純愛ルートの更新です。
今回は10000文字と長めですが、章分けしたくない内容だったので、まとめて第八章という形になりました。
本文を読んだらなんとなくそんな気がするでしょうが……学生の二人を描くのは、これで最後になります。次回から最終章。社会人になった二人を描く予定で、前編後編の二章構成で完結させようかなと考えています。
もしかするオマケ、あとはIFルートの更新を追加するかもしれないです。
七月。うだるような暑さだった。だけど、今日は終業式――つまり、これから夏休みであった。
夏季休暇を有意義にうんぬんかんぬんという、定番のお言葉をいただいた後、生徒である僕らは明日から遊びまくるといわんばかりに、浮かれに浮かれた様子で各々帰路につく。僕もその内の一人で、何人かの友達と共に校門を出た。
そんな時である。
「――亮くん! やっほー!」
交差点の向こう。手をぶんぶん! と振る無邪気なお姉さんは、麗さんであった。
僕が茫然としていると、周りの友達がざわめいて「誰? あれ?」「胸でけぇ」「つーか、鈴野を呼んでねーか?」「どういうこと?」「高校生じゃなさそう?」と混乱していた。別に隠していないけど、麗さんのことは話していない。というか話したところで信じてもらえないだろう。特別プレイボーイでもない僕が、大学生のお姉さんと付き合っているなんてさ。しかもとびきりの美人で、爆乳ときた。
麗さんは僕のところに来て、腕にぎゅっと抱きついて引っ張った。
「迎えに来たんだ♪ 今日から泊まるでしょ、わたしの部屋♡」
「え? あ、ああ、えっと」
麗さんは周りに聞かせるつもりなんじゃないかと思うくらい、大きな声でそんなことを言った。なんで? 悪目立ちしているよ? 増々友達がざわめき、なんなら他の生徒からもちょっと注目される。そりゃ校門前で大胆に腕組んで逢引して、こんな大胆な発言したらそうなるだろう。
「行こ♪ 亮くん♡」
そんなこちらの困惑も気にせず、麗さんは上機嫌そうに僕を引っ張り続けていたのであった。
★
夏といえばお盆休み、そして夏休みだ。この季節は人々を浮き足立たせる魔力でもあるのか、昼間から「夏だ! 海だ! 水着美女特集!」なんてテロップの張られたコーナーが、テレビで放送されている。ジェンダーの平等がどうだとか言われている昨今にしては、随分と俗な内容を放送するものだ。僕は思わず手元でいじっていたノートパソコンから目を離して、テレビに視線を向けた。
厳選しているのか、仕込みなのかわからないが、インタビューに答えるのは美女ばかり。グラマラスな美女も映ったりしている。
……こうしてみると、改めて麗さんと恵理さんの胸の大きさがものすごいとわかる。画面に映るのはたしかに胸の大きい美女だけど、いわゆる巨乳というものであった。二人と違って、爆乳ではない。
海かあ。麗さんの水着姿はすごく見たいけど、野郎の視線に晒されるのは嫌だなあ……。悪目立ちするのは確定だし。
「むー。すぐ、おっぱいに反応する。ここに君専用のおっぱいがあるのに」
と、麗さんが頬を膨らませながら、後ろから僕に抱き着く。ちょうどおっぱいを顔の後ろに当てるから、やたら大きい低反発のクッションを二つ当てられているかのようであった。
「す、すいません。つい」
「君は本当、胸が好きなんだね」
麗さんのと比べていたんです、とはさすがに言えずテレビの画面から目を離す。意識を逸らすようにパソコンの画面を見た。麗さんは僕を抱きしめながら同じように画面を見る。
「WEBライティング……そういえば、ライター目指しているって言っていたね。これって、バイト? 在宅ワークってやつだよね?」
見慣れない画面だろうが、用意されたレイアウトに文章を打っているため、麗さんはそんなことを言った。
「クラウドソーシングってやつですね」
「あー。なんか稼げないって動画で見たことある。猫ミームのやつで」
まあたしかに、それが現実なんだけど。麗さん猫ミーム見るのね。
「間違ってないですね」
「そうなんだ。どのくらいなの?」
「月1、2万ぐらい」
「んー……たしかに、ちょっと少ない」
まあ、当然の反応だろう。高額の単発バイトだったら、1日で1万は稼げたりする。三日頑張ればもう三万だ。そう考えると一か月で1、2万は少ない。自給換算したら悲しくなる金額になりそうだ。
「練習と簡単な実績作りなので。そもそもライター自体、稼げる人とそうじゃない人の差がすごいんですよ。文字単価っていうんですけど」
「亮くんはあんまり貰えないの?」
「そうですね。始めるのは簡単だけど、稼ぐのは難しい、といわれる仕事なので。だけど将来はライター業に就きたいですし、今から少しでも実力をつけられたらなって」
「うっ。しょ、将来ね……」
「どうしたんですか」
「進路……うー、進路かあ」
麗さんが嫌そうな声を出す。どうしたのだろう。
「……麗さん、進路に迷っているんですか?」
「迷っているというか、なんというか……正直、やりたいことなんてないんだよね。亮くんとは違って」
「えー。もう、大学まで行っているのに」
「ううっ!? む、胸に刺さること言わないで! 仕方ないでしょ、そういうの、なんとなくでやってきたんだから!」
「でも、意外ですね。麗さん、そういうのしっかりやりそうですけど」
「そ、そりゃしっかりしたいけど。ううっ。来年就活生だと考えるだけで、気が滅入る……」
僕は思わず笑ってしまった。お姉さんぶりたい彼女だけど、年相応の大学生なようだ。
「職種とかも決まらない感じですか」
「条件良ければそれでいいかな、ぐらいだよ」
「そうなんですね」
まあでも、大体の就活生はそんなものだろう。
「亮くんは? 来年高校三年生でしょ?」
「進学しますよ。文学部です」
「卒研もあるし……はあ。お互い、忙しくなっちゃうね」
「そうですね。でも、頑張りましょうよ。今頑張れば良い社会人になれますし」
「うっ。さっきから、亮くんの一言一言が辛い……相手は年下なのに……」
でもどちらかというと、僕が憂鬱なのは忙しくなることじゃなかった。
会う回数が減ることに、寂しさはあっても、不安なんてない。
……どちらかというと、不安なのはそのもっと先。
僕が大学生になる頃には、麗さんは社会人なのだ。そして僕が4年間ぬくぬくとしている間に、麗さんは社会人として4年目を迎える。
こうしてみると、年上を改めて感じてしまう。
麗さんは独り立ちしてしまうんだ……どんどん、先へ。
だから僕は卒業をしたら、就職をするという選択肢も浮かんでいた。だけど、それは自分の目標を変更することを意味していた。ライターになるのは大卒ばかり。もちろん、フリーランスとかもいるから、必ずそうというわけではないのだけど……いずれにせよ自分の学びたいこと、やりたいことから外れてしまうことには変わりなかった。
でも同時に、麗さんが社会人としてどんどん先へ行ってしまうことに、焦りを感じてしまう。4年。4年は重い。
……職場の男だって、麗さんを放っておかないだろう。その中には出来る男だってたくさんいる。そんな中、四年間も大学生の彼氏と付き合ってくれるのだろうか。
4年も経ったら、麗さんは二十台後半になっているわけだし……。
(……僕は、相応しい人になれるのだろうか)
★
僕は麗さんの部屋に連日で泊まっていた。ほぼ同棲しているような状態になっていて、休みを使ってデートをするというよりは、二人でゆっくりする時間を贅沢に使っているような感じであった。お盆には実家へ帰省するようだけど、それまでは一緒だ。
「ひいいいいっ!? りょ、りょ、亮くん!」
「虫ですか?」
麗さんは虫が大の苦手だ。悲鳴を上げる時は、大体虫が出てきた時である。
「ごごご、ゴキブリ! ゴキブリ! いいい、今、キッチンの前にいる、あれ!」
「え? ……ああ、あれですか。小さめですね」
「サイズなんてどうでもいいから! 早く、早くやっつけて!」
「はいはい……」
ティッシュを軽く何枚かとって、僕は素早くゴキブリを握りつぶした。手の中でパリパリパリ、と春巻きが鈍くつぶれるような音と感触がした。その光景を麗さんが顔を青ざめながら見る。
「……本当にすごいよね、亮くんの度胸は」
「そうですか?」
「ゴキブリを握り潰すなんて、絶対無理……」
「むしろ麗さんが一人暮らしなのに、虫嫌い克服出来ないのが不思議ですよ」
「苦手なものは苦手なの! そのために二階を借りたんだから!」
「でも、結局こうやって入られちゃっているじゃないですか。一階より出にくいってだけで。普段どうしているんですか?」
「殺虫剤で……」
「それ、あんまりよくないですよ。ゴキブリって死に際に卵産むので、今度は新しい赤ちゃんが産まれますよ」
「ひいいいいっ!? 変なこといわないでよ! 気持ち悪いから!」
「このゴキブリ小さめでしたし、その時に生まれた個体なんじゃ――」
「あー、あー! やめて! 聞きたくない!」
「卵を産ませないためにも、潰して即死させるのが一番効果的なんですよ。どうしても無理だったら、雑誌とかを丸めて――」
「もうこの話は終わり! 亮くんは手を洗って!」
「はいはい」
洗面所でハンドソープを使い洗う。
一日一日が経つたびに、麗さんのことをたくさん知れた。
だけどその一方で、将来のことを考えると不安になる。僕の進路は、本当に進学で正解なのだろうか。学生と社会人のカップル。あまり、良い予感がしない。
★
「亮くーん。ゴミ捨ててきてー」
「はーい」
欠伸をしながら、ゴミ袋を手に外へ出る。麗さんは朝食(相変わらず多め)を作っているので、ゴミをまとめ、朝出しに行くのは僕の役割だ。
袋を持ちながら階段を降りると、ゴミ捨て場には先客がいた。恵理さんであった。
「おはようございます、恵理さん」
「おはよう……だけど、当たり前のようにゴミ出しするんだねぇ。すっかり同棲カップルじゃん」
「はい、慣れました」
「純情そうに見えて、進展早いねえ、二人は」
ふああ、と恵理さんも欠伸をする。ラフな灰色のルームウェアだったが、恵理さんだとすごく美人に映えていた。
「あの、恵理さん」
「んー?」
「社会人になった時。学生の彼氏ってアリですかね」
恵理さんは意地の悪そうな笑みを浮かべる。
「なーにー? ダメだよ、麗がいるのに私を狙っちゃ」
「す、すいません。でも、そういう意味で言ったわけじゃなくて……」
「ふふふ。わかっている、わかっている。つまり、あれでしょ? 進学希望なんだけど、麗がその四年間社会人だから、不安なんでしょ?」
「はい。価値観とか、時間とか、全然違うでしょうし……それに」
そこから先は言えなかった。もっといい男の人と巡り合える、なんて。
別に自信がないわけじゃないんだ。麗さんのことは本気で好きだし、麗さんも僕のことを好きでいてくれている。誰にも渡したくなんてない。僕のものなんだって、そんな風に思っている。
だからこそ、自分という人間がその価値に合っていないような。きっと理想の関係や、自分自身というのを求めてしまっているのだろうと思う。
「考えすぎだと思うけどねぇ。真面目というか、なんというか」
「そうですかね」
「まあ、一つアドバイスをするなら。そういう二人に関係する悩みは、二人でちゃんと共有した方が良いと思うなー」
「共有、ですか」
「私に話したってことは、麗には話してないんでしょ? でも、それはあんまりよくないと思うよ。二人に関係する不安や悩みなら、ちゃんと話した方がいい。それでなにも解決出来なくてもいいからさ。亮くんだって、麗がそういう悩みを抱えていたら、聞きたいでしょ?」
「……たしかに、そうですね。参考になります」
言い出せるかわからないけど、恵理さんのアドバイスはとてもしっくり来た。
「ああ、それと。学生の彼氏がアリかナシかの話だけど」
「はい。どっちですか?」
「相手による」
身も蓋もない答えなんだけど。
と、思ったら続きがあるみたいで、恵理さんは少しだけ照れくさそうに笑った。
「本気で好きな人だったら。学生でもなんでも、アリだと思う。そういうものじゃない?」
★
朝食の後の洗い物をしながら、麗さんは上機嫌そうに鼻歌なんて歌っていた。可愛い。なんの歌ですかそれ、って聞いたらふと我に返ったように、顔を赤くしながら曲名を教えてくれた。
「遠き日」
「うーん……聞いたことなさそうですね」
「アンダーグラフだよ。PV公開されているから、興味あったら見てみて」
「アーティストは聞いたことありますね。うろ覚えですけど」
検索してみると、ナナホシ(無職転生のキャラ)が鼻歌で歌ったアーティストならしいことがわかった。アーティスト名は聞いた覚えがあると思いきや、そういうことか。その時はそんなに興味が湧かなかったけれど、麗さんが聴いているとなると、少しだけ興味が出て来る。
ただ、ナナホシが歌ったのと麗さんが歌った曲は違うものならしい。
PVを見て、どういう方向性のロックバンドかがわかった。なんというか、ちょっと意外だ。麗さん、こういう叙情的な曲聞くんだな。
曲を聴いた後、僕はふと思い立ち、体重計を出した。
……まあ、こういう生活だからね。太っているか気になったのだ。
「やっぱ、そうなるよね……」
増えていた。ここ最近は麗さんの食生活に毎日合わせているわけだから、当然こうなる。
というか、麗さんは増えたりしないのかな。
「亮くん、ダイエット中なの? 急に体重計なんて使って」
洗い物を終えた麗さんが聞いてきた。僕は体重計を降りる。
主に麗さんの影響だけどね……。
でも料理はおいしいし、なによりも好きな人が作ったものだから、多くてもいいかって思ってしまうんだよなぁ。
「ちょっと太ったなって」
「そう? 見た目は変わらないけど。どれくらい増えたの?」
「ここ二か月で3キロですね」
「む。それはちょっと増えちゃったね。ごはん減らす?」
「そうですね。少し」
そんな会話を交わしてソファにでも座ろうかと思うと、先客の麗さんが僕の読んでいた小説を手にとっていた。むむむ、と唸りながら眉間に皺を寄せている。
「「車輪の下で」。亮くん、難しそうな本読んでいるね。文字びっしり……」
「ヘルマン・ヘッセですよ」
「名前は聞いたことあるけど……ノーベル文学賞とった人でしょ? 東京グールにちょっとだけ出てきたし」
「デミアンの引用シーンですよね。というか、そういう漫画読むんですね、麗さん」
「大学生になってからは、読んでないけどね。本棚作るの大変だから。でも、社会人になったら作ってもいいかもなー。亮くんのためにもね」
何気ないやり取りの中で、僕が一緒にいるのが当たり前になっていて、自然と頬が熱くなる。変に悩んでいるのは、たしかに杞憂なのかもしれない。
ところで。話が逸れたが、やっぱり聞きたい。
「麗さん、一つ質問が」
「なに?」
「……最近、同じ食生活ですし。その、太らないんですか?」
中々に失礼だが、付き合っているのだからいいだろう。
麗さんは顔を赤くしながら、己の胸やお尻に触れた。
「ちょ、ちょっとだけ増えているかなー……なんて」
そんなベタベタな反応されるとは思わなかった。
やっぱり、おっぱいに栄養がいっているようだ。あとお尻にも。というか、まだ育つなんてことある?
「この辺りが増えたんですか?」
「ん♡ もう、どこ触っているの、亮くん♡ やん、ちょっと、触り方がいやらしい♡」
麗さんのお尻や胸を揉む。しっとりとしていて、揉み応えがあって。何度触っても気持ちよくて、止みつきになる。
★
麗さんも僕と同じで、インドアで過ごすことが多いようだ。映画を見たり、料理を作ったり、ドラマを見たりしている。一応、大学デビューってことで、最初の一年くらいは色々と始めたらしいが、どれも続かなかったらしい。
「一番続いたので、ジム通いだったかな。もう退会しちゃったけど。結構高いんだよね」
「へえ、ジムですか……って、マジですか?」
ウェアを着た麗さんを想像する。ボディラインがわかるトップスとボトムス。めちゃくちゃエロそうだ。でも、野郎の視線に晒されるのは嫌だな……。まあ、出会う前の話だろうけど。というかその時期は、あの男と付き合っていたのか。
あいつは被害者のようなことを言っていたけれど、恵理さん曰く、円満に別れられているから安心してほしい、とのことだった。むしろ悪評は男の方が広まっているから、別れた麗さんは当然のことだろう、ぐらいに思われているらしい。
「うん。驚くこと?」
「い、いや。麗さんみたいな美人が通っていたら、目を惹かれちゃうなーって」
「えー? もう、なに言っているの?」
麗さんがおかしそうに笑う。なんとか誤魔化せた。
「そもそもわたしが通っていたのは、女性専用のところだからねー」
「そんなジムあるんですか?」
「うん。少ないけどね。女性専用スペースがあるジムだってあるよ?」
「へえ。初めて聞きました」
このご時世、そういうのはかなり過敏になっているから、時代の流れってやつなのだろう。
「まあ、主流は男女共有だからねー」
「周りの目とか、気になるんですか?」
「それは、ね。だって、体動かす上に、薄着になるから、その……ね?」
麗さんがモジモジする。そんな動作だけでも、少しだけ胸が揺れる。走ったりとかするジムだったら、すごいことになるだろう。容易に想像つく。
……女性専用でも、視線自体は集める気がするけど。
と、そんな話をしていたら、友達からメッセージが来ていた。
……内容はほとんど同じであった。というか、詰問に合っている。あのお姉さんとは何者なのか。どこで出会ったのか。もう一人のお姉さんのことも教えろ、だの。あの爆乳を好きにしているのか、だの。
あんな大胆な逢引されたら、そりゃそうなる。ましてや麗さんほどの美人でグラマラスなおねえさんとなればなおさらだ。
「あの、麗さん」
「ん?」
「その。学校で……目立っちゃって」
「えへへー。そうなんだ。彼女だよって、ちゃんと言った?」
「いやまあ、それは言うんですけど。ただ、その、ちょっと大胆すぎたというか」
「うふふ。亮くん、照れちゃって可愛い」
「れ、麗さん。勘弁してください……」
「学校の子には、わたしのこと教えてなかったの?」
「大学生の彼女がいるって、信じられないかなって思って」
「えー。でも、ちゃんと教えないと、女の子がチャンスって思っちゃうよ?」
「そんなにモテないですよ、僕」
「でも、初めてわたしとホテルに入った時、初体験じゃなかったよね?」
「そ、それは……」
「中学の時じゃないだろうし。今の学校の子じゃないの?」
「そう、ですけど」
「おっぱい大きいでしょ?」
「な、なんでそうなるんですか」
「年上だったりして」
「……まあ、そうですけど」
「ふーん。へー」
「で、でも、その人だけでしたから」
「ふふふ。冗談、おあいこだね」
からかわれることもあるけど、悪い気はしなかった。お互いに欲張るようになってきて、こうやって少しだけ嫉妬しあうこともある。麗さんはお姉さんぶりたいところもあるけど、飾らないところを出してくれるようにもなってきていた。
恵理さんに言われたことを思い出す。僕の思っていることも、言った方がいいかもしれない。
「僕が大学生になったころ。麗さんは社会人になっちゃいますね」
「ん? うん」
「価値観とか、ずれちゃうかもしれないって、少し不安で」
麗さんは目を丸くしたが、すぐにふふふ、と笑みを浮かべて僕の背後からぎゅっと抱きついてきた。
「亮くんは可愛いね」
「け、結構真剣な悩みなんですけど」
「嫉妬深いところ、あるよね。私の胸に男の人の視線感じると、わざと手を繋いできたりするし」
「……嫌ですか?」
「ふふふ。いいんだよ、わたしのことは好きにして。君のものなんだから」
「は、はい」
「それに。わたしと住んじゃえばいいんだよ」
「いいんですか?」
「うん。それとも、同棲っていや?」
「もちろん、そんなことないです」
「えへへ。それなら、決まりだね」
片方学生の同棲は色々難しいことがありそうだけど。麗さんのためなら、なんだって出来るような気がした。
★
連泊していると、基本はダラダラと過ごすことになる。夏休み。長期的に確保出来る自由時間。将来へ向けての勉強だってしているけど、誘惑があまりにも多い。堕落しないわけがなかった。
夜の九時。エアコンの効いた部屋で涼みながら、記事作成の続きをしていると、麗さんが白々しい声で「あー、さっぱりしたー」なんて言いながら、バスタオル姿でベッドの上に座った。今日はまだ一度もしていないから、誘っているのかもしれない。
あまりにも艶めかしい姿だった。胸に巻いたバスタオルから伸びる、きれいな足。健康的で色っぽい太腿。溢れるんじゃないかともうくらいの、深い胸の谷間。
以前の僕なら、本能のままに襲っていただろう。だけど少しくらいは余裕を見せてやろうと思った。
「誘っているんですか?」
「んー? 熱いからこうしているだけ」
「そうですか」
じゃあなにもしませんね、と言わんばかりにパソコンの画面を見るフリをする。だけどその瞬間、麗さんは僕の後ろから抱きついてきた。甘いシャンプーの香りに、温かい体。バスタオル一枚ごしに感じる、肌の柔らかさ。そして耳元で、切なそうな声を出された。
「嘘。亮くんに、してほしい……♡ ダメ?」
ぎゅううう、と強く抱きしめられる。
そんなねだるようにされたら、答えないわけにはいかない。というか、我慢出来ない。
余裕なんてどこへやら。僕は麗さんをベッドの上に押し倒して、唇を強引に奪った。
「ん♡ くちゅ♡ ん、はあ、亮くん……♡ ずっと、こうしてほしかった♡」
麗さんは頬を赤く染めて、キスに答えてくれる。柔らかな唇に、からみついてくる舌。艶美で柔らかな感触。スイッチなんてすぐに入った。僕はバスタオル中へ右手を突っ込み、おっぱいを揉んだ。手で収まりきらない、あふれんばかりの爆乳の柔らかさと弾力がたまらない。気持ち良すぎるし、エロすぎる。そしてお風呂上りだから、麗さんは温かかった。
「ん、ん♡ きもちいい……♡」
麗さんのとろけた声を聞きながら、僕はそのおっぱいの乳首を舐めた。ツンとした先端を弾くように舐め回し、時折唇で柔らかく挟んで吸った。そうやって爆乳と乳首を攻めるたびに、麗さんは息を荒げていった。
「あ、ん♡ あ、あ♡」
可愛い喘ぎ声を聞きながら、夢中で愛撫していると、麗さんは手を伸ばして僕のペニスを優しく撫でた。
「亮くんのおちんちん、パイズリしたい♡」
そんなエッチなことを言うから、ベッドの上で横になる。麗さんは爆乳でペニスを挟み、上下に動かした。ムチムチと柔らかく包み込んでくれる温かな感触。ペニスの形で歪むおっぱいはとてつもなくいやらしい。
「ん♡ 亮くんの、あつい……♡」
麗さんはそう言いながら、パイズリしつつフェラチオをする。ジュルジュルジュル♡ とエッチな音を立てながら、ものすごい勢いで愛撫される。僕は背筋が甘くゾクゾクとして、思わず声が漏れそうになった。麗さんの爆乳の中で、ペニスがビクビクと震える。それを抑え込むように両手でおっぱいを包み、先を強く吸われた。温かな口の中に、絡みつく唾液がとても気持ち良くていやらしい。
「っ、麗、さん」
「ん♡ イキそう?」
「は、はい」
「かける? 口の中?」
「このまま、中に……」
「うん♡ いいよ♡」
むにゅむにゅ、とさらにパイズリの速度を上げて、フェラチオを強くされていく。快感が昇っていき、僕はそのまま射精した。勢いよく精液はおっぱいに包まれたまま、麗さんの口の中へと飛び出していく。
「ん、んんん♡ すごい、出ている……♡」
ごくん、とそのまま精液を飲み干してくれる。
「えへへ、ごちそうさま♡」
「麗さん!」
「あ♡ もう、乱暴なんだから……♡」
麗さんを押し倒し、正常位で挿入する。愛液で濡れきったマンコは、ぬるりと僕の勃起したペニスを受け入れた。キュッと中が締まり、優しくもいやらしく包みこんでくれる。
「ああああああ♡ おっ、きい……♡ さっき出したばかりなのに、すごいぃ♡」
とろけそうなくらい気持ち中で、僕は腰を振って中を突き上げた。ズンズン!と最初から激しい動きで奥を刺激する。
「あ♡ あ♡ 亮くん、はげしいぃ♡ 奥、すごい、しゅごい、当たってる♡」
「もう、止めれないから……!」
パンパンパン!と激しいピストン音が鳴り響く。そのたびに麗さんが叫ぶような喘ぎ声を漏らした。
「あああ♡ ん、ん♡ 気持ちいい、気持ちいいよ♡ もっと、もっとぉ♡ 君のチンチンほしいぃ♡」
「エッチだね、麗さん」
「だってぇ♡ こんなに気持ちよくされたら、エッチになっちゃう♡」
爆乳を右手で揉みながら、反対側の乳首を舐め回す。突き上げるたびに揺れるおっぱいを捕まえるように、豪快に愛撫する。
「ん、ん、あ♡ おっぱい、もっと揉んで♡ 好きなだけ吸って♡ わたしも、きもちいいから♡」
両手でぎゅっとすると山がそびえるように、爆乳がポヨン♡と、盛り上がった。
「やん♡ もう、触り方エッチ♡♡♡」
麗さんが可愛い。僕達は抱き合って、突き上げながらも、ディープキスを交わす。クチュクチュ♡といやらしい音をたてながら、溶け合うようなセックスをする。僕のペニスがビクビクと震え出した。
「あ♡ わたしも、イキそうだから、一緒に……♡」
「中、出すよ」
「うん♡ あ♡ あ、あ、あ、あ、あ♡ すご、い♡ 好き、好き、好き♡ 亮くん、大好きぃ♡」
「っ! 麗さん……!」
麗さんは両足を僕の腰に絡ませて、ぎゅううう♡とホールドしてきた。
「このまま、出して♡ 欲しい、欲しいから♡ ん、あ、あ、あ、あ、あ♡ い、イク、わたし、もうダメ♡」
「出すよ、出すよ、麗さん!」
「激しい、激しいぃ♡ あ、あ、あ、あ、あ、あ♡来る、来ちゃう♡ ひ、あ、あ、あ、あああああああああああああん♡」
互いに絶頂して、中に出す。麗さんの中で、僕のペニスが大きく暴れた。ドクドクドクと精液が溜まり、たまらない快感が全身に走る。
「亮くん……♡」
麗さんが繋がったまま、キスを要求してくる。僕達はピッタリと抱き合いながら、クチュクチュといつまでも深いキスを交わし合った。
「麗さん。好きですよ」
「うん♡」
恥ずかしそうに、照れ笑いをしてくれた麗さんは、どこまでも愛おしくて。だから僕は、決心した。これから先、荒波のような社会に出たとしても。僕より良い人が、麗さんの前に現れたとしても。
絶対に、僕が麗さんを幸せにするんだって。
いつまでも、この愛おしい表情を独占して。
いつまでも、とびきりの笑顔にさせられるように。