小鳥のさえずる声が聞こえてきそうなほど穏やかな森の中。
その少年はおどおどとした様子で剣を両手持ちし、おっかなびっくり歩いていた。
一応冒険者を名乗っているらしく、それなりの装備は身につけている。
彼が何者なのかといえば、ミルトン・フェイルローズという立派な名前を持っているだけの一般少年だ。大した生い立ちもなく、母親も早くに亡くし、金に困った父親に売り払われそうだったところを家出してきて今に至る。
割とこの世界ではそのような境遇の者は掃いて捨てるほどいるため、ミルトンがこの先、生き残るためには少しでも実力を身につけて、何か色々と活躍して、名声やら何やらを得て、飯が食えるようになるしかないだろう。
少なくとも、ミルトンはそのように考えていたのだと思われる。
「うぁっ!? 草むらが、動いたぁ!?」
たかが草っぱがザザっと揺れたくらいで、危うく尻餅をつきかける。
現われたのは何処にでもいるようなスライムだったというのに。
「うぅぅ……なんだ、スライムか。ま、負けないぞ!」
ぷるぷる震える手で剣を振り下ろし、スライムはいい具合にスライスされる。
何のことはないプレーンのスライムであれば、両断するだけで倒せる。
年端のいかない幼児にだってできることだ。
しかし、臆病者のミルトンはそれだけのことで大喜びだ。
「や……やったぁ! スライムを倒したぞ!」
あたかも自分の全力を出し切ったかのような満足顔。
すかさず、ミルトンは腰につけていた巻物を手に取る。
それを広げると、一瞬真っ白な紙でしかなかったが、直ぐに文字が浮かんでくる。
【名前】ミルトン・フェイルローズ
【レベル】2
【種族】人間
【ステータス】
攻撃力:7(+4) ショートソード
防御力:3(+1) 布の服
【スキル】無し
【状態】正常
なんということだろう。ミルトンに関係する情報が羅列していくではないか。
これは最近巷で流行りの能力表示スクロールと呼ばれるもの。
持ち主の髪の毛や爪などを混ぜ込んで作った紙を占い師に加工してもらうことで作られる特殊な魔法紙で、これこのように自分の能力を文字や数字で見ることができるという優れものだ。よもや所持品まで分かるとは感服である。
値段はピンキリで、高いものほど大量の魔法を組み込まれて情報量が多くなる。
ちなみに、ミルトンの持っているスクロールは最安値だ。見ての通り必要最低限の情報しか表示されない。
「うぅぅん……レベル、全然あがってないなぁ……。スライム結構倒したのに」
さっき確認したときと数値が変わっていないことを嘆き、ミルトンもガックリと肩を落とす。実はスライムを倒す度にこうやって眺めているが、一向に上がる気配はないらしい。
それもそのはず。プレーンのスライムで得られるものは限りなくゼロに等しい。
スクロールで計測できるほどの経験を積むにはザッと数百匹くらいのスライムを倒す必要があるだろう。
勿論、冒険者なりたての一般少年であるミルトンにそこまでの知識などない。
「もっともっと沢山倒さなきゃダメってことかなぁ。うぅぅん、大変だぁ」
ミルトンがこの場所を訪れたのは、勿論経験値稼ぎのためだ。
近くの町にあるギルドでは、ここが初心者にはオススメと聞かされていたからだ。
だが、それは少し勘違いがあった。
この森には弱小のプレーンスライムくらいしか出没しない。
剣の振り方の練習にはなるが、それ以上に得られるものなど殆どない。
ミルトンは、ここで何日も戦っていればいつかは強くなれると信じて疑わない。
何処までも哀れで、ありふれた少年だった。
そして、今日こそが彼の人生を決めるターニングポイントとなってしまうことを、このときのミルトンは知るよしもない。
※ ※ ※
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森をずんずんと進み、やや暗がりになってきた頃合い。ミルトンは自分が大分前に道を外れていたことに気付く。穏やかそうな空気も何処かひりついているかのように感じられた。
それは明らかに、何かの縄張りの中へと侵入してしまったことを意味していたが、知識の不足しているド素人のミルトンにそんな判断などできるはずもない。
このまま何処かの村に辿り着くことを祈りながら、足を早めるばかりだ。なお、ミルトンの進行方向に村はない。山を二つほど越えたら海にぶちあたる。それ以前の問題として、今のミルトンに山を登るだけの装備すらないわけだが。
「まずい、どんどん暗くなっていく……早く村につかないと」
つくはずもない村に急ぐミルトンだったが、そんな最中、静寂な森の中で、ガサゴソと草むらをかき分ける音が接近してきていた。
「ひぃぃ!? な、なんだ、なんだぁ!?」
草むらの中から飛び出してきたのは、緋色をしたスライムだった。相変わらずの特徴のないフォルム。意思を持った水の固まりのようなぷるぷるとした物体。ミルトンも拍子抜けする。
「す、スライムか……だったら負けないよ!」
ここにくるまでも既に十体くらいは倒してきている。ミルトンも今さらスライム如きに負けるとは思っていなかった。
だからさっきまでと同じように、剣を振り下ろし、ズバッと切断する。
「とりゃっ!」
緋色のスライムはものの見事に二つに分かれ、これで倒せたはずだった。
だがしかし、分断された緋色のスライムは尚もぷるぷると震えており、生命活動を停止する様子を見せない。
「あ、あれ……? なんでまだ動いてるの……?」
すっかり倒したつもりになっていたミルトンは油断し、不意をつかれてしまう。
二匹となった緋色のスライムが左右から飛び込んでくるも、避ける隙もなく、体当たりをダイレクトに受けてしまう。
べちゃっ! 粘性を帯びた水音とともにミルトンの服の上にスライムがへばりつく。そのまま這いずり回るようにして二匹のスライムはくっついてまた元の一匹のスライムへと戻った。
「う、うわああぁぁっ! は、はなれろおぉっ!」
手で払おうとしても、スライムの液状の身体はぬるっとしていてそのまますり抜けていってしまう。掴むことすらままならず、にちょぬちょと抵抗のできないミルトンに絡みついてくるばかり。
スライムのなすがままにまとわりつかれていると、ミルトンは次第にその異変に気付いてしまった。じわじわと、ミルトンの衣類が溶け始めていたのだ。
「ひぃぃっ!? ふ、服が溶かされてるっ! い、いやだぁぁっ!!」
気付いたところでもう遅く、ミルトンの服は見る見るうちに溶かされていき、あれよあれよという間に服というのもおこがましい、ボロボロの布切れと化していた。
腰に巻いていたベルトも外れ、そこに結びつけていた鞄も何もかもが地面の上に放り出され、ミルトンも完全な無防備状態。
裸となんら変わりないみじめな格好を晒すことになる。
「うぅぅ……、こ、こんなスライムなんかに……」
スライムくらいなら誰でも倒せるものだと思い込んでいたミルトンの敗北である。
しかし、これで全てが終わったわけではなかった。
ミルトンの身体にまとわりついていた緋色のスライムはにゅるにゅると動き回り、ある一点に集中し始めた。それは、ミルトンの下腹部だ。
露出したミルトンの股間に集まりだし、ミルトンの小さく頼りないおちんちんだけを包み込んでしまう。
「ちょ、な、な、何を……き、気持ち悪いよぉっ……!」
まるで、それはスライムのパンツのようだった。ミルトンの股間を覆い尽くしたスライムはぐにゃぐにゃと波打ち、ミルトンのおちんちんを中心として脈動する。
その感触ときたら、まるでおちんちんの根元から先端にかけて、じっくり、ねっとりと揉みしだくような動きで、ミルトンも立っていられなくなる。
「ひぃぃぃ……! お、おちんちんが、か、勝手に動いてるぅ!?」
それは言い得て妙だった。事実、ミルトンのおちんちんはスライムの中に埋もれ、上下にぶるんぶるんと振られていた。一切手を触れる必要のない全自動オナニー状態だったとも言い換えられるのかもしれない。
とうとうミルトンは下半身のビリビリとくる痺れる感覚に負けて、草っぱらの上にドシンと尻餅をついてしまう。慌ててスライムを退かそうと手を伸ばすも、どういうわけか弾力に阻まれ、掴むこともままならない。
「や、やめてやめてぇ! おちんちんおかしくなっちゃうよぉぉ!!」
懇願したところでスライムに聞く耳などない。ぷるんぷるん、ぐにょんぐにょんと蠢いては、ミルトンのおちんちんを刺激して止まない。
地面の上、大股開きで腰を浮かせながら、ミルトンはスライムの攻撃をやわらげようとどうにかしようとするも、ただただマヌケな格好を晒すばかり。
にっちゅぬっちゅ、ぐにゅんぐにゅん。スライムに包まれたミルトンのおちんちんはやがて限界を迎え、それとともにミルトンの背筋もビクンと伸びる。
「うわああああぁぁぁっっ!!?」
半透明である緋色のスライムの体内に、ぼこんと白く濁った液体が放たれ、混ざり合っていく様子がありありと確認できた。半透明の身体の中を泳ぐようにして、ミルトンのおちんちんの先から飛び出した白濁液はスライムの中に溶けて消える。
それが美味しかったのか、気に入ったのかは分からないが、白濁液が消失したと同時にスライムの脈動は急激にまた活発になる。
ぬるんぬるん、ぐにゅんぐにゅん、にっちゅにちゅ。既にかなり体力を奪われた後だというのに、スライムは容赦なくおちんちんへの攻撃を続行する。
「あぅっ、や、や、も、もうやめ……ひぐぅぅっ!!」
一度射精したばかりの敏感おちんちんは追撃に対する耐性もなかった。
さっきよりもずっとあっさりとビクンと身体が跳ね、またしてもスライムの透明な体内の中にビュッビュと白いおしっこをぶちまけさせられてしまう。
ミルトンの顔は真っ赤になり、涙も溜め込んで、それでいて腰砕けになってしまい、身動きを取ることもできない状態。
ひょっとするとこのままでは干からびるまで絞り取られてしまうのでは。そんな不安がミルトンの脳内を過ぎり、絶望感が心に満ちていく。
「あらあらぁ、見に来てみれば、なさけない獲物が一匹捕まってるじゃない」
不意に、何処からか女性の声が聞こえてくる。
とっさにミルトンは助けを求めようと声がした方に顔を向ける。
「た……、たすけ、て、くだ……」
なおもスライムにじゅぼじゅぼとおちんちんを虐め倒される中、必死に懇願する。
だが、残念なことにそこに立っていたのはミルトンの想像していたようなものではなかった。
スライムと同じ緋色で半透明の肉体を持つ女だった。
女のような形をしてはいるものの、その全身はぷるんぷるんとした弾力を持ち、人間ではないことだけは明らかだ。
いうなれば、特大のピンクスライム。ミルトンにとっては見たこともない化け物といっても過言ではなかった。
「情けないボウヤだこと。こんな、私の肉片のきれっぱしにも勝てないなんて。どんだけクソザコなのよ。あなた、それでも男の子?」
「ひっぐうううぅぅぅっっ!!」
罵られる最中にもスライムの猛攻によって、ミルトンはまた少しスライムの色を白く濁らせる。
「あらあら気持ち良さそうねぇ。こんな自我すら持たない肉片ごときで景気よくピュッピュしてくれちゃってまあ」
スライムの女は、ミルトンと距離を詰めて見下ろす。
そのスライムに包まれたおちんちんはまだピクピクと小刻みに震えていた。
今にも気を失ってしまいそうなミルトンは、涙目になりながらもまだ助けを乞う。
「お、お願いします……、これを、どうにかしてください……」
相手が何者かを理解しているのかしていないのか。この状況から抜け出したくて必死に助けを求めるばかりだ。対するスライムの女は、面白い生き物でも眺めるような目つきで、スライムに襲われるミルトンの額をつんつんと指先でつつく。
「コレ、じゃ分からないな。ちゃんと教えてくれる?」
「え、あ、うう……こ、この、その……うぐぅ」
ミルトンは言葉を濁らせる。
本当なら「このスライムをどけてほしい」と言いたいところだったが、それを頼む相手もまたスライムだ。
そんなことを言ったら機嫌を損ねるのではないか、という不安がよぎり、言葉にすることができなかった。
「お、おちん、ちんに、ついてる、これを……とってください!」
羞恥心に耳を赤くしながら、ミルトンは言葉を選ぶ。
そんなミルトンの勇気をあざ笑うように、スライムの女はにんまり顔を見せた。
「そうね。頼まれたのなら仕方ないわ。その、お・ち・ん・ち・ん、についてるものをとるわよ」