ああ、ついに言ってしまった、と思った。
好きって。わたしなんかが、鈴野くんを好きって。
でも、本当に良いのだろうか……。
もっと、自分のことをきっちりさせてから、好きって。そう伝えたかった。
だけど。もう、止まらない……。
こんなにも彼とのセックスは気持ち良くて。こんなにも、求めてしまって。
どうすれば、いいんだろう。
前の彼氏からも、なんだかんだ、連絡が来ている。
きっぱり別れればいいって、わかっている。もう、今更好きになれないから。
全部、私が悪い。わかっている。だけど、どうしても。誠実じゃないって……。これじゃあ、セックスが気持ち良いから、鈴野くんを選んだ、そんな気がして。
そうじゃないのに。そうじゃないのに、会ったばかりということもあって、そういう疑念がよぎってしまって。
もっと、わたしがしっかりしていれば……。
ああ、でも。
もう、やめられない……。
★
ベッドの上で、宮倉さんを正常位で突き上げた。ゴミ箱の中には大量のコンドームが捨てられている。もう何度目かわからないセックスなのに、激しくなるばかり。ギシギシギシ、とベッドが軋む。奥を突き上げるたびに宮倉さんの喘ぎ声は大きくなり、まるで奥にそういうスイッチが入っているかのようだった。
「ん、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ♡ ああああん♡ 鈴、野くん♡ セックス、気持ち良い♡ 気持ち良い、よぉ♡」
「はあ、はあ、宮倉、さん」
僕は宮倉さんの乳首を舐め回す。すると宮倉さんは僕の顔を両手で掴み、ぎゅうううううう、と爆乳に押しつけた。
「も、もっと、舐めて♡ わたしのおっぱい、好きに、して♡」
「っ」
めっちゃ柔らかくて気持ち良いのだが、正直に言うと息苦しさすらあった。だが、なんて幸せな苦しみ。僕は爆乳に溺れそうになりながら、乳首を舐めまわす。ピチャピチャ、といやらしく愛撫する。その度に宮倉さんの腕の力が強まり、喘いだ。
「はあ、んあ♡ もっと、もっと、舐めて♡ わたしのおっぱいに、君の温もりを刻んで♡♡♡」
腰を動かすのも忘れない。グチョグチョの中をさらにペニスで突き上げる。その度に柔らかく、いやらしくマンコが締め上がり、ペニスを射精へと導こうとする。中から精液を絞り出すかのような、吸引力。
「あ、あ、あ、あ、あ♡ ああああん♡ もう、ダメぇ♡」
「宮、倉、さん」
「はあ、ん♡ これ、もう、止まらない、ね♡ わたし、たち♡ もう、ダメ、かも♡」
「っ、ぁぁぁ」
お互いに抱き合いながら、さらに激しく腰を動かす。宮倉さんのおっぱいが僕の体の間でふにゃん♡ と形が変わりとろける。パンパンパン!と突き上げる。あまりの激しさに、ベッドの上に乗せた携帯が落ちる。宮倉さんのだ。なにか着信があった気がした。でも、僕達は夢中で腰を振り合って、ディープキスを交わし合っていた。グチュグチュと音を立てる。お互いの舌と舌を求める。口の中の、温もりを感じる。
「で、出る」
「ん、ちゅ♡ いいよ、何度、でも♡」
「っ、出すよ!」
「ん、ああああああ♡ き、た……♡」
パン! と大きく突き上げたのと同時に、射精する。激しい射精はドクドク何度も大きく脈打ち、今日何度目かの射精とは思えないほどに、激しいものであった。
★
夕方頃になって、さすがにお互いに服を着始めた。お腹も空き始める頃だ。ゴミ箱の中にある大量のコンドーム。僕達は今更ながら我に返って、顔を赤くし合って、羞恥に言葉を失った。
「……すごかった、ね」
「は、はい」
宮倉さんの言葉に、僕はアホみたいな返事をする。
ほかにもなにか言うべきこと、ある気がする。
もっと、好きになってもらわないといけない。
前の彼氏から、本当に僕を選んでくれるのか、とか。そういう不安もある。
それなのに……セックスばかりに、没頭してしまった。大丈夫なのだろうか。恋愛ってやつがわからないから、僕は落ち着かなくなる。
……まあ正直、こんな爆乳お姉さんとヤリまくりなんて、もう最高すぎるんだけど。
「ごはん、なににする?」
「ど、どうしましょうかね。なにも考えていないです」
「そうだよね……わたしも、頭、真っ白」
ベッドの上で横になる。こてん、と宮倉さんが僕の肩に頭を乗せた。
「一人暮らし」
「え?」
「大変ですか? 宮倉さんみたいな可愛い女の子が一人なんて、危ないですよ」
「ふふふ。大丈夫よ。ここの大家さんはすぐそこだし。隣は同じ大学の友達だし……」
「そうなんですか?」
「うん。だから、その……声、別にいいかなって。で、でもっ」
宮倉さんは顔を両手で覆った。
「今思うと、だからこそマズイ気がして……勢いでいいやって、なっちゃって……ううっ。留守だといいんだけど。聞かれていたら、もう、色々と……」
悶える宮倉さんが可愛くて、頭を撫でた。
髪が手の中で溶ける。ああ、気持ち良い。
「たしかに、自分の喘ぎ声友達に聞かれたら、クソ気まずいですね」
「だ、だよね。なんでわたし、いいやって、思ったんだろ……」
「我慢しようと思ったら、出来たんですか……?」
宮倉さんはブンブン! と顔を横に振った。
「む、無理っ! だって、君、激しいから……」
「激しくしない方がいいですか」
「そ、それはっ……もう! イジワルなこと言わないでっ!」
むうう、と頬を膨らませる宮倉さん。
珍しく、僕は振り回されていなかった。だけど、少しだけ気づいたんだ。宮倉さんはお姉さんぶりたいだけで、本当は結構、乙女というか、Mっ気があるというか。そういう女の子なんだ。だからたまには、僕が宮倉さんを困らせたり、そういうことをしても良いような気がしたんだ。
「あはは、宮倉さん、可愛いですね」
「生意気なんだからっ。調子に乗らないで、君だってわたしのおっぱいがないと、もうダメな体の癖に」
「そ、それはまあ、そうだけど」
「君のおちんちんだって、わたしだけのものだから……こういうこと、言っちゃダメ?」
「全然、そんな、ことは」
「本当? やったぁ。じゃあ君のは、わたし専用だね♪」
「う、うん」
どぎまぎさせられる。
結局。すぐに、逆転されてしまうんだ。
……今日、泊まっていこうかな。
そんな邪な気持ちが、脳裏をよぎった。
★
宮倉さんと一緒に行ったのは、まあ平凡なファミレスであった。僕達はパスタを頼んで、お腹を膨らませた。会話はそこそこだった。そうして二人並んで、帰路へと着く。僕は勇気を振り絞って、手を繋いだ。めちゃくちゃセックスした仲なのに、今更そんなことで躊躇するのも不思議な感覚だが、外で手を繋ぐというのは中々にハードルの高い行為であった。
「ん……手、温かいね」
「宮倉さん、ちょっと冷えていますね」
「この手で、わたし……あ、なんでもない……」
宮倉さんが顔を赤くしてうつむく。
やっぱりこの人、案外、純情というか、お姉さんぶっているんだよね。
「いやらしいこと考えたんですか」
「ち、ちがっ。それは、君の方でしょ!」
「え?」
「ごはん食べているとき、しょっちゅう胸の谷間見ている」
「ご、ごめんなさい」
「いいけど。エッチだなーって。うふふ♡」
宮倉さんが慌てて体勢を立て直す。うーん。どうしたら宮倉さんをMモードに出来るのだろうか。今の流れ、結構いい感じだと思ったんだけど。
まあ、いいか。きっと僕も、その内慣れてくる。
宮倉さんは腕を組んできた。もたれかかる。二人で歩きづらくなるが、それでもいい。ゆっくりと、前へと進む。交差点に引っ掛かる。宮倉さんは小さく、けれど甘えた声で、僕の耳元で囁いた。
「今夜は、泊まってほしい……どこにも、行かないで」
「……はい」
信号が青くなる。僕は宮倉さんの手を引いた。
今度は、歩みが早くなった。
少しでも早く、彼女の温もりを求めたくなったから。