※この作品はR-18です。

プリキュア SS   作:扇 漱真

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ふたなり、ソラに生えてます


ソラまし 今も昔もこれからも フタナリ

「ましろさんッ!!」

 

 自分の執務室から駆け抜けてきた。王城の医務室で眠っているましろさんの顔を見るなりわたしはほっと一息をつく。

 しかし、すかさずベリィベリーさんからゲンコツが飛んできた。

 

「静かにしろ。ここは医務室だぞ」

「アイテッ、す、すみません。だって、話を聞いた途端いてもたってもいられずになって……」

「見ての通り、彼女は無事だ。無事なんだが……」

「ん……んん……」

「ましろさん!」

 

 ベリィベリーさんの話の途中でましろさんが目を覚ました。急いでベッドに駆け寄ると上半身を起こして目を擦るましろさんにわたしは違和感を覚えた。

 

「ましろ……さん?」

「んぅ……ソラちゃん?」

 

 何となく幼いような……? まるで昔のましろさんを見せられているような。そんな違和感。しかし、その違和感はすぐに現実となって現れた。

 

「ソラちゃん……なんかおっきいね?」

「え……と……ましろさんが縮んだのでは……?」

「えぇ〜? そうかな〜? 私は去年からこのま……ま?」

 

 わたしとましろさんは同時に首を傾げて、ベリィベリーさんの方を向いた。二人の視線を当てられたベリィベリーさんはため息を吐いて、頭をかいた。

 

「いいか? ソラ。今の彼女は『十六歳』だ」

「え?」

「え?」

「「えええぇぇぇ!?!?」」

 

 わたしとましろさんが素っ頓狂な声を出すと、ベリィベリーさんはまたため息を吐いた。

 

「ど、どういうことですか! ベリィベリーさん!?」

「ランボーグのせいでな。私が駆けつけた時にはもう遅かった。既にこの姿で気絶していたんだ」

「そんな……」

「え……っ……と?」

「ごめんなさいましろさん! ちょっとまっててくださいねッ!」

 

 ましろさんには悪いですが、今は置いてきぼりになってもらう。わたしは『ランボーグ』という単語を見逃せなかった。

 ベリィベリーさんと部屋の隅に寄ると小さい声で会話を始める。

 

「何故、ランボーグなんて……」

「こればかりは私にも分からない。だが、確かに姿を見たものはいる」

「しかし、なぜましろさんが……?」

「どうやら、プリンセスに用事があったようでな。私が迎えに行っている途中そこで、ランボーグに襲われている市民を助けてくれたようなんだが、恐らくその時にだろうな」

「自然発生する事なんてあるのですか?」

「浄化の際に散っていったダークエナジーが蔓延している所があるのか、それとも、エナジー同士が引き寄せあって生まれたのか、そこら辺も不明だ。すぐに調査はさせているが痕跡が少な過ぎる。長引くぞ」

「で、では……ましろさんはどうすれば元に戻るんですか!?」

「今回襲ってきたランボーグを倒すしかないな。それ以外方法はないだろう」

「た、確かに……」

 

 と、ましろさんの方を向くと相変わらず頭にハテナを浮かべている。状況が飲み込めていないらしい。寄りにもよってましろさんがまたランボーグに出くわしてしまうなんて。しかも今は『十六歳』。その年齢は、わたしとましろさんが付き合ってまだ間もない頃。まだ結婚もしていない。今の生活を教えたらましろさんはどうなってしまうのだろう。わたしには想像もつかない。

 

「ま、ましろさん。今自分が何歳か分かりますか?」

「ぇ……じゅ、十六歳だよ?」

「わ、わたしが何歳に見えますか?」

「え〜……ん〜……そうだな〜……二十歳ぐらい?」

 

 首を傾げるましろさん。

 わたしの今の年齢は二十四。ましろさんと同じ年齢のはずなのに、今確かにこの人から十六歳と聞こえた。本当に若返っていることにわたしは驚愕したまま呟いた。

 

「わたし……今二十四歳です」

「えぇっ!? ほんとに!? た、確かに凄い大人びてるし……」

 

 ほ、本当に当時の年齢まで戻ってしまっている。

 わたしの事は認識しているでしょうけれど、これは完全に『十六歳のましろさん』だ。まさか、ランボーグに時間操作が出来る個体がいるとは思わなかった。これは早々に見つけないと、スカイランドにも甚大な被害が出る。

 

「ま、まずはツバサくんに相談して……それからエルちゃんに……」

「いい。ソラ」

「え?」

「お前は帰れ」

「な、なんでですか!? わたしはまだ……」

「まずは、落ち着いて彼女に状況説明をしてやれ。このままじゃましろは置いてきぼりだ」

 

 ベリィベリーさんは腕を組んで壁に寄りかかる。

 

「始まったのは今日だ。解決するのはどう頑張っても明日から。今慌てて動くより、明日皆で立ち向かえばいい。そうだろう?」

「……」

 

 何故だかその言葉に胸を打たれてしまった。流石、我が隊の副隊長。言う言葉全てに重みがある。確かに今動いて解決する話じゃない。ランボーグも何処にいるのか分からないのに探し回っても仕方ない。今はましろさんの安全を確保しないといけない。

 

「分かりました。ベリィベリーさん。あのっ……! ましろさん!」

「は、はいっ!」

「とりあえず、お家に帰りましょうか。そこでゆっくり話しましょう」

「おう……ち? ソラシド市に戻るってこと?」

「いえ、ここにあるわたしとましろさんのお家です」

「へ……?」

 

 …………

 

「わぁ……!」

 

 そうして、気絶していた私が大人のソラちゃんに連れられてきたのは、一軒の住宅。玄関を開けると、二人暮しにはピッタリの内装が広がっていた。日当たりの良い間取りに、食器を見ればお揃いのものが多く、ソラシド市で使われているような家具も揃っていた。

 

「ここ、本当に私達のお家なの……? ソラちゃん」

「はい。その通りです。ましろさんのお部屋はこちらですよ」

「あ……うんっ」

 

 部屋を開けると、そこは確かに私の部屋だった。

 

「わぁ……わぁ……!」

 

 前々から夢見ていた完全な私の一人部屋。おばあちゃんの家にも私の一人部屋はあったけれど、この部屋は私が理想としている間取りの部屋だった。大量の本に、勉強机。おそらくお仕事の道具も机に並んでいる。その机には私が出版している絵本があった。

 

「すごい……」

 

 将来の私って夢を叶えられたんだ。なんかちょっと感動してきた。そして、その本の隣には大人になった私とソラちゃんとのツーショット写真が立ててある。

 これ……どこで撮ったんだろう? ソラシド市でもないし、スカイランドって訳でもなさそう……? 

 

「あぁ、懐かしいですね。これ新婚旅行の写真なんですよ」

「しん、こんっ……!?」

 

 私が沸騰したように顔を赤くすると、ソラちゃんは、はいと頷いた。

 

「ましろさんに無理を言って、わたしの行きたかった海外に行かせてもらいました」

「そう……なんだ……」

 

 ソラちゃんの薬指を良く見るとそこには煌びやかに光る銀色の指輪があった。手元を見れば私の薬指にも指輪がはめられていた。

 本当に結婚したんだ……私達……。なんか、凄いなぁ。未来の私ってこんなに幸せなんだ。いろいろ急すぎて追いつかないけど、今もこれからもちゃんとソラちゃんの事が好きなんだ……私。

 

「ましろさん?」

「ぇ、あぁ! ごめん! なんだっけ!?」

「良ければ、順を追って話しますよ。アルバムとかありますから」

「う、うんっ! お願いしますっ……!」

 

 そうして二人でベッドに腰掛けて、アルバムを開きながら、『十六歳の私』が『二十四歳の私』になるまでの事の経緯を話してもらった。

 

 …………

 

「と、言うわけで、ましろさんは今絵本を出版しているというわけなんですね」

「へ、へぇ〜……ほんとにこれ私の絵本なんだ……」

 

 まじまじと手渡された絵本を見る。何だか自分で作ったのが信じられないくらい良く出来ている。ページをめくれば、所々に昔考えていた構想が見え隠れしている。未来の私も昔の自分のことを大切にしててくれてるんだ。凄いなぁ。

 

「さ、続きは明日にしてもう寝ましょうね。ましろさん」

「え、あ、もうこんな時間なんだね。え……と……じゃぁ……」

 

 つい、意識がソラちゃんへ向いてしまう。け、結婚してるんだから、一緒に寝るのも普通なんだよ……ね? 

 前々からソラちゃんとは時々一緒に寝てたけど夫婦となると意味も違ってくる。意識すればするほどに心臓がうるさくなる。

 

「ましろさん」

「ぁ……ソラ……ちゃ───っ!」

 

 頬に手を添えられて、私はついピクリ、と跳ねてしまった。キスをされると思ってぎゅっと目を閉じたら、やってきたのは手を添えた頬と反対の方に柔らかな感触。

 

「ましろさんはここで寝てください。子共は寝る時間ですからね。わたしにはまだ仕事がありますので、先に寝ていてください」

「え……ぁ……うん」

 

 おやすみなさい、と子供をあやすように頭を撫でられて小さくソラちゃんのイヤリングが揺れた。そのまま、ソラちゃんは書斎へ戻った。いつの間にか見上げる側になってしまった私は、そのソラちゃんの背中を引き止めることが出来なかった。

 

「……」

 

 言われるがままに、ベッドへ倒れた私は明日からどうしようかと悩んでいた。そのせいで未だに寝付けない。こんな不安な夜は久しぶりだ。プリキュアとしての戦いは終わったものの、スカイランドにはまだダークエナジーが集積している場所があるらしい。それを突き止めるのも、今のソラちゃんの仕事。

 それに加えて、私が昔の姿になっちゃった事件が合わせてやってきた。苦しいのはソラちゃんの方なはずなのに。私はずっと気を使わせてしまっている。今の私達は夫婦のはずなのに。

 

「ソラちゃん……」

 

 まだやることがあるって言ってたから。きっとそれはお仕事のことだと思う。もう二十歳を超えたんだからきっと大きな仕事とかも任されてるんだろうなぁ。ソラちゃんはなんでも出来る子だから。

 

「未来の私だったどうするんだろう」

 

 枕を抱えて寝返りをうつ。今のソラちゃんにあまり負担をかけたくない。負担というか何も出来ない人だと思われたくない。

 

「うんっ、明日からだよ……!」

 

 ふん、と意気込んでベッドに倒れ込む。

 明日から。切り替えて明日からいつも通りにして見せる。

 

 …………

 

「ん……」

 

 しまった、ここで寝落ちしていたのか。仕事中に寝落ちしちゃダメってましろさんに何度も……

 

「ましろさんっ!?」

 

 そうだ! ましろさん! 昨日から何か変化は無いのか!? 

 

「っ!!」

「わっ!?」

 

 急いで書斎の扉を開けると、そこにはエプロン姿の『十六歳のましろさん』が居た。手には味噌汁の入ったお茶碗を持っている。

 わぁ……やっぱり可愛い……。いつものましろさんも可愛いですが、やっぱりこの頃のましろさんも趣があるというか……

 

「ってそうじゃなくてぇ!」

「え、あ、うん。おはよう。ソラちゃん」

「あ……はい……おはようございます……」

 

 わたしが自分にツッコミを入れて地面に這い蹲るとましろさんは頬に汗を垂らした。

 

「えと……朝ごはん出来てるよ。食べよう?」

「そ、そうですね……いただきます」

 

 机に並べられたいつも通りの朝ごはん。どんなになってもましろさんのご飯の美味しさは変わらない。何を食べても朝から元気が出てくる。

 でも、さっきの自分が恥ずかしくて少しいたたまれなくなってきましたね。いやいやい全然やましい気持ちなんてないですよ? ないですとも。ねぇ? ツバサくん。

 

「ソラちゃん」

「はい、なんでしょう?」

「今日は何かするの?」

「あぁ! そうでした。今日も王城の医務室に行ってもらいますね。昨日は急遽運ばれてとりあえず帰されただけなので、今日は精密検査受けてもらいましょう」

「うん。わかった」

 

 …………

 

「はい。これで検査は終わりです。特に異常はありませんので安心してください」

「はい。ありがとうございました」

「あぁ、すみませんがこの報告書をソラ隊長に渡して貰えますか?」

「分かりました。失礼しました」

 

 診断の最後の問診を終えて、私は医務室から去っていく。ソラシド市でもやる様な簡単な診察を受けてソラちゃんの隊舎へ戻ろうとした。

 そこで、ちょうどツバサくんの仕事部屋を見つけた私は挨拶をしようと扉に近づいてノックをしようと手を出した時───

 

『それで? ましろさんの容態は大丈夫なんですか?』

『まぁ、見る限り問題は無いですね。記憶以外は、ですが』

 

 ツバサくんとソラちゃんの話し声? 

 私の事かな……? 

 

『もし……ましろさんが戻らなかったらわたしはどうすればいいのでしょうか……』

『きっと元には戻ると思いますよ。でも、珍しいですね。そんな弱気なんて。何かあったんですか?』

 

 

『その……やっぱり今のましろさんと居るのは正直辛いと言いますか……その……』

 

 

 え───? 

 

 

『えぇ……辛いって、もしかして……?』

『え、や、違いますよ!? そういう意味ではなくてです……いや……その……やっぱり……』

『お願いですからそういうのは仕事終わったあとにしてくれませんかね? 貴方達の事情を聞きたい訳では無いんですがね』

『な、何もそんな言い方しなくていいじゃないですか! わたしだって───』

 

 堪らず私はその場に居れなくなって小走りで駆け出していた。焦りみたいな、怖くなって走り出してしまった。ソラちゃんから聞くはずのないものだと勝手に思っていた言葉が私の目の前に現れた。

 

「ん? ……ましろさん?」

 

 

 …………

 

 

「はぁ……」

 

 結局問診票持ったまま逃げてきちゃった。走るだけ走って、王城のとある物陰に隠れるように座り込んだ。膝を抱えてさっきの言葉を思い出す。

 

『今のましろさんと居るのは……正直辛いというか……』

 

 一緒に居るのが辛いって言われちゃった。私……いや、今の私が迷惑だったのかな。確かにそうだよね。今ソラちゃんは年上で、私は年下で。一個二個の違いじゃないんだもん。普通は迷惑だって思われても仕方ない事なんだよね……。でも、なんか……

 

「あれ……?」

 

 抱えた膝に雫だ落ちる。瞳から溢れてきてしまった。言われた事が想像以上にショックだったらしい。ちょっと幸せを感じていた分大きく傷ついてしまった。

 未来の私ならどうしたのかな? そういえば昨日は、ソラちゃんも何か遠慮気味だったような気がする。いつもより一歩間合いを開けた距離のような。そんな感じだった。

 

「いいのかな……」

 

 思いついた最低な考え。仲直りの一つの方法。

 愛情表現の行き着く先の一つ。昨日の夜のさらに先。

 ソラちゃんがきっと望んでいたであろう事。

 

「っ〜〜〜!」

 

 急に恥ずかしくなり、顔を膝に埋めてしまった。さっきまで泣いていたのに今度は顔が赤くなる。でも、やるしかない。今の私にはこれしかないんだ。きっと。いや……多分。

 

 

 …………

 

 

「ただいま戻りましたよ〜」

「おかえりソラちゃん! 晩御飯出来てるよ!」

 

 精一杯の笑顔でお出迎え。ちょっと声を張りすぎたと思うぐらいがちょうどいい。少し呆気にとられてるソラちゃんを他所に私は目の前に立つ。

 

「はい……ありがとう……ございます?」

 

 手荷物を受け取ると、ソラちゃんはテーブルの方へ顔を覗かせる。もちろんテーブルには私が作った料理。キッチンの仕様が私の世界のもので助かったというのは内緒の話。

 

「ごめんね。冷蔵庫にあるもの勝手に使っちゃって……」

「い、いえ! 大丈夫ですよ。というか、元々、晩御飯は毎日ましろさんが作ってくれていましたから! その代わりにわたしが朝ごはん担当でした!」

「そうなんだ。えへへ……よかった」

 

 二人で椅子に座ると、いただきますを唱えて食事をたのしんだ。

 

「お風呂ももう汲んであるよ。入っちゃう?」

「え、いいんですか? ましろさんは……」

「私は先に入ったから大丈夫! はい! 行ってらっしゃい!」

「え、ちょ! そんないきなり───」

 

 ソラちゃんをお風呂に押し込んで準備は完了。あとはソラちゃんが上がってくるのを待つだけだ。

 

 …………

 

「ふぅ……なんかちょっとましろさんがおかしくなっているような……ん?」

 

 ましろさんが居ない。リビングもいつの間にか電気が消えていた。自分の部屋に戻ったのかな? 

 

「ましろさ〜ん?」

 

 ノックをしても返事がない。おかしいですね。やっぱり何かあったんでしょうか? そういえば今日持ってくるはずだった診断書も貰っていないような気がしますね。

 これは何かありましたね。わたしの知らない所で何か。それを一刻も早く聞くために家の中の気配を探る。自室にいないとなると何処に。

 

「ん?」

 

 わたしの部屋に1つの気配。どうやら、わたしの自室に居るようだ。しかし、なぜわたしの部屋に。不審に思いつつも踵を返して自室へ向かう。壁に耳を当てると誰かの声が聞こえる。

 

『ソラちゃんに───大丈夫───できる』

 

 ましろさんの声だ。なにか唱えている。ちょっと怖いな。一緒に暮らしてきてましろさんに対してわかったことは、勘違いをするとちょっと暴走してしまう所。なんか部屋に入ったら襲われそうで怖いですね……。いやでも、ましろさんのお話するためにも一歩踏み込まないといけない。

 少し深呼吸をして部屋の扉を開けた。

 

「ましろさん?」

「ぁ……ソ、ソラちゃん! 今日は私が頑張るからね!」

 

 と、薄着のましろさんが声を張る。話が飛び過ぎて何が何だか分からないわたしは首を傾げてしまった。

 

「へ? ───ちょ!?」

 

 いきなり腕を引っ張られ、ベッドにそのまま押し倒される。やっぱりこういう時に力が強くなるなぁこの人は! 本気で驚くからやめて欲しいですよ! 

 

「ま、ましろさん! どうしたんですか!?」

「ソラちゃんは……じっとしてればいいからッ……」

「ちょちょちょ! 脱がさないで! 待ってください!」

 

 図らずしも不可抗力で大きくなったわたしのイチモツを見てましろさんが唾を飲む。恥ずかしいからあんまり見ないで欲しいというか、わたしの記憶が確かならまだ『十六歳のましろさん』はこの手の経験が無いはずなんだ。

 

「わ……ソラちゃんの……おっきいね……」

 

 わたしの下を脱がせてそびえ立つイチモツを呆然と見つめる。そっと、ましろさんの手が添えられるとその柔らかな感触にわたしは体を弾ませてしまう。

 

「こ、こんな感じ……だよね? 痛くない?」

「いっ……たくないですけどぉっ……ましろさんどこでこんなことを……ぐっ!」

 

 添えた手を上下に動かしてイチモツを扱く。

 しまった。久しぶりで全然我慢が効かない。少し触られるだけで刺激が強く感じてしまう。

 

(ソラちゃん苦しそう……こうすればいいんだっけ?)

「うぁっ!?」

 

 一際強い刺激を感じてしまい、ましろさんの方を覗くと、わたしのイチモツを口に咥えていた。

 

「まっ、待ってください! そこまでっ……あっ!」

「らいひょうぶ……でひるはら……んぷっ……」

 

 喉の奥まで飲み込んで、わたしのイチモツを舌で舐る。

 吸い上げたり、なぞるように舐めたり、扱きながら亀頭を咥えたり、『十六歳のましろさん』とは思えない程に上手でわたしも腰が引けていた。

 

「ましろさっ……まっ……てくださ……いっ、もう、出ます……からぁっ……!」

「んんっ……ひぃよぉ? だひて? ソラひゃん……」

 

 その上目遣いがトドメとなり、わたしはましろさんの頭を押さえつけて、再びイチモツを喉奥までねじ込んで白濁を解放した。

 

「───っぐ!」

「んぶっ!?」

 

 わたしのイチモツが二回三回と脈打つ度にましろさんが苦しそうな声を出す。それすらも贄となりわたしの欲望はましろさんへ流れ続ける。

 自分でも信じられないぐらい長い射精を終えて、ましろさんを引き抜くと、そこにはあの時見れなかった『白く穢れたましろさん』がいた。

 

「んぷはぁ! ……はぁ……はぁ……」

「っ……はぁ……はぁ……」

 

 酸欠で表情が蕩けているましろさんの頬を自分のイチモツを擦り付けながら、その恍惚とした表情を目に焼きつける。

 

「ましろさん……どこでこんな……」

「ソラちゃんのお部屋の本で……なんか色々あったから……」

「っ───」

 

 しまった。自分の勉強用に取っておいたやつだ。処分するかずっと悩んでたのが裏目に出た。今度捨てよう。

 いやいや。そんなことより……

 

「何があったのか……話してくれませんか?」

「え……?」

 

 ましろさんの頬に手を添えて、猫のように撫でる。くすぐったそうに顔を振るとゆっくり体を起こした。

 

「ツバサ君との……会話を聞いちゃって……」

「え。それって昼間の……?」

「うん……」

 

 その瞬間わたしは天井を仰いだ。最悪だ。まさかあの会話を聞かれていたなんて。最悪だ……。本当に。

 

「それで……ソラちゃんが、今の私といるのが辛いって……言ってた……」

「っ───」

 

 やっぱり聞かれてた……。しかも、この手の行為をしてるということは。

 

「もしかして……全部聞いてたんですか?」

「え? ううん……全部は聞いてないよ……ただ怖くなって逃げちゃって……」

 

 ポロポロをましろさんの瞳から涙が零れてきた。慌てて抱きとめて宥めるように頭を撫でるが、それでも泣き止まない。むしろもっとすがりついて泣きついてくる。

 ただ、ましろさんはわたしの話を全て聞いていない。なら、図らずしも良い結果になってしまったと思ってしまう。わたしが招いた誤解がわたしの望む結果になってしまった。それだけは伝えておかなければならない。

 

「ましろさん。顔を上げてください」

「っ……ぐすっ……なに?」

「まずは、ましろさんに誤解を与えてしまったことを謝ります」

「ごかい……?」

「はい。ましろさんと一緒なのが辛いっていうのはあなたが考えているようなことじゃないんです」

 

 袖でましろさんの雫を撫でる。そして、そっと不安を包むようにましろさんへキスを落とす。

 

「辛いっていうのは、こういう事が出来ないのが辛いって意味なんです……はい……」

「ふぇ……?」

 

 言ってて自分で恥ずかしくなり顔を伏せる。なんて情けないっ……良い大人だと言うのにこんな万年発情期みたいなわたしは未熟過ぎる。しかし、その意味を知ってか知らずか、ましろさんの顔は赤いまま。両手を合わせてモジモジと恥ずかしそうにしている。

 

「私……でもいいの?」

「何を言うんですか。ましろさんだからですよ」

「ううん……そうじゃなくて……『今の私』で、って意味……なんだけど?」

「ぁ……」

 

 確かにそうだ。『今のましろさん』にとっては何もかもが初めての事。わたしと結婚した事も。今ここに住んでいることも。お仕事をしていることも。全部。でも違う。わたしのましろさんへの思いは何も変わらない。

 今も昔もこれからも。

 ただ真っ直ぐにましろさんだけを想っていく。

 いやでも、今この状況を肯定したら、完全にわたしが犯罪者になりかねない。どうしたら良いものでしょうか……。

 

「……ソラちゃん?」

「っ───!」

 

 上目遣いで見つめないでくださいましろさんッ!! 

 わたしの心が! 心が揺らぎます! 

 本当は元に戻るまで我慢するつもりだったのに! 

 

「はい。『今のましろさん』が……いえ!! 『今のましろさん』も! 良いです! …………はい……」

「? ……うん。わかった。私も頑張るね……?」

 

 言っちゃった。これで私は未成年に手を出す犯罪者の仲間入り。いや、仕方ない。だって、相手は婚約者のましろさんです!! 別に悪くないです!! 

 

「いや、ましろさんはもう頑張ってくれましたから」

 

 トン、とましろさんを押し倒す。一回出したのにさっきから収まってないソレはもうわたしが悪い。未成年のましろさんに興奮してると言うのもある。Tシャツの中に手を入れるとくすぐったいのかましろさんはきゅっと目を閉じた。

 

 

 …………

 

 

「懐かしいですね。その反応」

「っ……んっ……!」

 

 ましろの服を捲り、その発展途上の胸に口付ける。丘を撫でるように舌を這わせて、頂点へたどり着く。ピンと張った突起を吸い込む。

 

「ひゃぁっ!」

「ん? あぁ、これも初めてなんですよね」

 

 ゆっくり舐め上げるだけでも充分な刺激になる。触れる事はあったとしても、口に含むことはしてこなかった。それだけ、ソラとましろはお互いの事を大事にしていた。そうして、ある日、性行為が出来る年齢になった途端に互いのタガが外れた様に求めあったのを覚えている。

 

(ずっと吸ってる……なんか、可愛いかも……)

 

 ちぅちぅ、と胸を吸っているソラの頭につい手が伸びてしまう。子供に母乳をあげる母親とはこういうものなのだろうか。大きな子供の頭を撫でるとその子供は幸せそうに顔を崩した。吸われるだけなら、今のましろもまだ平気だと思いソラの様に顔を笑顔に崩した。ソラはその笑顔を見るやいなや、すぐに顔を上げてましろの顔へ近づいた。

 

「その表情。かなりそそられます」

「えっ……? そ、そんなに変だったかな……?」

「いえ、凄く欲しくなる顔です。可愛いし、綺麗です。幼いのに凄くいやらしいです。ましろさん」

「え……い、やソラちゃ───んっ!」

 

 噛み付くように吸い込まれ口を塞がれた。口の中を舐められる。溶かされる感覚とはこういうものなのだろうか。幼いましろは考える。ぐるんぐるん、と口を舌で撫でられて、自分の舌も弄ばれる。人肌の体温で触れられると瞼が落ちてくる。

 

「ん……ちゅ……んっ……は……んんっ!」

 

 キスだけに集中していると突然胸から刺激がやってくる。ソラの手はまだ胸に触れていた。突起を指でこねくり回している。少し引き伸ばしたり、弱く抓ってみたり、初な反応を楽しんでいるようにも見える。

 

「ソラちゃん……っ……」

 

 またしても上目で見つめてしまう。瞳の端に小さく雫が出来ている。恥ずかしいのか、気持ち良いのか、今のましろにはわからない。色々いっぱいいっぱいでわからない。

 

「ましろさん。何だか始めてシた時みた……い……」

 

 そういえば、記憶も体も十六歳。という事は、必然的にソラとひろがるスカイをした前の体になっている。つまり、このいきり立った棒を突っ込むと当然開通行事が行われる。

 

「ましろさん……? ここ、触った事ありますか?」

 

 ソラは自身の手をゆっくりとましろの秘裂下ろしていく。親指が割れ目に触れた瞬間。ましろの体は大きく跳ね上がった。

 

「っ!? ご、ごめん……まだなの……その……一人でした事も……ないし……」

 

 その時、ソラは悟った。二度目の初めてを貰えることに。ソラは深く息を吐き顔を伏せる。まるで自分を御しきるように。二度目の処女と考えただけで下半身の主張が激しくなった。少し痛いくらいに勃ち始める。

 

「え……と……ソラちゃん? 顔が……怖いん……だけど」

「ちょっと現状を理解してしまって」

「現状……?」

「あの、ましろさん」

「は、はい」

「ましろさんの初めて……もう一度頂いてもいいですか?」

「初めて……っっっっ!!!??」

 

 ましろは言葉を意味を理解した瞬間顔が爆発した。結婚しているのだから、そういう事だ。当然ましろの純潔を奪ったのはソラ。それを受け入れたのはましろ自身。目の前にそびえ立つソラを受け入れられるか少し怖くなった。でも、ソラのその切なく、苦しそうな表情を見ると自然と体が疼きだす。

 

「…………う……ん。いいよ、私の事……もう一度ソラちゃんのモノにして……?」

「っ……!」

 

 言葉、一言一言に熱が籠る。咎められている手に力が入る。これから、ちゃんと犯されることを想像すると下腹部がぎゅう、と閉まる感覚。ソラはましろの言葉を飲み込むと、ましろの片足を持ち上げて、その秘裂を露わにする。

 

「ごめんなさい……でも、嫌だって言ってもやめませんからね」

「う、んっ……」

 

 ソラの余裕のなさそうな顔。そんな表情をあまり見てこなかった今のましろにとっては、良い興奮剤だ。きっとこれも未来の自分も同じ事だろう。

 ベッドに押し倒されて、組み伏せられて、いいように触られて、犯されて。それも全部好きな人。汚されたいと望める人。自分を汚してと言える人。

 グズグズに蕩けた秘裂にソラはそれの先端を付ける。ましろはぴくりと跳ねるが、怖がっている様子はない。

 

「っ……!」

「っあ!?」

 

 ズブ……! 、と差し込まれたましろの膣内へソラが入ってくる。下は何も触っていないはずなのだが、簡単に入るほどに濡れていた。しかし、今のましろにとっては初めての感覚で頭の中にハテナがずっと浮かんで目を白黒させている。

 自分の膣内に異物が入っている感覚が初めてで、何も分からない。ソラが自分の中に入ってきている。本当のセックスを自分が体験しているという事実がましろを飲み込んでいる。

 

(こ……れが、セックス……? ほんとにソラちゃんとしてるん……だ)

 

 自分に入っているモノを確かめるように腰が少し前後に動いてしまう。無意識にやっている行動に、ソラもちゃんと魅了されてしまう。

 

「そんなにしたかったんですか? ましろさん」

「ぇ……?」

「自分から腰を動かして。本当にわたしを駆り立てるのが上手なんですか……らっ!」

「あんっ!」

 

 急に膣の中に強い衝撃が走った。ソラがいきなり膣奥まで差し込んできた。しかし、痛くはない。むしろちゃんと快感がこれでもかと押し寄せてくる。

 

「はぁっ……んっ……あっ……! ソラ……ちゃ……ンンッ……!」

「っ……ましろさんっ……!」

 

 力強くピストンを止めることないソラの必死な顔を見てましろの興奮も収まらなくなってきた。

 

「ナカ……っ、締まってますよ、ましろさんっ……!」

「やぁっ……! いわないでぇ……!」

「ほらっ、これ、濡れてるの全部ましろさんのですよッ?」

 

 辱めるように片足を持ち上げて、ましろの股を開かせる。亀頭を子宮口に押し付けるとましろはその快感でずっと縮こまる。

 

「やぁぁ……!」

 

 恥ずかしさのあまり腟内が締まり、ソラへより一層の快感を与えてくる。

 

「ッ……締め過ぎですよっ……ましろさんっ……!」

「んひぃっ!?」

 

 ましろの腟内の締め付けがより強くなるとソラの腰もより早くなる。聞きたくないほど恥ずかしい水の音。子宮を叩かれて体全体が揺れている。自分よりも大きな人に犯される感覚とソラの必死な攻めが相まって、ましろの頭の中も快感だけになっていく。

 

「やぁ……っ、ソラちゃ……っ、私っも、ぅ……!」

「は、い……っ! わたしも、限界です……ましろさんっ……!」

「ソラちゃ……! ソラちゃ……んっ!! っ、っっっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

「っぐ!」

 

 子宮を叩きつけるように腰を打ち付けて、ましろの中へソラの欲望が注がれる。どくんどくん、と脈打つイチモツに合わせてましろの体を弾んでいる。ソラ自身も信じられない程の精液を注いでいる。年下になっただけでこんなにも、射精量が増える事を考えるとソラはますます自分のことが嫌いになりそうで、乾いた笑いが出てしまった。

 

(これじゃ、ホントにただの犯罪者ですね……っはは)

「っはぁ……はぁ……はぁ……」

 

 だらしなく口を開けたましろの焦点のあっていない恍惚とした顔と、ましろの中からひり出ている自身の精液。前には考えられなかった、『あの時のましろ』を犯している感覚のせいで、溢れる程に出し尽くしたはずなのに、まだ足りない。もっと注いでやりたいと、体は疼いている。理性が完全に吹き飛んだソラは否応無しにましろへ被さった。

 

「ましろさん……」

「ぁ……そら……ちゃ……ん……あっ」

 

 …………

 

「良かったですね〜! 元に戻って! それはそれは大変苦労なさっていたんでしょうね〜!!!!!」

「…………えと」

 

 翌日。それはそれは大変な一夜を過したわたし達。朝起きるとなんとましろさんは元に戻っていました。そして、その間ランボーグを探してくれて、なんと撃破までしてくれたツバサくんの目の前で正座させられていました。ましろさんが元に戻ったのは良かったのですが、どうやら、ランボーグの効果が一時的なものだったらしく、昨日必死にランボーグを探し回ってくれていたツバサくんは椅子に座ってふんぞり返りながら青筋を浮かべわたしへ笑顔を向けていた。

 

「僕が必死こいてランボーグを探している間もあなた達はベッドの上でギシギシ動いて、さぞ気持ちよかったでしょうね〜!!!!!」

「……すみません」

「ツバサくん……」

「ツバサ……」

 

 隣でエルちゃんとましろさんが引いていました。ツバサくんは大きな大きなため息を吐くと、ましろさんへ視線を向ける。

 

「ましろさんもましろさんです。今度はちゃんと僕達を呼んでくださいね。一人で未知のランボーグに挑むのにはリスクが大きいですから」

「うん、ありがとうツバサくん。気をつけます」

「私もましろの為ならすぐに駆けつけるかね」

「ありがとうエルちゃん。頼りにしてるよ」

「えへへ〜」

 

 エルちゃんの笑顔に免じて、とツバサくんはわたしを許してくれました。しかし、そのツバサくんから開放されたのはもう夕暮れの頃でした。

 

 …………

 

「ソラちゃんも大変だったね」

「いえそんなっ! ましろさんの方がむしろ……」

 

 ソラちゃんは口篭る。こうして元に戻れたからよかったけれど、あのまま子供のままだったらどうしようってずっと考えていた。ソラちゃんに迷惑になるんじゃないかとか。ソラちゃんが離れてしまうんじゃないかとか。ありもしないことを考えて不安だったのを思い出した。

 

「でも、随分容赦なかったね。昨日は」

「はひっ!? おおおお、覚えてるんですか!?」

「うん。姿が変わっちゃった時の記憶は全部あるよ。奇妙だな〜とは思ってるけど」

「そ、そうですか……」

 

 バツが悪そうにソラちゃんは指をつつきあう。

 

「そっか〜。ソラちゃんは高校生の時の私の方が良かったんだ……」

「え、や、そんなことありませんよ! 全然! 全く……と言えば嘘になりますけど! 今も! 昔も! これからも! わたしはましろさんが良いんです!」

 

 躍起になって答えてくれたソラちゃんを見て少し唖然としてしまった私は困ったような笑顔で頷いた。

 

「うん。ありがとう。私も大好きだよ」

「そ、それで……ですね。ましろさん。今日も……その……」

 

 ソラちゃんはまたすぐに顔を俯かせて赤くした。

 

「夜になったらね」

 

 よかった。また今日も愛してくれるみたい。

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