ」
「ぇ?飲み物あるよ?」
指を指した方には机。その上にちゃんと水が乗っている。
「飲ませて」
「えぇ〜…もう、わがままだなぁユキは」
やれやれ、とまゆはペットボトルを掴みキャップを開ける。
「ほら、いくよ?」
「ん」
唇にそっと添えてまゆはボトルを傾ける。綺麗に口の中へ入っていく水を小さく喉を鳴らして飲むユキ。ある程度飲んだ所でもういいとユキが目で訴える。それを察したまゆはボトルを離そうとした時だった。
「んっ……」
「あっ…!ごめんユキっ!」
まゆがボトルから水を零してしまった。あまり量は零れなかったが、ユキの服に水がかかってしまった。
「ごめんっ、ユキ!すぐ拭くか……ら?」
すぐさま拭き布を取り出したまゆを止めるユキの手。俯きながらもその目はまゆを見据えていた。嫌な予感がする。とまゆは考える。
「いい、拭かなくていいから」
「いやでも…」
「舐めて。取って。足にも付いたから」
言って、スカートを捲る。意図を察したまゆは横目に時計を見る。もう少しで母親が帰ってくる時間。流石に最中に帰ってこられると気まづい。気まづいと言うよりも、自分が集中出来なくなる。今の意図は察せられても、さっきからユキが不機嫌な理由もよく分かっていない。目線を合わせようにもユキは顔を逸らしている。
「……そろそろ母さん達帰ってくるんだけど」
「なら、早くして。まゆが零したのよ」
「っ───はぁ…」
まゆはため息と共にゆっくりしゃがんで、ユキの太ももに手を滑らせ引き寄せた。ぴくり、と少し反応したユキがまゆとつい目線を合わせてしまう。
「っ…」
その目にいつも溶かされている。その赤い目にいつもユキは射止められている。若干顔を赤くして興奮気味のまゆの顔。今から、ユキを汚す醜い男の顔。互いに気持ちが紅潮している。そうして、まゆが言う言葉も少しだけ強くなる。
「エロ猫」
「ふふ……どっちの事かしら?」
ベッドから少し足を引きずり出し、スカートを捲る。
「んっ…」
ユキの足に這う舌にまゆの鋭く突き刺す目つき。
ユキの高揚感とまゆの罪悪感。
まゆにやらせている事実にユキが求めている出来事。
ユキはこうでもしないと自分を伝えられない。
まゆはこうでもしないとユキを理解できない。
こういう時に罪悪感を覚えるのはいつもまゆの方。別にユキは良いと言っているのにまゆは遠慮しがち。男としてのプライドか、それとも単純に汚い男として見られたくないのか。ユキも分かっているようで分かっていない。
「は…っ、んぅ…っあ…」
啜るように足を舐められる。零した飲み物をしっかりと掬い取るような舌の動きがユキの足に蠢いている。舌が動く度に声が漏れてしまう。
「っあ…んっ…」
「ちょっ、ユキさ。声出さないでよ。僕が悪いみたいじゃん」
「どうして?わたしはくすぐったいから声を出してるだけよ?」
ふふ、と煽る様に口元を手で隠す。まゆは顰め面になり、舐めていた舌を止める。そして、ユキの片足を上げて下着を顕にする。
「ちょ…」
「……そう、なら僕の勘違いだね」
「んにゃっ!?」
ぐちゅん…!、とユキの下着をずらして膣へ指を入れる。驚いて大きな声を出したユキは顔を赤くする、その様子を見たまゆは不敵な笑みを浮かべていた。
「あっはは、すごい声」
「ッ…あなたね…」
「ほらこれ、全部ユキのだよ」
てらてらと光る指を見せつけられて、口の中へ突っ込まれる。舌の上でまるでものを拭くように動かされる指が心地悪い。
「んぶっ……ふ…れ…る…」
弄ばれるユキの顔。こんなに美少女な顔が自分のもので、自分の思い通りに動いてくれるその支配欲に背徳感。男しての心がまゆを黒く染める。
「ぁ───んぅっ」
噛み付くようなキスをして、まゆの視線が余計に鋭くなる。これでもかと舌をねじ込んで口の中を這いずり回る。目の前にいる女が自分のものだと主張するように頭を掴んで、逃さない。ユキの事なんて考えられない。今目の前にいるメスが欲しい。そんな顔をしているまゆ。
「んっ…はっ…ぁ、んんっ…!!」
キスに夢中になり過ぎて、ユキが何か言っているような気がする。そんな事もお構い無しにまゆのキスは終わらない。小さく口を離してはまた塞ぎ、舐め回す。その度にユキはビクビクと体が反応する。行為自体まゆが優勢だが、ユキは逆に抵抗しない。それがこの二人の決まり事のようなものだった。
「んんっ!んんんっ!」
すると、ユキは咄嗟にまゆを引き剥がす。そのおかげで我に返ったまゆは呆然としている。
「ちょっと…キス、長いから…」
「ぁ…ごめんユキ…」
肩で息をする程絶え絶えになった顔はまゆをゆっくり滾らせた。
(あー…今の可愛かったな…でもまたやろうとすると怒られるしな…)
ユキの唇を指で弄りながら、トロトロに蕩けたユキの顔を見る。瞼はすっかり垂れ下がり、開いている股から垂れているモノはどんどん溢れてきている。そんな目の前のメスの色気に当てられて、まゆもズボンから見える程にテントが出来上がっている。
「まゆ、大っきくしすぎ」
「いや、これはユキが悪いでしょ」
「無理矢理なのは貴方の方よ」
「抵抗しないのはユキだよ」
ズボンのチャックを開けてまゆがそれを見せつけるように取り出した。あまりにもおっ立てているソレをみてユキは顔を逸らす。
「ちょっと…やだそれ…見せないでまゆ」
「やだよ。僕だって限界なんだ」
恥ずかしそうに閉じかけていたユキの足をしっかりこじ開け、入口に擦りだす。もう既に濡れているから油断すると一瞬で入ってしまいそうな程にまゆも余裕が無い。
「ユキ…もういい?」
「ん……いい…わよ」
まゆは先端を入口に当てて、なるべく痛くしないようにゆっくり挿入れ進めた。
「あぁっ…!は…ぁ……っ!」
「ッ…ぅ…」(相変わらずキツイな…少し)
ぎゅぅぎゅう締め付けられる感覚がまゆのソレを襲う。慣れていない訳では無いが、こればっかりはいつも刺激が強い。ユキの顔を見るといつもより少し辛そうに見える。
「ユキ?辛い?」
「ちょ、と…苦し…っ」
「えっ、痛い?」
「ひっ…ん…だい…じょうぶ…っ…んぅ…」
苦しげに答えるユキの顔。自分のせいで自分の恋人が苦しい思いをしている。普段なら嫌な事だがベッドの上だとまゆは違う。突っ込んでいるからか、それとも、合意の上でしているのが最近ご無沙汰だったからか。ユキの喘ぐ声や表情がまゆの心を掻き立てる。
今すぐにでも突き上げてやりたい。
そんな考えがずっとまゆのソレを馴染ませる。
「慣らす?少し」
「ん…いい、そのまま、大丈夫だから」
ユキが合意した。
「わかった」
「ん゙に゙ゃっ!?」
返答を聞いた途端にまゆはすぐに突き上げた。その衝撃でユキが咄嗟にユキの体が反り返ってしまった。実に一ヶ月ぶりの性行為。目の前にいる絶世の美少女が喘ぐ姿は実に心地良い毒だ。いつもつっけんどんなユキもこの時だけは素直になってくれる。
「ま、ゆっ…!待っ…!ふ…んっ…!ァ…あぁ…!」
「ごめ、ユキっ…!少し我慢して……っ!」
子宮の入口を叩くような腰の動き。猫のような喘ぎ声を上げるユキを眺めながらの腰振り程気持ち良いものはない。余裕が無いせいで丁寧にユキを扱うことが出来ない。ただ自分が気持ちよくなるためのセックスになっている。
だらしなく口を開けて息をする。
ユキを押さえつけて腰を振る。
ユキが何か言っているような気がするが、そんな事は気にしない。今のまゆはただこれがしたいだけなのだから。
「ぐっ…ユ、キ…っ!」
「あ…!ふぁ…っ!ま、ゆっ…っっっ〜〜〜〜〜〜!」
果てると同時にユキの膣へ押し込んだ最奥へナニカが出されている感覚。ユキも体がそり返るほどの快感に襲われていた。
「っはぁ…!はぁ…はぁ…」
「っ…ふ…はぁ…はぁ…ナカ…出した…」
「……うん…ごめん…」
・・・・・・*
「ユキ〜…怒んないでよ〜…」
「ふんっ」
事が済むと、ユキはすぐさまベッドの端で丸くなった。背中越しにもわかる明らかな不機嫌。むんつけている訳では無さそうだがら何かに納得いっていない顔。
「やっぱり怒ってた?」
「今日、女の人に囲まれてた」
「えだってそれはお子さん連れのお母様方で…」
「今日、わたしに構ってなかった」
「えだってそれは忙しくて…」
「今日は、ずっと寂しかった」
「や……だってそれは……」
返す言葉もない。しかし、一日捕まりっぱなしでまゆ自身もユキに構おうにも構えなかった。それはお互いに分かっている。だから、ユキは今その感情を爆発させている。
「ごめんってば…僕は何があってもユキが一番だよ?」
後ろから抱き寄せて慰めるように頭を撫でる。分かってはいるがユキはこれに弱い事をまゆも知っている。
「本当?」
上目遣いのユキがこちらを向いた。それをされると今度は逆にまゆが弱くなってしまう。
「うん…本当だよ」
「じゃあ許す」
そう言ってユキはまゆへ身を預ける。素直に嫉妬深いな猫は今日も絶好調。まゆはやれやれと気付かれないようにため息を吐くことしか出来なかった。