※この作品はR-18です。

爆乳お姉さんとヤリまくる話。   作:音有五角

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エッチシーンなしのシリアス回です。宮倉の過去が解決する、恋愛ストーリーになります。


第五章「決着をつける」

 わたしは周囲に流される人間だ。元々はそうじゃなかった気がするけど、きっかけがあってそうなった。

 

 

 高校生の時である。人気のある、いわゆるイケメンから告白された。とても光栄な話なんだろうけど、どうしてもわたしの好みではなかったし、その時は恋愛に興味がなかったから、断ってしまった。

 

 それがきっかけ。わたしは女子を敵に回すことになった。どうやらわたしは、男をもて遊ぶ悪女、ビッチということで、陰湿なイジメに遭うことになったのである。

 

 今思えば、それはただのくだらない妬み・嫉妬だ。だけどそんなこと関係なかった。わたしはその時の事がいまだに忘れられなくて、周囲に意見をあわせるような、そんな人間になったような気がする。

 

 

 大学で付き合った男もそう。イケメンで、人気のある男だった。告白されて、流されるままに、付き合うことになった。好きじゃなかったけど、それは仕方のないことだった。わたしは祝福された。美男美女でお似合いだね、と。素敵なカップルだね、と。

 

 

 その度に胸が苦しくなった。

 

 

 だけど付き合い始めれば、好きになれるかもしないとも思えた。だけど現実は甘くなかった。

 

 

 どれだけ一緒にいても、恋愛感情が芽生えることはなかった。セックスも相性が良くなかった。

 

 

 わたしはどうしたらいいか、わからなくなった。しかも不思議なことに、セックスが気持ちよくないと、気持ちの良いセックスはなんだろうと、興味が湧いた。性欲というものが出来たのだ。そんな時だった。鈴野くんに会えたのは。

 

 

 初めての一目惚れだった。同じ電車という以外、接点がなかったけれど。いつも見られているのは気づいていたから……わたしも、なにかアプローチしようと思った。

 

 

 そうして、鈴野くんに出会えて……。何度も、一つになれた。だけど、ホテルに連れていった時、本当は胸がとてもバクバクしていたし、ビッチだと思われるんじゃないかっていう不安があったりもした。けど、大人だと見られたくて、なんでもないことのように装っていた。

 

 

 けれど、わたしは大人なんかじゃない。今だ中途半端に、大学の彼氏に別れを切り出せないでいる。また周囲から白い目を向けられるんじゃないかって。そう考えて、勇気を出せないでいる。

 

 

 わたしはひどい人間で、子供なのだ。

 

 

 

 

「考えすぎじゃない? むしろ、ちゃんと別れているわけじゃないのに、他の男とよろしくやっていることの方が、問題だと思うけど」

「ううっ。まったくもって、その通りだね……」

 

 

 大学の帰り道。高校時代からの友人——彼女は味方してくれていた、数少ない人——恵里とカフェでコーヒーを飲みながら、相談をしていた。

 

 

「わたし、不誠実だよね……」

「まあでも、仕方ないんじゃない。これからきっちりしていくしかないよ」

「う、うん」

「あと麗さあ……」

「なに?」

「声大きすぎだって。音もすごいし……なに、そんなにすごいの? 年下の彼?」

「ご、こめんね。うるさくして」

「いいっていいって。どーせ隣、私だけだし? で、どうなの?」

 

 

 わたしは頰が熱くなるのを感じた。視線も合わせられない。

 

 

「す……」

「す?」

「すごい……」

 

 

 恵里はひょおー、と声を上げた。

 

 

「すごい、いただきましたー! あとモジモジして恥ずかしそうにしてる麗、エロ可愛い! その爆乳のくせして、まだまだピュアだね!!!」

「恵里、声、大きいってば……」

 

 

 心なしか視線集めている。しかも爆乳、なんていうから胸を見られている気がした。なんか恥ずかしくなって縮こまると、むにゅ、とさらに胸が強調される。悪循環だ。

 

 

 ちなみに、友達の恵里もかなり大きい。爆乳だ。

 

 

「まあ、早く別れちゃいなさい。好きじゃないのに付き合ってもしょうがないって。それに別れたら、年下の彼と心置きなく付き合えて、思いっきりヤリまくれるよ! やったね!」

「だから恵里、声大きい……すごい内容だから」

「けど、あいつと別れるの、ちょっと苦労するかもねー」

「え?」

「麗の彼氏なんて、どうせおっぱい好きでしょ? その爆乳は手放したくないと思うなー」

「こじれる……かな。もう、ほとんど会ってないけど」

「最近連絡来た?」

「この間、鈴野くんと一緒の時に、来ていたみたいで。ほとんど自然消滅したけど、やり直さないかって……」

「ヤリ直さないかパターンかあ。やっぱ麗のおっぱいが好きなんだねえ」

「そ、そんないやらしい意味じゃないと思うけど……」

「そういう意味だとおもうよ?」

「抱きたいってこと?」

「そう。私、事情を知っているからなー」

「???」

「ま、とにかく。勇気を出して、別れること! 私も協力するからさ」

「いいの?」

「もちろん! なにがあっても、私はアンタの親友だからね! 一肌脱ごうじゃない!」

 

 

 そう言ってサムズアップする恵里に、わたしは感謝した。

 

 

 

 

 恵理の予想は残念ながら当たってしまった。別れ話を切り出しても、彼は引き下がらなかったのだ。わたしは自己嫌悪に陥った。そもそも好きじゃなかったのに、付き合ったのが悪いのだ。気持ちを偽ったのが、原因なのだ。だからこうやって、なにもかもが中途半端になる。男を弄ぶビッチと言われても、仕方なかったのかもしれない。

 

 

 脳裏には鈴野くんがよぎる。それでも、こんなわたしを好きだと言ってくれた人がいるから。初めて好きだと思える人が出来たから。ここでまた、流されてはいけないのだと、決心を固めた。大丈夫。親友の恵理は後押しして、味方してくれているのだから。

 

 

 この日。わたしはいつも通り、大学からの帰りアパートの階段を昇った。

 

 

「よう」

 

 

 びく、と驚きで体が震えた。彼が扉の前にいたのだ。住所は知られているし、こういうのも覚悟していたのだけど……。

 

 

 わたしは毅然と、真っ直ぐに告げた。

 

 

「……勝手に来ないでよ」

「冷たいなあ。まあ随分長い間連絡とってなかったから、冷めるのはわかるけどさ」

「わたし、好きな人が出来たの」

「それさ、本当なのか? そりゃお前、見た目だけは良いけど。マグロ女じゃん? セックスも含めてさ」

「へ、変なこと言わないで」

 

 下品である。でもこの人は、わたしが流されるままの人間であることを、見抜いている。だからこういうことを平然と言えるのだ。

 

 

 だから、わたしは変わらないといけない。そうじゃないんだって、証明しないといけないのだ。

 

「なら、これから試させてくれよ? この後、暇だろ?」

「っ!」

 

 

 腕を掴まれ、扉の前まで引っ張られる。抵抗したが、彼はハンドバッグの中にまで手を突っ込もうとした。

 

 

「鍵、どこだよ? なんだかんだ、お前ってこうやって強引にされるのが好みなんだろ?」

「ち、違うから! やめて!」

「素直になれよ。ほら、鍵を渡せ」

 

 

 強くなろうとした。大きな声を出そうとした。だけど、実際に口にしたのは――違う言葉だった。

 

 

「助けて――鈴野くん!」

 

 

 

 そして――嘘みたいな奇跡が起きた。

 

 

「離してください。宮倉さんが嫌がっています」

 

 

 彼の腕を掴んで止める、鈴野くんが現れた。

 

 

 

 

 宮倉さんは目を丸くして僕を見上げた。男も驚いたように僕を見る。

 

 

「へえ……? 男が出来たってのは、本当だったのか。けど、苗字読みの上にさんづけかよ、なーんか女々しいな」

「うっ」

 

 

 痛いところを突かれる。だけど、宮倉さんを思う気持ちは本物だ。自信を持たないと。

 

 

「そんなこと、アンタには関係ない。手を離せ」

「おー、怖い怖い。わかったよ、これ以上騒がれたらかなわねーしな」

 

 

 男はおちょくるように言って、両手を挙げた。その目は僕をバカにしているように見えた。

 

 

「鈴野くん、どうして、ここに……?」

「宮倉さんが助けを求めたから――って、言いたいですけど。実際は、呼ばれたんです。それで近くに待機していて」

「呼ばれた……?」

 

 

 そんなやり取りをしていると、男があーあ、と冷めたようにため息をついた。

 

 

「にしても、マグロ女のお前が二股とはねえ。意外とビッチだったんだな」

「っ……!」

「俺、かわいそー。みんなに慰めてもらおうかなー」

 

 

 宮倉さんが体を強張らせる。こいつ、暗に言いふらそうって言っているよな。

 

 

 僕がなにか言おうとしたが、隣の部屋から一人の女性が現れる。

 

 

「――人のこと言えないでしょう? 麗がそういうのに弱いってわかって、脅そうと悪あがきすんじゃないわよ、見苦しいったらない」

「恵理……」

 

 

 宮倉さんの友人だ。恵理さんは携帯を持ちながら、メッセージアプリを見せる。

 

 

「アンタだって私を口説こうとしたり、大学の女に片っ端から声かけているじゃない。最近、評判悪いんだからね。見た目が良いから最初はモテたようだけど。大方、本性がバレて女にフラれ始めたから、麗のところに戻ろうとしたんでしょう?」

「ぐっ……お前、こいつの隣に住んでいたのか」

「そうよ。また来ようとしてもムダだから。私が守るし……この子もいるようだしね?」

 

 

 恵理さんが横目でちらりと僕を見た。男は大きく舌打ちをする。

 

 

「くっだらねえ。どいつもこいつも……」

 

 

 悪態をつきながら、僕にわざとぶつかり階段を降りる。頭に血が昇った僕は飛び掛かろうとしたが、宮倉さんに抱き止められたので、毒気を抜かれた。

 

 

 カンカン、と階段を降り、男が去っていくと緊張が解けた。まあなにはともあれ、なにも起きなくてよかった。

 

 

「ごめんね、麗。黙っていて。この間部屋に来た時、帰り際鈴野くんに声かけていたの。事情説明してさ、いざという時は二人で助けようって決めていたの」

「……そう、だったんだ」

「そ。で、部屋の前にあいつがうろついてさ。それで鈴野くんを呼んだわけ」

「ありがとう、恵理。わたしを助けてくれて……」

「いいの、いいの。まあでも……お礼は鈴野くんしてもらおうかなー?」

「鈴野くんに……???」

 

 

 首を傾げる宮倉さん。対して、恵理さんはニコニコと小悪魔的な笑みを浮かべている。

 

 

「エッチすごいみたいだから。私にも……してもらおうかな?」

 

 

 思わず、頬が赤くなった。つい、恵理さんの大きく膨らんだ胸元へ視線が吸い込まれてしまう。と、ここで同じように顔を赤くした宮倉さんが僕を抱きしめた。宮倉さんの爆乳が視界を埋め、呼吸が出来なくなる。く、苦しい!

 

 

「だ、ダメ! なに言っているの! いくら恵理でも、絶対に渡さないんだからっ!」

「えー? 良いじゃん。先っぽだけでもいいからさー」

「先っぽだけでもダメ!」

「減るものでもないでしょ?」

「減らなくてもダメなの!」

「もうー。麗ったら、欲張りー。あんなに気持ちよさそうにしていたら、気になるじゃん」

「わ、私と鈴野くんだからなの! 相性なんだから!」

「うわー。純粋かよ……」

 

 

 そんなやり取りの中でも、僕は爆乳のせいで中々呼吸が出来ずにいた。おっぱい地獄は幸せだけど、生理現象には敵わない。早く、離してほしい……。

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