9/3:話数間違えていました、、申し訳ございません。それとサブタイトル変更致しました。
「ラウラ、入るよ?」
返事はなかったが、そこは気にせずに扉を開ける。シャルが部屋に入ると、ラウラがベットに寝転がって、ゴロゴロとしていた。
「大丈夫ラウラ?」
「あまり、、大丈夫とは言えないな。」
それはそうだろうなとシャルは目を伏せる。つい先日、想い人である織斑一夏から、衝撃的な告白をされたのだから。悪い意味で、なのかは分からない。多分だけど一夏には悪意はない。騙すつもりならただ黙っていればいいから。
(それにしても、、、。)
一夏には一部常識がない、と箒に言われたことがあったのだが、まさか別の世界から転生してきたなんて大らかなシャルでも流石にビックリだ。現実は小説よりも奇なりとは言うけど、まさかネット小説みたいな事が起こるなんて。
(まぁ、考えても仕方ないか)
ひとまずそれは脇に置いて、、、置いておけるかこんな事?ま、まぁいい。まずはラウラのケアだ。
「ラウラ。座るよ?」
「構わない。」
ラウラはいつも通りの調子だった。それが逆に不安だ。
ベットに腰を下ろすと、優しくシャルのお尻を弾き返す。流石はお金持ち。いいベットを使っている。
「ラウラ」
「ん?」
「一夏の事、どう思う?」
「いい旦那様だと思う。」
即答だった。ブレてなかった。これにはシャルさんもビックリだよ。
「カッコよくて、優しくて、、こんな変わった私も、一人の女の子として接してくれている。それに、、、エッチも凄く気持ちいい///」
めっちゃ惚気るじゃん。僕が来る意味なかったじゃん。もう帰っていいかな?
てかラウラ自分が変わっているという自覚あったんだね。、、いや、それが悪いわけじゃないよ?みんな違ってみんないい。誰もがナンバーワンでオンリーワンなんだから。
「ただ、、、分からなくなってしまってな。」
「え?」
このままラーメンを食べて帰ろうかなと思っていたシャルは再びラウラへと視線を向ける。ラウラは腕に抱えている枕を見つめながら、ポツリポツリと話し始める。
「私は教官から一夏の話を聞いた。それが痛快でカッコよくて、、それで私は彼を好きになったんだ。」
「うん、、、。」
シャルはこの話を知っていた。というか脳に染み込んでいた。出会うたびにラウラがこの話をするからだ。一週間夢にその話が出てきてうなされた事もある。今だとご褒美かもしれないが。
「だから初めて会えた時は嬉しかった。ずっと憧れていた彼と学園生活を送れる。胸が舞い上がっていたな。」
「うん、、、。」
ああ懐かしい。あの時は知り合って数日の彼に処女を捧げるなんて宣言されて凄くびっくりした。そこから交友を深めて、次第に想いが強くなって、遂に恋人になれたんだ。
(だけど、、、)
ズキリと、胸に痛みが走る。
(僕は、、"今の一夏"に会えたから良かったけど、ラウラは、、、)
それを証明するように、ラウラは枕をぎゅっと抱きしめる。
「私の出会った一夏は、、、教官から話を聞いていた一夏とは違った。私が憧れた織斑一夏とは別人だったんだ。」
ラウラはゴロリと寝転がる。
「だから、、私の想いは果たされたなかった事になる。もちろん、アイツが私たちを騙したとは言わん。だが、あの時の憧れをどうしたらいいのか、何処にやっていいのか、全く分からなくなってしまってな、、。」
シャルは何も言えなかった。ずっと会いたかった相手が、出会ってみれば全くの別人だったと分かればその気持ちが宙ぶらりんになってしまうのは分かる。
「正直一夏にどうやって接したらいいのか、、全く分からない。」
ラウラはしょんぼりとしていた。どうやら気持ちが迷子になってしまったようだ。
(、、僕が言うことは、、、)
シャルは頭をフル回転させる。脳内のミニシャルが言葉のブロックを一生懸命に組み立てる。やがて一つの文章を完成させると、シャルはラウラの手を握った。
「ラウラ、、僕にはラウラの気持ちが完全には分からない。僕は、、、ラウラとはまったく違う形で一夏を好きになったから。だけどね、これだけは言える。」
シャルは言葉を紡ぐ。幼馴染を深い思考の底から救い出すために。
「ラウラはーーーーー間違いなく一夏の事が好きだよ。」
その言葉に、ラウラは微かに頭を上げた。
「そうだろうか、、、。」
「うん。だってラウラはあんな衝撃的な告白をされても一夏の事が好きなんでしょ?だったら、、、きっと大好きなんだよ。一夏の事が。」
ラウラは思い出す。街に一緒に行ったこと。新しく出来た友達と共にカラオケに行ったこと、、、夜、二人で月を見上げた事。
「ラウラはね、もっとワガママでもいいと思うんだ。」
「ワガママ、だと?」
「そうだよ。前々から思っていたけど、ラウラは真面目だよ~。」
「そうだろうか?」
「そうそう。」
ラウラの頭をそっと撫でるシャル。幼い頃から触ってきた、さらさらとした銀色の髪を撫でていると、自然と笑みが浮かんでくる。
「ラウラって部隊の隊長だったんでしょ?」
「今でも隊長だが。」
「ホントゴメン。ま、まあ部隊のリーダーなんだから自分は規律を守らないといけない、正しくなければならないってずっと思ってたんでしょ?」
「ああ。」
「それで自分は間違えてはいけない。自分の考えは貫かなくてはいけないって思うようにもなったんだと思う。一夏の事だってそうでしょ?私が知った織斑一夏を好きにならないと、って。」
「そうかもしれない、、、。」
「だからねラウラ。」
シャルは頭から手を離すと、ラウラの手をぎゅっと握る。
「今ここにいるのはドイツ軍人なんかじゃない。恋に青春に生きる女子高生のラウラしかいないんだよ。だったらもう、、とことん正直になっちゃうしかなくない?」
「しかし、、私は、、、。」
「一度しか聞かないよラウラ。」
それを問いかける。もう既に、答えは決まっているはずだから。
「ラウラが好きになったのは誰?過去の一夏?それとも、、、今まで一緒に過ごしてきた一夏?」
「私は、、、。」
ラウラは目を閉じる。
目の前にはもう一人の自分。ドイツ軍人とは似ても似つかない、白いブレザーを着た女の子。
彼女は満面の笑みで、”答え”を告げる。
(そうか、、、そうだったのだな、、)
ラウラはのそりとベットから起き上がる。すぐ隣には、かけがえのない、大切な事を気づかせてくれた女の子が。
「ありがとうシャル。ようやく自分に正直になれたような気がする。」
「ラウラ~~!!」
正面から勢いよく抱きしめられる。あ、ヤバい、顔面にとんでもない兵器が!衛生兵!衛生兵!
「本当に良かった、、、!」
「、、、、、」
ラウラは微かにほほ笑むと、優しくシャルの背中を撫でた。